四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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ただ威力が大きければいいというわけではない


戦略級魔法の価値

敵部隊が全面撤退し、偽装艦が埠頭から離れたことでようやく一息つけた。

義勇軍にも戦闘停止が伝えられたので、私達はベイヒルズタワーの中でゆっくり休むことにした。

特に光宣は体調面の心配もあるしね。

 

「光宣くん、体調は大丈夫ですか?」

「はい、と言いたいところですが……さすがに疲れました」

「最後まで戦っていたのだから仕方ない。俺も何度も助けてもらった、礼を言う」

「いえ、そんな……ありがとうございます。真昼さんこそ、大丈夫ですか?」

「体力的に疲れてはいますが、それだけですから」

 

いざとなったら『再成』してしまえばいいからね!

それに、これからも私は大変だし。

……そうだ。

 

「すこし家と連絡を取ってきますね。ここならこの状態でも師族会議の回線で通話ができるでしょうから」

「そうだな。俺も一応連絡しておこう。光宣くんも使うだろう?」

「いえ、僕は響子姉さ……藤林少尉に連絡してもらいますから」

 

光宣は家族がちょっとアレだからね…

一条もあんまり心配してなさそうだし、そういう意味では一番私が大変かも。

通信室から師族会議用の通信回線で本家にかけると、面倒そうな顔で使用人が出た。

私の顔を見た瞬間、驚いてすぐに焦り顔になったけど。

 

『ま、真昼様⁉︎ ご無事でしたか!』

「ええ、お母様とお話ししたいのですが」

『すぐお繋ぎします‼︎』

 

慌てた様子で回線が保留になると、十秒も経たずに再度繋がった。

 

『真昼さん、怪我はなかったかしら?』

「はい。会場の掃討後は光宣さんと将輝さんの二人と共に行動していましたから」

『そう、あの二人なら確かに十分戦えるわね。それで、中華街を占領したの?』

「周公瑾の殺害による成り行きですが。それから顧傑に関しても呪殺しました」

『ずいぶんと危ない橋を渡りましたね……呪殺ということは、九島には術式が見抜かれてしまったのかしら』

「いえ、殺害自体は()()でしたからそちらは問題ないかと。ただし、こちらから仕掛けたことについては後ほど説明することになっています」

『証拠は押さえてあるのでしょう? それで十分ではなくて?』

「事前の情報共有や侵攻への妨害を行わなかった理由などは、直接説明しないといけませんから」

『そうねぇ……わかりましたわ。九島の方には私から説明します。真昼さんは一条家への説明をお願いね』

「了解しました。それから、この後のことなのですが……『崩壊領域』を使用して追撃を行いたいと思っています。国防軍へ掛け合ってもらえますか?」

『わざわざ言うということは、戦略級での使用ということよね? それこそ軍に任せておけばいいと思うのだけど』

 

軍=達也だよね。

それはそれでいいんだけど、今はちょっと困る。

 

「敵は西だけにいるわけではありませんから。カモフラージュとしては良い機会だと思います」

『……あら、そこまでわかっているのね。なら、私の言いたいこともわかると思うけど』

「問題はリスク回避にどれだけコストをかけられるかです。私であれば、大々的に護衛をつけても疑いを持たれません」

 

真夜様が考え込む。

私自身の身の安全もあるのだろうけど、それだけじゃないと思う。

理由は、今日の四葉家の動きだ。

突発的なことだったとはいえ、四葉家は軍に対して達也の『質量爆散』の解除を事前には許可しなかった。

それはつまり、あくまでも軍から要請があるまでは戦略級魔法を使わせる気がなかったことを意味する。

真夜様が大亜連合とUSNAの共謀に気づかなかったとは思わないから、おそらく戦略級魔法を使わなくても問題ないと判断していたはず。

実際、侵攻軍の撤退に『質量爆散』は関係ないし、環境への影響を無視すれば偽装艦の撃破も可能だったしね。

敵艦隊に対しても『深淵』があれば対応可能だから問題ないし。

ただ深雪が勝手に封印を解除しちゃったから、軍は四葉に借りを作ることなく戦略級魔法の使用が可能になった。

そうなると契約上軍の命令が優先されるから、四葉家から達也の戦略級魔法使用に対してとやかく言えなくなってしまう。

軍が『質量爆散』を二回も使ったのは、独立魔装大隊の成果を上げることもあるけど、本当の目的としては達也を四葉から引き剥がしたかったんじゃないかな。

『大黒特尉』が目立てば、当然護衛の必要性が上がる。

公式に達也を血縁と認めてない四葉は大々的には守れないから、国防軍に頼るしかないしね。そうすれば達也に対する国防軍の影響力が強くなる。

だから真夜様はスターズの調査を理由にしばらく達也と国防軍を離したし、可能なら四葉家内に軟禁しようとした。

結局のところ、この件は達也の立場に関する四葉家と国防軍の影響力争いといえる。

 

「今後のことを考えても、()()私が使うことに意味があると思います」

『……そういうことなら仕方ないわね。まあ軍が()()()()()()()()のが困るのも確かですから、真昼さんが手伝ってくれるなら助かるわ。でも、無理そうなら軍に任せるのよ』

「はい。ではよろしくお願いします」

 

通信を終了して、ゆっくりと息を吐く。

何度も練習したから、魔法自体の失敗はしない。

ただ地形を変えるような威力の魔法を使うというのは、そしてそれによって歴史の表舞台に立つというのは別の緊張がある。

しかも、私は自分自身の考えで既に歴史の流れをいくつも変えてしまっている。

よりよい未来を迎えるために歴史を変えた先が、はたしてどうなるのか。

それは時間と空間を散々操ってきた私にも、確実には予測できないことだった。




あれ…? 親子の電話で話が終わったぞ…?
戦略級魔法は次回に持ち越しですかね……まあ、軍属でもない真昼さんが戦略級魔法を使うためには手順が必要ですから、仕方ないということで…

軍と四葉家の関係については、原作でも色々と書かれているので考察を入れてみました。
独立魔装大隊は十師族の軍への影響力をよく思っていないのは確実なので、なし崩し的に公認の戦略級魔法師にして四葉家と切り離そうとしてたのでは……と。そう考えると戦略級魔法の連続使用にも納得できますしね。
というか艦隊はともかく、偽装艦一隻くらいなら『ミスト・ディスパージョン』で事足りたと思うんですよね。
それでも使ったのはやっぱり政治的な思惑があったのかなと思います。
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