四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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お兄様はやっぱりチート


目標、めちゃくちゃ向こう側

「四葉さん。私が風間玄信です。こちらは部下の柳、真田、藤林。それから大黒特尉です」

「四葉真昼です。後ろの二人は甘草甜奈と遠藤遠夜、私の護衛をしてくれています」

 

電話から一時間ぐらいで、四葉と軍の間では話がついたみたい。

ベイヒルズタワーの屋上で、魔装大隊の人達との顔合わせを行う。

一応フルフェイスのマスクをしている達也もいるけど、身元保護の重要性はわかっているので特に何も言わない。

 

「今回、四葉の戦略級魔法を新たに使うとのことですが……念の為にもう一度説明してもらえますか」

「はい。大黒特尉の『質量爆散』は威力が高い反面、指向性が無いため使用場面が限られています。『崩壊領域』は威力と変換対象の調整を広い範囲で可能にすることで、戦術級から戦略級まで幅広く使用できることを目的にした魔法です。変換プロセスは異なりますが、質量をエネルギーに変換するのは同じです。今回は陽子と中性子を崩壊させてニュートリノと光子に変換します。また、可能であれば衝撃波を上空に流して津波等の被害の軽減を目指します」

 

私の説明に頷きながらも考え込む真田さん。

柳さんは鋭く見てるし、風間少佐は隊長としての威厳を持った顔のまま。

 

「仮に『崩壊領域』が失敗した場合、大黒特尉の『質量爆散』で目標を撃沈する。藤林、データリンクを」

「はい。四葉さん、こちらを」

 

急遽軍から借りたバイザーで、敵艦の映像を見る。

見たところ四隻が、ある程度まとまって航行している。

……これなら、一回で済みそう。

『精霊の眼』を発動して、情報次元での座標を確認する。

発動術式は『瞬時崩壊』、形状は平べったい円筒状。

周辺から中心に向けて順番に発動するよう設定。

焦点温度は数千度。確実にヒドラジン諸共燃やし尽くすように。

艦隊中央に焦点をセットして、バイザーの映像とも比べて確認完了。

 

「準備完了しました。いつでも発動できます」

「了解した。『崩壊領域』、発動」

「発動します」

 

今日何度も使用した特化型CADの引き金を引く。

そこから先は一瞬の出来事。

発動後、敵艦隊を囲むようにプラズマのリングが発生し、内側に向かって急速に収縮する。

そのリングが敵艦に接触すると、ひときわ大きな閃光と共に一瞬黒いススに、そしてプラズマに還る。

『瞬時崩壊』は指定範囲内の物体を()()()()()()()()()()魔法。

つまり、空気でも船の鋼鉄でも人体でも、外側も内部も等しく高温プラズマが発生するということ。

結果として、標的は粉々になりながら灼かれて最終的に全てプラズマになる。

最後に中心に到達したプラズマ流は、直下の水面に爆発を起こしつつも大部分は上空に放出され、大気とぶつかることで激しい雷が発生した。

 

「……敵艦の航行領域で爆発を確認。爆炎とプラズマによって観測はできませんが、撃沈したと推測されます」

「撃沈しています。津波の心配は?」

「大丈夫です」

 

達也が成果確認をしてくれて、藤林さんも周辺被害の確認をしてくれた。

思ったより上手くいったな……と考えていると、真田さんがなんか複雑そうな機械を見ながら静かに興奮していた。

それを傍目に、風間少佐が厳かに労ってくれた。

 

「四葉さん。ご苦労でした」

「いえ、十師族として外敵を排除するために、軍と協力するのは当然ですから」

「もし可能でしたら、この後も同行していただけますか」

「ええ、もちろんです」

 

大亜連合は艦隊を動員しているからね。そっちも手伝うよ!

私の返答を聞いた彼らは、すぐに近くの国防軍基地に移動するとのこと。

国防軍の軍用車には初めて乗ったけど、うん……まあ、軍用車! って感じだったよ…

途中から、こっそり慣性制御魔法で私だけ振動が伝わらないようにしたぐらいには酷かったかな…

基地に着くと垂直離着陸機でさらに西へ向かう。

 

「真昼さん、寝てても大丈夫ですよ?」

「ありがとうございます。休んではいるので」

 

藤林さんごめん。

うるさい、振動がやばい、寒いの三条件揃ってる飛行機で寝られるのは軍人だけなんだ…

もしかしたら今日一番の試練だったかもしれない移動を耐えて、対馬要塞に着くとようやく一息つけた。

 

「お嬢様、こちらを」

「甜奈、ありがとう…」

 

基地のドリンクサーバーから温かいお茶をもらって休む。

今は待機中だからということで、藤林さんと達也だけが残っている。

 

