四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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十文字先輩、年下の女の子に説明するのに向いて無さすぎる…


出会いと戦闘は突然に

「魔法力を、なくす……? そんなことが?」

 

可能なのですか? という言葉が省略されたその発言を、その場の皆が理解していた。

魔法力って基本的に発現も消失も自由に出来ないからね。

 

「正確には『封印する』というのが正しいのかもしれませんが。四葉の術式で、魔法発動に関わる部分を使おうとした際に自分自身でストッパーをかけるようにすることができます。ただし、この魔法は施術者と被術者が必要になります。同一人物が兼ねることも可能ですが、その場合はストッパーとしての役割が怪しくなりますね。()()()()()()()()()()()()()こともできなくはないのですが、そちらはこの場ですぐにできるようなことではありませんから」

「それはなにか副作用のようなものは無いのですか?」

「魔法力で魔法力を制限するものなので、施術者の魔法力が低すぎると負荷がかかりますが肉体的な問題はありません。魔法を使う場合、封印のためのリソースが常に使われている状態なので実力を発揮できない程度ですね」

 

魔法師としては致命的だけど、魔法を使わない前提ならそれで構わないと思う。

十文字先輩としては論外なその提案を真剣に悩んでる姿を見て、意外そうに話に入ってくる。

 

「魔法を学ぶために十文字家に来ていただけるなら、魔法の制御方法の他にも望めば魔法の技術をお教えします。十文字家の血縁として、きちんと扱うことを保証します」

 

……十文字先輩、ちょっと黙ってて。

たぶん価値観が違い過ぎて話が合わないと思うから。

 

「ひとまず、現在のアリサさんの状況だけでも確認しませんか? 現状のリスクを把握しない限り、判断にも困るでしょうから」

「確認とはいうが……」

「望奈は精神体を観ることに長けています。四葉でも随一の能力者ですからきっと正確に把握できるはずです」

 

ぽん、と肩に手を置くと首を傾げた望奈だけど、状況はわかってるはず…

相当迷っていた良太郎さんだけど、アリサの要望もあって結局観ることに。

手を出してもらって、それを望奈が包むように握る。

目を瞑って数分じっとしていると、見終わったのか無言で手を離した。

 

「どうでしたか」

「えっと……」

「望奈、私に話してください。いつも通りでいいですから」

 

困惑していた望奈がパッと明るい顔になる。

一方で、十文字先輩と良太郎さんは不満げだ。

 

「それは、なにか話せない事情があるのですか」

「いえ、そうではありません。彼女はまだこういった場に出たことがありませんでしたし、観たものを伝えるのが上手くないんです。なので聞いていただいても構いませんが、変な誤解を生むのではないかと思いまして…」

「事情が分かれば構わん。我々も直接聞きたいからな」

「そうですか……では望奈、そのまま話してください」

「はい。光は強いですが、それは風にはためくカーテンのようなものですから、窓を閉めれば大丈夫だと思います。問題は元々の建て付けですが、基礎はともかく今は噛み合っています。烏よりは良いですがきちんと飛ぶなら補強が必要です。より高く飛んでも奈良のように痛めたりはしないと思います」

「……?」

 

望奈の言葉に私以外が首を傾げる。アリサが一番かわいいのが癒しだなぁ……

それはともかく、今はこの言葉を通訳しないと。

望奈は見たイメージをそのまま言う上に、言ってるうちに自分の言葉に引っ張られて比喩対象が変わるから他人が聞くと訳がわからなくなる。

なので、なんとか私が翻訳してみる。

 

「今発している魔法力は強いですが、それは制御が出来てないだけなのでその制限が出来れば問題ないと思います。遺伝子的な問題はありますが、親の世代はともかく今は安定しているので大丈夫です。ですが本格的に魔法を使うのであれば、何かしらの処置をしないと危ないでしょう。成長して魔法力が増えても、それ自体が自身の体を傷つけるようなことはないと思います。

……おおよそ望奈が言ったことはこんな内容ですね」

 

私の言葉に、ホッと息を吐く良太郎さん。

だが、私としてはちょっと待ってほしい。

 

