四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
真由美視点→雫視点→達也視点と変わります。
「それで十文字くん、真昼さんの実力はどうだった?」
模擬戦というには激しすぎた試合の後、真昼さんは達也くんと一緒に風紀委員室へ向かった。
摩利の聴取も時間はかからないだろうし、それまでに感想を聞いておきたいわね。
「正直なところ、想定外だった」
「想定外?」
「ああ。実力と行動が一致していない。七草、さっきの試合…率直に言ってどちらが勝つと思った?」
「開始前は十文字くんだと思っていたけど、試合中は真昼さんが僅差で勝つと思ったわ」
「俺も同じだ。本当に本気を出せば別だが、模擬戦で使える手札では勝てないと感じた……最後のミスが無ければ」
それは横で見ていても感じていた。
彼女の魔法発動速度は異常と言えるほど早かった。いくら十師族といっても限度があるくらい。
発動したほとんどの魔法が単一工程の基礎的な魔法だったとはいえ、「モノを壊すだけ」なら十分すぎる。
そして十文字くんの攻撃で一気に4本が壊されても動揺せず、領域干渉を維持した上で干渉力を意図的に偏らせて防御力を高めた。
十文字くんほどの実力者を相手に攻撃と防御を両立させるのは、元々の魔法力に加えて実際の魔法戦の経験が無ければできない。
だからこそ、最後のミスが目立つ。
「単一工程魔法をCADなしで高速発動し、パラレルキャストで常に多数の魔法を展開、発動直前の魔法を複数待機させ、自分自身の魔法と相剋を起こさないようにタイミングを計って発動する。これだけなら俺の予想より四葉の実力が高かっただけと納得できる」
「これだけって……それぞれ一つだけでも相当高度な技術よ?」
「ああ、おそらく四葉は相当高度な訓練を積んできたはずだ。だからこそあんな初歩的なミスをするのが理解できない。あの時だけ別人だと言われた方が納得するぐらいだ」
「そうね……」
実力と行動が一致していない…か。
真昼さん、一体貴女は四葉でどんな人生を歩んできたの?
「……すごかったね」
「うん…」
放課後、なぜか演習場にみんなが集まっているからほのかと一緒に行ってみたけど、まさか十師族同士の試合が見れるなんて思ってもみなかった。
十文字先輩はアイスピラーズブレイクの有力選手なのに、真昼さんは最後まで優勢に試合を進めていた。
なにより、十師族の魔法力がどれだけ私たちとかけ離れているかがはっきりとわかった。
「最初の真昼さんの魔法って、フライングじゃないんだよね?」
「もしそうなら先輩達が気づくと思う。発動した魔法は単一工程の単純な魔法だったし、本当にCADなしで発動したんだと思うよ」
「それであの速さで発動出来るんだ……」
「どうやってできるかはわからないけど、それも四葉の秘匿技術なのかも」
四葉の魔法師は噂ばかりで、はっきりした情報がない。
高い実力を持っていることは誰もが知っているけど、誰も具体的には知らない。
そんな中で突然四葉として現れた真昼さんは、その名に恥じない実力を示している。
現当主、四葉真夜の魔法として有名な『流星群』を入学式に、そして今日は魔法の高速発動と同時並列発動を見せつけた。
四葉真昼がこの学校でトップの実力を持っていることは、もう誰も疑わない。
本人は大人しくて礼儀正しいけど、みんな名前と実力に怯えてる。
それはほのかも同じ。
「ほのか、まだ真昼さんのこと怖い?」
「うん……だって、四葉なんだよ? 何を考えて、何をするかわからないし、怖いよ…」
「でも知ろうとしなければ、いつまで経ってもわからないままだよ。真昼さんは確かによくわからないところが多いけど、理不尽に怒ったりするような人じゃないと思うよ。特権意識とかもなさそうだし」
「それは……そうだけど…」
「同じクラスなんだし、時間はあるよ」
