四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
結局、またすぐに加速空間に戻るのは無理だとみんな感じたので一度休憩を挟むことに。
夕歌さんの言う通り、この加速空間は慣れないうちは本当に気が狂いそうになる。
特に訓練が辛くて時間がかかると『あんなに辛いのにこんな少ししか時間が経ってない』と思ってしまって更に辛い。
「……なるほど、真昼さんが多用すべきでないと言ったのはこういうことか」
「はい。私は時間加速や減速で時間感覚が実際の時間とズレるのに慣れていますから問題ありませんが、そうではないと精神に大きな負荷がかかります」
実際、
休憩しながら話し合った結果、出来る限りは加速空間を使わずに訓練することで皆の意見が一致した。
なので擬似瞬間移動の仕上げと、『セルフ・マリオネット』の訓練は普通の空間で行って、合格点レベルには到達できた。
ただ、さすがに魔法式待機は数時間でどうにかなるものではなかったので仕方なく再び加速空間で練習。
加速空間で2時間、その後外で10分休憩というサイクルを繰り返してできるだけ精神への負担を下げて訓練して、結局合計で3日分の時間はかかったけれど、全員一つは魔法式を待機させられるようになった。
やっぱり四葉家って魔法力とかの面だとすごい優秀。
後は個々人で練習することにして、その日の訓練は終了。
夕食では、皆昨日より食べられる量が少なかった。
まあ、3日間何も食べなくても食欲出ない空間にいたから仕方ないよね。
私は食べないと死にそうだから無理してでも食べるけど。
「時間加速にそんな問題があったのね」
「私は何度も使っていますし、時間を自分で加速していますから加速空間と現実空間では意識を切り替えられるようになっています。けれど、皆さんはそうではないので色々と副作用があると思います」
「そう……皆さんは実際に経験してみてどうかしら? 勝成さんは使えると思いますか?」
「難易度の高い魔法の練習には有効なのは確かでしょう。ただし時間感覚やその他の感覚を戻すために数日は様子を見た方が良いと思われますので、使うとしたら一度に長時間使って、休養とセットにするべきかと」
「夕歌さんはどうかしら?」
「私は加速率を下げて、認識のズレが最小限になるように使うのが良いと思います。1.5倍や2倍程度でも、効率を考えれば十分ではないでしょうか?」
「亜夜子さんや文弥さんはどうですか?」
「私は、必要な時に限り集中的に使うべきだと思いますわ。自分の体調を把握できないのは、大きなミスに繋がりかねないですもの」
「僕も同じです。あの中と同じ感覚で任務に行くと、どこかでミスをしそうです」
全員から今回の加速空間が嫌われててもう笑うしかない。
そっか……毎日魔法練習のために使ってる私はおかしかったのか…
いやまあ、おかしいのはわかってるつもりだったけどね? そこまでだったとは…
「そう……好評なら訓練場を一部屋、常に加速空間にしてもらおうと思っていましたが、皆さんがそういうならやめておきましょうか」
真夜様がすごい残念そうに言ってるけど、皆はその計画が無くなってホッとしていた。
設置されたら使わないわけにはいかなくなるもんね。
ちなみに真夜様は私が一高に入学する前に加速空間を体験していて、その時は私の『流星群』の完成度を高めるために2週間連続で練習に付き合っていた。
それでも外に出た時は「あら、これだけしか経ってないのね。便利だわ」の一言で済ませていたあたり、真夜様はなにかおかしい。
あの時は四葉はみんなそうなのかと思っていたけど、真夜様が特別なだけだったんだね。
「そういえば、勝成さんはそろそろ市谷に戻る時間でしたね」
「はい、明日も仕事がありますので」
「普通に帰ると時間がかかって明日に響くかもしれませんし、真昼さんに送って貰ったらどうかしら? 空間を繋いだら一瞬ですから、明日の朝でも構いませんよ」
真夜様の言葉に、一瞬考え込む勝成さん。
確かに、そもそも私がその移動方法前提の2泊3日になっているから問題ないといえば問題ない。
「…いえ、流石に当日の朝いきなり家にいたとなれば不審に思われるかもしれません。移動時間を短縮できるのはありがたいので、この後自宅の玄関に繋いで頂きたい」
「では真昼さん、勝成さんを送って差し上げて。他の方も遠慮せずにね。四葉家としても、移動経路がわからない方がこの場所が暴かれずに済みますから」
「それでは真昼さん、明日の朝に私の部屋に繋いでもらえる?」
「私と文弥も明日の朝でお願いしますわ」
「はい、了解しました」
