カノープスの終生   作:紅絹の木

9 / 63
時は流れて

 

 メタナイト卿たちの歓迎会が終わったら、季節はあっという間に巡る。

 

 フームが生まれ、ロロロとラララが来て……。

 ああ、陛下は魔獣サービスに手を出されたのだと知る。

 その事で、一言申し上げておいた。

 

「陛下が、危険でなければいいです」

 

 カービィの成長も大切だが、現在の私にとっては城の住人や村人たちの方が大切だ。

 悪事を働いたゆえの因果応報だとしても、罰を受けた後は陛下や閣下の助けになりたい。

 

 助けたいなら、今のままじゃダメだよね。

 強いけれど、技術と実戦経験値が足りない。

 

 という訳で、メタナイト卿に弟子入りした。

 先に陛下とリーノには話を通して、二人の許可を得てからメタナイト卿にお願いする。

 

 陛下が魔獣サービスに手を出された事、そのせいで城や村が戦場になるかもしれない事、大切な人たちを助けたい事を述べれば、青い戦士は私を弟子にしてくれた。

 

 体力や筋力は合格点だったので、残りは実戦あるのみ。とにかくソードナイトやブレイドナイト、メタナイト卿が模擬戦の相手をしてくれた。

 

 

 

 

 ……メタナイト卿たちと多くの時間を過ごすようになって、わかった事がある。

 メタナイト卿たちの食事事情だ。

 

 三食もカップ麺なの!?

 これはイカンと、リーノに相談してアーニャとランタンを巻き込み、三戦士たちにお弁当を作る事になった。

 

 模擬戦を終えた昼時、七人は楽しく食事をとる。

 リーノはメタナイト卿とゆったりと話し、アーニャは「うまいうまい」と言うブレイドナイトの世話を焼き、ランタンはソードナイトに自信作を勧めていた。

 

 ……これ、小説に出てた食事会そのまんまだな。

 私のせいで、三戦士とリーノたちの接点が増えた。もしかして、恋人になる機会が早まったりするのだろうか?

 

 三戦士に料理を教える食事会の開催が決まった。

 それは今後、何度も行われる。

 

「カノも来る?」

 

 昼食の帰り道、女性四人で野原の中の道を歩く。

 次の食事会は、城の地下厨房で行うらしい。

 

「遠慮しておくよ」

「あら、どうして?」

「妹たちに、恋人ができるかもしれないんだ。見守るさ」

 

 私がそう言うと、アーニャが言った。

 

「まだ早いですよ」

「そうか?」

「ええ」

 

 和やかに笑う姿が、愛らしい。

 他の二人はそっぽを向いたり、顔を赤くして照れているようだった。

 

 

 

 ブンが生まれる頃には、ハニーとイローとホッヘが生まれて、着実に舞台が整っていく。

 フームは賢く、ブンは元気に育った。二人共、リーノによく懐いている。

 

 私はどう接したらいいのかわからなかったのと、メタナイト卿たちとの模擬戦で忙しい為、姉弟とはリーノほど仲良しではない。

 

 

 

 

 模擬戦においても、メタナイト卿から合格点をもらった頃。

 レン村長さんの羊たちが何かに食べられている、襲われていると城に訴えがあった。

 

 陛下は知らぬ顔をするが、何だか怪しい。

 最近飼い始めたタコのペットとか、とても。

 

「何か、引っかかるんだよな……」

「どうしたの?カノ」

「いや。羊が食べられた事件がちょっとな」

 

 厨房。リーノの手伝いでカレーを作る。

 陛下と閣下の夕飯はカレーだ。いいなあ。リーノの作るご飯はすべておいしいからな!

 

「そうね……こんな大きな事件、村じゃ起きなかったものね」

「そうだな……」

「――よし。どなたか、カレーをかき混ぜるのを変わっていただけますか?わたくしは陛下に、夕飯の支度が整った事を知らせてきます」

 

 リーノの傍にいた一人のワドルディが、交代した。

 

「ありがとうございます。行きましょう、カノ」

「ああ」

 

 外していた籠手や愛用している鉄パイプを腰に下げて、リーノと共に厨房から出る。

 厨房から出てしばらく歩くと、ドーンと花火のような音がした。

 

「あら……陛下が花火でも打ち上げていらっしゃるのかしら?」

「かもしれない。――玉座の間に行こう。あそこなら見晴らしのいいベランダが近くにあるし、機械類を操作できる」

「そうね。行ってみましょうか」

 

 玉座の間に向けて歩き出す。

 その横を、ピンク玉が通り過ぎていった。

 あれは、間違いなく……!

 

 リーノと顔を見合わせる。

 

「今のは……」

「追いかけましょう!」

 

 リーノが興奮する。私はニヤリと笑った。

 

「では、急ぐか」

 

 リーノを横に抱き上げて走る。いわゆるお姫様抱っこだな。

 驚いている気配が妹からするが、私はそれに気づかないフリをした。

 

 そして玉座の間にたどり着く。

 

 

 

 それからは怒涛の展開だ。

 魔獣のタコに陛下が操られていたのを止めて、巨大化したタコから逃げ回る。

 フームを追って、リーノと共に階段を上がれば、すでにカービィと魔獣の戦いは始まっていた。

 あれが、主人公。あれがカービィ。

 

 どんな星々よりも輝いて見える、ピンクの星。

 

 そしてワープスターが投げられる。

 

 カービィはみるみる内に元気を取り戻して、勝利した。

 原作が始まった。

 私は手を、ぎゅっと握りしめた。

 

「カノ?大丈夫?」

「問題ないよ」

 

 準備はしてきた。あとは、私が気を抜かなければいい。

 もうあまり覚えていない小説の流れを、必死に思い出して大切なものを守ろう。

 流れを書き留めた手記はある。だが……それも確実ではない。所々穴がある。

 

 不安と期待が私を包んだ。

 

 

 

 

 翌日。

 早朝、カービィはフームたちに見送られて、乗ってきた宇宙船で旅に出るはずだった。

 しかし、陛下たちに邪魔されたので、宇宙船は壊れてしまう。

 リーノが教えてくれた。

 

「カービィはプププランドに住むらしいわ」

「そうか。歓迎しないとな」

 

 今は楽しい事を考えていよう。

 カービィと握手できるかな?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。