メタナイト卿たちの歓迎会が終わったら、季節はあっという間に巡る。
フームが生まれ、ロロロとラララが来て……。
ああ、陛下は魔獣サービスに手を出されたのだと知る。
その事で、一言申し上げておいた。
「陛下が、危険でなければいいです」
カービィの成長も大切だが、現在の私にとっては城の住人や村人たちの方が大切だ。
悪事を働いたゆえの因果応報だとしても、罰を受けた後は陛下や閣下の助けになりたい。
助けたいなら、今のままじゃダメだよね。
強いけれど、技術と実戦経験値が足りない。
という訳で、メタナイト卿に弟子入りした。
先に陛下とリーノには話を通して、二人の許可を得てからメタナイト卿にお願いする。
陛下が魔獣サービスに手を出された事、そのせいで城や村が戦場になるかもしれない事、大切な人たちを助けたい事を述べれば、青い戦士は私を弟子にしてくれた。
体力や筋力は合格点だったので、残りは実戦あるのみ。とにかくソードナイトやブレイドナイト、メタナイト卿が模擬戦の相手をしてくれた。
……メタナイト卿たちと多くの時間を過ごすようになって、わかった事がある。
メタナイト卿たちの食事事情だ。
三食もカップ麺なの!?
これはイカンと、リーノに相談してアーニャとランタンを巻き込み、三戦士たちにお弁当を作る事になった。
模擬戦を終えた昼時、七人は楽しく食事をとる。
リーノはメタナイト卿とゆったりと話し、アーニャは「うまいうまい」と言うブレイドナイトの世話を焼き、ランタンはソードナイトに自信作を勧めていた。
……これ、小説に出てた食事会そのまんまだな。
私のせいで、三戦士とリーノたちの接点が増えた。もしかして、恋人になる機会が早まったりするのだろうか?
三戦士に料理を教える食事会の開催が決まった。
それは今後、何度も行われる。
「カノも来る?」
昼食の帰り道、女性四人で野原の中の道を歩く。
次の食事会は、城の地下厨房で行うらしい。
「遠慮しておくよ」
「あら、どうして?」
「妹たちに、恋人ができるかもしれないんだ。見守るさ」
私がそう言うと、アーニャが言った。
「まだ早いですよ」
「そうか?」
「ええ」
和やかに笑う姿が、愛らしい。
他の二人はそっぽを向いたり、顔を赤くして照れているようだった。
ブンが生まれる頃には、ハニーとイローとホッヘが生まれて、着実に舞台が整っていく。
フームは賢く、ブンは元気に育った。二人共、リーノによく懐いている。
私はどう接したらいいのかわからなかったのと、メタナイト卿たちとの模擬戦で忙しい為、姉弟とはリーノほど仲良しではない。
模擬戦においても、メタナイト卿から合格点をもらった頃。
レン村長さんの羊たちが何かに食べられている、襲われていると城に訴えがあった。
陛下は知らぬ顔をするが、何だか怪しい。
最近飼い始めたタコのペットとか、とても。
「何か、引っかかるんだよな……」
「どうしたの?カノ」
「いや。羊が食べられた事件がちょっとな」
厨房。リーノの手伝いでカレーを作る。
陛下と閣下の夕飯はカレーだ。いいなあ。リーノの作るご飯はすべておいしいからな!
「そうね……こんな大きな事件、村じゃ起きなかったものね」
「そうだな……」
「――よし。どなたか、カレーをかき混ぜるのを変わっていただけますか?わたくしは陛下に、夕飯の支度が整った事を知らせてきます」
リーノの傍にいた一人のワドルディが、交代した。
「ありがとうございます。行きましょう、カノ」
「ああ」
外していた籠手や愛用している鉄パイプを腰に下げて、リーノと共に厨房から出る。
厨房から出てしばらく歩くと、ドーンと花火のような音がした。
「あら……陛下が花火でも打ち上げていらっしゃるのかしら?」
「かもしれない。――玉座の間に行こう。あそこなら見晴らしのいいベランダが近くにあるし、機械類を操作できる」
「そうね。行ってみましょうか」
玉座の間に向けて歩き出す。
その横を、ピンク玉が通り過ぎていった。
あれは、間違いなく……!
リーノと顔を見合わせる。
「今のは……」
「追いかけましょう!」
リーノが興奮する。私はニヤリと笑った。
「では、急ぐか」
リーノを横に抱き上げて走る。いわゆるお姫様抱っこだな。
驚いている気配が妹からするが、私はそれに気づかないフリをした。
そして玉座の間にたどり着く。
それからは怒涛の展開だ。
魔獣のタコに陛下が操られていたのを止めて、巨大化したタコから逃げ回る。
フームを追って、リーノと共に階段を上がれば、すでにカービィと魔獣の戦いは始まっていた。
あれが、主人公。あれがカービィ。
どんな星々よりも輝いて見える、ピンクの星。
そしてワープスターが投げられる。
カービィはみるみる内に元気を取り戻して、勝利した。
原作が始まった。
私は手を、ぎゅっと握りしめた。
「カノ?大丈夫?」
「問題ないよ」
準備はしてきた。あとは、私が気を抜かなければいい。
もうあまり覚えていない小説の流れを、必死に思い出して大切なものを守ろう。
流れを書き留めた手記はある。だが……それも確実ではない。所々穴がある。
不安と期待が私を包んだ。
翌日。
早朝、カービィはフームたちに見送られて、乗ってきた宇宙船で旅に出るはずだった。
しかし、陛下たちに邪魔されたので、宇宙船は壊れてしまう。
リーノが教えてくれた。
「カービィはプププランドに住むらしいわ」
「そうか。歓迎しないとな」
今は楽しい事を考えていよう。
カービィと握手できるかな?