ロサスの失楽園 ――マグニフィコに息子が居た世界線―― 作:(休止中)サン少佐
―――少し時を遡る。
昔々、ある所に、ひとりの魔女が居た。
魔女はかつて、世界で一番恵まれた国、ロサス王国の観光業に携わっていた。
…―――魔女は無知で、外界の事を知ったか振っていた。
「ロサスは恵まれた国で、外界は地獄その物だと教わった。でも外界から来る者たちは皆、観光が出来る程に恵まれているじゃない。」と。
実際にロサスへ観光していた者達は、フランス貴族や連合王国の諸侯、そして豪商
…とは言うものの、勿論、ロサスに来る難民や移民も存在した。大多数がそうである。ただそう言った者達は、観光などする余裕は無く、魔女は繋がりが薄かった。
魔女も、難民の存在を知らなかった訳では無いが、そういった者達は大多数居るだろうと考えていた。
彼女は無知だったのである。
王の失脚後、魔女は6人の従者を引き連れ、イベリア半島へ旅に出る。
そこで見たのは―――。
追い剥ぎをする農民。
反乱を扇動する豪農。
盗賊行為に手を染める傭兵団。
そして…暴君の如く異端を断罪する、ヒメネス枢機卿の審問官達であった。
6人の従者は審問官に捕まった。
今やロサス反乱の指導者は、旅する魔女と、現ロサス女王。
そして旅の同行を断った、ロサス唯一の騎士のみである。
魔女は、バルセロナの見える丘陵に居た。
星空は煌き、中でも、明けの明星は燦々と輝いている。
―――明けの明星…。
…明けの明星は、黄色く煌めいている。
「…スター…?」
黄色く光る、一番星。
もう魔女の居場所は、ロサスの他に無い。
あの楽園に向かわなければ―――。
魔女はロサスの末路を、まだ知らなかった。
昔々、ある所に、旅をするひとりの王子が居た。
西の空は、未だ暗い。
王子は、遂にロサス島へ辿り着く。
これ程までに不気味なロサスは、王子にとって初めてだった。
「…。」
王子の表情は暗い。
身の内にあるのは、一体何か。
直ぐ側で、星が煌めいた。
「…"付いて来い"と言っているのか?」
煌めく星はその問いに、文字通り"可愛らしい笑顔"で答えた。
王子は歩みだす。桟橋から降り立ち、王子は5年ぶりにロサスの土を踏んだ。
煌めく星は、道に沿って奥へと進む。
そちらには広場があった筈だ。
―――その時。
『やあ、君は初めてロサスに来たのかな?』
不気味に声が鳴り響いた。
「…誰だ?」
『本当だ、新入りだ!』
『ロサスは君を歓迎するよ!』
「何者だ、姿を見せろ!」
木々が蠢く。
子供のような声は、王子の恐怖を駆り立てた。
『『この世の理想郷、ロサスへようこそ!』』
「まさか…木が喋ってるのか?!」
すると、王子の周りの木々が、突風が吹き付けた様に揺れ出した。
王子の背中に、冷ややかな風が流れている。
『『『この世の理想郷、ロサスへようこそ!』』』
「黙れ!…黙らんと燃やすぞ…!」
王子の引き抜いた短剣に、緋色の光が宿った。
「…貴様、そこで何をしている。」
王子は初めて、それを見た。
…
ロサスの兵は、国王マグニフィコの魔法によって動く、リビングアーマーで成っている。
…しかし眼前の人物は何たるか。
「答えろ…!」
之は即ち、今ロサスに、父の様に魔法を使える者が、存在しないと言う事を示していたのだ。
―――しかしこの時、王子の考えた予測は、間違っていた。
「…まさか、スペイン海軍の哨戒を潜り抜けて来たのか?」
2024年3月21日19時38分
追記:
今作では、難民と観光客は別物としています。
移民として難民も来ますし、観光客として上流階級も来ますし…と言った感じです。
つまりロサスに来た難民は、殆ど永住していて、アーシャは永住しない上流階級の観光客を案内していた…。
と私は考えました。
と言うのも、私は原作を見た事が無いので…。