ガンダムビルド艦隊これくしょんナビ少女   作:星龜

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はるかなる過去3


 

「大丈夫ですか?」

と、(カイ)の船の前に来た五十鈴。

 

「あ…あなたは…?」

と訊く(カイ)

 

「海軍の者です。

船は動きますか?」

と訊く五十鈴。

 

「いえ…

エンジンが故障して動きません。」

と答える(カイ)

 

「わかりました。

曳航します。」

と、(カイ)にロープを渡す五十鈴。

 

船首に向かった(カイ)は、ロープの先端についているフックを、船首にある曳航用の金具にかける。

 

「曳航準備よし!!」

と言う(カイ)

 

「了解!!

曳航開始!!」

と、(カイ)の船を曳航する五十鈴。

 

(すごいな…。)

と、船を曳航する五十鈴の背中を見て感嘆する(カイ)―。

 

 

大鳳の艦爆隊と艦攻隊、そして長良の砲撃により、軽母ヌ級は沈没した。

 

残るは雷巡チ級のみ…。

 

それでも、チ級は魚雷を乱射してくる。

 

「やめろ、チ級ッ!!

俺達はお前の敵じゃないッ!!」

と叫ぶ、チ級が放った魚雷を回避する大鳳に背負われた深海。

 

しかし、チ級は、まるで猛獣のような咆哮をあげながら、魚雷を乱射してくる。

 

そんなチ級を見た深海は

(チッ、下級種か…。)

と舌打ちをした。

 

 

下級種―。

 

人型をした深海棲艦の中でも、知能が低すぎる、闘争本能のみのモノ達だ…。

 

 

「撃沈しよう…。」

と言う深海。

 

「よろしいのですか?」

と訊く大鳳。

 

「やむをえん…。

話ができんのだからな…。」

と言う深海。

 

「わかりました。

長良さん、お願いします!!」

と、長良にチ級の始末を頼む大鳳。

 

「わかりました…!!」

と、チ級に挑む長良―。

 

 

チ級が放つ魚雷を回避しながら、魚雷を撃つ長良。

 

さらに、主砲を連射する。

 

主砲弾がチ級に命中するたびに、チ級の体に火花が散る。

 

そして、長良が撃った魚雷も命中し、炎上するチ級。

 

「ウガァアァア…ッ!!」

と、炎に包まれるチ級。

 

そして…

 

グワァアァア…ッ!!

という悲鳴とともに、チ級は爆散した…。

 

 

無惨な最期を遂げたチ級に、黙礼する深海…。

 

 

五十鈴が曳航する(カイ)の船に乗る深海。

 

「あなたは?」

と訊く(カイ)

 

「俺の名は

黒野 (しん)

海軍の協力者だ。」

と言う深海。

 

 

黒野 深

とは、深海の偽名である。

 

深海は基本、初対面の者に対して

黒野 深

という偽名を名乗るようにしている―。

 

 

「僕は、フグカンパニーの社長の南夏乃(ななつの) (カイ)といいます。」

と名乗る(カイ)

 

(カイだと…!?)

と、自分の父親と同じ名前であることに驚く深海。

 

しかし、すぐに気を取り直し

「お前達は、こんな場所で何をしていたんだ?」

と訊く。

 

「海獣退治の依頼を受けて銀月港を出港したんですが…。」

という(カイ)の発言を聞いて

 

「真面目に答えてくれ。

もう少しで、お前達は死ぬところだったんだぞ!?」

と憤る深海。

 

「真面目に言ってますよ!!」

と反論する(カイ)

 

「ですから社長。

ここは過去の世界なんです。」

と言う桜。

 

「君は?」

と訊く深海に

 

「私はフグカンパニーの社員の桜月 至といいます。

桜とお呼びください。」

と名乗る桜。

 

そして

「率直にお訊きしますが

今は西暦何年ですか?

と訊く桜。

 

2026年

だ。」

と、やや、あきれ気味に答える深海。

 

「黒野さんこそ、真面目に答えてくださいよ!!

