四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
今回は拓磨視点です!
「いよいよだな…」
「ああ」
「気合い入れていくぜ!」
新人戦モノリスコード、決勝戦。
俺たちは選出された岩場ステージを見ながら、相手チームの対策を話し合っていた。
相手は四高。例年は最下位争いをしていたところだが、今年は優秀な新人が入って例年の強豪校を抑えて決勝に上がってきた。
しかも、その新人の名前が…
(黒羽、か……おそらく四葉家の関係者なのは確実だろうな)
今年から流れ始めた噂で、黒羽という魔法師家系が四葉家の関係者だと囁かれていた。
当然俺の耳にも届いていたし、今日の試合を見る限り噂通りの実力を持っているのも確かなようだ。
それに真昼先輩に聞いてもみたが、表面的には否定していたが何か含みのある言い方だった。
仮にも四葉の名を背負っている以上、下手なことは言えないということだろうが、逆に言えば関係があるとも推察できる。
血縁か協力者か、実力を認めているだけなのかはわからないし、これ以上探ることも出来ないが、警戒すべきなのはわかった。
「二人とも聞いてくれ。相手の黒羽選手は強い。おそらく俺でも苦戦は免れないだろう」
「七宝がそう言うレベルかよ…」
「ああ。とはいえ他の選手までそうとは限らない。今までの試合を見ても全て黒羽選手単独で勝利しているからな。そこまで実力差が大きければ、前線で一緒に戦う連携は取れないと見るべきだろう」
「黒羽選手のスタンドプレーではなく、そもそも連携ができないと?」
「前線ではな、後方支援は別だ。そこで次の試合でお前たちに頼みたいのが後衛二人の妨害だ。試合開始地点近くの岩場に隠れて、遠距離魔法で敵陣を攻撃してほしい」
「期待されてるのは嬉しいけどよ。俺はあんな遠くに意味のある威力の魔法を届かせられないぞ」
「俺もだ。適当に周りに石をばら撒くぐらいはできるかもしれないが、簡単に防がれちまう」
「それでいいんだ。お前達でソレなら、敵はもっと厳しいはずだしな。少しでも防御に魔法力を使わせられれば、こっちへの攻撃も少なくなる」
「でも七宝、それだとお前は一人で黒羽選手の相手をすることになるぞ」
「三対一になるよりマシだ。それに俺だって数字付きだ。真正面からの一対一なら勝ち目はあるさ。そこを勝てればあとの二人は敵じゃない」
「そう…だな。できればお前の援護もしたいが…」
「
その後もいくつか打ち合わせを行い、準備を整えた俺たちは四高との試合に臨んだ。
試合開始直後、あれだけ気をつけていたにも関わらず黒羽選手の姿が消えた。
「七宝!」
「モノリスに集まれ!」
仲間には端的に指示し、収束・移動系魔法である『ウィンドシア』を発動する。
指定直線範囲に循環する一連の風の流れを発生させる魔法で、地表の空気が一定距離相手側へ向かい、その後上昇・一定高度でこちらへ戻る気流に変化、最初の発生地点へ下降気流で戻ってくる。ちょうど横倒しになった竜巻がそれ自体の移動速度も合わせて襲いかかってくる魔法だ。
とはいっても、とっさに発動した魔法でそんな威力が出るとは思っていない。だが牽制には十分なはずだ。
見失ってしまった黒羽選手を炙り出せれば、状況をリセットできる。
その考えは半分合っていたが、甘かった。
こちらの魔法に防御した反応から、黒羽選手の位置は確認することができた。
問題は、それが想定以上に近かったことだ。
そして、ほとんど接近戦の距離にいた仲間が1人やられた。
「千川!」
「落ち着け! 作戦通りに!」
俺の言葉に黒羽選手へ向けかけていた攻撃を、四高の後衛へ変えて飛ばす梶原。
想定通り大した威力にはならなかったが、少し離れたところで中途半端な魔法式が効果を出せずに崩壊した。
やはり、四高も同じことを考えていたか!
「お前の相手は、俺だ!」
自分への鼓舞も兼ねて黒羽選手に叫ぶと、あちらも照準をこちらに合わせてくる。
次の瞬間、肩に刺されたような激痛が走った。
(幻衝か? それにしては強すぎる…!)
