四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
放課後、深雪に声をかけるべきか迷う。
午後の授業中に聞いた話だと、お昼に二科生と一悶着あったらしい。
言われてみると見学の時にエリカ達が前で見ていた時もあったし、既にいざこざは始まっていたようだ。
なので、ここで話しかけなければ確実に校門前のイベントが発生する。
あれこそ、達也が目をつけられるきっかけとなる事件だ。
達也を目立たせたくない私や深夜様としては、阻止したい事件である。
でも、あれをきっかけにほのかや雫とエリカ達が仲良くなる一科生と二科生の和解イベントの始まりでもある。
つまり私のやりたいことはこうだ。
イベント自体は発生させて、その解決には達也を使わない。
まあ私が一声かければ一瞬で収まるだろう。
「どうして深雪さんの邪魔をするんですか⁉︎」
「司波さんは俺たちと一緒にいるべきなんだ!」
「今の時点で、どれだけの差があるというんですか!」
あー、ヒートアップしてるな。
ちょっと気配を消すだけで誰にも気づかれない。
このまま近くに行って止めよう。
「何をしているんですか?」
さあ、四葉の私の言葉だぞ。
みんな止まって聞いて……
「何を! 二科生のくせに!」
「俺たちのことをバカにするな!」
あ、あの……
『…貴女、自分で威厳がないって言ってたでしょう? この状況じゃあ聞こえてないわよ』
……そうだった!
たとえ私が叫んでも、か細い声じゃ絶対聞こえない!
これ、止めるなんて出来ないじゃん!
「見せてやろう、これが実力の差だ!」
ま、間に合わない…
と、とにかく魔法が発動しなければいいんだ!
そして魔法の使用で罰則になるのは『攻撃魔法』に限られる。
だったら、防御魔法なら問題ない!
「…っ⁉︎」
「ひっ…!」
とりあえずこの辺り一帯を指定して、私の干渉力で満たして魔法の発動を妨害する。
領域干渉として一般的な魔法防御で、相手の干渉力を上回る必要があること、魔法発動の起点に使わないといけないことが注意点だ。
でも私なら、ここの生徒なら深雪と達也以外相手にもならないぐらいの干渉力がある。
だからCAD無しで雑に範囲を指定しても、十分過ぎるくらいの効果を発揮する。
流石に皆気づいたようで、ぎこちなくこちらを見つめている。
美月なんか顔が真っ青になっているくらい。
「…何をしているんですか?」
とりあえずもう一度さっきの言葉を繰り返す。
今度は私を認識しているからか、特に森崎くんは声も出せないくらい怯えている。
ゆっくり二科生と一科生の間に入ると、騒動の原因の深雪を見る。
……あれ? 深雪にも怯えられてる?
もしかして本当になにかやり過ぎた?
領域干渉を終了すると、後ろの方で何人か倒れる音が聞こえた。
……本当に何があったの⁉︎
「お前達! そこを動くな!」
「魔法の違法使用は法律違反ですよ!」
あ、七草先輩と渡辺先輩だ。
今回は誰も魔法を発動していないし、起動式の読み込みすらしていない。
だからお咎めなしのはず…
「四葉、お前
「……え?」
精神干渉魔法?
私が?
きょとんとした私を見た七草先輩が、私の目を見て話を続ける。
「さっき領域型の魔法を使用したわよね?」
「…ええ、魔法の撃ち合いになりそうでしたので、領域干渉で止めようとしましたが…」
「領域干渉……そう、そういうことなのね…」
「? すみません、どういうことでしょうか?」
「真昼さん。貴女は無意識に精神干渉魔法を使ったのよ。分類的には『ルナ・ストライク』かしら? ただ不完全な形だったからそこまで大きな影響はなかったみたいだけど」
え……つまり、深雪の暴走時の冷気みたいな感じで精神干渉魔法が発動したってこと?
嘘……
「本来なら無許可の対人精神干渉魔法の使用は重罪なのだけど……本人の意思ではなかったみたいだし、どうする? 摩利」
「領域干渉のつもりで魔法が暴発したのなら仕方ない。CADを使ったのならあんな不完全な魔法にはならないはずだからな。ただし、そもそも生徒同士の争いの仲裁は風紀委員の仕事だ。いくら十師族だからといって、学校の規則には従ってもらうぞ。次からは風紀委員の指示を待つように」
「はい、すみませんでした」
だからみんな怯えてたのか…
というか、私そんなこと思ってない。
……いや、魔法はイメージの問題だ。
『怖がられている四葉の名前で争いを止めよう』と考えていたから、無意識に『恐怖を与える』魔法が発動してしまった?
