四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
またAI生成イラストを挿絵にしています!
「真昼さま! 次はこちらです」
「うん……あの、菜摘ちゃんがそこまで張り切る必要は…」
「ちょっと忙しいので黙っててください。あとさっきファンデーション塗った腕もう一度見せてください。トーンのバランスを整えたいので」
「はい…」
ぐい、と軽く差し出した手を引っ張られ、数秒腕とメイクパレットの間を視線が行き来する。
うん、と納得した菜摘ちゃんはポイっと腕を放して、選んだ色を丁寧に塗り始める。
今日は一日将輝と金沢の観光に行く、と菜摘ちゃんに言ったらすぐにお風呂に押し込まれ、身体中洗われた後でこのメイクアップタイムに突入。
なお、髪を乾かすのは菜摘ちゃんの指示のもと、私が発散系魔法でちょうどいい湿度になるまで調整してやったよ。
最初適当に表面の水分全部蒸発させようとしたら「ダメです!!!!」ってめっちゃ大声で止められたからね…
それ以降、主導権は完全に菜摘ちゃんに乗っ取られて、私は言われるがまま化粧品を塗りたくられている。
いいんだけどさ、私って一応主人なんだよね?
なんか最近菜摘ちゃんが保護者っぽくなってきてるんだけど…
「将輝さまとデートなんて! 四葉の名にかけて完璧にメイクアップしなくては!」
「デートじゃなくて観光だし、将輝の本命は深雪だからどっちにしろ四葉家には変わりなくない?」
「四葉家にとってはそうかもしれませんが、ガーディアンにとっては違います! それに今なら四葉家を名乗れるのは真昼様だけです! 今のうちにアタックすれば勝てる可能性は十分あります!」
「私もお母様も勝つ気は無いんだけど…」
『私も無いわよ』
すごい、四葉直系は満場一致でやる気なしだ。
菜摘ちゃんだけめちゃくちゃ頑張ってるけど、それはなんだろう…主人への貢献のつもりなのか、おこぼれ目当ての私欲なのか…
「ふふふ、最近の真昼さまは以前より魅力的な体型になりましたから、おしゃれさせるのが楽しいですね!」
…あーうん、私欲だね!
おこぼれとかよりもっと近視眼的な欲求だったよ。
アレかな。ハンドメイドした作品がどこまで勝ち抜けるか期待してるみたいな…
作品側としては、早めに終わってくれることを祈るばかりだよ…
親父にも困ったモノだ。
いきなり観光の案内をしろと言われても困る。
当然そのことについて、四葉さんが離れに案内された後で文句を言ったのだが、逆に俺の方が説教された。
曰く、交際を申し込んでおきながら何もしないとは何事だ、とのこと。
いや、それは親父が言い出したことだし、かなり軽めの提案だったじゃないかと反論はした。
それにも、仮にも一条家として申し込んだのだから、形だけでも出かけるくらいはしろ。男として情けなくないのかと更に説教された。
正直四葉さんも俺が本気でないことを最初から見抜いていたので、お互い本気でないのはわかっていた。
だからその点については反論もできたが、男として情けなくないのか、という言葉は別の意味で刺さった。
四葉さんには悪いが、俺は本気で司波さんに惚れている。
それについては疑いの余地はないが、だからといって具体的に何か行動を起こしたかと言えば…
精々九校戦のダンスパーティで踊ったぐらいで、他に接点もない。
これは情けないと言われても仕方ないと、親父の言葉で気付かされた。
だからといって他の女性とデートは……とも思ったが、最近色気付いてきた茜なんかは『恋愛と戦争は手段を選ばないもの』なんてどこかで聞き齧ったことを言っていた。
そこまで割り切れるわけではないが、少なくとも行動を起こした方が良いことだけは確かだ。
少々気は引けるが、まず四葉さんと仲を深めて、そこから司波さんとも交流を深める。
会う機会が増えれば、関係性も変化するだろう。
そう無理矢理自分を納得させ、四葉さんの支度が終わるのを待っているとゆっくりと扉が開いた。
「お待たせしました…」
「いや、大丈夫…だ」
一瞬、四葉さんが司波さんに見えた。
そのせいで言葉に詰まってしまったが、なんとか取り繕えたと思う。
この前大会で会った時はそんな印象を受けなかったのだが、初めにあった時の印象が強すぎて容姿のイメージが更新されていなかったのか。
制服でもスポーツウェアでもない四葉さんは、華奢ではあるものの幼さはほぼなくなっていた。
相変わらず表情はそこまで豊かではないものの、普通に外を歩けば声をかけられるような美少女だ。
……女は化粧で化けるというが、ここまで変わるのか…
なぜか四葉さんの後ろでドヤ顔をしているメイド? が満足げに頷いているが、彼女がメイクをしたのだろうか?
「真昼さま、今日は私は離れていますので」
「ええ、何かあれば連絡します。将輝さん、行きましょうか」
「は、はい。では四葉さん…」
「今日は真昼呼びでお願いします。その方が安全なので」
「……では真昼さんで」
「はい。……今日だけでなくても構いませんよ?」
「え…?」
ふふ、と笑う四葉さ……真昼さん。
揶揄われていることに気づいた時には、茜や瑠璃に見つかって姦しく話してしまっていた。
…冷静に考えればあっちはもう名前呼びじゃないか…?
こっちだけ慌てたのがなんか釈然としない…