思い出すのは、フローラさんとの模擬戦の数々。
基本的に群体制御で倒そうとしていた俺に対して、四葉先輩の言いつけを守り怪我をさせない……少なくとも目に見える怪我は残さないために、打撃や電気ショック、高低温、ガス攻撃など本当にありとあらゆる魔法攻撃を繰り出してきた。
その中にはもちろん無系統魔法もあり、想子の量はともかく高速で飛んできたため本当に撃たれたかと思うくらい痛かった。
だが、それと比べても今回の『幻衝』はおかしい。
どちらかというと、コレは精神干渉系魔法のソレに近い。
フローラさんが使ってきたのは『返し針』という、現実の痛みを間隔を開けて再現する魔法だったが、共通するのは原因の対処をしても痛みを軽減出来ない所だ。
今回の『幻衝』もそうだが、無系統魔法なら身体の情報強化や想子シールドである程度軽減できる。しかし、精神干渉系魔法の場合は
とはいえ、実際に想子が飛んできているのは視えているので『幻衝』も発動しているのは間違いない。
なのでそちらの防御は継続しつつ、精神干渉系魔法への対処もしなければならない。
幸か不幸か、フローラさんのおかげでそちらの対応も学習済みだ。
この場合、痛みから目を背けるのではなくあえて肉体の状態に意識を集中するのが正しい。
精神への防御は適性がないとかなり難しいので、肉体の状態を強く意識することで、魔法で与えられる痛みと現実の状態を衝突させ、効果を弱められる。
(…よし、少しだが抵抗できた。やはり精神干渉系を使っているな)
効果を確かめ、こちらも攻撃に移る。
さっき発動した『ウィンドシア』で細かい砂や砂利はあちらこちらに散らばっている。
それを収束系魔法でまとめて、黒羽選手への攻撃に使う!
量も質量も少ないため手数が少なく、簡単に避けられてしまったがそれは想定内。
あちらこちらの地面をまるでヤスリのように削り、新たにできた砂利も取り込む。
『魔法による風で移動した』という事実を使って、『魔法の風と一緒に動く』と後付けで定義と対象指定を行うテクニック。
『ミリオンエッジ』が操作対象への魔法式転写に時間がかかることへの対応として、ある程度の威力を犠牲に産み出した『群体制御』の応用技だ。
事前の魔法式転写ほどの操作性も干渉力も出せないが、事前準備無しでも使えるのは大きい。
「……梶原! 合わせろ!」
「…! わかった!」
手数が増えても相変わらず黒羽選手は捉えられず、逆に痛みは着実に蓄積してきている。
だからといって、全く手を打てないわけではない。
一際大きく薙ぎ払った砂利の『腕』。
それは勢いそのままに魔法の拘束から逃れ、敵陣へと打ち上げられていた。
俺には『群体制御』を敵のモノリスまで直接届かせることはできない。
味方も敵のモノリスへ多数の物体を飛ばすことはできない。
しかし、俺が大雑把に飛ばした物体群に慣性極大化魔法を掛けて威力を増すぐらいのことは、メンバーに選ばれたこいつならやってくれる。
ただ飛ばすだけの小石なら対処できたであろう敵ディフェンスも、魔法がかかっているとなると話は別だ。
いくつかは防げたようだが確実に被弾しており、脱落も時間の問題に見える。
「梶原! ディフェンスはあと少しだ! チャンスを見て突っ込め!」
実際問題、まだまだ敵ディフェンスは持つだろうし、こちらの方が人数的にも戦局的にも劣勢なのは変わらない。
だが、こういうのは嘘でもいいから大声で宣言するのが大事なのだと訓練の中で学んだ。
発言自体は嘘でも、それで動揺を誘えれば勝ちに繋げられるかもしれない。
なにより、魔法はイメージの世界。
勝つ、という信念。勝てる、という確信。
それが何よりも重要なのだから。
「ぐっ……この!」
軽減されてもかなりの痛みを与えてくる黒羽選手の攻撃を耐えつつ、規模の大きくなった『群体制御』で押し潰すようにトドメを刺しに行く。
逃れられるはずのない攻撃。
しかし、包囲網が完成した直後、今までにない痛みが俺を襲った。
それはこれまでで一番の威力で放たれていて、俺の防御を貫通して大ダメージを与える。
……いや、違う。
これまでで一番の威力なのは確かだが、
こちらの『群体制御』の規模に合わせて、少しずつ攻撃の威力を落としていたのだろう。
攻撃に意識が向けば、自然と防御が弱くなる。
ヤツはそれを更に助長させるために、攻撃も弱くして俺に防御の穴を気づかせないようにしていたんだ。
倒れるまでの時間でそれに気づいたものの、時すでに遅く。
モノリスコード決勝戦は、四高が勝利を勝ち取って終了した。
原作より粘ったけど負けた七宝。
四葉式訓練で鍛えられてはいるけど、それは相手も同じなのでね…
なおフローラさんの模擬戦はガチでなんでもありで勝利を掴み取りに行きます。
倒れてマウントポジション取られても「かかりましたわね! 私ごと吹っ飛んでもらいますわ!」とか言いながら想子乱射(魔法式無しなので眩しい以外意味ない)して相手が怯んだ隙に加重系で吹っ飛ばしたり、電撃ブッパしたりです。
七宝は女性相手には紳士だったので、何回かこれに引っかかった末に『戦いでは男女平等に確実に動かなくなるまで気を抜かない』と平等主義になりました()
次は幕間として真昼さんメインの話に戻りましょうかね…