四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
食事を終えて、なぜか私は七草家の訓練場に居た。
時間も遅いのですぐに終わると言われたけど、ならそもそもやらないでほしい。
いや、双子は可愛いからいいんだけどね。
ほとんど関係ないけど、一応遺伝子的に半分は妹だし。
それを言ったら七草先輩も半分姉なんだけど。
「お二人は今どういう練習をしているんですか?」
「3~5工程の魔法を規定時間以内に発動する、発動速度の練習…です、よ?」
「試験対策の基本的な課題ですわ」
双子に聞くと、香澄がぎこちなく答えてくれた。
あー、私も入試前に詰め込みでやったな…
基本的すぎて、すごくつまらなかった記憶がある。
とりあえず香澄は話しにくそうだし、普通に喋ってもらおうかな。
「言葉遣いは普段通りで構いませんよ。重要なのは言葉を飾ることではなく、そこに込められた気持ちですから」
「そう? ならよかった。正直どう話していいかわからなかったんだよね」
「…もう、香澄ちゃんは…」
「それで、課題の魔法は……『搬送』ですか」
『搬送』は、名前も正式につかないような基礎的な魔法だ。
対象を加速・移動・減速・停止の四工程で一点から一点へ移動させる魔法で、『移動魔法』と言ってしまうと移動系統魔法と混同してしまうので、大体は意味の通じる別の呼び方をする。
『搬送』の場合は特に、試験でよく行われるレール上の重量物を直線移動させる魔法を指して呼ぶことが多い。
「規定時間はクリアしてるんだけど、どうしても一定以上早くならなくて」
「香澄ちゃんのタイムなら十分だと思うけど?」
「でも泉美と一緒にやった時の方が早いから、もっと短縮できるはずなんだけど」
「……それでは、一度やってみて頂いてよろしいですか?」
とりあえず2人それぞれで魔法を使ってもらって、魔法が始まるまでのタイムを計測する。
香澄は497ms、泉美は502ms。
2人で一緒にやってもらうと461ms。
確かに微妙な差だけど、2人一緒の方が早い。
『乗積魔法』には発動速度上昇の効果は無いはずだけど、なんでなんだろう?
「七草先輩もやってみてもらえますか?」
「え、私⁉︎」
「はい。比較のためにも」
「真昼さんがいると、参考にはならない気がするけど……」
そんなことを言いながら、七草先輩のタイムは389ms。
300ms台に入ってるのは十分ヤバい。
普通に優秀な魔法師の発動速度の基準が500ms以下だからね。
そして、私も同じ機械でやってみる。
「…291ms…⁉︎」
「基礎単一工程でも、そんなタイムはほとんど見たことがないです…」
「さすがね…」
うん、先輩含めたみんなに引かれてるね!
でもさ、このくらいしないと深雪に負けるんだよ!
わりと頑張って万が一にも負けないようにしたの!
「どうすればそんなに早く発動できるんですか?」
「……上手に手を抜く、ことでしょうか」
「手を抜く?」
「発動速度を問う問題の魔法……特に入試レベルだと、難易度は高くありません。ですので、七草家で普段練習するような実戦向けの魔法と同様に正確に照準すると、時間が無駄にかかってしまいます」
「つまり、必要以上に定義が細かいってこと?」
「はい。入試問題ではある程度照準が粗くても魔法が発動するようになっています。魔法の対象より魔法そのものの発動に注意を向けた方が、結果は良くなりますよ」
「では『乗積魔法』でタイムが早くなるのは…」
「タイミングを合わせて魔法を発動することに意識が向いているからでしょう。この程度の魔法では『乗積魔法』の効果はほとんど無いはずですし」
香澄も泉美も演算能力は十分あるし、演算速度は今回は関係ないと思うんだよね。
単純にそれ以外の要素で時間を取ってるだけ。
「試験問題で『手を抜け』なんてアドバイスが出るとは思わなかったよ…」
「必要な所に必要なだけの力を使うのも大切な技術ですよ。目的をきちんと考えて最適な方法で最適な魔法を使う。それが優秀な魔法師であると私は思います」
まあそれは私みたいに、どんな魔法でも使えるからこそかもしれないけど。
「……真昼さん、もう一度魔法を使ってみてもらえる?」
「? はい」
七草先輩のお願いで、また『搬送』を使う。
タイムもさっきとほとんど変わらない。
でも、先輩は何かを捉えたらしい。
「やっぱり、ほとんど無駄な魔法力が消費されてないのね。余剰想子光が出てないわ」
「えっ⁉︎ ホント?」
「真昼先輩、もう一度やって頂いてよろしいですか⁉︎」
双子にせがまれて、もう一度同じ魔法を発動する。
確かに、私は四葉の訓練で余剰想子光を出さないような訓練をしている。
本気で隠せば魔法発動自体バレないように出来るけど、
「本当だ……アレって出さないことなんて出来るんだね」
「理論上、注入した魔法力と消費された魔法力が釣り合えば余剰光は出ませんけど……」
「発動する魔法に必要な魔法力を正確に把握できてる、ということね。どんな練習をすればそこまで精度良くできるのかしら…」
「それは……ひたすら同じ魔法を繰り返し使って感覚で覚えるしかありませんね」
うん、みんなも加速時間で無数に魔法を使えばわかるようになるよ(白目
あとは魔法を失敗して致命傷になる予感とかもね。
特に戦略級魔法の新開発は大変だったなぁ……何度頭パーン(物理)したことか…
最近は「あ、これ死ぬな」ってわかるようになって、魔法式発動前に止めてやり直せるようになったから、やっぱり経験ってすごい。
そんなことを考えていると、執事? 護衛? みたいな人がそっと真由美さんに話しかけた。
「真由美お嬢様、基礎魔法だけというのもお二人には面白くないでしょうから、真昼様がよろしければなにか対戦形式で魔法を披露してみてはいかがでしょうか?」
「…えっ⁉︎ 私と真昼さんで?」
……え、魔法の家庭教師だけじゃだめですか、そうですか…
真由美は真昼との戦いから逃げられない!
次回、姉妹対決!
…本当は今回にまとめたかったけど長すぎて分割。
なので今日中に投稿します。