四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
「っ、この!」
「きゃああぁぁ⁉︎」
目の前に広がる閃光に思わず目を閉じてしまいました。
その一瞬で吹き飛ばされた私は、壁に叩きつけられたせいでクラクラして手をついても姿勢を立て直せません。
それでもなんとか立ちあがろうとする私の耳に、試合終了の声が響きました。
「勝者、リーナ」
「大丈夫⁉︎」
「…また負けましたわー‼︎」
「……大丈夫そうね」
悔しさに床を叩く私を、皆さんがなんだか微妙な眼で見てきます。
ですが、その程度のことで立ち止まるわけには行きません。
私は『綾目』シリーズのファーストロット。
真昼お姉様は『和音』シリーズの最終ロット。
『綾目』は『和音』の成果を統合した上位シリーズとして製造されたのですから、当然真昼お姉様を上回ることが出来るはず。
それを示してこそ、私たちの価値を証明できるのです。
そしてそれは、私たちだけでなくこれまでの……そして、これからの『和宮』系列の調整体全てに意味があると、証明することになるのですから。
ですから私は真昼お姉様を上回る魔法師であると早く示して、真昼お姉様と同じ強化をしてもらわなくては!
同じ土俵に立てれば、私の方が絶対に強いのですから!
「聞いていたとおり、魔法は上手だけど戦闘が下手ね」
「本来なら魔法教育をこれからやるのですから、これで十分過ぎるくらいなのですが……本人の希望なので」
お姉様とお相手して頂いたリーナさんが話しています。
留学生という身分を偽っているリーナさんは、USNA軍一番の魔法師。
真昼お姉様も、正面から接近戦で戦ったら負けるかもしれないと話すだけあって、とても強いです。
その分戦い甲斐があります。特にUSNA軍の格闘術は、前に相手してもらった達也さんとはまた違っていて興味深いです。
「フローラ、そろそろ終わりにしましょう。金沢に移動するための準備も必要でしょう?」
「そのようなことはすでに終わらせていますわ! それにチェックもしていますでしょう?」
「武器や特殊訓練道具は没収しましたけどね。それ以外に服や化粧品なども入れておかないとダメですよ」
「服は必要ならあちらで買いますわ! 化粧品も魔法でメンテナンスすれば必要ないですし」
「フローラ。何度も言いましたが基本的に外で魔法を使うのは禁止です。それにそういうことを学ぶのも女の子としては大事ですよ。こちらで選んでおきますから、使い方をあちらでしっかりと学んでくださいね」
お姉様はいつもそう言う。
昔の研究所だったら誰もそんなこと言わなかったのに、今は服も何種類も選ばされたり、日ごとに違うものを着せられたりする。
メンテナンスも洗剤と魔法を使った方法は禁止されて、和音シリーズが毎日何十分もかけて、私たちを洗ったりたくさんの化粧品を塗り込んだりしている。
絶対に前の方が効率的なのに…
それに、そんなことをしても強くなれるわけではないのだから、その分訓練をした方がいいと思うのです!
そして、数日後。
「お世話になりますわ!」
「こんにちは。どうぞこちらへ」
私は甜奈と一緒に一条家を訪ねていました。
もちろん、三高に合格したのでこれから住むためです。
入試の成績は当然首席でしたわ! あんな簡単な試験、落ちる方が難しいくらいですし!
「フローラちゃん、こんにちは!」
「…こんにちは」
「茜さん、瑠璃さん、お久しぶりですわ」
歓迎してくれた彼女たちに挨拶を返す。
甜奈が荷物と一緒に連絡事項を伝えている間に、私はさっそくCADを取り出して二人と魔法の訓練をしようとしていました。
しかし、それを制止する甜奈。
「フローラ様。そちらは許可を得てからにして下さい」
「ちょっと練習するだけですから!」
「研究所ではないのですよ。どこでも壊していいわけではありません」
「それくらいわかっていますわ!」
甜奈は心配しすぎです。
いくら私でも、魔法の威力調整ぐらいできますわ!
お姉様のように、魔法のコントロールの練習で庭の石の組成を変換するだけですし。
「どうした? なにかトラブルか?」
「将輝さん」
「将輝様。すみません、フローラ様が魔法の練習をしたいとのことで…」
「ああ、それなら道場を使うといい。案内しよう」
「おねがいしますわ!」
頭を下げる甜奈に軽く手を振って、大丈夫と伝えた将輝さんは、私を離れの一角に連れて行きました。
そこは板張りの床の先が砂利敷きの庭になっていて、10メートルほど先に的が立っていました。
「使う魔法について聞いてもいいかな」
「庭の砂利を少し使って別の形に変えるだけですわ。離れたところで行いますので、影響は無いはずです」
「そうか……少し見ていてもいいか?」
「もちろんですわ」
いつものCADを取り出して、的の下の砂利を指定し魔法を発動する。
まずは指定量の砂利を空中に引き出すところから。
この段階から、すでに自分で空間に区切りをつけて、さらに目に見えない地下にまで正確に照準をつける必要があって難易度が高い。
何度か広さや深さを変えて魔法を実行して、精度を確認する。
今日も万全の体調であることを確認して、次の段階へ。
宙に浮かせた砂利を指定した時間と加熱量でプラズマ化。一つの大きな石板に成形した後で全体を均一に冷却。
その後に均一な大きさになるように砕いて砂利の組成を調べる。
……ここまでは大丈夫ですわね。
「すごいな。ここまでとは」
「まだです。ここからが本題ですわ」
もう一度砂利をプラズマ化させて再成形する。
今度はマーブル模様になるように、敢えて成分が不均一になるように収束させて、かつ岩が割れないように冷却する。
真昼お姉様はこれをさらりとやってみせるのですが、実現するには空間内の物質の正確な状態を把握することが絶対条件。
慎重にやってみたけれど、表面上は上手くいっても内部ではいくつか混じってうまく模様ができていない部分があった。
……まだまだお姉様には追いつけませんか。
「君たちはいつもこんな訓練をしているのか?」
「いえ。これは最近やり始めたことですわ。真昼お姉様が魔法のコントロールができるようにと」
それまではお姉様に挑んだ時の戦闘を思い出して練習していました。
一条家に行くことが決まってから、お姉様がこのような練習方法を教えてくれたのです。
最初は戦闘に役立たないので不満でしたが、空間の認識能力が大切なのはお姉様を見ていればわかることですから、毎日鍛えています。
「将輝さんの練習も見てみたいですわ」
「俺の練習? 構わないが、参考になるかどうか…」
お願いして見せてもらったそれは、横から出てくるクレーを特化型CADで砕いていく普通のもの。
ただ的の数と速度が高難易度設定になっていて、それを淡々と処理していくのはさすがだと思いましたわ。
私もやってみましたが、範囲魔法で複数の的を砕いた時に注意されました。
これは同時照準の訓練なので、まとめて砕いてはいけないと。
乱戦時に味方と敵を区別して、的確に攻撃するためだそうです。
いつもの空間指定とはまた違う方法に戸惑ったりもしましたが、これも強くなるために必要なこと。
見ていてください、お姉様。私、絶対にお姉様より強くなってみせますわ!
真昼「もう十分強いし、そんな頑張らなくていいから…」
なおフローラが強くなっても真昼と同じ強化はしない方針な模様。
まあ思考分割とか狂気だからね! 仕方ないね!
あけましておめでとうございます。
ダラダラと続いているこの作品ですが、とりあえず完結目指してがんばりたいと思います!
今年もどうかよろしくおねがいします!