四葉真夜と七草弘一の子供(非公式)ってハード過ぎない⁉︎ 作:例示
「旗見さん、大丈夫ですか?」
「は、はい! 大丈夫です!」
駅のシェルターに避難している私の横には、前生徒会長。
反対側には遠夜さん。
周りは爆発音や銃声が響いていて、瓦礫が所々に落ちている。
……一ヶ月前の私は、こんなことになるなんて思ってなかった。
廃部寸前の大した仕事もない部活に入って、普通の学生生活を送って、特に何の変哲もない職業に着くと思ってた。
それが、学校一の実力者…あの四葉家の人が入部してきて。
論文コンペに非推薦で参加することになって。
これまで話す機会もなかった有力者やすごいイケメンともたくさん会って……
……やっぱり優秀な人は美形が多いなぁ…
魔法力が高い人は美形が多いというけど、研究所でそのことは嫌というほど理解させられた。
遠夜さんはもちろん、甜奈さんも美人だったし。
いつも寝袋に包まっていたけど十重さんも中性的な美少年だった。
他に会う魔法師の人達もみんな美男美女ばっかりだったし、正直今でもどきどきする。
なんといっても、準備作業中に撮った動画(四葉さんの確認済)をクラスで見ていたら、友達が見に来て大興奮してたぐらい。
最終的にクラスにいた女子がほとんど集まって、キャーキャー言いながら何度も再生してた。
「四葉さんもかわいいけど、他の人もイケメンと美女ばっかじゃん!」
「遠藤さんっていうの? こんなのと毎日会えるとか羨ましー!」
「この前校内で見たけどめっちゃかっこよかった! いいなー」
この前の九校戦でも、一条さんに見惚れていたクラスメイトは結構いた。
だからこんな話になるのは当たり前だし、やっぱり私たちとは違うなー…って話になるのも、まあ当然といえばそう。
「でもさー、やっぱり同じ護衛だから甘草さんと付き合ってるんじゃないの?」
私も薄々思っていたことを言われて、少しだけ胸がズキっとした。
考えるまでもなく二人はお似合いだし、付き合っていたとしても不思議じゃない。
そう考えるとちょっと落ち込む……うぅ。
気になっても本人には聞けないし、四葉さんに聞くのも気が引ける。
結局、知ってるかどうかはわからないけど十重さんに聞くしかなかった。
「遠夜と甜奈が? それは無いと思うけど…」
「そう、なんですか?」
「うん。お嬢様に聞かないとはっきりとはわからないけど、そもそも両方とも恋愛自体に興味というか、関心がないんじゃないかな」
それはそれで安心なような、残念なような…
でも、ちょっとだけ勇気が出た。
なので、次は甜奈さんに聞いてみた。
「私が、ですか?」
きょとん、とした感じで目を見開く甜奈さん。
演技ならすごいけど、そうは見えない。
「遠夜のことは同じ仲間として信用はしていますが、恋愛感情ではないですね。そういう目で見たこともないです」
「でも、遠夜さんってすごくかっこいいですし…」
「そうらしいですね。私は昔から見ているのであまりわからないのですが…」
……昔から?
もしかして幼馴染なの?
あんまり突っ込んだ話をするのも怖かったので、この辺りで切り上げたけど、逆に不安になってしまった。
なので最終手段として、四葉さんに聞いてみた。
「甜奈と遠夜ですか。それはありえませんね」
「そ、そうですか…」
ばっさりと切り捨てた四葉さん。
そんなに断言できる根拠があるのかな…
「で、でも、二人は昔からの知り合いっぽいですし、仲はいいですよね…?」
「それはそうなのですが、本当に子供の頃から一緒にいるので兄妹みたいな関係性なんです。それに……まあ、『数字付き』にはありがちなことなのですが、遺伝的に近いのであまり推奨されない組み合わせなんです。子供を作っても問題はありませんが、別の相手の方が好ましいのは確かですね」
「そ、そうなんですね…」
あ、そういうことがあるんだ……
確かに、十師族ともなればそういうこともあるのかも。
遠夜さんも甜奈さんも十師族ではないけど、親戚で…ってことかな?
なぜかはわからないけど、安心した。
そして今日、控え室で前生徒会長が遠夜さんに聞いたときも、やっぱり付き合っている人はいないって言ってた。
その場を乗り切るための嘘かもしれないけど、少なくともまだ遠夜さんに恋人がいる証拠はない。
それだけでいい。
遠夜さんのことはかっこいいと思ってるけど、それは憧れみたいなものであって、実際に恋人になりたいとか、そんなことは思ってない。
だって、絶対無理だもの。私となんか釣り合わない。
私とは違う世界の人なんだから見ているだけで、眺めているだけで満足。
少しの間だけ夢を見れる。それだけでいい。
いいはずなんだ…
「……旗見さん!」
クレーターのできた駅前のシェルター付近。
その光景に呆然とした私は、前生徒会長の声でナイフを向けられているのに気づいた。
よく見ると中華系の顔つきのその人は、たぶん避難民に紛れていたゲリラ。
なんの訓練もしていない私には、動けるはずもなく。
そのまま私を捕えようとするのを、見ていることしかできなかった。
「ぐあっ⁉︎」
「……え」
そのナイフが、私の目の前でガラスのように砕ける。
いや……ナイフだけじゃない。
ゲリラの腕ごと、まるで透明な壁にプレスされたように潰されて…
「ひぁ⁉︎」
「すみませんが、少しこのままで」
目の前がちょっと硬いなにかで覆われた。
直後に響く複数の悲鳴。水音。そして断末魔。
「もう大丈夫です」
光が戻ると、私は遠夜さんの腕の中。
今までで一番近い遠夜さんの顔と、安心させようとする笑顔。
……ほんとうに、見てるだけでよかったはずなのに。
夢、見ちゃっても良いのかな……?
巻き込まれて色々限界な旗見先輩でした。
なお遠夜的にはグロい光景を見せてパニックになられると困るのでやっただけです。
今後については何も考えてないので二人の行く末はどうしましょう…
次はまたオーバーキルカルテットに戻ります。