四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
「お嬢様、お疲れのところ申し訳ありません。こちらを」
パラサイトの依代を持ったまま車に乗ると、隣に座った甜奈に報告書を渡される。
そこには、菜摘ちゃんが研究所の封印区画に侵入しようとしてセキュリティを破壊している場面が映っていた。
……え? 今?
「現在は無人ドローンと隔壁によって隔離していますが、いかがしましょう」
「どう、と言われても……」
どうしよう?
たぶん本家……というか分家かな?
そっちから私経由じゃない情報源を求められて潜入させられたんだと思うけど…
セキュリティカードで、制限はしてたはずなんだけど?
「セキュリティカードはどうなっていますか?」
「どうやら世話係の和音シリーズから奪取したようです」
あー……確かに研究所内の味方から奪われることは想定してなかったからね。
それでも和音シリーズから強引に奪えるってすごいな。
魔法力的には和音シリーズの方が優位でしょ?
やっぱり戦闘経験の差は大きいなぁ…
「行き先の誘導はできますか?」
「施設の被害を無視すれば可能です」
「モノはいくらでも直せます。菜摘を『ラビュリントス』へ誘導してください。『烏羽』全員に戦闘待機指示、殺し以外は無制限で迎撃してよしと伝えてください」
「かしこまりました」
さすがに本家からの護衛を研究所内で殺しちゃうとね……色々と問題だから。
洗脳ぐらいで収まってくれるといいな…
「お嬢様、小夜那が接触しました」
「あー……まあ、仕方ないですね…」
ま、まあ女の子には
ちょっと本格的に身体がだるくなって来たので、対応はお任せしようかな…
「ここは……」
真夜様から秘匿回線を通じて送られて来た指示。
真昼様がいない間に、研究所の内部を調査すること。
訓練と一緒にデータの精査は行っていましたが、それは真昼様が送っているものと相違ありませんでした。
しかし、それでも不自然なことはあります。
真昼様が頻繁に訪れる秘密実験室。
そのいくつかは確認しましたが、すべては把握できていません。
そして明らかに発展した技術水準。
本家に運用中の報告があったのは『和音』『烏羽』シリーズのみであり、『烏羽』は『和音』前の実験的調整体であると聞いていました。
性能は高いものの、安定性に欠けるため『和音』が作られたと。
しかし、それだとすると『和音』シリーズが真昼様で生産終了している理由がわかりません。
こうして研究所で働いているのを見ている限り、『和音』シリーズの魔法力は本家直属の戦闘員を上回っています。
真昼様は母体の問題と必要数を満たしたから、と生産終了の理由を述べていましたが、そうだとしても次世代の調整体は製造するはずです。
戦闘での損失が少ない研究所勤務だとしても、加齢によって確実に数は減るはずですから。
しかし研究所にいるのは第一世代の調整体だけで、子供のいる調整体はいません。
魔法の研究所である以上、どこからか魔法を使えるテスターを用意する必要があるはずです。特に四葉のような秘密が多い家であれば、調整体として自前で用意できるならそうするはず。
それなのに、若い調整体がいない。
にもかかわらず、次々と新しい技術やそれを用いた兵器やシステムが研究成果として発表されている。
最近は、宇宙開発に対する予備研究として成層圏飛翔体実験や大気圏内加速実験なども行っていました。
絶対に、何かある。
そう考えた私は、真昼様が学校に行っている間に研究所を探索していました。
そして今日、なにか異常事態が発生したようで研究所が慌ただしくなったのに乗じて、普段は入れない区域に無理矢理侵入をしました。
セキュリティの攻撃は激しいものでしたが、すべて無人の銃座のためシールドの強度にだけ気をつけていれば問題はありません。
問題があるとすれば中に案内が無く、隔壁が下りているために移動が困難なことです。
ひとまず近くの部屋を調べるために先ほど奪ったカードキーでドアを開けると、そこは手入れが行き届いている中庭でした。
「あら? こんなところでどうしたの?」
「…!」
気づかれた⁉︎
気配は消していたはず…!
CADを手に隠しながら声の方向を見ると、グラマラスな身体を薄いワンピースで包んだピンク髪の女性が立っていました。
確か名前は…
「小夜那さん。真昼お嬢様から資料を取ってきてほしいと頼まれたのですが、どうやら迷ってしまったようで…」
「あらあら、それは大変ね〜。良ければ案内してあげるわよ?」
「……では、お願いします」
……仕方ない。
少しやり過ごしてから資料は探そう。
そう思って小夜那さんの後ろに着いて行こうとすると、カクンと視点が落ちました。
「え……?」
「あら〜? 疲れちゃったの?」
ぽすん、と。小夜那さんの腕の中、その豊かな胸に埋もれるように包み込まれる。
慌てて立ちあがろうとするけれど、むしろどんどんと力が抜けていく。
「あ……ぇ…?」
「お仕事が忙しかったの〜? お姉さん時間あるから、部屋でおやすみしましょう? ゆっくりと、ね…?」
こしょこしょと耳元で囁かれると、背筋が甘く震える。
この状態になって、ようやく私に精神干渉系魔法がかけられていることがわかった。
感覚の鈍化、意識の希薄化、そして香りを使った意識操作。
CADを使わない自然な魔法だから気づかなかった。
……申し訳ありません、真夜様。
朦朧とした意識で運ばれながら、大切な指令を果たせなかったことだけが悔やまれた。
やったか⁉︎(おいやめろ
薄い本が厚くなる展開になってしまった…
いやまあ、実戦経験(ガチ)では勝てないので、実戦経験(意味深)で対抗するしかない…か?
ちなみに使ったのは、研究所で開発した魔法力ブーストのための麻薬代替魔法の改変版です。
小夜那は精神干渉系を広く使えるよう特化した調整体なので、自身の嗜好もありこの手の魔法については特別に練度が高いです()