みんな真昼さんに怯えて避けているけど、孤立させたらますます危ないと思う。
私も四葉が怖くないと言えば嘘になるけど、真昼さんとは仲良くしたい。
クラスで1人の時、真昼さんは寂しそうだった。
もちろん表情には出ていないけど、なんとなくそう感じた。
だから私は、真昼さんの友達になりたい。
深雪のCAD調整の後、俺はリビングで今日の試合を振り返っていた。
十文字会頭と真昼の試合、お互いの実力について予想以上に知ることができた。
真昼としては俺の戦闘能力の印象を掻き消すために派手にやったのだろうが、正直なところ想像以上だ。
「お兄様…?」
「…ああ、すまない」
深雪がコーヒーを持ってきてくれていたのにも気づかず、考え込んでいたらしい。
一旦考えをまとめるためにも、コーヒーを飲みながら試合での技術を深雪に解説する。
「深雪、真昼が使った技術はわかったか?」
「最初の魔法はフラッシュキャストですよね? その後も使っていたようですが」
「そうだ。基礎単一工程魔法のフラッシュキャスト、それを並列で複数処理することであの異次元といえる魔法発動速度を発揮していた。さらに発動寸前の魔法を複数待機させる『八重唱』の技術も使っている」
「それで途切れることなく十文字先輩の陣地へ攻撃を行えていたのですね」
「それだけではない。魔法の発動タイミングを微調整することで、障壁の破壊と再構成の隙間を狙って氷柱を削っていた。確かに魔法発動速度と干渉力に任せた力押しだが、高度な技術を適切に使っていた」
そして、今の俺ではあの魔法飽和攻撃には対応できない。
一度にすべての魔法が発動するのではなく、少しずつ時間をずらしながら魔法を発動されたら『術式解散』も間に合わない。
発動と発動の間を狙われて攻撃を許してしまうだろう。
あの過剰ともいえる魔法飽和攻撃は、俺に対しても有効な戦術でもある。
「今はまだ真昼自体の戦闘経験が少ない。だから戦闘になっても俺が勝つだろう。だが経験を積んだ後では勝ち目がなくなる。その前に対策を考える必要があるが…」
「お兄様、真昼さんの対策を考えるのも必要かもしれませんが、少なくとも今は敵対していません。お兄様は他にも気にかけていることが多くあるのですから、あまり悩まれてはお身体に障ります」
深雪の言葉にはっとした。
俺は無意識に、敵対することを前提として真昼の戦闘力を脅威と感じ、対策を考えていた。
これでは、俺の力を警戒する四葉分家と同じだ。
「…そうか」
「? どうかされましたか?」
「いや、深雪の言葉で気づいたんだ。真昼を脅威と感じて対策を考える俺の行動は、俺の力を警戒して世間から遠ざけようとする四葉分家と同じだと。少しだけ、連中の気持ちがわかった気がするよ」
「そんなことはありません! お兄様はあの大人達とは違います!」
「そうだな。違わなければならない」
少しだけ、自分の力を過信していたようだ。
自分の力でなんでも出来るなど、自惚れだと分かっていたはずなのにな。
無論、対策を考えるのも必要だが、その必要がなくなるようにする方が大切だ。
まずは真昼と信頼関係を築くところから始めようか。
主人公最大のデバフが一般人メンタル。
魔法バシバシ使って戦いが有利になると楽しくて調子乗っちゃうのは仕方ない(一般転生者感
そのせいで熟練の魔法師みたいな戦い方してるのに初心者の凡ミスする、訳の分からない挙動になって周りが困惑する。
雫がやたらと主人公にビビらず話しかけてくる理由もちょろっと説明。
主人公は無表情で特に寂しそうな素振りは見せていませんが、なんとなく察する雫はやっぱり財閥のお嬢様。人を見る目がある。
お兄様、自分が爪弾きにされる理由を実感する。
幹比古に説教しておいて、お兄様は自分1人でどうにかしようと頑張りすぎ。
その結果として作らなくていい敵を作ったり、他に任せられる敵と戦う羽目になったりしてるのでその辺りはなんとか改善してほしいところ。