四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎   作:例示

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襲われる人間さんサイドにも責任はある。
前半は呂剛虎視点、後半は真昼視点です。


虎狩りの伝説は大体捏造

「やはり、探り回っていたのですね」

 

その声に目を見開く。

確認のために目を凝らすが間違いない。

今回の任務における最大危険要素にして最高位襲撃目標。

『あの』四葉家の次期当主であり、当時の悪夢を思い出させるような魔法『流星群』の使い手でもある   

 

「四葉、真昼…!」

 

資料では見ていたが、実際に見るとやはり小さい。

身長もそうだが、痩せすぎというべきなほど華奢な体軀なせいで年齢より幼く見える。

だが、古式魔法……その中でも『気』に関する魔法を扱う自分には分かった。

彼女の『気』が恐ろしく濃密で、それでいて一滴も無駄に放出されていないことが。

魔法力だけでなく、そのコントロールも高度なレベルにある。

予想通り危険で、排除すべき敵だ。

……だが、今ではない。

 

「逃しませんよ」

「…‼︎」

 

隠形で逃げようとした瞬間、路地を覆う電撃の網。

咄嗟に情報強化の鎧に変更して防いだものの、その時にはすでに無数の光が瞬いていた。

 

「『流星群』」

「ガァ‼︎」

 

直感的に壁を蹴って上へ逃げる。

その判断は正解だったようで、細い路地を光のラインが埋め尽くしていた。

だが、無傷では抜けられなかった。

ギリギリで上半身は守ったものの、下半身は避けきれなかった攻撃によって所々血が滲み、特に左腰と右太ももは直撃に近く大量に出血していた。

…ここでは勝てない。

そう判断し、壁をさらに蹴ることで近くの窓から廃屋の中へ入る。

そのまま建物の中で距離を取り、一度足を止める。

止血剤で血を止めた後は、気功で痛みをブロックする。

ひとまず秘匿基地に戻るまでは持つだろう。

 

「!」

 

魔法発動の気配。

反射的に窓から先ほどの路地とは別の道に飛び出すと、背後に光のシャワーが見えた。

……どうやら、四葉は遠隔魔法にも優れているらしい。

だが、その追跡には時間がかかるようだ。

隠形はそれほど長けているわけではないが、速さと組み合わせれば撒くことは可能だ。

そう判断し裏路地を何度も曲がり、念には念を入れて緊急用の連絡拠点に駆け込む。

 

「隊長、目標は完遂しました。しかし四葉が…」

『わかっている。既に別部隊を送った。すぐに戻れ』

「是」

 

ここは盗聴対策を施しているとはいえ、本部に比べるとさすがに簡易と言わざるを得ない。

そのため通信を察知される可能性は、あの四葉に対しては決して低くない。

端的な指示に短く応えて通信を切ると、隠形を最大限に展開してこの場を去った。

次に会う時は、必ず殺すと心に決めながら。

 

            

 

『お嬢様、こちらに十人前後の戦闘員が迫っております』

「武装は?」

『大口径ライフルです』

 

遠夜からの連絡で、私は撤退を決めた。

逃がさないとか言ったけど、今回は怪我させるのが目的だしね。

しかしあんなに勢いよく逃げるとは思わなかった。

戦力差を冷静に判断したから? それとも別に計画がある?

……あとで『照魔鏡』で確認しよう。

 

「合流後すぐに研究所に帰ります。ルートは問題無いですか?」

『どちらも包囲されているので交戦は避けられないかと』

「……わかりました。今すぐ車を発進させてこちらに向かってください。私と甜奈は()()()()()()

「かしこまりました」

 

通信を切って自己加速術式に集中する。

実はちょっと速すぎて壁にぶつかったりしてるけど、全て甜奈の障壁魔法で防がれているから私は無傷。

 

「甜奈、シールドを最大強度で維持。このまま()()()()()()()

「はい、お嬢様」

 

包囲のために向かっている部隊を肉眼で確認し、速度と慣性を最大にして突っ込む。

何発か発砲は受けたけど、それごとシールドで跳ね飛ばして車に向かう。

遠夜も相当車を飛ばしていて、ヘッドライトが私達を照らした。

 

「甜奈」

「はい」

 

二人で『跳躍』して真正面から車に飛び乗る。

普通そんなことをすれば跳ね飛ばされるか滑り落ちるだけだけど、そこは魔法がある。

車に接触する寸前にワープポータルを車内に作成して、相対速度ゼロの状態で着地する。

ちょっと範囲が怪しかったけど、甜奈も無事に乗れたようだ。

 

「帰りましょう、目的は果たしました」

「かしこまりました」

 

そのまま研究所への道を進む。

念の為に『精霊の眼』で確認したが、追跡はないようだ。

まあ、こっちの追跡を撒くための妨害だろうし、こっちの研究所の位置や情報はバレてるだろうしね。

 

「今回は中華街の方は出てきませんでしたね…」

 

甜奈から渡されたドリンクを飲みながら考える。

まああっちはあっちで警戒してるだろうから、下手に出てこなかったのかな?

やっぱり侵攻当日に決着をつけないとかな。

ちょっと遅くなったけど、達也なら『観て』いる可能性もあるのでまたお宅訪問。

案の定、かなり警戒された。

私が。

……なんで?

 

「それで、今日のスパイの件か」

「はい。そのスパイは大亜連合特殊工作部隊の呂剛虎に殺されたと思われます」

「……始末したのか?」

「いえ、傷は負わせましたが逃しました」

「なぜだ? 真昼なら逃がさないことは可能だと思うが」

 

達也に問い詰められる。

うーん、正直なぜって言われると重要な理由は無いんだよね。

戦力を削ぐ目的はあるけど、それなら本気で動けばいい。

そうしないのは…

 

「戦力を削ぐために、こっそり動けるのはこの辺りが限界ですよ。特に今日の交戦は本家の許可も取っていませんし」

「…ならなぜ戦ったんだ? そこまでする理由がないだろう」

「理由としてはありますよ? 相手に『四葉』を意識させて今後の動きを制限できますから。狙うにしても避けるにしても、予測が立てやすいのは良いことですから」

 

まあこれに尽きるよね。

私がいる時点で色々動きが変わるとは思うけど、それでもできれば知っている通りに動いてほしい。

 

「それに、今日会ったことで『観れる』ようになりましたから」

「…なるほどな」

 

うん、これも大きい。

実はまだ敵の本部の位置は分かってないんだよね…

だからこそ、これから『観て』追跡することで情報を全部手に入れる。

よーし、明日からは大変だぞー……残業手当、出ないかな(泣)




鎧袖一触…
さすがに障害物のない狭い路地で『流星群』は避ける一択です。
そして真昼さんは残業決定。
遠見と楽しくデータ確認作業ですね!

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