今が2026年なわけないでしょう!!」

と憤る(カイ)

 

「社長。

信じられないかもしれませんが、黒野さんの言っていることは本当です。

その証拠に、艦娘や深海棲艦がいたのですから…。」

と言う桜。

 

「桜…!?」

と、桜が深海の肩を持ったことに驚く(カイ)

 

「おそらく、あの謎の低気圧ですね。

あの低気圧は

時空の扉

だったのでしょう。」

と言う桜。

 

「時空の扉?

それって、つまり…?」

と言う千代。

 

「はい。

私達は

西暦2026年にタイムスリップしてしまった

のです。」

と言う桜。

 

(……。)

 

(カイ)達のやり取りを見ていて、どうやら、桜の言っていることは事実なのだと思い始める深海。

 

だが、(カイ)は事実を受け入れきれていないようだった…。

 

 

「社長☆

陸地が見えてきたチョキ☆」

と言う桃子。

 

「陸地…?」

と北を見る(カイ)

 

「あれは…どこだ…?」

と首をかしげる(カイ)

 

「あれは房総半島だ。

西に見えるのは三浦半島だ。」

と言う深海。

 

「房総半島と三浦半島…!?

何を言っているんですか?

房総半島も三浦半島も海の底ですよ!?

と言う(カイ)

 

「何…!?」

と驚く深海。

 

すると、桜が両腕を広げて、太陽を見上げる。

 

「何をしているのだ?」

と訊く深海。

 

「現在地を計測しています。」

と言う桜。

 

数分後

「北緯35度…

東経140度…

間違いありません。

あれは房総半島です。」

と言う桜。

 

「GPSも無いのに、よく座標がわかるな?」

と訊く深海。

 

「太陽の角度で緯度

を…

風向きから経度

を割り出したのです。」

と言う桜。

 

「私達ナビゲーターなら、誰でもできるわ☆」

と、自慢げに言う千代。

 

「それはすごいが…

しかし、そんなことしなくても、GPSを使えばいいじゃないか。」

とツッコむ深海。

 

「じーぴーえす…って何?」

と訊く千代。

 

「何?

GPSを知らないのか?」

と驚く深海。

 

(未来になると、科学技術は退化してしまうのか?)

と、首をひねる深海。

 

 

「それにしても、まだ信じられないよ…。

見てごらん…。

あれが、今は海底にあるはずの房総半島なんだよ。」

と、房総半島をみつめる(カイ)

 

「本当に、ここは過去の世界なのね…。」

と、(カイ)の隣に来る千代。

 

「社長…。」

と、エンジンの修理をしていたトートが出てきた。

 

「どうだ、トート?」

と訊く(カイ)

 

「エンジンそのものの修理は完了しました…。

ただ、スクリューシャフトを支えるブラケットが割れています…。

だから、エンジンを動かせません…。」

と言うトート。

 

「大損害じゃないか!!

それは設備の整った工場に持っていかないと直せないぞ。」

と言う深海。

 

「どこか、あてがありますか?」

と訊く(カイ)

 

「ここから一番近いのは横須賀鎮守府だ。

大鳳、桃田に連絡をとってくれ。」

と言う深海―。

 

 

1時間後―。

 

(カイ)の船は横須賀鎮守府に到着した。

 

右舷側で、(カイ)の船を五十鈴が曳航しているのを、貨物船の護衛任務から帰ってきた4人の海防艦娘が珍しそうに見ていた。

 

そのまま、海防艦娘達は帰還ゲートに向かい、大鳳、長良、五十鈴は(カイ)の船を船舶用のドックに曳航する―。

 

 

桜、桃子、葵、トートはエンジンの修理を手伝うため船舶用ドックに残り、(カイ)と千代は深海に連れられて、提督の執務室に行く。

 

深海が執務室のドアをノックすると、部屋の中から

「入れ」

と、若い男性の声がした。

 

「桃田、邪魔するぞ。」

と、執務室のドアを開ける深海。

 

室内には、身長が170㎝くらいの、右側に赤いメッシュが入ったオールバックの黒髪に第一種軍装を着た横須賀鎮守府の提督

桃田 狼介

と、彼の秘書艦である

妙高型重巡洋艦娘の那智と足柄

がいた。

 

そして、桃田達からの話を聞いた(カイ)は、ここが西暦2026年なのだという事実を受け入れざるを得ないのだった…。

 

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