四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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真昼さんがんばる
一条視点→幹比古視点→老師視点と変わります


四葉を継ぐ者

「ぐっ…!」

 

身体全体にかかる強烈な加速度に耐えつつ、四葉さんに空気弾のカウンターを撃ち込む。

吹き飛ばされながらも手応えは感じたが、同時に決定打にはなっていないこともわかっていた。

実際に対峙すると嫌でもわかる。

四葉さんの魔法力は俺を超えている。

おそらくデバイスの制限なしの実戦であれば、俺の勝ち目はほとんどなかっただろう。

だが、これはルールのある魔法競技。

お互い制限があるということは、元の実力の大小よりその力の使い方が重要になる。

そして、俺以上に四葉さんは()()()()()()()()相手を倒すのに手間取っているように感じる。

俺も経験があるのでわかる。

必殺の威力があるのに、あえて抑えて強敵を無力化しなくてはならないというのは、時に殺し合い以上に厄介な時がある。

これまでの試合では、四葉さんはそこまでの実力者と当たらなかったから問題にならなかったのだろう。

だが、俺はそこまで甘くない。

そして、少なくともモノリスコードの競技経験であれば、俺の方が勝っている。

 

「……」

 

なんとか取った受け身から立ち上がると、視線の先には薙刀状のデバイスを振りかぶっている四葉さんがいた。

確実に吹き飛ばしたはずだが、やはり防御されていたようだ。

追撃のために特化型を向ける。

その瞬間、俺の背筋が凍りついた。

……なんだ⁉︎

ほんの一瞬、爆発的な魔法力を四葉さんから感じた。

今まで、四葉さんは一般的に優れた魔法師レベルの魔法力しか見せていなかった。

それは魔法の隠蔽に長けている四葉の一族としては当然だと考えていたが、それが一瞬緩んだのか?

フードに隠れてその表情は分からないが、漏れ出た想子が刃先と柄の間に収束して長大な一本の刀と化している。

アレに当たったら不味い。

そう、直感した。

 

「っ…‼︎」

「……」

 

横薙ぎの一振りを飛び上がって避ける。

そのまま空中で反撃のために照準をつけると、四葉さんは片手をデバイスから離してこちらに向けていた。

次の瞬間、眩い想子光とともに俺の身体は撃ち落とされた。

 

「ガハッ!」

 

あれは『術式解体』⁉︎

四葉さんも使えたのか⁉︎

想子弾が当たったショックで混乱する俺の身体に、返す刀の一撃が入った。

想子の刃が通り抜けた部分が、本当に斬られたように痛む。

多少とはいえ防御していたはずなのに、それすら突破されたようだ。

それでもまだ身体は動く!

気合いを入れて立ち上がると、視界がぐらりと揺らぐ。

さっきまでとは違う位置にいつのまにかいる四葉さんがこちらに手を向けている。

光波振動系魔法で視界を狂わせたな。

そう判断して周囲一帯を振動系魔法で冷却し、確実に攻撃を通しつつ幻術を解除する。

しかし、魔法が解除された俺の前には呆然として倒れている()()()()()()()ディフェンス。

その事実を受け止めるより前に、数倍になった重力が俺に襲いかかり視界が白く染まった。

 

            

 

真昼さんによって敵陣に飛ばされたことで、僕と達也は三高の二人と乱戦になっていた。

基本的には達也が魔法を無効化し、その間に僕が魔法を完成させる。

だけど、相手もどちらかが防御していて決定打にならずにいた。

そこに、一条選手からの無差別攻撃。

僕と達也は結界によってなんとかしのいだけれど、三高のディフェンスはダウンした。

…チャンスだ。

 

「達也、ここは僕が!」

「ああ、任せた」

 

達也の言葉に、ローブの精霊を喚起して応える。

そして、CADに複数の魔法を連続して打ち込んで発動した!

三高陣地は、真昼さんの魔法によって焦土と化している。

だから、本来の草原ステージでは発動しにくい『土』の属性、そしてそこから生じる『金』の精霊魔法を簡単に発動できる。

手を地面につくと同時に、『地鳴り』『地割れ』によって地面が揺れながら割れる。

そこから飛び上がろうとした吉祥寺選手に、地割れで無数に発生した砂利が蛇のように絡みつく。

『金縛り』という言葉と、五行の『金』属性による拘束の魔法。

それによって跳躍を無効化された身体が『蟻地獄』によって沈み込む。

『土』『金』と続けば、次は『水』。

半ば沈み込んだ吉祥寺選手の身体に、地面から立ち上る霧が纏わりついて急速に体温を奪う。

慌てて対抗魔法を発動しようとしていたけれど、『金縛り』による拘束でもたついている間に意識を完全に奪うことができた。

 

『なんということでしょう‼︎ 一高チームの勝利です‼︎』

 

実況の叫び声と試合終了のブザー音。

そして観客席の歓声によって、ようやく現実を認識できた。

 

「勝った……のか?」

「ああ。最後のはすごかったぞ」

 

達也にポンポンと肩を叩かれて振り返る。

試合の半分以上の時間走り回り、『術式解体』を使っていたはずの達也はいつもと変わらず平然としていた。

そのスタミナに呆れながらも、興奮で忘れていたもう一人の存在を思い出した。

……そうだ! 真昼さんは⁉︎

 

「真昼、大丈夫か?」

「……『さすがに疲れました。今は休みたいですね』」

 

『小通連』を杖代わりに、ゆっくりと歩いてくる真昼さん。

その顔はいつもと変わらないように見えるけれど、確かに試合前と比べて活気がないように感じる。

威圧感というか、生気が半分近く減っているようだ。

 

「会長たちには俺から言っておこう。深雪には……もう外で待っているようだな。真昼はこのまま部屋に戻って休むといい」

「そうだね。今日は真昼さんが大活躍だったんだし、ゆっくり休んでほしい」

「『ええ、すみませんがそうさせていただきます』」

 

そう一言告げた真昼さんは、観客席から慌てて駆けつけてきていた深雪さんに支えられて出て行った。

僕と達也は、優勝に沸く観客席に軽く手を振りながら、ゆっくりと会場を後にした。

……勝ったんだ。最後は、僕の力で。

会場の外。

観客の目がなくなってから、僕は小さくガッツポーズをした。

 

            

 

「…ハッハッハ‼︎」

「せ、先生。いかがされましたか?」

 

来賓席に響く笑い声。

それは試合直前に訪れた、老師から放たれていた。

四葉真昼が吹き飛ばされてからは、呆然と試合を眺めていた老師の突然の行動に恐る恐る尋ねる大会委員。

それに対して、愉快でたまらないという様子でひとしきり笑った後に老師は答えた。

 

「いや、一条の御曹司も素晴らしかったが、真夜の娘は予想外だった。彼女は四葉を……いや、()()()()()()間違いなく受け継いでいるようだ」

 

ぜひ一度、直接話がしたい。

そう言葉を発した老師の口は、試合の結果以外の要因で歪んでいた。




真昼さんが結局勝ちました。
使用した『術式解体』ですが、普通の数十、数百倍の想子を持つ達也ほどではありませんが、真昼も数倍程度の想子は持っているので一、二発程度なら撃つことができます。
なので最後の切り札として温存していました。

幹比古くんはがんばりました。
真昼さんが一番気をつけたのがこの点なので、自信をつけてくれてほっこりです。

老師、気づく。
まあ……しかたないですね!
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