四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
新人戦2日目の夜。
クラウドボール準優勝と、アイスピラーズブレイク全員勝ち抜きという快挙を成し遂げた一年女子チームは、夕食中普通に浮かれていた。
まあ一色にボコボコにやられたスバルと菜々美は最初凹んでたけど。
男子チームの方は結果がよくなかったので空気が対極的でちょっとヤバい。
まあそもそも新人戦は三高が強すぎて仕方ないところはある。
一条も吉祥寺もいるしね。
達也がチートすぎるだけで、普通なら男子チームみたいな成績になってたはずなんだよ。
「すごかったよね! 深雪のアレ。『インフェルノ』っていうんでしょ? 一流の魔法師でもなかなか成功しない魔法なのに」
「エイミィも雫も凄かったよ!」
「司波くん、雫のアレって『共振破壊』のバリエーションなの?」
「正解」
一年男子チームから弾かれた達也が、興奮しっぱなしの女子チームに囲まれて話の中心にされてる。
深雪も達也が注目されているからか、止める気はなさそう。
まあ私としても、達也の腕がいい事自体は否定しないし、それが広まるのも問題ない。
トーラスシルバーだとバレなければ、ただの腕のいい魔工技師志望の学生で済むし。
「真昼の術式も達也さんが組んだんでしょ?」
「ええ、とにかく速さと低負荷を優先してもらいました」
「真昼の場合は小細工が必要ないほど干渉力が高かったからな。ほとんど出来ることがなかったよ」
「それでもオーダーに応えて頂けて助かりました。達也さん以外に私の担当になれる胆力のある方もいなかったでしょうし」
「ハハハ……まあ、実際真昼の担当はかなり肝が据わってないとダメだろうね」
スバルが苦笑いしながら茶化してくれたけど、別に普通の腕があれば私は何も言わないよ?
最悪自分でも調整できるし。
達也にやってもらえるなら、その方が断然いいからお願いするけどね!
「でも真昼が1種目にしか出ないのは残念。2種目出てくれれば安心できたのに」
「仕方ありませんよ。それに渡辺先輩ならまず確実にミラージバットで優勝できるでしょうし、私が出る意味はあまりありません」
「そうかな…?」
「それに皆さんも十分勝っていますから、私が他の本戦や新人戦に出る必要もありませんしね」
「確かにね! アイスピラーズブレイクもこのまま勝てそうだし!」
「エイミィ、油断はダメよ」
「えへへ…」
調子に乗るエイミィ。
まあエイミィの場合はテンションで出せる力が変わるし、調子に乗っていた方が良いかも知れない。
テンションが高いまま食事を終えると、出入り口で三高とバッタリ出会ってしまった。
…あ、一色が一瞬すごい顔で私見てたな。
「…三高の皆さんはこれからお食事ですか?」
「ええ、少し早く来てしまったようですね」
深雪と一色が代表として話してる。
十七夜は懇親会以来会ってないからともかく、沓子はにこやかにこちらに手を振っている。
それでいいのかライバル校…
「司波深雪さん、貴女はこの世代でもトップクラスの才能を持つ魔法師であることは認めざるを得ません」
「一色家の方に認められるとは恐縮です」
「謙遜は必要ありませんよ。本戦ミラージバットに出場するのでしょう? 私は全力を尽くして貴女に勝ち、そして三高を勝利に導きます」
おお、改めての宣戦布告かっこいいね。
深雪も余裕で受けてお互いに握手してるし、いい感じのライバル感出てる。
「四葉さん、対決する機会がなくなったのは残念です。ですがバトルボードでの救助行為は賞賛すべき対応でした」
「褒められるようなことではありませんが…」
「そして本戦アイスピラーズブレイク、実力を十分に示した十師族らしい試合でした。私も、一色の名に恥じない戦いをしたいと思います」
「クラウドボールでは優勝していましたよね? 才能だけに頼らず、努力によって得た実力での勝利……十分素晴らしいと思います」
「……四葉家の方にそう言って頂けるとは」
結構驚いている一色。
いやまあ、普通にあの魔法使いこなすの難しいし、すごいと思うよ?
