四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
論文コンペまでの二週間。
この期間は学校全体がコンペ準備を推していて、授業時間中でも作業が進められていた。
私は研究所で作業だけど、なんか文化祭の準備みたいに活気がある。
そんななかでもスパイについては気をつけていたけれど、学校内には関本先輩だけ、研究所に関しては外をうろうろするのが精一杯みたいだね。
それなら対処できるし、大丈夫かな。
「おねーさま? どったの?」
「ん、なんでもありませんよ。ほら、わたあめです」
「ふわふわ!」
『鷲見』シリーズの様子を見ながらそんなことを考えていると、紬に心配されてしまった。
誤魔化すためにザラメを魔法でわたあめにすると、大喜びで受け取ってもにもにと触りながら食べていた。
私も私も! とせがむ他の子たちにもわたあめを配っていつも通りに遊ぶ。
こんな娘たちを実験で使い潰そうなんて許せないよね!
決意を新たにしつつ十分に癒されたら、コンペ当日までに必要な準備を整える。
肝心なのは、私が戦略級魔法を使うことを軍に認めさせること。
そのためには事前に軍に魔法の詳細を言っておくか、現場判断できる人を取り込むことのどちらかが必要になる。
事前に伝えると情報漏洩のリスクがあるから、現場でどうにかするしかないのかな。
達也との連携が大事になるね。
それから、大漢の亡霊対策も。
こちらは慎重に調査を進めていた甲斐もあって、周公瑾も顧傑も居場所はわかっている。
当日に使う道具の準備も進んでいるし、あとはうまく実行の流れに持っていくだけ。
「お嬢様。レリック使用型のプラズマ銃の試作型が組み上がりました。以前伺った通りの仕様にしてあります」
「試験室に準備しておいてください。この後行きます」
研究員に呼ばれたので、資料を片付けて魔法試験室に向かう。
そこにはネックレスにちょっと大きめの十字架が付いている、見た目は普通のアクセサリーがあった。
「小型化に伴い、プラズマ発生源は十字架の下に差し込む形になっています。通常型ではプラズマ弾一発分、こちらの増強型を使用すればより大量のプラズマを操作可能です」
ネックレスの隣、装飾が施された真鍮色の指輪を見ると、その中に十字架に差し込めるような部分がある。
確かにこの質量があればそれなりに使えそう。
「これは指に差したまま使えるのですか?」
「プラズマをコントロールすれば可能です。ただそのような使い方は想定しておりませんので指が焼ける可能性が高いかと……基本的には外してつけることを推奨します」
なるほど! じゃあやめとこうか!
その後普通に弾丸型のプラズマ源も作っていたのでそちらをメインで待つことにした。
まだ量産レリックが安定しなくて一時間ごとに交換する必要があったりするけど、現時点なら十分。
隠し武器ならこれで間に合うしね。
「それから、大亜連合のハイパワーライフル弾薬に限定した護身銃を用意しておいてください。拳銃型レールガンの試作がありましたよね?」
「かしこまりました。お嬢様が使えるように整えておきます」
拳銃型レールガンはハイパワーライフルの小型化案として作られた銃で、携行性の高い銃で魔法師を無力化することを目的に開発された。
初期型は魔法無しで設計されたため分解・折りたたみ式銃身とモジュール化設計という『現場ですぐに組み立てられるサブマシンガン』ぐらいのものだった。
だけど爆薬発電機を内蔵した特殊弾が必要だったり、反動相殺のために盛大にバックファイアが出るから射撃姿勢が制限されたり、機関部の寿命が短かったりという諸々の欠点で開発中止。
その後こちらの研究室で魔法込みで再設計されて、反動制御術式の追加とプラズマ流を使用する発電方式に変更。
まあ結局は『魔法師が普通の拳銃弾強化するのと変わらない』ということで開発終了したけど、威力自体はあるし魔法力の消耗が少ないこともあるので今回は使う。
配備コストが高いデメリットも、私しか使わないから問題ないし。
そうやって準備を整えていると、達也から連絡。
学校での作業中に、関本先輩が睡眠ガスでレリックを狙ってきたらしい。
そのことから、相手はレリックの場所を確実にはわかっていないことがわかる。
「それで、関本先輩の尋問に同行しようと思うのだが」
「関本先輩は工作部隊が直接接触した人物です。口封じに送られた部隊と鉢合わせする可能性がありますから、気をつけてください」
「相手の戦力は?」
「ハイパワーライフルを持った小隊と呂剛虎でしょうか。あくまで推測ですが」
「……真昼も来るか?」
達也の考えは正しいけど、それだと過剰戦力なんだよね。
「この前の戦闘で、閉所では私が有利なことは相手もわかっています。そうなると、私がいない時に関本先輩が始末される可能性があります」
「なるほど。つまり俺と七草先輩達で対処するしかないと」
「この前の怪我も完全には癒えてないはずですから、戦力的にはおそらく大丈夫です」
私の言葉にため息を吐きつつ、了解の意を返す達也。
実際その後に鑑別所に向かった達也は、予想通り呂剛虎に遭遇したものの三人の連携で倒して無事に捕らえた。
……まあ二日後には逃げ出しちゃうんだけどね。
徒労感を感じつつも、最後に決めないといけないことがある。
当日の護衛について。
「お嬢! 俺を連れてけよ!」
「お嬢様、ぜひお願いします」
詩納斗と夏雲がそう言ってくるけど、すごい悩む。
詩納斗は留守番確定なんだけど、夏雲はどうしよう…
古式魔法を広く使える夏雲は、大亜連合相手だと役に立つんだよね……でも外に出すと情報が漏れるし…
「……今回は甜奈と遠夜だけにします」
「お嬢!」
「その代わり、研究所の情報を盗もうと侵攻してくる工作部隊の撃退を命じます。ただし、戦闘は研究所敷地内に留めてください」
「攻めてくることは確定しているのですか?」
「私が外出している隙を狙うのであれば、コンペ襲撃の混乱中は絶好の機会ですからね。かなりの確率でここに攻めてくると思います」
「それであれば構いません。私は防衛に就きます」
ちょっと不安だけど、研究所内なら暴走してももみ消せるしそうしよう。
それに、戦闘力自体が高いのは確かだし。
「どうして私達は非参加ですの‼︎」
「まだ中学生以下の年齢だからです。山の上まで攻められるようなことがない限り戦闘は禁止です」
「納得できませんわ!」
……『綾目』シリーズの説得は大変だったけど。
でも今回はたぶん『烏羽』だけで問題ないんだよね。
だから大人しくしてて……あと社会復帰の方向に努力して…
いよいよXデーが迫る。
そしてさらりと捕まえる関本と虎ちゃん。
ここ長く書いても仕方ないので駆け足でコンペ当日に行きます!