とりあえず忙しい勝成さんは先に帰らないといけないので、食事後すぐにワープゲートを作ることにした。
なぜか真夜様含めたみんなが見たいというので、琴鳴さんと奏太さんが荷物をまとめて持ってくる間にゲートの場所を決める。
勝成さんの家の住所を聞くと、一回深呼吸して集中する。
私には、達也のような『精霊の眼』はない。
厳密に言うと達也とは性質が違っていて、私の場合は空間魔法の性質上まず空間の情報を取得する必要があるので、その延長線上の能力としてイデアの情報も認識している。
達也が認識したモノの情報についているリンクを辿って他の情報にアクセスしているのに対して、私は空間情報の一つとして他のモノの情報にアクセスしている。
例えるならスマホの地図アプリ。
達也は自分自身の周りのモノか、検索履歴にあるキーワードを対象にすると、そこにピンが刺さって情報が見れるようになる。
さらにそのピンの情報から、関連している他の情報へまたピンを刺し直せる。
対して私の場合は、常に住所検索をしているような状態。
何かを調べるには、まず調べたいものが『空間上のどこにあるか』が分からないとイデアの情報にアクセスできない。
そして、調べた空間の情報の中に『特定の時間に起きた出来事』として情報が記録されているので、それを読み取っている。
この違いのせいで、私の『精霊の眼』はリアルタイムに戦闘で使うには非常に使い勝手が悪い。
達也の場合、一度相手を認識すれば認識を切らない限りリアルタイムにその相手の情報を読み取ることができる。
でも私は、『特定の時間の空間情報』を読んでいるだけなので、リアルタイムに見るためには常に最新の情報に更新しないといけないだけではなく、相手が動いている場合は読み取る空間の位置も変えないといけない。
時間加速を使えばともかく、そうでないとこの『観測』だけで手一杯になってしまうので、私はできるだけ戦闘では『精霊の眼』は使わないことにしている。
ただし、逆に言えば空間の位置がわかっていればどんな場所、どんな過去でも情報にアクセスできる。
さっき聞いた住所をキーワードに、イデアにアクセスしてその空間情報を読み込む。
玄関の扉の表面の空間を指定して、それを目の前の空間と連結させる。
それまで何の変哲もなかった壁に、滲み出るように扉が現れる。
それを開くと、向こう側によく整理された玄関と廊下が見えた。
連結した時点で向こう側の扉は空間的に内と外で分割されるので、廊下側からだと物理的には開かなくなっているはず。
「繋がりました。廊下にも今は人が居ないはずです」
「魔法の痕跡も無しか。流石だな」
「それでは勝成さん、また今度お会いしましょう」
「ご当主様もお元気で」
勝成さんは真夜様に一礼すると、2人のガーディアンを連れて向こうへ躊躇なく渡って行った。
完全に渡ったことを確認して扉を閉めると、魔法が終了して元の壁に戻る。
文弥が思わず、といった感じで壁を触っているけれど、もう他と区別がつかないただの壁だよ。
「これが空間魔法、ですか…」
「侵入に使えば便利ですわね」
「他に漏洩しないようにしないといけませんから、使うとしたら殲滅任務かしらね」
それは……使う機会がないといいなぁ…
たぶんすぐあるんだろうけどね(白目
加速空間込みの訓練終了です。
真夜様が加速空間の悪影響を受けないのは、当主として夜でも仕事があったりと不規則な生活も経験があることと、深夜様の『精神構造干渉』で経験を記憶に変えられて体感時間と実時間のズレを経験したことがあるためです。
だから他の人も当然耐えられると考えていたわけですね。
主人公の『精霊の眼』が出ました。
大体本文中で説明された通りなのですが、一言で言えば達也の『精霊の眼』はリアルタイム観測、真昼の『精霊の眼』は過去情報閲覧です。
地図アプリの例えだと、達也はピンを刺しておけば相手が高速で移動してもピンごと動くので苦労せず監視できます。
一方で真昼はその空間情報を読み取って、『この方向にこの速度で移動した』という情報を確認。その分観測する空間位置をずらして移動時間分後の情報を再度読み込み、という『動く相手に合わせてマップを手で動かして、逐一更新ボタンを押す』ようなことをしないとリアルタイムに相手を追えません。
この性質上、どう頑張っても真昼はお兄様に現在の情報確認速度では勝てません。
ただし、真昼は位置さえわかればどんなに過去の情報でも時間があれば読み取れるので『過去の情報を遡及して読み取る』ことに関してはお兄様は真昼に勝てません。
そのため、情報収集に関してだけ言えば真昼の『精霊の眼』は最高クラスの性能を発揮します。
この辺りの差も今後活かしていきたいですね。