四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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企業城下町ならぬ、研究所城下町
達也視点です!


★伝統とは、各々が信じるものである *イラストあり

そろそろ新学期も始まりそうな8月の末。

研究所に最も近い春日台のキャビネット駅から降りると、既にかなりの人で賑わっていた。

原因はすぐにわかった。

駅前から研究所までの通りに、大量の屋台が出ている。

食べ物の屋台が多いが、スーパーボールすくいやお面など、前世紀から続くような伝統的な屋台もポツポツと見える。

カラフルな小さな動物のぬいぐるみ(カラーひよこと屋台には書いてあった)を売っている店もあり、どちらかと言えば年配の人々が感慨深げにそれを眺めていた。

 

「これは……確かにお祭りですね…」

 

深雪の言う通り、これでは研究発表会というよりお祭りというのが正しいだろう。

だが、前世紀の祭りと違う点もある。

最も大きいのは、エアドームのように頭上に張られているシートだろう。

薄膜ソーラーパネルを兼ねたそのシートは、夏の日差しを程よく遮り内部の気温を快適に保っていた。

また歩行者のために自動車の侵入が禁止されている代わりに、建物の二階の高さには運搬用のドローンが多数行き来していた。

 

「達也さん、深雪。来てくれてありがとうございます」

 

 

【挿絵表示】

 

真昼がどこからともなく現れて、そう話しかけた。

和風なのか洋風なのか、中華風なのかわからない服装をしていたが不思議と調和しているその足元は高機能性素材のブーツ。

見た目と違い、履き心地だけでなく簡単な歩行補助機能もある。

どうやら案内をするというのはそのまま自分で案内してくれるようだ。

 

「おはよう。その……似合ってるわ」

「研究所の敷地内だとこっちの方が合っているから」

「?」

 

深雪の疑問は、屋台の群れを抜けて研究所の正門を見た途端に解消した。

元々相模野の研究所は、首都防空陣地を買い取ってその跡地に建設されたものだ。

国防軍が対空陣地を建設する際、相模野にはゴルフ場があり大きな道路も通っていたため大規模な建設作業が可能であり、周辺の相模川、串川、中津川を繋げて天然の堀とすべく、一緒に河川工事が行われて相模野の山地は完全に川で囲まれた。

その中で元々市街地だった春日台方面に正門が設けられているのだが、人工的に掘られた川の向こうに見える街は全て赤煉瓦の街並みだった。

いや、家だけではない。

堀もそこにかかる橋も、壁も全てが煉瓦造り。

ご丁寧に川の外側にある検問所も外壁は煉瓦で作られており、周辺には写真を撮っている若い人達もかなりの数集まっていた。

 

「えっと……すごいわね」

「中はもっと時代錯誤だから」

 

真昼が検問所の守衛に身分証を見せて俺たちを中に入れると、門の中がよりわかるようになった。

道路は石畳。道路脇にはガス灯を模した街灯に、木材調の合金梁を使った煉瓦造りの住宅街。

キャビネットはご丁寧にも路面電車風に改造されており、近くの通りには公衆電話まで設置されていた。

そして服装についても外から来た一般の見学者が着ている洋服の他に、着物やドレス、真昼のような両者を混ぜたような服を来ている人もおり、一気に時代が一世紀巻き戻ったような雰囲気になっていた。

 

「ここまでする必要はあったのか?」

「研究所設立の際に、古式魔法師の協力を頂いたのですが、街並みだけでも伝統的なものにしたいと主張がありまして……結局、木造は耐火性に難があることと、伝統と最新技術の融合という面でこのスタイルが一番だということで、1920年代の街並みの再現になりました」

 

ちょうど空きが出た馬車に乗り込んで、街を見ながら進む。

馬車とは言っても、路面が整っているのと最新のサスペンションが利いていて快適だ。

 

「ここは今日のような発表会で使用する会場や宿泊施設、それから研究員の住居があるエリアですね。研究所本体は山の上になります」

「そこは今回の公開エリアじゃないだろう」

「そうです。なので達也さんと深雪は特別待遇ですね」

「どうやって山の上まで行くの? 馬車?」

「ケーブルカーです」

 

唖然とする深雪が外を見ると、確かに山の上まで路線が伸びていた。

……本当に、ここまでする必要はあったのだろうか?

 

「地下から魔法を使って高速移動することもできますが、せっかくですから上から街を見てもいいと思いますよ」

 

真昼の言葉通り、ケーブルカーで街全体を見下ろしてみると、色々とわかることもあった。

全体として碁盤の目に整備されつつ、非常時には封鎖しやすい場所に物資や警備詰所が配置されていること。

建物の高さやソーラーパネルの光吸収率を調節し、極端な日当たりの偏りが出ないように街全体が構築されていること。

そして反射した光が山の上の研究所、その壁に当たって熱発電ができるようになっていること。

これは、街づくりから綿密に計画された人工都市だ。

深雪は、監視カメラや通信用アンテナが全てそのまま見えないように街灯や外壁に隠されていることに感心していた。

 

「すごいですね……ここまで先端技術を自然に組み込むなんて」

「研究所内はさすがにもうちょっと現代風ですけどね」

 

ケーブルカーの終点で降りると、そこは広大な農場だった。

まず、下で馬車を引いていた馬の放牧場に羊、牛、豚もばらばらに歩いている。

さらには鶏や兎も柵の中で走り回っており、ため池には鴨も泳いでいた。

 

「ここで生産された食材が、今日提供されているものです。横のガラス温室では二酸化炭素を研究所内から、日光は下の街から集めて、高効率で野菜を育成する実験をしています。温度調整が難しいので、発電との効率を両立させるのが課題ですね」

「これだけあれば自給自足できるのか?」

「ええ、毎年この祭りの食材を提供しつつ、日常の食事でも材料の九割以上は研究所内で賄うことにしているので、籠城することになっても数年は問題ありません」

 

なるほど、これは四葉の村とは違う形の要塞だ。

場所はバレてしまっているが、有利な地形と時間をかけた街の構築においては参考にすべきところも多いだろう。

 

「では、本題のレリックの場所まで案内しますね」

 

その言葉とともに、俺たちは更に深みへと進んで行った。




大正浪漫が好きだ!
馬車道制服とかロマンの塊みたいなものですよね…
今回の街のイメージは、とあるシリーズの常盤台+ごちうさの木組みの街+大正浪漫とレトロフューチャーって感じです。
なお、最後までどっちにするか迷ったかっこいい真昼さんを置いておきます。

【挿絵表示】


次はレリック編かなぁ…
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