夕食後、
「これから…僕達はどうするべきだと思う?」
ときり出す
「それは…
未来に帰る方法?」
と、首をひねる千代。
「秋雨達と別れるのはイヤだけど…
でも、未来に帰りたいチョキ…。」
と言う桃子。
「帰る方法がわからない…。」
と言うトート。
「また、あの霧が発生してくれたらいいんですが…。」
と言う葵。
「しかし…
現実的ではありませんね…。
仮に、あの霧が発生しても、未来に帰れる保証はありません…。」
と言う桜。
「そもそも、あの霧がまた発生するとも思えないし…。」
と言う千代。
「結局は…
僕達は、この世界で生きていくしかないみたいだね…。」
と言う
・
「どうしたんですか、深さん?」
と訊く
「葬式だ。」
と言う深海。
「えっ、葬式?
誰の?」
と訊く
「俺と
来るか?」
と言う深海。
「同席を許されるのなら…。」
と、深海と瑞鳳に同行する
深海の邸宅の庭の端―。
そこには
忠魂碑
と刻まれた、高さ30センチほどの石の塔が建っていた。
「これは…?」
と訊く
「供養塔だ。
俺の部下のな…。」
と言う深海。
「あの小さな人達は…?」
と言う千代。
「えっ、何が?」
と訊く
「供養塔の前に、小さな人達がいるのよ。
社長、見えないの?」
と言う千代。
「ほぅ…。
見えるのか?」
と訊く深海に
「うん、見えるよ。
かわいいね。」
と言う千代。
「ごめん…。
僕には見えないんだ…。」
と言う
「妖精といってな…
この世界に住む、不思議な連中だ。
妖精の姿が見えないということは、どうやら、
千代だったか?
お前は提督になれるぞ。」
と言う深海。
「誰が亡くなったのですか?」
と訊く
「殺人ガンプラとの戦闘で死んでいった者達だ。
正直、殺人ガンプラがあれほどとは思わなかった。
戦死した者はみな、敵情を見誤った俺が殺したようなものだ…。」
と言う深海。
そして、供養塔の前にしゃがんで手を合わせ
「飛行長…お前が逝くとはな…。
許してくれとは言わん…。
だが…安らかに眠ってくれ…。」
と頭を垂れる深海と瑞鳳。
千代の目には、生き残った妖精が供養塔に向かって敬礼しているのが見えた。
「ところで…
俺に何か用か?」
と、立ち上がった深海が訊く。
「はい。
僕達は、この世界で生きることにしました。
未来に帰れる可能性は無いと思うので…。
明日の朝、自分達の住む場所を探しに行きます。」
と言う
「そうか…。」
と邸宅に戻っていく深海達…。
・
翌朝、深海の邸宅の地下の発進ゲート跡で、出発する
「元気でな。」
「深さんも。」
と、握手する深海と
「
と言う深海。
「えっ?」
と驚く
「黒野 深海。
俺の本当の名だ。」
と言う深海。
「あの…それは…?」
と困惑する
「いろいろ事情があってな…。
あまり、俺の名を表に出せないんだ。
こうやって
俺の本名を見ず知らずの人に教えたのは、お前が初めて
だ。」
と言う深海。
「お元気で…深海さん!!」
と、笑顔で別れる
深海と家族全員の見送りを受け、
「
だったね☆」
と、深海の隣にいた瑞鳳が言う。
「関係無い…。」
と言う深海の顔が
少し赤かった。
瑞鳳の提督にして、深海の父―黒野
深海が
◇
◇
◇
「社長。
進路上に低気圧です。」
と言う、気象レーダーを見ている葵。
「あれは…あの時の…!?」
と、灰色の雲に覆われている空を見る
「もしかして…未来に帰れるの!?」
と言う千代。
「わからない…。
過去かもしれないし…
たとえ未来でも、元の世界とは限らない…。」
と言う
「でも…
戻れる気がします…!!」
と言う桜。
「桜にそう言われると、本当に戻れそうな気になるな。
よし、行くぞ!!
我らに紺碧の珠玉の導きがあらんことを!!」
と叫ぶ
不思議な低気圧の下を進む船。
だが、海面は風も波も穏やかだ。
そして、霧が出てきた。
この状況は、過去に飛んだ時と同じだ。
不思議な霧に包まれ、周囲が見えない中を進んでいく…。
◇
◇
◇
日本近海の海底にある中枢棲姫の屋敷の中にある
深海結晶
が鳴動していた。
「またか…?」
と、深海結晶の様子を見に行く中枢棲姫。
しかし、中枢棲姫が見に来た時には、すでに鳴動はやんでいた…。
深海結晶…
それは、ライムグリーンの
プラフスキー粒子を生み出す謎の結晶体―。
しかし、深海棲艦を束ねる中枢棲姫ですら
じつは深海結晶とは何なのか、わかっていない
のだ…。
「出処不明の噂話
なんですが…
深海結晶は時空の扉を開く鍵
だそうですが…?」
と、深海結晶の異状を報せた戦艦ル級が言う。
「出処不明の噂話になんて興味無いわ。
時空の扉を開く?
勉強机の引き出しから青いタヌキのロボットでも出てくる
とでもいうの?」
と、戦艦ル級を一蹴し、中枢棲姫はライムグリーンの深海結晶を見上げた―。
◇
海原市の騒動は
未知の深海棲艦の襲撃
によるものとされた。
アンジェラ達ブラッドウィングも
未知の深海棲艦の襲撃で死亡した身元不明の犠牲者
として葬られた…。
殺人ガンプラとの戦闘で壊滅した航空隊の再建のため、深海は海軍本部を訪れていた。
深海の航空隊壊滅の話を聞いて白河は仰天した。
「烈風改二壊滅って…
マヂか…?」
と訊く白河に
「ウソを言ってどうする?」
と言う深海。
「回せと言われてもな、烈風改二はまだ制式採用されていないんだ。
お前のところに回すのも、かなり無理したんだぞ。
しばらくは烈風一一型で我慢してくれ。」
と白河に言われ、渋々承諾する深海…。
◇
◇
◇
やがて、視界が晴れてきた。
霧が消え、空は晴れわたっていた。
「さて…ここはいつの時代だ…?」
と言う
「とりあえず、会社に連絡してみよう。」
と、無線機を操作する千代。
《こちら本社。
どうしたの、千代?〉
と、本社に残っている小澤 由美が出た。
「由美?
本物の由美なの!?」
と叫ぶ千代。
《偽者の私って何者なのですか?〉
と言う由美。
「社長!!
やったよ!!
元の世界に戻ってこれたよ!!」
と、大喜びの千代。
「紺碧の珠玉の導きだ☆
よし、会社に戻ろう!!」
と言う
「えっ?
依頼の方は?」
と訊く千代に
「海獣退治かい?
今日は出なかったってことにしておこう。
そもそも、依頼の内容自体、いいかげんなものだったし。
違約金が出るわけでもないし。
それよりなにより、今は海獣と戦う気になれないよ…。」
と言う
「それもそうだね★
じゃ、戻ろうか☆」
と答える千代
こうして、
◆
海底には
ライムグリーンの結晶体
があった…。
《fin.》