「ん?」
と、1隻のクルーザーが接近してくるのを見る満潮。
クルーザーは、満潮達から10メートルほど離れた場所に停まった。
舳先に立ったアンジェラは
「我々ブラッドウイングの恐ろしさを思い知るがいい!!」
と叫んで、右手に持つ杖をかかげた。
そして
「プラフスキーフィールド、展開!!」
と叫んだ。
すると、杖の先端が光り輝き、光の輪が広がった―。
◇
「な…何なの…?」
と、光の輪が広がったのを見て、首をかしげる満潮。
すると、停泊したクルーザーから
小さな物体が飛んでくる
のが見えた。
よく見れば、それは
1/144 HGUCバイアラン
だった。
「ガ…ガンプラ…!?」
と、驚く満潮。
「ガンプラって…
なぜガンプラが空を飛んでいるのですか?」
と言う朝潮。
「たしかに…?」
と、首をひねる満潮。
やがて、バイアランの集団が、両手からメガ粒子砲を撃った。
(?)
と、バイアランの一斉射撃を見ていた満潮が…
「ぎゃあぁあぁ…っ!!」
と、バイアランの集団のメガ粒子砲から放たれた黄色いビームが満潮の体を貫いた―!!
「満潮っ!?」
と、バイアランの集団に撃たれて、崩れるように倒れる満潮を見て驚愕する朝潮。
「フフフ…☆
我々ブラッドウイングの恐ろしさを思い知るがいい…☆」
と、朝潮に捕まっているリリアが笑う。
「な…何を…!?」
と、朝潮が顔を上げたら、バイアランの集団が迫ってきていた。
そして…
「ぎゃあぁあぁ…っ!!」
と、満潮と同じく、バイアランの集中射撃をくらい、朝潮も崩れるように倒れた…。
「な…何なのよ、もう!!」
と、迫りくるバイアランに向けて対空射撃を開始する荒潮。
数機のバイアランが砕け散ったが、それでも、バイアランの集中射撃をくらう荒潮。
その内の数発が、魚雷発射管に命中した…
途端…!!
「ぎゃあぁあぁ…っ!!」
魚雷発射管が誘爆したのだ―!!
爆炎が消えると…
そこに荒潮の姿は無かった…。
◇
横須賀鎮守府の提督の桃田の執務室では―。
「大潮からの緊急通信です!!」
と叫ぶ足柄。
「大潮から?」
と、首をかしげる桃田。
すると
《こちら大潮ッ!!
バイアランの攻撃で荒潮轟沈ッ!!
あぁ…
来るな…来ないでぇッ!!
提督、助けてッ!!
あああああ…ッ!!〉
という、大潮の悲鳴が通信機から響いた。
大潮の悲鳴を聞いた桃田が、通信機のマイクを取る。
「おい、大潮!!
何があった!?
応答しろ、大潮!!」
と桃田が呼びかけるも、大潮からの応答は無い…。
「待ってください!!
今『バイアランに襲われた』って言っていませんでしたか?」
と訊く
「あぁ。
たしかに、それらしいことは言っていたが…?」
と言う深海。
「バイアランということは・・・
ブラッドウイング!?」
と言う千代。
「何だ?
その、ブラッドウイングとやらは?」
と訊く深海。
「僕らの世界にいるテロリストです。」
と言う
「ちょっと待ってくれ…。
バイアランとは【機動戦士Zガンダム】に出てくるモビルスーツのことだろう?
まさか、未来ではモビルスーツが実用化されているのか?」
と訊く深海に
「いえ。
厳密には
ガンプラ
なんです。
プラフスキー粒子を使って
殺人兵器
にしているんです…!!」
と言う
「さ…
殺人兵器だと…!?
どういうことだ…!?」
と訊く深海に
「プラフスキー粒子を使って
本物と同じ機能
を持たせているんです。」
と言う
「バカな…ッ!?
プラフスキー粒子に、そんな効果が…ッ!?」
と驚く深海。
「とにかく、桃田提督の部下がバイアランに襲われているというのなら、一刻の猶予もありません!!
いくら艦娘が軍艦だからといって、ビーム兵器に対抗できるとは思えません!!
