如何にして人を辞め不死を愛するようになったか 作:不死を求める人
誤字報告、感想のほどありがとうございます。
残酷な描写注意です。
「……ううむ」
――ゼウスは、オラリオ中でも話題に上がっている【
エリル・デヴィッド
Lv.4
力:D 591 → B 747
耐久:C 685 → A 833
器用:E 410 → D 549
敏捷:E 488 → C 621
魔力:C 621 → B 794
治力:A
精癒:A
長命:E
狩人:G
生存:H
連撃:I
能力値の上昇は相変わらずのそれだった。だが、ゼウスを悩ませているのは――彼に新たなスキルが発現したことにある。それが……
【
・発展アビリティ【長命】発現。
・研尋の丈により【長命】の下限上昇。
・【力】【耐久】【魔力】の能力値に超高補正。
発展アビリティ【長命】の発現。長命とは何かなんて考えるまでもない――恐らくは
どの程度まで伸びるかは現時点では分からない。だが、【恩恵】の格が上がれば上がるほどそれに比例して肉体の強度も上がっていき高レベルの者では年齢に似合わず若々しさを保つ者も珍しくない。
それは分かる――が、問題はこの【長命】という明らかに寿命そのものを伸ばすと思われるアビリティの発現にある。
大神であるゼウスとしては、正直に申すであれば不安要素が多い。
"死"を恐れるあまり、生に執着し身を破滅へと導いた人間は何人もいた。長年この世界にいるゼウスとてその事は分かっている。
しかし、エリルは――
誰しもが成し遂げることは不可能と言える、"不死"という域。ゼウスが知る限りの人間達の中でも……一番手が届きうる存在であることは認めざるを得なかった。
「……
そう呟くゼウスの真意は、まだ誰にも分からない。
◇
――【愚者】ごとフェルズは、最近気に掛かる者がいる。
それが――【
【
最後にレベル2に上がってから、
また、レベル4に上がるきっかけとなったのがダンジョン内における"闇派閥"との戦い。
レベル3が数人に、レベル4が2人という多勢に無勢とも言える状況であるにもかかわらず勝利を収めたという話はこの頃最も噂されているぐらいだ。
……かつて
"不死"というものに、生を捧げてきたフェルズだからこそ【
もちろん、よく似ているからといって【
そう考えると、どうしても一度は顔を合わせ彼の人となりを知りたい――いや、知る必要がある。
そもそもの話、人間に限らず全ての生物には必ず"死"が訪れる。言い換えれば、"死"こそが生物を生物たる要因の一つと言ってもいいかもしれない。
だが、"不死"を追い求めたばかりにフェルズは人間としての肉体を失いスケルトンと言い換えてもおかしくはない容姿となった。結果的に言えば"不死"になれたと言ってもいいかもしれないが――あくまでも
だからこそ、もし【
だが――そう考えたとてまだ甘かったことを思い知らせられる羽目となってしまう。
ダンジョン内で、フェルズがまず目にしたのは――真っ赤に濡れた【
「な……」
これには驚愕を覚えざるを得ない。明らかに致死量の出血量であるにも関わらず、モンスターとの
なんたる所業。なんたる狂気。
【
身体のどこを見渡しても、赤でしかないほどに大量の出血。それも、心臓付近に穴が空いていたり片手がなかったり片足がなかったり目が潰れたり耳が取れていたり。
おまけには、
それでも尚、
呆然とした心で、ただ眺めるのみだったフェルズを後ろにしてモンスターを倒し切り、戦闘を終えた【
そうしたら―――にゅる、とあらゆる所の傷から
そして、その肉魂はどんどん元の形へと再生していくように形成されたと思ったら、それぞれ眼球や耳、手、足、心臓、挙句の果てには脳といったものが何処からか現れたように再生していく。
ほんの数秒も経たない内に、エリルの全身は
「――――それ、は……」
それほどの損傷を負っても尚、元通りに再生する。この言葉だけでも充分衝撃を含めるものとなるが、実際にこうして目にしたフェルズとしては衝撃を通り過ぎた何かでしかない。
それでこそ、思わず声が出てしまうほどに。
「……実際に見られたのは、貴方が初めてですね」
フェルズに気づいているのか、エリルはギリギリ聞こえる声量でそう呟いた。
「いかなる傷を受けても、僕は再生できる……いや。
そう口にしたエリルは苦笑いを浮かべる。それは、まるで親しい者に語りかけるような言動。
フェルズと【
……身体を再生するという所業の裏には、彼が発動している魔法の効果にある『不死』と『自動再生』がある。いかなる再生力があろうとも、人を人たらしめる本体である脳が一部でも損失したらどうしようも無い。
しかし、『不死』の効果により脳が損失しても肉体は
死という結果そのものを拒絶する『不死』により……生きている肉体が、一部を損失した頭含め全身を『自動再生』させるというものになっている。
その上、スキルにより補強された発展アビリティ【治力】も合わさってそれほど時間はかからずに再生を終えたのだった。
「いつか、"してもらっている"ではなく"する"という風に。当分はそれが僕のしたいことですね」
そう言って穏やかな笑顔を浮かべ、フェルズに宣言するような事をするエリル。
「……」
その笑顔と言葉の内容があまりにもちぐはぐすぎて、フェルズとしてもすぐに反応を返すことは出来なかった。
「――――そうか」
ふと、腑に落ちたフェルズは僅かに震えた声を小さく漏らして。
「君は、もう……」
【
改めてそう思い知らされたフェルズは、彼にこれ以上の言葉を持たなかった。
――この出来事の後、【