四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
「……考えすぎです。私としても情報の共有が遅くなったのは申し訳ないと思っていますが」
「この前は大会中だから深掘りはしなかったが、今回の一件について正式な報告が昼に臨時師族会議にて行われた。四葉のみでは手が足りずに完全な殲滅が遅れたとのことだったが、ならばその時点で協力を求めるべきだ。なぜそうしなかった?」
十文字先輩が厳しい表情で問い詰める。
真夜様はいつも通り意味深に誤魔化したんだろうなぁ…
とすると、私もあんまり本当のことは言えない。
というより、達也を目立たせたくないとか言うと、芋づる式に司波家のことがバレちゃうし。
ここは別の理由を話そうか。
「答えろ、四葉」
「……そうですね。ここなら盗聴の危険もありませんし、お答えしましょう。ですが約束してください。これは国防にも関わる極秘事項です。伝える相手は最小限に止めて、絶対に漏洩しないと」
「わかった。約束しよう」
即座に頷いたのを確認して、遮音と不可視の結界を展開する。
効果を『観て』確認してから、静かに話し始める。
「今回の黒幕には、インターネット回線を通る情報をその暗号強度に関わらずハッキングして確認できる技能があります。相手の現在地や身分その他の情報は不明ですが、少なくとも四葉が使う暗号通信ですら通用しないのは確かなようです」
「……なるほど、それで師族会議の報告を事後にしたということだな?」
「はい。十師族のルール上、共闘には必ず会議を召集する必要があります。それでは敵に情報が筒抜けになってしまう」
「その盗聴を防ぐことはできないのか?」
「今のところ、確実な方法はインターネットを使わずに情報をやりとりすることだけです」
「そうか……」
考えこむ十文字先輩。
まあ顧傑やフリズスキャルヴのことまでは詳しく話せないけど、これだけでも十分でしょ。
この理由なら、下手に話せないことも嘘をついたことも説明できる。
それに、四葉単独で動いたことも。
「今回の件で、わざといくつかの組織の殲滅を遅らせたことで、黒幕の炙り出しを進めています。正体が明らかになれば、捕縛に協力をお願いすることもあるかと思いますが…」
「事情は理解した。生徒に被害が出たことについては抗議したいが、そういった理由であればやむを得まい」
「ご理解頂きありがとうございます」
「だが、今後も可能な限りこういった形で情報共有はしてもらいたい。これは、十師族同士の信頼関係に関わる問題だ」
「……善処します」
うーん、正直やる気はないんだけど……しかたないか。
まあ十文字先輩自体は良い人だし、敵対するのも良くないしね。
「用件は以上ですか?」
「もう一つある」
「なんでしょう?」
「春の模擬戦、および今回の大会で四葉はその力を十分に示した。十師族として素晴らしいことだと思う」
「ありがとうございます」
「そこで、十文字家として交際を申し込む」
……は⁉︎
え、いや、ちょっ⁉︎
話の流れおかしくない⁉︎
いや、この話をするならさっきの話の後にするしかないんだけど、もっとこう……なんかあるでしょ⁉︎
「……先程、一条からも今後の交流を要望されましたが」
「? 問題あるまい。俺も七草とは家同士でそういう話が出ているし、七草も五輪と婚約の話が出ている。正式な婚約ならともかく、交際であれば複数同時でも構わないだろう」
……えーっと、そうかぁ…
うん! この人恋愛関係とかわかってないな⁉︎
まあ私も恋愛マスターとは思ってないけど、少なくとも一条の方がまだムードがあったよ⁉︎
思考のベースに『十師族であること』がありすぎて、普通の感性が一部どこか行ってるよ⁉︎
「……私としては、お母様の許可の必要な婚約でないのであれば構いません。十文字家や先輩とは今後も仲良くしていきたいと思っています」
「そうか。よろしく頼む。話は以上だ、長々とすまなかったな」
「いえ……」
……なんかどっと疲れた…
時間を置いて会場に戻ると、結構いい時間になっていた。
まだラストダンスまでは時間があるけど疲れたし、気配を消して端っこにいよう…
「真昼、どうしたんだ?」
「達也さん……いえ、少し疲れただけです」
ちょっとゆっくり歩いていると、そう声をかけられた。
達也はたぶん七草先輩と踊り終えたんだろうね。
疲れ切った表情で壁に寄りかかっていた。
「会頭と話していたようだが、そんなに大変な話だったのか?」
「今回の妨害の件と、交際の話を一緒にされました」
「……そうか。大変だったな」
それだけでだいたい悟ったのか、視線が同情的になった。
本来なら達也がする話だったんだよ…⁉︎
まあ、それを回避するために頑張ったからいいんだけどさ。
ため息をついてホールを見ると、一条の周りに人だかりが出来ていた。
うーん、やっぱり家柄も顔も性格もいいから大人気だね。
というか、達也も結構視線を向けられてるけどいいの?
そう思っていると、居心地悪そうにしていた達也が手を差し出してきた。
「疲れているところ悪いが、ダンスに付き合ってくれるか?」
「私は気疲れですから構いませんが、達也さんはいいんですか?」
「真昼となら疲れないようにゆっくり踊っても問題ないだろう。ここで視線の的になるよりはいい」
確かに。
理由に納得した私は、達也の手を取ってまたホールに出た。
一応ダンスを(詰め込みで)習った私に比べて、達也のそれは機械的でなんか……優雅さが足りない。
「達也さん、深雪と一緒に習ったりしなかったんですか?」
「機会もないと思っていたからな。真昼の方こそいつ習ったんだ」
「春に詰め込みで礼儀作法と一緒に。なのであまり期待しないでください」
そんな色気のない会話をしながら、時間をかけて踊ったおかげでラストダンスまではなんとかなった。
最後はワクワクしながら深雪が達也と踊っているのを見ながら、私は疲れて端っこで休んでいた。
その笑顔を見ながら思う。
今回もなんとか無事に……無事に? 終わってよかった…と。
『安心するのは早いわよ。夏休み中に先生のお孫さんの治療もあるし、申し込まれた交際についても考えないといけないのだから』
わかってるけど……今はいいじゃん。
私の目標である、達也と深雪の幸せがまた一つ叶ったんだからさ。
……さて! 次は論文コンペか。
またがんばっていくぞー!
九校戦編終了!
いやー、長かったですね……途中でエタるかと思いました…
私自身のメンタルが途中でほぼ逝きかけたのもあって、だいぶこの辺りの話は難産になりました。
この後は夏休み編を少し挟んで、横浜事変編に進みたいと思います!
また番外編等も更新していきたいです。
これからも応援よろしくお願いします!