今すぐ、助けに行きましょう!!」
と叫ぶ
「そうだな…。
しかし、ガンプラが本物みたいになるなんて…
にわかに信じられんが…。」
と言う深海。
「俺も行こう!!」
と言う桃田。
こうして、
◇
修理の終わった
護衛として
大鳳
長良
五十鈴
が同行し、さらに
山雲
夏雲
朝雲
峯雲
からなる第九駆逐隊も同行することになった。
出港してまもなく、大鳳が艦上偵察機【彩雲】を発進させた―。
「おい、
あらためて訊くが…
未来じゃ、本当にガンプラが本物のモビルスーツになっちまうのか?」
と訊く桃田。
「はい…。
実際には
禁止行為
なんですが…。」
と言う
「まさか、プラフスキー粒子に、そんな効果があるとはな…。」
と、驚く桃田。
「それよりも、気になるのは大潮の報告だ…。
大潮は
荒潮が轟沈した
と言っていた…。」
と言う深海。
「そんなわけあるかッ!!
艦娘がガンプラなんかに負けるものかッ!!」
と怒る桃田。
「桃田…
気持ちはわかる。
だが、大潮がウソや冗談で仲間が轟沈したなんて言うわけないだろう?」
と言う深海。
「な…ッ!?
深海…
てめぇ…ッ!!」
と、深海を睨む桃田。
「俺も信じたくはない…ッ!!
だが、お前も海軍の提督だろ!?
ならば
最悪の状況
も想定しておけ…ッ!!」
と、桃田を諭す深海。
「深海提督!!
第八駆逐隊の遭難海域が判明しました!!
海原市沖100キロ」
と【彩雲】からの報告を報せる大鳳。
「そこって、僕達が深海棲艦に襲われた
と言う
「あぁ。
もし、
と言う深海。
「第二報来ました!!
朝潮、大破…
満潮、大破…
大潮、大破…。
第八駆逐隊が護衛していた貨物船も撃沈された模様!!」
と報せる大鳳。
「何だと…!?」
と、絶句する深海。
「おい!!
荒潮は…
荒潮はどうしたッ!?」
と叫ぶ桃田。
大鳳は目を閉じ、【彩雲】と連絡をとる。
「残念ですが…
荒潮は確認できません…。」
と言う大鳳。
「バカ野郎ッ!!
よく捜せッ!!」
と怒鳴る桃田。
「しかし…
貨物船を撃沈しただと…?
ブラッドウイングのガンプラは、そんなことまでできるのか…!?」
と訊く深海。
「はい…。
一応、本物と同様の性能ですから…。」
と言う
「荒潮も気になるが、貨物船の乗員の安否も気になるな…。」
と言う深海。
「おそらく、殺されていると思います…。」
と言う
「なぜだ!?」
と訊く深海。
「ブラッドウイングは
人間を憎悪している海娘のテロリスト集団
です。
ですから、真っ先に標的にされるのは人間です。」
と言う
「大鳳。
貨物船の乗員は確認できたか?」
と訊く深海。
「いえ。
貨物船の乗員も確認できていません。」
と答える大鳳。
「こいつは…
ただ事ではないぞ…!!」
と、絶句する深海…。
◇
横須賀鎮守府を出港して2時間ほどで、第八駆逐隊が襲撃された海域に到着した―。
「朝潮姉さん!!」
と、山雲が朝潮を見つけ、疾駆していく。
夏雲、朝雲、峯雲も、山雲につづく。
「おい、桃田!?」
と、深海の制止も聞かず、海に飛び込む桃田。
「朝潮ーッ!!
満潮ーッ!!
大潮ーッ!!
荒潮ーッ!!」
と叫びながら泳ぐ桃田。
「提督!!」
と、泳いでいた桃田を引き上げ、肩を抱く峯雲。
山雲、夏雲、朝雲が、朝潮、満潮、大潮を介抱している。
しかし、荒潮の姿は見えない…。
「あれは…!?」
と
ある光景
を見て、青ざめる桃田。
桃田が見た光景…。
それは
海面に漂いながら手を振る妖精達の姿…。
そして…
その近くに浮いている、第八駆逐隊のエンブレムと
背部艤装を背負う赤い肩紐…。
背部艤装の肩紐が赤いのは荒潮だけ…。
それは
荒潮が
だった…。
「う…おぉおぉおぉ…ッ!!」
という、桃田の慟哭が響き渡った…。
その後の調査で、第八駆逐隊が護衛していた貨物船の沈没も確認された。
貨物船の乗員は全員死亡していた…。
だが…
事件の犯人であるアンジェラ達の行方はわからなかった…。