四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
「……どちらで呼べば良いでしょうか?」
「ヨルの方でお願いしますわ」
アイスピラーズブレイクの優勝をケーキで軽く祝った後。
部屋で寝ていると嘘をついて(同室の深雪には口裏を合わせてもらって)私は会場の外でヨルちゃんと合流した。
理由はもちろん、妨害をしてきた下っ端組織を壊滅させるため。
まあ四葉に直接手を出されたわけじゃないけど、見逃したらナメられるし。
追い詰めてモノリスで私が出るためにも、下っ端組織の7~8割ぐらいは壊滅させてもいいでしょ。
「捕捉はできていますね?」
「ええ。黒羽だけでなく真柴や静、武倉、椎葉、新発田も手を貸してくれましたから。指示のあった組織は完全に捕捉できていますわ」
「マーカーの設置は?」
「そちらも前線の監視員が予備含め最低3つは確保済みとのことです」
「了解しました。では作戦を開始します」
会場の外に、搬送業者のトレーラーに偽装しておいた四葉の移動基地車両。
隠蔽には津久葉の術者が来ていたので、本当にほとんど四葉総力でやってくれたみたい。
その中に用意されていたHMDを装着して、各部隊の通信とカメラ映像を確認する。
魔法発動の基点となるマーカーもきちんと機能することを確認して、作戦開始を告げる。
今回は作戦中は結界で完全隠蔽の上、捕獲したテロリストは四葉で死ぬまで飼い殺して四葉内で処分することが決まっている。
つまり、空間魔法を使い放題ということになる。
私の作戦はこう。
事前に調べておいた敵基地の間取りから、突入地点まで空間魔法でワープゲートを作成する。
それと同時に、全ての敵基地の司令部に対して『重力反転』を発動する。
これは加重系基礎単一工程魔法で、一定のエリア内の重力方向を真逆にする魔法。
それ以上でもそれ以下でもないので、よほど天井が高くない限り有効なダメージにはならない。
けれど、メリットとして奇襲で使った場合に相手を混乱させる効果が高い。
それにダメージが少ないということは、逆に言えば殺さずに無力化できるということでもある。
いきなり天井と床で二度も逆さに落ちれば、どんな人でもすぐに立ち直って対応するのは不可能。
そこに全ての障壁をワープゲートでショートカットした四葉の戦闘部隊が突入する。
その結果は…
『中枢の制圧に成功。残りは隔壁展開後、ガスで無力化します』
『トップの確保に成功。他は発狂しましたが生きてます』
『司令室の掌握に成功。外の抵抗もすぐに鎮圧予定』
『突入成功。外からの強襲と合わせて全員の確保を終えました』
すべての敵基地で中枢の制圧に成功。
数の問題で下っ端の制圧には時間がかかっているけど、万が一にも逃げ出せないように包囲はしっかりしているから問題ない。
しかし……やっぱり四葉の戦闘部隊ってすごいね。いくら相手が混乱状態っていっても数の上では敵の方が上なのに、数人で数十人の基地を制圧してる。
『司令部へ、C3からS2へのゲートを要請します』
「了解しました。3秒後に破城槌でS2の壁の一部を破壊します。その反対側にゲートを繋ぐので制圧してください」
『司令部、G6への精神制圧を要請します』
「『ルナ・ストライク』を使いました。相手の同士討ちが発生していますので注意してください」
『司令部へ、制圧完了しましたので捕虜収容施設へゲートを開いてください』
「C2,D4,J1にゲートを作成しました。3分以内に撤収を完了してください」
い、忙しい…!
ちょっとだけ時間加速を使っているからなんとかなるけど、流石に複数同時襲撃のオペレーターを1人でやるのは忙しすぎるよ!
ゲートが混線して間違った場所と繋がないように気をつけながら、捕虜や押収物を四葉本家に送ったり、敵の数が多いところに作戦終了した部隊を追加で送ったりして1時間。
全ての部隊が四葉本家に撤収完了して、作戦は終了した。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます。後始末はお願いしますね」
ヨルちゃんに車の片付けをお願いして、私は部屋に戻る。
念の為に深雪と私の部屋を『精霊の眼』で確認するけれど、誰もいない。
すぐに空間を繋いで部屋に戻れば、私が外でテロリストの殲滅をしていた痕跡は何一つない。
と、思っていたらタイミングを計ったように携帯に着信が来た。
発信元は達也。
「はい。どうしましたか?」
『試合前に見せてもらった資料について話がしたい。深雪と一緒に来てもらえるか』
「了解しました」
……まさか観てた?
