ロサスの失楽園 ――マグニフィコに息子が居た世界線――   作:(休止中)サン少佐

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第5節『ローブの魔女』

 

 ―――少し時を遡る。

 

 

 昔々、ある所に、ひとりの魔女が居た。

 魔女はかつて、世界で一番恵まれた国、ロサス王国の観光業に携わっていた。

 

 

 

 …―――魔女は無知で、外界の事を知ったか振っていた。

 

「ロサスは恵まれた国で、外界は地獄その物だと教わった。でも外界から来る者たちは皆、観光が出来る程に恵まれているじゃない。」と。

 

 実際にロサスへ観光していた者達は、フランス貴族や連合王国の諸侯、そして豪商(など)、上流階級と呼ばれる一部の人間達だったのだが、魔女は、その一部を全てと考えていた。

 

 …とは言うものの、勿論、ロサスに来る難民や移民も存在した。大多数がそうである。ただそう言った者達は、観光などする余裕は無く、魔女は繋がりが薄かった。

 

 魔女も、難民の存在を知らなかった訳では無いが、そういった者達は大多数居るだろうと考えていた。

 

 

彼女は無知だったのである。

 

 王の失脚後、魔女は6人の従者を引き連れ、イベリア半島へ旅に出る。

 

 

 

そこで見たのは―――。

 

 

 

 

 

 

 追い剥ぎをする農民。

 

 反乱を扇動する豪農。

 

 盗賊行為に手を染める傭兵団。

 

 そして…暴君の如く異端を断罪する、ヒメネス枢機卿の審問官達であった。

 

 

 

 

 6人の従者は審問官に捕まった。

 

今やロサス反乱の指導者は、旅する魔女と、現ロサス女王。

 

そして旅の同行を断った、ロサス唯一の騎士のみである。

 

 

 

 

 

 

 魔女は、バルセロナの見える丘陵に居た。

星空は煌き、中でも、明けの明星は燦々と輝いている。

 

 ―――明けの明星…。

 

 

…明けの明星は、黄色く煌めいている。

 

「…スター…?」

 

 

 黄色く光る、一番星。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"貴方今、何処にいるの?"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう魔女の居場所は、ロサスの他に無い。

 

あの楽園に向かわなければ―――。

 

 

 

 魔女はロサスの末路を、まだ知らなかった。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 昔々、ある所に、旅をするひとりの王子が居た。

 

 

 西の空は、未だ暗い。

王子は、遂にロサス島へ辿り着く。

これ程までに不気味なロサスは、王子にとって初めてだった。

「…。」

王子の表情は暗い。

身の内にあるのは、一体何か。

 

 直ぐ側で、星が煌めいた。

 

「…"付いて来い"と言っているのか?」

 

煌めく星はその問いに、文字通り"可愛らしい笑顔"で答えた。

 

 王子は歩みだす。桟橋から降り立ち、王子は5年ぶりにロサスの土を踏んだ。

煌めく星は、道に沿って奥へと進む。

そちらには広場があった筈だ。

 

 

 ―――その時。

『やあ、君は初めてロサスに来たのかな?』

不気味に声が鳴り響いた。

「…誰だ?」

『本当だ、新入りだ!』

『ロサスは君を歓迎するよ!』

「何者だ、姿を見せろ!」

木々が蠢く。

子供のような声は、王子の恐怖を駆り立てた。

『『この世の理想郷、ロサスへようこそ!』』

「まさか…木が喋ってるのか?!」

すると、王子の周りの木々が、突風が吹き付けた様に揺れ出した。

王子の背中に、冷ややかな風が流れている。

『『『この世の理想郷、ロサスへようこそ!』』』

「黙れ!…黙らんと燃やすぞ…!」

王子の引き抜いた短剣に、緋色の光が宿った。

 

 

 

「…貴様、そこで何をしている。」

 

 王子は初めて、それを見た。

 

 

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 ロサスの兵は、国王マグニフィコの魔法によって動く、リビングアーマーで成っている。

…しかし眼前の人物は何たるか。

 

「答えろ…!」

 

 

之は即ち、今ロサスに、父の様に魔法を使える者が、存在しないと言う事を示していたのだ。

 

 

 

 ―――しかしこの時、王子の考えた予測は、間違っていた。

 

 

 

「…まさか、スペイン海軍の哨戒を潜り抜けて来たのか?」




2024年3月21日19時38分
 追記:
今作では、難民と観光客は別物としています。
移民として難民も来ますし、観光客として上流階級も来ますし…と言った感じです。
つまりロサスに来た難民は、殆ど永住していて、アーシャは永住しない上流階級の観光客を案内していた…。
と私は考えました。

と言うのも、私は原作を見た事が無いので…。
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