そうか、干渉力が高いってこういうことなんだ…
「七草先輩、渡辺先輩、少し確認しても構いませんか?」
「何をするの?」
「CAD無しで領域干渉を使って、どの程度で魔法が発動してしまうのかです。今度は気持ちが安らぐように意識してみます。意図せずとはいえ、怯えさせてしまったようですし…」
「許可する。風紀委員としてきちんと状況の確認が必要だからな」
「では、やってみます」
ちょっと罪悪感があるので、領域干渉の実験をやってみる。
まずは意識して『何も変化させない』と定義する。
本来なら、これで魔法が何も発動しない空間になるはずなのだけど……
「……」
「……」
あ、これ空間内の時間を止めちゃってる!
慌てて領域干渉を終了して、再度発動する。
今度は『領域内の情報に対する、私以外の事象改変を禁止する』と定義する。
無事に『普通の領域干渉』になっているようなので、次に定義を破棄してからぼんやりと『怯えた人の心が癒えて欲しい』と考える。
「あぁ……」
「ふあぁ……」
「四葉、止めろ!」
「は、はい!」
効果はすぐに現れた。
さっき倒れた人や美月がめちゃくちゃ安堵した表情でへたり込んでいる。
渡辺先輩の言葉に従ってすぐに終了したけど、これではっきりした。
私、CAD無しで魔法を使うのは危険すぎる。
特に干渉力を空間に満たす領域干渉は、自分でも魔法を使っている自覚がないままに魔法が発動してしまってとても危険だ。
「とりあえず四葉が意図的にやったわけではないのはわかった。今後は注意するように」
「私もCAD無しで領域干渉を使ったことがなかったので気づきませんでした。以後気をつけます」
「うむ。詳しい調書は明日取らせてもらうから、今日は帰れ。他の生徒も魔法の違法使用は厳罰だから気をつけろ!」
そう告げて、先輩達は帰っていった。
残された私達に微妙な空気が漂う。
……え、これ私がどうにかしないといけないの?
『当たり前でしょう?』
深夜様助けて!
『……しょうがないわねぇ』
ありがとうございます!
「『私たちも帰りましょう。それから、さっきはごめんなさいね……次は、もっと上手くやるわ』」
……深夜様ぁ‼︎
上手くやるって何⁉︎ やるって殺るってこと⁉︎
ほら、森崎くん捨て台詞も吐けずに逃げてるじゃん!
他の一科生もまた怯えながら逃げてるよ⁉︎
『これでいいのよ。あの程度で竦むようなのは不要だしね』
わぁ、四葉的友達選抜厳しい!
予選から倍率が高すぎるよ!
「…深雪さん、お兄さんと帰るのでは?」
「え、ええ…」
「四葉さん、あの場を収めてくれたことに感謝する。ありがとう」
「私が勝手にしたことですから。それに本来なら魔法の違法使用など一流の魔法師としてあり得ないことです。自覚がない人は論外としても、私自身の制御の甘さであのような事態になるとは……感謝など恥ずかしくて受け取れません」
いや本当に恥ずかしい。
練習では完璧に出来てたのに、実際に使うと予想外のことが起きるなんて…
「それでもだ。助かったことに変わりはない」
「そうですか。それから、私のことは真昼と名前で呼んでください。皆さんも」
「そうか、では俺のことも達也でいい」
よし、これで達也も名前呼びできる。
「お、おう……でもいきなり名前呼びってのはなんかな…」
「校内はともかく、外で四葉の名前で呼ばれるとお互いに危険ですから」
そう、基本的に名前で呼んで欲しいのは、そういう現実的な危険性があるためというのもある。
まあスパイには私の顔写真は隅々まで行き渡っていると思うけど、余計な騒動は起こしたくない。
「あー……それもそうね。なら真昼って呼ばせてもらうわ」
「はい、エリカさん。美月さんとレオンハルトさんもよろしいですか」
「は、はいっ!」
「俺のことはレオでいいぜ。えーっと…真昼さん」
「はい、レオさん」
これで二科生組とも名前呼びできた!
今日は色々あったけどいい1日で終われそうだ。
『帰ったら魔法の訓練をしましょう。CAD無しでも魔法を暴走させないくらい制御が完璧になるまで、時間を加速させた部屋から出るのは許さないわよ』
……終われなさそうだ(泣
このあと(自分の作った精神と時の部屋で)めちゃくちゃ練習した。
おかげで魔法の制御は完璧になりました。
…なんで事前にそうしなかったかって?
普通の魔法の制御は完璧だから必要ないと思ってたからだよ!
ちなみに精神干渉魔法が暴発したのはマシな方だったりします。
主人公の魔法特性は偏り無くどれも高いですが、特に四葉由来の精神干渉系と自分だけの特異魔法の時空系統が得意です。
裏を返せば暴発しやすいので最悪無意識に時を止めたり、空間をぐちゃぐちゃにしてしまったりする可能性もありました。
そうしたら言い訳が出来ないのでまだ『四葉だから』で済む精神干渉系で良かったと言えます。
この自称無害な四葉少女、入学式では『流星群』、次の日は『ルナ・ストライク』使ってるってマ? 怖すぎるだろ……あーちゃんがまたビビるわ…