「今すぐにどうこう、ということはありませんが……やはり私としては魔法力を制限することを勧めます。突発的な危機を防げますし、なにより見る人が観ればアリサさんが高い魔法力を持っていることはわかります。それを抑えることで、未然に危機を防げるかもしれません」

「ちょっと待ってよ!」

 

スパーン! と襖が勢いよく開く。

そこには、アリサと同い年の女の子が仁王立ちしていた。

 

「茉莉花、部屋に居なさいと言ったはずだが」

「アーシャの事なんだよ⁉︎ 気になるに決まってるじゃん!」

「良太郎さん、私は構いませんよ。茉莉花さん…でしたか、私に何か?」

「アーシャに何する気なの⁉︎ 変な事しないで!」

 

アリサをバッとその腕の中に匿って、こちらをキッと睨む茉莉花。

十文字先輩は変わらぬ態度で腕を組んでいるし、望奈はもう自分の用事は終わったとのんびりお茶を飲んでいる。

うーん、どうしよ…

 

「茉莉花さん、勘違いしているようですね。私は決して無理強いはしません。ただアリサさんの身体のことを考えた場合、魔法力を制限する方が良いと提案させてもらっているだけです。十文字先輩も、十文字家での訓練を提案しているだけで、アリサさんにはどれを選んでも、または選ばないという選択もあります。その点は本人の意思を尊重します」

「難しい事言ってもダメ! アーシャは私が守るから!」

 

がるる! とでも効果音が付きそうなぐらい私を警戒して、大の字で立ち塞がる茉莉花。

その身体からは、想子が溢れ出していた。

それは魔法の兆候。

超能力に近い、現代魔法ではほぼ起こらない現象だ。

 

「『遠上茉莉花さん。落ち着いて、手を下ろして下さい』」

「…えっ⁉︎」

 

とっさに『ワンコマンド』を使用して、魔法を強制的にキャンセルさせる。

リアクティブアーマーには精神干渉魔法への耐性が無いので、再発動もせずに想子は散っていった。

不思議そうにする茉莉花の横で、良太郎さんが顔を真っ青にしていた。

 

「申し訳ありません‼︎」

「いえ、気にしていませんから顔を上げてください。家族のことです。少々頭に血が上っても仕方ないですから」

「本当に申し訳ありませんでした! 茉莉花! 謝りなさい!」

「……ごめんなさい」

 

渋々、といった様子で頭を下げる茉莉花。

アリサもつられて謝っていたので、再度気にしていないと伝えて話を再開した。

 

「それで、どうしますか? 時間が必要であれば、また来週伺いますが…」

「そう、ですね……すこし、考えさせてください…」

「あの! 魔法力の制限ってやつはすぐにできるんですか?」

「ええ。私が術式を使いますから、今すぐにでもできますよ」

「それって、定期的に東京に行かなければいけないとかなんですか?」

「いいえ。一度かければ術式は施術者によって維持されますから、そちらが無事であれば問題ありません。施術者と離れても術式そのものには影響がありませんしね」

「ふーん……ありがとうございます」

「わからないことがあれば、いつでも聞いてくださいね」

 

とりあえず今日は終わりにしようか。

話もしたい話はだいたいできたでしょ。

 

「今日はお時間を取っていただき、ありがとうございました」

「え、ええ……」

 

お茶菓子に惹かれていた望奈を引っ張って帰る。

十文字先輩は引き込めなかったのが不満そうだけど、誰もがみんな十師族になりたいわけじゃないしね…

 

「四葉、どうして魔法力の制限などと提案した? 守る力を失うような提案は…」

「十文字先輩、誰しも魔法師としての責任を背負いたいわけではないんですよ。それに遠上には注意しないといけませんから」

「どういうことだ?」

「交換留学で遠上家の一人がUSNAへ渡っています。解析されないとは思いますが、扱いは考える必要があると思いますよ」

 

目を見開く十文字先輩。

 

「四葉、お前はどこまで…」

「十師族に関わることですから、調査するのは当然でしょう?」

 

軽く首を傾げてそう言うと、その後十文字先輩は何も言わずに空港までの道のりを走り抜けた。




いったんキグナス終了!
茉莉花ちゃん命知らず過ぎ…
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