これはひどいパワプロクンポケット   作:ブロx

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飛翔編 その3

 

 

 

明くる日。ついにきましたこの時が。

 

「よし、ちょっと気が引けるが他の学校のチームを弱くするぞ!」

 

「待ってました!」

 

当然!妨害作戦だッ。古より続く作戦!それが流儀ィ!

 

 しかもテンションの高い智美さんを見ると、なんかこうワクワクするよね。そんな楽しい楽しい作戦の始まりだ。

 

「でもすまないが、次のことは絶対に守ってくれ皆。まず、誰にもケガさせない。物を、無闇に壊さない。無関係な人に、迷惑をかけない。葉月さんと彩さんのランダムイベントを全部見る」

 

「(手ぬるいわねえ)」

 

「最後はよく分かんないでやんすけど、他はOKでやんす。でも具体的にどうやればいいんでやんす?」

 

「心配するな。こういうときの為のノウハウが、ウチの部にはたっぷりあるんや。ホレ、作戦コスチューム」

 

「わぁ、すごいでやんす!」

 

「じゃあ、用意ができたわね。コレ、今回の学校の場所と学校の中の地図よ」

 

流石だあ。ていうか外藤さんと智美さんが揃ってる今って怖いものないな。

 

「って、あれ?俺の分は?」

 

「あら、パワポケくんはダメよ。この二人ならともかく、あなたが捕まったら野球部全体の責任になっちゃうでしょ?」

 

「・・・そうかな?」

 

行きてぇ。行きてえよマイスィートハニー作戦とか特に。

 

「そうや。キャプテンは、どっしり構えとったらええ」

 

「じゃあ行ってくるでやんす!」

 

てなかんじで、作戦開始! 

 

「あかとんぼ高校とやまのみや高校に行ってきたでやんす。マウンドの高さと部室のモノの場所を変えておいたでやんす」

 

「結構気になるもんやで」

 

「うーん…。あんまり効果なさそうね」

 

「まあ、いいじゃないか。二人とも無事だったんだし」

 

「んー……」

 

 あごに指を当てて考え込む智美さんマジグッド。・・・こいつら、てんでダメだって考えてるな? 

 

 下っぱは楽じゃありませんなあ。まあ今はこうやって当てにならないアピールをさせてくださいよ。智美さん、貴女の野望の為にもね。

 

「ちょっと時間ができたでやんすね。オイラちょっくら素振りしてくるでやんす!」

 

「付き合うよ、亀田くん」

 

 亀田の野郎の練習に付き合いつつ今日の部活は終了。その後、俺はコンビニに入っていった。

 

「牛肉コロッケとかないかな」

 

「おういらっしゃい。何を買うんだ? え!」

 

「・・・・!」

 

「何も買わないんなら帰んな!」

 

「これくーださい」

 

「?おう、まいど」

 

 おっさんだあ。てめえじゃねえよって当時は毎回キレてましたよおっさん。いや、竹村さん。ていうか初対面の客に対してマジですげえ態度で笑っちゃう。けど堪えるんだ。し、しかし。

 

「・・・ん?これは?」

 

 コンビニ前での立ち食いは至福である。そのコンビニの影、薄暗い場所に何かが落ちていた。

 

「免許証っぽいぞ。―――あ!これバスト90!」

 

 免許証にそんな個人情報書いてあったらビックリだよ。なので俺がビックリしたのはそこに書いてある名前である。

 

「みなこさんのだ。うわあ、すっげー。あ、店員さーん、これそこに落ちてましたー」

 

「なにか買わねえなら失せな!」

 

「さっき買ったんでもう失せまーす」

 

「もう来なくていいぞ!」

 

 懐かしすぎてやべーよこれ。怒る気すらならないね。なのでテンションが上がったところで神社で自主練タイムだ。

 

 素振りをする。ときにはダッシュも行う。投球練習も勿論するが、野球はタフが始まりで全てである。

 

「勝負。したいなあ、やっぱり」

 

極亜久高校2年。とくれば進さんの交通事故イベントだが。

 

「あ、パワポケくん!」

 

「あれ?どうしたんだい、進くん。野球道具がないようだけど」

 

「練習試合の申し込みにきたんだよ。今日はね」

 

「え?でもこの間は・・・」

 

「うん。うちの勝ちだったね。けど今度は兄さんもひどいことを言わないと思うよ」

 

「・・・・何かワケがありそうだね進くん」

 

「まあ・・・・ね。実は、今回の試合には大きな意味があるんだよ。極亜久高校野球部じゃなく、うちの野球部にとってね。

 ぶっちゃけて言ってしまうと、パワポケくん達の相手は1年生達なんだ。うちのね」

 

「なるほど。それは俺達にひどいことを言うまでもないね。 日程は?」

 

「明後日を希望してるんだけど・・・」

 

「是非やろう。あ、守さんに伝えてくれるかい。俺達はどこで誰が何が相手だろうと常に勝ちに行くってね」

 

「ありがとう。兄さんにしっかりと伝えておくよ。・・・すまない、パワポケくん」

 

「試合経験が足りないのはうちの方だからね。願ってもない申し出だったよ、進くん。明後日グラウンドで会おう」

 

「・・・。ああ!」

 

 そう言って進くんは去っていった。・・・ここで貴方に忠告すらしない俺を恨んでいいよ進くん。いや、野球マスク。俺はパワポケに魂を燃やされそして、売った男だ。

 

「だから。ケリは甲子園といこうぜ最強」

 

