現地から見る異世界からの訪問者達への考察   作:ホタルイカ

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小説投稿はまずその初めの一歩が難しい

   最近増えてきましたよね、異界者の方。

 

 

 受付台に横並びで座っている受付嬢の二人は、今対応し終えた冒険者を見送ってから、雑談と称して暇をつぶすのにちょうどいいネタを見つけたようだった。

普段接客態度や愛想に口うるさい副会長は、今現在他ギルドとの会合のために席を外しているからだろう、二人は憚ることなくしかし不快にならないほどの声量でポツポツと

話し始めた。

「本当に増えましたよね、異界者の方」

耳が半端に長い、金髪の受付嬢がそう言った

どこか辟易としているような、少し疲れたような言い方だった

 

「そう?前からこんなもんじゃ無かった?」

それを聞いた霞色の髪の受付嬢が答えた

 

「いやいや、全然違いますよ。先輩、冒険者の方に全然興味ないし、何言われても気にしてないじゃないですか。」

先輩はそりゃ気付くわけないじゃないですか、と金髪の受付嬢は愚痴を零す。

 

「そもそも異界者なんて言われても、自分から名乗られるか、そういうなんとなくの特徴を感じないと分からないわよ」

興味が無さそうに答える霞色の受付嬢に、

 

「最近は異界者なの隠してる人も減って、明らかに()()な人多いですよ、本当に。」

「特に私の列に並ぶ人が多いんですよ、異界者の方。」

大きな、それこそ何歳も老けてしまいそうなほど大きなため息を、金髪の受付嬢は吐いた。

 

「何が珍しいんですかね?・・・最近じゃ首都でも流行ってるじゃないですか。」

同盟婚、でしたっけ?

自国の話なのに、他人事を思い出すかのように朧気に言葉を紡いでいるようだった。

 

アールヴ(エルフ)国と内の国が平和条約とか何か締結してから、アールヴ(エルフ種)ノーマル(人間種)

結婚、増えてるって。わざわざハーフの私にばかり目をやらなくても・・・」

今だって酒場の方からジロジロ見てくる人もいるし・・・

 

協会の入口から入って左、受付から見て右に、ギルドに隣接している酒場の不特定多数から注がれる視線は、決して彼女が美人であるからであるとかだけでは、説明

出来ないものだった。

 

「アールヴ・・・?ああ、エルフね。・・・まあ、エルフって、ジロジロ見られてるだけでも攻撃的になる人多いし、プライド高い人多いから、やっぱり間近で

ジロジロ見れて、愛想も良いって、珍しいんでしょ、アンタ。あきらめなさい。」

うええええ・・・と金髪の受付嬢がまたうめき声を出す。

 

「って、そうじゃなくて。異界者の方が多いって話ですよ。今日午前中だけで10人ですよ、10人!3年前じゃありえない人数ですよ!」

 

「まあそうね。そうやって、人数だけ聞くと多い気もするけど・・・」

「前々からそういう、独特な雰囲気持ってた人が、実はそうだったって考えると、納得できない?」

 

確かに、霞色の受付嬢の話にも一理あるような気がする。以前からこの冒険者協会には、独特の雰囲気、礼儀の良い態度、たまに意味の分からない単語を使う人間は

訪れていた。

その彼らは一人の例外も無く、良くも悪くも大器と成って今現在も冒険者として輝かしい功績と共に、活動を続けている。一部所帯を持ち、活動が落ち着いた者もいる

そうだが、そういった人物もそれまでは人類の危機と言われるものや、吟遊詩人に聞くに恐ろしい存在と派手に戦い、勝利してきたようだった。

 

生まれも育ちも関係なく、共通の価値観や、共通の雰囲気を持って発生する彼らを、女神教会の生臭坊主達は、ある時期を境に彼らを自分達に利益をもたらす存在として

受け入れ始め、教会規則の中にも積極的に彼らと接触し、理解し合い、保護するよう記した。

 

ちょうど2年前か、1年半前ほどの出来事を、受付嬢二人の他愛のない会話を酒場から眺め、その内容を盗み聞きをした上、年より染みた回想をしながら、一人待ちぼうけを

食らっている男こそが、この小説の主人公である。

歳は20代の中ほどだろうか。顔立ちは悪くなく、むしろ良いモノを両親から授かってはいるが、いささか不愛想が過ぎた。

酒場には顔見知りも何人かいるはずではあるが、

その顔を見ていると、せっかくの酒も飯もまずく感じそうだと、先ほど知り合いのエルフの女に言われ、別卓に移られたがために、こうして男は一人寂しく

受付嬢の雑談を聞く羽目になっているのだ。実践と、日々のトレーニングの中で鍛えられた筋肉質な身体と、実年齢以上に大人びて見え、経験も苦労も感じられるが傷もなく

綺麗な顔を持っているが、愛想のない性格のせいで、と評判の良くない男だった。

今もこうして一人でむっつりと抱えている武器を撫でながら、一人酒を飲み、人を待っていた。

男が大層大事に、それこそ赤子のように抱えている大きな剣は、以前かの東の国で女王に剣を捧げていた頃から使っていた、由緒正しき名剣であり、多くの戦場を共にしてきたわけで

あるが、今はこうしてこの男の手慰みをすることとなっているのは、なんの悲劇であろうか。

 

今男がこうしてカウンター席にて一人で座っているのは、待ち人を待っているからである。共にあるクエストを受けようと約束し、1月前から予定を合わせていた、可愛い後輩が、

その当日の時間に現れないのである。かれこれ四半時は待っている。

男としては、後輩が女であること、そしてその後輩が目に入れても痛くないほど可愛がっている後輩の一人であるからこそであるが、これが別の、クソ生意気なガキの後輩である「アッシュ」

とかであれば、即座に正統騎士団仕込みの格闘術で絞め殺していた。

 

 

 

「ーーーーすいません、遅れました!先輩!」

 

協会の扉が唐突に開かれ、彼女が駆け込んできた。ついに待ち人は来た。

落ち着いた印象を受ける青髪を、ツインテールにすることで活発な雰囲気を漂わせた美少女が、普段は見られないような焦った表情を浮かべながら、こちらを見ていたのだった。

 

 

 




エルフと青髪の女の子が好きで
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