「ごめんなさい、軍用機はちょっと大変だったかしら…」

「緊急事態ですから……大丈夫です」

「情報が入ったら起こしますから、仮眠を取ってもいいですよ?」

「……では、お言葉に甘えて」

 

うん、休めるなら休みたいよね…

基地の毛布を借りて、それに包まってちょっと眠る。

一時間ぐらいで起きると、思ったより疲れていたのか身体が軽くなっていた。

もう日付が変わるぐらいの時間だったけど、基地内は騒がしい。

まあ艦隊が動員されてるんだから大事件だよね。

 

「四葉さん、着いてきてください」

 

呼びにきた柳さんの案内で、作戦室へ向かう。

私が入るとちょっと室内がざわついたけど、すぐに収まった。

……あ、まだ袴のままだからか。

甜奈と遠夜はスーツだからまだいいけど、私はすごい浮いてるな…

ほんの少し居心地の悪さを感じたけど、風間少佐は構わずに作戦説明を始めた。

まあ基本的には横浜と同じで、最初に私が魔法を使ってダメなら達也がやる、ということ。

私は少し前に調整した『重力崩壊』の魔法に特化型のカートリッジを変えて、魔法の発動手順を再確認する。

『重力崩壊』は『瞬時崩壊』のように範囲やタイミングの指定を細かくする必要はない。というよりできない。

高威力用に作ったから指定範囲内の質量にだけ気をつければいい。

その代わり、『瞬時崩壊』より複雑な工程なので集中力が必要になる。

 

「では、こちらに」

「はい」

 

第一観測室と呼ばれている部屋。

そこに向かうと、敵軍港の映像が立体映像として映し出されていた。

中心の旗艦に狙いを定めるために、映像と『精霊の眼』で照準を確認する。

今回は質量の大半を変換するから、効果範囲内に正確に対象を……

……ちょっといったんストップ。

 

「……すみません、照準が精密にできません」

「…というと?」

「この距離だと数メートルの誤差が出るのですが、そうなると爆発威力の上下限が広すぎます。横浜では広範囲に低威力でしたので多少ズレても問題ありませんでしたが、今回は広すぎてカバーできません。かと言って高威力だと誤差が大きすぎます」

 

せめて陸上の建物なら動かないからいいんだけど、船は波で動くんだよ…

私の『精霊の眼』はリアルタイム観測できないから、これは困った。

下手するとここも津波と地震で壊れるかも。

 

「解決策はあるのか?」

「……大黒特尉に協力してもらえれば」

「特尉に?」

「はい。精密照準の部分をやってもらえれば、それを読み取って発動します」

 

幸い達也も私も四葉式の想子通信訓練を受けているから、照準座標のやりとりは可能だ。

まあ結構ギリギリの提案だったけど、風間少佐は許可してくれた。

 

「では特尉、サードアイで敵艦隊を照準せよ」

「了解」

「大黒特尉、手をお借りします」

 

無言で差し出された手を握って、集中するために目を瞑る。

一瞬の後、私とは違う視点での情報が流れ込んでくる。

その差に翻弄されながらも、魔法を発動待機まで構築する。

 

「……準備完了しました」

「『崩壊領域』発動」

「発動します」

 

達也の助けを借りて、私の魔法が百キロ近く離れた場所に発動する。

旗艦の戦闘旗を囲むように結界が構築される。

内部が一瞬重力のみ作用する空間になり、全ての物質が重力崩壊を起こしマイクロブラックホールへ変化する。

次の瞬間には全てのマイクロブラックホールが『蒸発』し、高エネルギーの放射線…ガンマ線やX線に変換される。

それが結界に当たると、波長変換によってマイクロ波を中心とする長波長へと変わる。

この変換によって周辺物質への吸収率を高めると共に、重力崩壊に伴う次元の壁の保護とマイクロブラックホール生成時のエネルギーを回収する。

全ての工程が終わった時、巨大な火球と津波が『軍港だった場所』を消し去っていた。

 

「……『崩壊領域』は正常に発動しました。有害な放射性物質は発生していません」

「…敵艦隊は全滅、いえ消滅しました」

 

私の報告に慌てて状況の報告をする藤林さん。

私としては威力の調節が上手くいって安心した。

 

「大黒特尉、ありがとうございます」

 

握っていた手を離しながら、達也にお礼を言う。

返事は、無かった。




とうとう戦略級魔法を使った真昼さん。
そして遠距離精密照準は一人じゃ無理だったよ…
なので二人の共同作業でなんとかしました!
この程度の難点があった方が軍も四葉も安心できるでしょう……いや、威力無制限なら関係ないんですが。

あとは後日談を少々書いて、来訪者編に進みたいと思います。
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