いや、作戦中はそんな視線は感じなかったし、深雪の部屋を監視してただけかな。
それはそれでちょっと怖いけど。
迎えにきてくれた深雪と一緒に達也の部屋に行くと、データカードをプライベートモードで見ていたと思われる達也が画面をスリープにしてこちらを見ていた。
「疲れているところすまないな。手短に済ませる」
「いえ。遮音フィールドをお願いします」
即座に深雪によって部屋に展開される遮音フィールド。
念の為に他の監視も一通りチェックしてから作戦の結果を報告する。
「四葉の部隊を使って、今回妨害してきた組織の8割は壊滅。工作員も確保しました。今は収容施設で尋問中です」
「なぜ8割なんだ?」
「一つは同時に動かせる部隊の数の問題です。拠点がバラバラですから一度に被害なく襲撃するには手が足りません。もう一つは相手を追い詰めて尻尾を出させるためです。相手の手数が少なくなれば、より大胆で雑な手段に訴えるはずです。そこを叩いて大元を確実に捉えます」
「データでは妨害対象としてミラージバットも含まれているが、それは作戦のために犠牲にするというわけか」
……やばい。お兄様怒ってる?
深雪を犠牲にするのかって言ってる?
これどうしよう……実は新人戦モノリスコードの妨害って追い詰められて出た苦肉の策だから事前情報には無いんだよね…
情報の出所が出せないけど、たぶんほぼ確実に妨害は起きる。
それをどう伝えるか…
「……不確定情報なのでデータには入れませんでしたが、おそらく新人戦モノリスコードでは妨害が入ると思われます。私としては、その時に残りを始末すれば良いと考えています」
「根拠は?」
「事前の仕込みが本戦のみであることを考えると、無頭竜としては新人戦は
三高は一条が出る以上優勝は間違いないですし、と付け加える。
正直これに関しては不確定要素が大きいので、本当にビビって手を引いてしまう可能性もある。
でも、得点の関係で新人戦モノリスの妨害を捨てたら、本当に本戦モノリスとミラージバットの選手全員を棄権させるぐらいしないと三高が勝てないのでやるしかないと思う。
「それはつまり、新人戦モノリスコードチームはどうなっても構わない、ということか?」
「本戦のミラージバットやモノリスコードよりは被害が少ないでしょう」
達也だって、深雪が無事ならそれでいいでしょう?
「仮に本戦ミラージバットに妨害を集中させたらどうする?」
「その時は十中八九電子金蚕を使ってきますから、達也さんならきちんと観ていればわかります。こちらも対抗術式を用意しておきますから、心配ありません」
「……わかった。電子金蚕とその対抗術式についてはデータを送ってくれ」
「こちらに」
別のデータカードで渡すと、さっそく確認を始める達也。
もう話は終わったので深雪に視線で合図をすると、すごく悲痛な顔でこちらを見ていた。
「モノリスコードのチーム3人を犠牲にするのですか…?」
「死ぬような目には遭うかもしれませんが、死にはしませんよ。モノリスコードに出るような選手なら再起不能にもならないでしょう」
「そういうことでは…!」
「誰も犠牲にならず、全てが自分の都合のいいようになるなんて夢物語ですよ。今回は3人の犠牲で後の禍根を断てるのですから、良しとしなければなりません」
「そんな…」
「全ては仮定の話ですよ。もしかしたら今回の襲撃で妨害から手を引く可能性もあります。結局は相手の出方を窺うしかありませんし、この件に関係しているのは私だけですから、その他の人が悩む必要もありません。深雪は競技に集中してください」
「真昼の言う通りだ。まだ妨害が起きると確定したわけではない。深雪は競技のことを第一に考えるんだ」
「……わかり、ました…」
「話を聞けてよかった、真昼。データカードは見終わったら中身を消去しておく」
「それで構いません。それでは」
振り返らずに部屋を出る。
たぶんこの後深雪を達也が慰めるんだろうなぁ…
あーもう寝よ。競技より殲滅作戦より、この話し合いが1番緊張したよ…
サクッとテロ組織を殲滅する真昼さん。
全ての分家が参加していますが、四葉の全戦闘員が参加したわけではありません。
分家の中でそれぞれ3割とかずつ出動しているだけです。
こんな大規模になったのは、空間魔法を使った強襲作戦の経験値を積ませるため、というのが大きいです。
後半はお兄様との話し合い。
深雪に対する妨害を許せないお兄様に、原作知識無しでどう説明するか悩みまくる主人公。
主人公的には、深雪が曇るのはお兄様に任せれば良いだろうと雑に対応を投げています。
予想通り、この後めちゃくちゃお兄様が甘やかしました。