 次に会う時はきっと野球に魂を売った男が現れるだろう。

武者震いが起こり、俺はそれを消すために更に練習に熱が入るのだった。

 

 

 

 

―――そして練習試合。

 

「げえっ!向こうは1年ばっかりだぁ!!」

 

「新人のテストをするつもり。…ってところでしょうね」

 

「ようこ先生!オイラ達バカにされてるでやんす!!!」

 

「俺は頭にきたぜ亀田!こうなったら、この前の連中を引きずり出すまで!やってやる!!」

 

 よし。皆気合が入ったな。問題は俺がしっかりと自分の役割を果たせるか否かだが。

 

「いくぜ皆ア!!!」

 

「おう!!!!!!」

 

そんなこんなで8回裏 3-2。

 

「・・・もう8回だぜ。リードしてるとはいえ1年にしちゃ、あいつら強すぎだよー」

 

「う~ん、流石はあかつきだ・・・。だが!」

 

「このまま押し切るでやんす!」

 

「おい!見てみい!きゃつらタイムをかけよったで!!」

 

「これはッッ!でやんす!」

 

「バッテリーが変わるぞ!!」

 

「――ふ~ん、この前に比べて少しはマシになってるじゃないか。

進!!マスクをつけろ。あかつき高校の本当の実力を見せるぞ!」

 

「―――了解だよ。兄さん」

 

「選手の入れ替えや!」

 

「ワ~イ!目的達成でやんすね!」

 

「あほかいっ!!ここまで来たら、この試合に勝つんや!!」

 

「そうだ!!省略するけど子供を質に入れても勝て!たとえ負けても、勝つんだぁあ!!!!」

 

「大丈夫かこのキャプテン」

 

「パワポケくん!皆!頑張って」

 

「ファイトです!皆さん!」

 

「マネージャーが応援してくれておるのだから、力出すしかないのう。男としてはのう!」

 

「つまり一人前の男!?その称号カテゴリーエースは僕のものだあああ!!!!」

 

「ネクストバッターの佐藤くん!頼んだ!!」

 

「ふああああああんん!!!」

 

ヒット!やるぜやっぱり掛け声はともかく。

 

「続け続け!!」

 

「やったでやんす!4-2で最終回でやんす!」

 

「キャプテン!頼んだ!!」

 

「まかせとけ!!ばっちこい!!」

 

我ながらナイスな投球だぜ。あっという間にツーアウトだ。

 

「・・・やるね、パワポケくん。でも勝ちに行かせてもらうよ!」

 

「おらア!!」

 

ついに三番の進くんがバッターだが知ったことか。三振でしとめてみせる!

 

「ストライク!」

 

「ナイスピッチでやんす!」

 

「ねえ、トルネードの弱点を知ってるかな?キャッチャーくん」

 

「・・・(ささやきでやんす?)」

 

 二球目。しかしコンっと、乾いた音は俺達の意表をついた。上手いバントで進くんは一塁へ。マジかよ今ツーアウトだぜ?

 

「・・・ドンマイでやんす!」

 

「・・・くそ!!」

 

「それはね――」

 

 進くんが何か喋っている。が、次で決めてやる。振りかぶり、俺は球を投げようとして―――

 

「! 盗塁でやんす!!!」

 

「?!」

 

「体を捻る事で、盗塁を阻止しづらいってことさ!」

 

・・・二塁セーフ。まずいなこれは。だって今は四番の、

 

「よくがんばったと言いたいがそろそろ終わりにしようじゃないか。極亜久高校!」

 

守さん。ピッチャーとしてもバッターとしても有名なあの守さんである。

 

「・・・ふぅー・・・」

 

 亀田のサインは。

歩かせるなんて選択肢はねえぞ。なので外角いっぱいのスライダー。よし、これで決める。

 

「しゃいッやおらあ!!!!」

 

「フンッ!!!」

 

 バットが素早く振るわれる。俺の球をとらえる。いやしかし決まってくれ俺のコントロール!

 

「ッ!?」

 

「曲がれえええ!!」

 

更なる変化を見せる俺の球を、守さんは打ち上げていた。

 

「キャッチャー!!!!」

 

「オーライでやんす!」

 

亀田がしっかりと捕球する。これにてゲームセットだ。

 

「やったー!勝ったぞ!!この調子でガンバルぞお!」

 

「よっしゃワーイ!何だか自信がわいてきたぞ!!」

 

「ヘイ!ミーも、ちょっとベースボールわかってきたネ!」

 

「うん、僕も何だか野球が上手くなった気がする」

 

「あかつき高校に勝ったでやんす!これで甲子園もユメじゃないでやんす、」

 

「アホ!いい気になるな!向こうは途中まで1年だけやったこと、忘れたらあかんで!」

 

「外藤さんの言う通りだ。次は最初からレギュラーが来ても勝つぞ!!」

 

「おう!!!」

 

それにこれ練習試合だから野球部の存続はまだ決まってないし。

 

「・・・なるほど、少し舐めすぎてたようだ。

進!イチからやり直しだ。この程度の連中にこんな試合内容じゃ、ダメだ!」

 

「分かったよ兄さん。

――――それにしても、いい球だったよパワポケくん。なんだろう、この楽しくなってくる感じ。次に会う時が本当に待ち遠しいよ」

 

 あかつき高校野球部が球場から去っていく。しかしその意気は軒昂で、厄介な相手が更に厄介になったのだった。

 

 

 

 

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