四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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アイエェェー⁉︎ ニンジャ、ニンジャナンデ⁉︎


よくよく考えると忍びと宗教って関係なくない?

偽装術式『仮装行列(パレード)』。

この世ならざるモノへの対抗とか、精霊を使った身代わりとか、位置や姿の偽装とか色々とあるけど、要するに完璧な幻像を作り出す魔法だ。

第九研の成果を解析している時に一緒に手に入れてしまった魔法なのだけど、これに関してはちょっと面倒な事情がある。

この中核要素に九重の『纒衣』が組み込まれているので、下手に広められないということ。

事実としては私の研究所が勝手に術式を再現してしまっただけなのだけど、客観的には九島家から術式が漏洩したように見える。

なので、勝手に術式を取得しちゃってゴメン! 九島家は関係ないし、もう広めないよ! という話をするために、私は長い石段をがんばって登っている。

もう、ゴールしてもいいよね…?

 

「いやはや、まさか入り口の前で倒れそうになってるとは思わなかったよ」

「……すみません…」

 

冷えた麦茶を貰って、ようやく整ってきた息を吐いて返事をする。

意地を張らずに魔法で登ればよかった…

いや、なんか魔法で登ったら負けな気がしたんだよね。

ちょっと体力もついたかな? と思っていたらこれだよ…

 

「それで、わざわざ四葉の君が何の用かな?」

「今日は四葉家次期当主候補ではなく、研究所所長として来ています。副次的なこととはいえ、『仮装行列』の術式を手に入れてしまいましたので、その報告と今後拡散しない約束をしに来ました」

「……へえ、優秀だね」

 

ぞくり、と背筋が震える。

表面上は何も変わってないように見えるけど、雰囲気が変わった。

これだから行きたくなかったんだけど、やらなきゃいけないことだから…

 

「それはこの前九島家に行ったことと関係しているのかな?」

「いえ、それとは関係ありません。こちらをご覧頂ければ分かるかと思います」

 

私は今時珍しい練絹の風呂敷を解いて、その中の漆塗りの桐箱を開ける。

中には刻印魔法に使われる感応性合金のプレートや、金細工の根付、巻物や木の護符など形は様々なものの、どれも魔法発動の補助具となる法機が入っている。

そして、その一番下には和紙で製本したそれぞれの術式の詳細解説書。

 

「これは現代から過去、術式の原点まで遡って再現した各時代の『仮装行列』の術式とその法機です。各魔法技能師開発研究所の成果を調べた際の結果ですが、情報源は私個人の能力に依存していますので第九研は関係ありません」

「そうかい。目を通しても良いかな?」

「無論です」

 

パラパラと冊子をめくって中身を確認する九重先生。

あれ昔の術式とかは現代語訳あっても相当難しい術式なんだけど、わかるのかな?

そんなことを気にしていると、流し読み終えた彼は頭を軽く叩いて笑っていた。

 

「いや、本当によく調べたね。本山でも失伝しているような部分まで補完されている。俗説というわけでもないみたいだし、どうも本当に過去を遡って調べられるようだ」

「そうですね。時間はかかりますが、私の調査能力には遡る時間の限界はありません。『いつ』『どこで』それが起きたのかが分かれば、その情報を取得できますし、失伝したものでも『どこから』途切れているのかが分かれば、その時間・場所から辿っていくことができます」

「歴史研究には望外の能力だね」

 

魔法研究にもね。

特に研究所なんか、四葉でもない限りは場所がわかってるし。

あとは適当な時間を指定して視れば研究の盗用し放題。

その成果が私だからもう本当に救えない…

 

「順序が逆になってしまいましたが、研究に協力していただいた、ということにしていただけませんでしょうか? そちらの成果は箱ごとお渡ししますので」

「もちろん、口外しないんだよね? そこだけは念を押させて貰うよ」

「はい。私が個人として護身用に使うのはお許し頂きたいですが、それ以外ではたとえ実子であっても許可なく術式を開示しません」

「ならいいよ。術と術の交換だ」

 

そう言って、私が持ってきた風呂敷ごと持っていく九重先生。

まあ実際、箱も風呂敷も魔法具だから、既知の中身よりも九重家にとってはそちらの方が価値があるかもしれない。

対破壊・保存・負荷軽減・減速領域などなどの術式が保存してある半レリックといっても過言じゃないものだからね。

作るのが大変だったよ…

 

「それにしても、君みたいな人が四葉の次代か。ずいぶんと雰囲気が変わりそうだね」

「そうでしょうか?」

「うん、これまでの四葉はどちらかというと、追い立てられて成長を急いでいた、鬼気迫る勢いがあったのだけど。君はそこまで切迫していない……そう、余裕がある」

 

余裕か。

確かに達也とか出る前の四葉は人材も戦力も減ってて大変だったからね。

まあ私の場合は四葉家への帰属意識が低いのもありそう。

低いというか……お母様と同世代組以外は最悪全滅しても良いんじゃない? みたいな。

最悪の場合でも必要な人をどこにでも逃がせるのだから、守るための組織が必要ないんだよね。

最悪の最悪でも、一人ディオーネー計画でもしてればいいし。

 

「……まあ、君たちがどんな研究を完成させようが、俗世を捨てた僕には関係のないことさ。それこそ()()()()()()()()()()()()()()

「いまさらそんなことはしませんよ。過去には人造魔法師実験で喚んでいましたが、もう不要です」

「それがいいよ。穢れを嫌う人はまだまだ多いからね」

 

……なんでそのこと知ってるんだろ。

カマかけただけなのかな?

今でも喚ぼうと思えば喚べるけど、必要ないしやらないかな。

人造精霊とかで十分だしね。

 

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ、お土産までもらっちゃったからね」

 

帰りは魔法で降りて大丈夫だよ。

そう言われた私だけど、立ちあがろうとして足が痺れているのに気づいたので、結局帰りも同じぐらいの時間がかかってしまったのだった。




ブッダの……ニンジャ!
法機や本は真昼さんが夜なべして作りました。
そしてクソザコ体力…
慣れない正座をするからこうなる。
たぶん深雪さんはもうちょっと慣れてると思います。

活動報告も更新したので、見ていただけると助かります。
アンケートというか、意見も募集中なので…
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