四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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達也視点での話になります。


会頭の筋肉式説得! 相手は負ける

真昼に不可思議な言葉をかけられた直後、部屋に通された俺は表情の固い幹部陣を見て厄介ごとの気配を感じた。

会長と会頭が一瞬目配せを交わすのを見るに、相当だな。

 

「……今日はご苦労様。期待以上の成果を上げてくれて感謝しています」

「選手が頑張ってくれましたので」

 

会長の労いに、義務的な謙遜で返す。

これが本題ではないだろうから、いつも以上に無愛想になってしまうのも仕方ない。

 

「もちろん、選手のみんなも頑張ってくれた結果です。それでも、達也くんの貢献が大きいのは、ここにいる全員が認めているわ。担当した競技で事実上無敗というのは…」

「七草先輩、本題に入りましょう。達也さん、単刀直入に言うとモノリスコードに出てほしい」

「真昼さん…」

 

まだ本題に入ろうとしない会長の話を強引に切って、真昼が端的に用件を伝えた。

その性急な話の進め方に非難の目を向ける会長だが、真昼はいつも通りの平坦な声で迎え撃った。

 

「達也さん相手にお世辞も話術も無駄です。事実を伝えて早く話を進めましょう。時間もそれほどあるわけではありませんし」

 

かなりひどい言われようだが、実際に早く内容を知りたかったのでありがたくはある。

そして、諦めた会長から『新人戦優勝のために代理チームとして出てほしい』という理由を説明されて、正式に参加を要請された。

……断るべきだ。

エンジニアとしてならともかく、戦闘能力で目立つのはまずい。

だが、そうなると真昼が止めないのがわからない。

……とにかく断るしかないな。

 

「実力を評価してくださったのはわかりますが、まだ他の一年男子に出場可能な選手がいるでしょう。それを無視してチームを組むというのは後々にしこりを残すと思いますが」

「それは……」

 

会長が反論しようとしてできない様子を見て、そのまま断ろうとした時。

 

「甘えるな、司波」

 

会頭の重みのある声が響いた。

 

「お前はすでに、代表チームの一員だ。選手かスタッフかは関係なく、一年生の中から選ばれたのだ。そして、今回の非常事態に際し、リーダーである七草がお前を代役として選んだ。そこに間違いがあれば、補佐をする我々が止める。我々以外のメンバーに異議を唱えることは許されない。誰であってもだ」

 

会頭は、全ての責任を持つから試合に出ろ、と言っている。

これから逃げることは、できない。

 

「逃げるな、司波。たとえ補欠であろうとも、選ばれた以上、務めを果たせ」

 

…逃げ道を塞がれてしまった。

こうなれば、試合に出場する他はない。

 

「分かりました。義務を果たします」

 

俺の言葉に、他の人の顔が安堵に緩んだ。

だが、まだ気になることはある。

 

「それで、俺以外のメンバーは誰なんでしょうか」

「お前が決めろ」

「はっ……?」

 

会頭から予想外の言葉が出てきて、思わず聞き返してしまった。

 

「残り二名の人選は、お前に任せる。今この場で決めるのが好ましいが、時間が必要なら一時間後にまたここに来てくれ」

 

……そういうことか。

ようやく真昼の言葉の意味がわかった。

この展開になるとわかっていれば、確かに俺が選ぶのはレオと幹比古になるだろう。

なぜ()()()()()()()()()()()()()()()()()はわからないが、わざわざ言うのだから意味があるのだろう。

それに、真昼の反感を買う理由もないしな。

 

「誰でもいいんですか? チームメンバー以外、参加資格のない人から選んでも?」

「え⁉︎ それはちょっと…」

「構わん。既に特例に特例を重ねているのだ。一つ二つ増えても今更だ」

「十文字くん…?」

 

不安そうな会長を横目に、俺はチームメンバーを宣言する。

 

「それでは1-Aの四葉真昼と、1-Eの吉田幹比古を」

「おい司波!」

 

服部先輩を市原先輩が制して、会頭が中条先輩に幹比古を呼ぶように伝えた。

 

「達也くん、人選の理由を聞いてもいいかな?」

「もちろんです。最大の理由は、俺が男子選手の試合も練習もほとんど見ていないということです。試合は明日です、今から調べていては作戦も調整も間に合いません」

「四葉は確かに君が担当していたからわかるが……吉田もか?」

「ええ、彼のことはクラスメイトというだけでなく、よく知っています」

 

渡辺委員長が俺に質問する中、会頭は真昼に質問していた。

 

「四葉、指名されたがお前はどう考えている」

「達也さんがよろしければ、私としては断る理由もありません。本来なら出場権利が無い競技ではありますが、私自身はまだ一種目しか出場していませんし、一高として勝利を目指すのであれば最善の選択であると思います」

「……そうか」

 

会頭としてはまだ何か言いたそうだったが、人選を任せると言った以上口出しはしないようだ。

その後、幹比古にチームメンバーになった通達がされて、特例の代理チームが結成された。

真昼の参加には大会委員も難色を示した(主に怪我の観点から)ものの、魔法大学の男女混合ルールを一部適用してプロテクター兼用の防御専用武装デバイスを使用することで参加が認められた。

 

「それで、なぜレオの代わりなんだ?」

 

大会規定を満たしているCADを真昼と選び終わり、部屋に戻りながら選出の理由を聞く。

盗聴の危険がないことを確認した真昼は、小声で理由を話した。

 

「…レオの祖父、ゲオルグ=オストブルクはローゼン・マギクラフトが()()した調整体魔法師『ブルク・フォルゲ』シリーズの第一型式、その中でも数少ない精神的自壊を免れた存在で、その遺伝子には価値があります」

「……なるほどな、放送に映すのは不味いというわけか」

 

はい、とやはり平然と頷く真昼。

確かにその理由ならレオを不特定多数が見る試合に出すのは不味い。

そして、事前に説明できなかった理由も。

仮に真昼の参加が認められなかった場合、レオのことは裏から手を回して俺には説明しないつもりだったのだろう。

 

「だが、それなら他の人を選ぶように言えばいいんじゃないか? 真昼を出す理由はなんだ」

「…そうですね、達也さんには言っておきましょうか」

 

  達也さんが一条を倒さないためです

そう告げた真昼は、この大会で一番真剣な顔をしていた。




お待たせしました。
劣等生読み直して勉強してました…
防御デバイスの追加で参加OKにしたのもそこから持ってきています。

次こそは調整が終わって試合に行くはず…!
いや、プリンスの独白を入れるのもありか…?

活動報告の方も更新しました!
暑過ぎて作ったイラストを投稿しています。
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