私も近接戦闘の訓練で何度も失敗したからわかる。
最初は魔法と反射的な動きが衝突して何度も転んだなぁ…
何度も何度も練習して、魔法が自然に出るようにならないとアレほどの速さでは使いこなせない。
「ですが、それは私たちも同じです。私や深雪だけでなく、女子チームは全員勝つために努力してきました」
勝つのは私たちです。
そう締めて握手すると、一色も好戦的な笑顔で応えてくれた。
おお、すごく青春してるって感じする。
そして私以上に後ろにいるエイミィがテンション上がってる。
これまた寝不足になったりしないよね?
「エイミィ、日付が変わる前に寝付けなかったら『カプセル』に放り込んで強制的に寝かせますよ?」
「ま、真昼やだなぁ…ちゃんと寝るよ?」
「今日だって睡眠不足だったでしょう?」
「う、うぐぅ…」
反論出来なくなったエイミィを同室の娘に任せて、私達も部屋に戻る。
念の為に『精霊の眼』で見てみるけど、ちゃんとエイミィは落ち着いて寝ようとしているみたい。
「真昼、何か観ているの?」
「エイミィがちゃんと眠れているかどうかを少し。深雪も早く寝た方がいいですよ」
「……真昼は私に勝ってほしくはないのでしょう?」
ちょっと悲しそうに言われて、思わず無言で見つめてしまう。
そんな私に容赦なく話を続ける深雪。
その顔は憂いに満ちていた。
「家とのつながりを隠すなら、力を隠す方が良いのはわかっています。けれど、私はともかくお兄様が侮られるのは…」
「深雪、私は別に九校戦で勝つ事自体はなんとも思っていません。ただ十師族と疑われるのが大変なだけです。それに、よほど普段から気をつけていない限り、隠しても実力はバレてしまうものですから」
「えっと…」
「深雪は私にとっても大切な人ですから、勝利は嬉しいですよ。注目についても、私がより上の実力だとアピールし続ければいいだけです。もちろん、深雪に協力してもらう方が楽ですけどね?」
「う……す、すみません…」
ちょっとだけ意地悪を言うと、深雪は頬を染めて俯いた。
うーん、かわいい。
これはかわいい娘をいじめたくなる気持ちがわかるな。
『…私の娘に邪な気持ちを持たないでもらえるかしら?』
ごめんなさい深夜様…
「それでも、明日は雫を応援します。それに雫には対深雪用の秘策を教えてありますし、油断すると負けますよ?」
「…いじわるですね」
「それぐらいしないと深雪とは互角に戦えそうにないですからね。私のためでもあり、雫のためでもあります」
「私には…」
「決勝戦ぐらいは苦戦しないとでしょう? 敗北も成長には必要ですから、雫を応援するのは深雪のためでもあるんですよ?」
「……厳しいですね、真昼は」
「達也さんが甘いですからね。少しは必要ですよ」
本当にね…
というか、私といつも演習をしてるから原作より深雪は成長してるんだよね。
だから雫の方にもテコ入れしないと本当に手も足も出ないで負けちゃう。
結構露骨に贔屓したから、深雪がちょっと拗ねるのは想定内。
その辺のメンタルケアは達也に任せてたんだけど、私も結構好かれていたみたい。
……まあ深夜様いるし、そうかもね。
よーし、明日は雫の応援頑張るぞ!
深雪さん、拗ねる。
同情が大きいとは言え、深雪さんは普通に真昼を家族扱いで好きになりつつあります。
深夜様抜きでも、真昼は普通に善良な考えで深雪や達也を助けようとしているので信頼されてるんですね。
本人はそれに気づいていませんが…
なので事情は十分わかってはいても、自分を応援してほしいとわがままをぶつけた深雪さんです。
お兄様ならこれで堕ちるのですが、真昼さんは心を鬼にしてあえて敵になっています。
まあ、高校一年生の女の子ならこのくらいのわがままを言うのが普通でしょう。むしろ他が達観した人が多すぎる…