四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
ひと通り試合が終わった後、一旦休憩を入れることにした。
レオと衣白がエネルギー切れだったし、恋路もおやつだけじゃあんまり持たないしね。
そこまでではないにしろ詩納斗や夏雲も疲れているのは確かだし。
そんなわけで、中華粥をデリバリーしてみんなで食べる。
お粥にしたのは消化がいいのと、大量に用意できるから。
予想通りレオが猛スピードでガツガツとかき込む中、衣白や恋路もそれなりに食べていた。
私とエリカは一緒に頼んだ月餅を食べながら試合の内容トーク。
「やはりエリカが一番参考になりますね」
「というより、全体的に戦い方が素人っていうか…雑なのよ。魔法は使いこなしてるのに、戦闘と息があってないというか……いい武器をただ振り回してるだけ、って感じ」
「魔法は教えられても戦闘は教えられませんでしたから…」
「あとそれ以前にどう教育したらあんな性格になんのよ。高飛車に挑んできて負けたら泣くし」
「それも、まともな教育者というか人格者がいませんでしたから…」
この研究所にあるのは魔法研究の資料とそれに骨の髄まで没頭した人だけだよ。
倫理観はいつ置き去りにしちゃったんだろうね…
その後、詩納斗や夏雲もエリカに切り伏せられて
レオはさすがに今日の試合はもうできないので、遠夜と一緒に外を見て回るとのこと。
幹比古もそれについていったので、残りのメンバーで素振りや構え、足運びなどを習った。
学習能力自体はみんな高いので、三人が帰ってくるまでにはそれなりに形になっていた。
だからこそ余計にエリカが研究所の教育に呆れていたけど…
「真昼さん、街のことで少し聞きたいことがあるんだけど…」
「なんでしょうか」
「街の道や水路は、風水を意識して作られているのかい?」
幹比古の疑問は古式魔法師なら当然のこと。
というか、昔の都は陰陽道とかの要素を加味して造られているから、真似をするとどうしても風水的な影響を考えざるを得ない。
「ええ、この街は北に山、東に川がありますから。四神相応というには少々足りませんが、古式魔法の儀式場としても使えるように設計されています。頻度は多くありませんが、古式の方に中央広場を貸すこともありますよ」
「やっぱりそうなんだ。偶然とは思えないほど条件が整っていたからね」
「魔法の基礎理論研究のためには昔からある魔法の解析が不可欠ですし、そちらへの支援も研究所の業務の一つですので」
納得する幹比古だったが、中央広場の貸出料を聞いて驚いていた。
値段の高さではなく、安さに。
いや、星明かりが必要だから電気消せとか条件つけると流石に高くなるけど、場所を借りるだけなら数万円で借りられる。
古式魔法の継承者がみんなお金持ちなわけじゃないから…
身元を洗いざらい調べられて手続きが面倒なことを除けば、相当お得なこのサービス。
こちらは魔法を観測できてハッピー。
あちらはそもそも他の場所では使えなかった魔法を使えて、周りに対する面子を保ててハッピー。
自前で霊地を用意できない中小組織からは、毎年それなりの金を稼げるし世間的にも慈善事業みたいな感じでイメージアップ!
建設当初の思惑とはズレてる気がするけど、今のところ上手くいってるからヨシ!
その後もちょっと街の結界や造りについての話をして、解散することに。
いい経験だったね。みんなが。
「お嬢様、旗見さんもそろそろ…」
「あ」
ぐっすり眠っていた十重を起こせず涙目で作業していた先輩も回収して、本当に全員解散!
十重はお仕置きとして詩納斗と夏雲の強制トレーニングの相手をさせた。
そんなことはさておき、私と旗見先輩はその後数日間研究所で発表準備をしていた。
まあ機材もろもろは研究所の方で準備してくれるから、私たちは発表の読み合わせとか、タイミングの練習が主なんだけどね。
あと普段は見ることのない高難易度の魔法に、旗見先輩や護衛で来ていた沢木先輩が興奮していたのも面白かった。
まあ普通は『高温で収束させた窒素空気塊を上から指向性を持たせて当てる』なんて面倒な魔法は使わないからね。
あとはもう研究用みたいな魔法になるし。
それこそ『分解』とか、あとは『錬金』とかもそうだよね。
面白いのは移動系と振動系の互換性かな。
移動系を二連続で発動して相手を揺さぶり無効化する魔法がよく使われてるけど、それを極低周波で代用できないかというもの。
振動周期を半周期に設定すれば、理論上は加速・移動・減速・停止の工程を半振動という一工程にまとめられる。
正直、加速・振動は同じ現象をマクロで見るかミクロで見るかの話なので、重複している部分が多い。
そしてこの系統は戦闘でよく使われることもあって、沢木先輩も真剣に見ていた。
「君が四葉さんの護衛か、よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
遠夜ともすぐに仲良くなって、なんか軽いスパーリングとかしてた。
確かに沢木先輩はコミュ強の陽キャだけど、四葉の護衛に遠慮なく絡んでいくの強過ぎない?
なんだろう……人を見る目ってやつなのかな。
もしかして私が内心オロオロしたりするのもわかってたりする? こわい…
「今日はこのくらいにしましょう。一区切りつきましたし。明日からは細かい修正と本番用の機器の操作になりますから」
「はい! お疲れ様でした!」
「それでは家まで送ろう」
「いえ、私はこれから少し外に用事がありますから車を出します。確か沢木先輩の家の方がこちらからは近かったですよね? 遠夜と甜奈も連れていきますので、お送りします」
「そうか。ではお言葉に甘えさせてもらう」
「あ、あぅ……よろしくおねがいします…」
運転を遠夜に任せて(特例を使って普通車免許取得済み)二人を送る。
遠慮したそうな旗見先輩だったけど、あっさり沢木先輩が受け入れてしまったので流されて車に乗り込んだ。
初めて見る防弾リムジンに固くなった旗見先輩を後部座席に押し込んで、日がほとんど暮れた街に駆り出す。
最後まで恐縮しきりな旗見先輩だったけど、住んでいる部屋のセキュリティはもっと高くしないとダメだと思うな。
重要な資料は全部研究所で保管させてるからいいけど。
「お嬢様、どちらに向かいますか」
「そうですね…」
軽く情報を『観て』場所を確認する。
…やはり、大きくはズレていないみたいだね。
「浅川沿いの裏路地に向かってください。細かい方向は都度指示します」
「かしこまりました」
スムーズに車を進めること十数分。
魔法による燃焼を確認したので、さらに範囲を絞って一番可能性のある場所の近くへ車を停める。
「遠夜はここで車を守ってください。甜奈は私と行きますよ」
「「はい、お嬢様」」
実戦で使うのは初めてな自己加速術式で細い路地を駆け抜けると、その人物をギリギリで捕捉できた。
私の倍ぐらいあるんじゃないかと思わせる大柄な身体。
そして染み付いた
「『呂剛虎』、やはり探り回っていたのですね」
「四葉、真昼…!」
相手の眼が驚愕しつつもこちらを狙って鋭くなる。
私も甜奈も準備は万全。
人喰い虎との1stラウンド、開始!
いきなり虎狩りを始める四葉……コワイ!
少なくとも手傷は負わせて帰ってもらう!
次回は虎狩りです!