これはひどいパワプロクンポケット   作:ブロx

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まだ2年生ですが目指セ甲子園。





疾風怒涛編 その1

 

 

 

 

2年生にして迎える夏の大会。俺達は地方大会の1回戦を勝利で終えた。

 

「勝ったでやんす!」

 

「やった!勝ったぞ!この調子で頑張るぞ!」

 

「やったるでやーんす!!」

 

これにて極亜久高校野球部は存続決定。ふふふ、順調かつ圧倒的じゃないか。

 

「極亜久高校よ永遠なれ!!」

 

「相変わらず何言うてんねんパワポケ。たかだか地方大会の一回戦を勝ったくらいで」

 

そんな俺に外藤さんが釘を刺す。

 

「外藤さん」

 

「狙うは優勝や。ここまで来たら、行けるとこまで行ってみよか」

 

「はい!!」

 

意気軒昂な俺たち。明日は白鳥学園と試合だ!

 

―――そして次の日。

 

「・・・・・殺ス」

 

「ちょっ、あれ誰でやんす?」

 

「たぶん、白鳥学園のキャプテンじゃないかな」

 

「凄まじいオーラじゃのう。まるで物の怪じゃ」

 

やっべ、冬野じゃん。超こわすぎ。

 

「む~~~ん。気にしたら負けなんだな~~」

 

「む~~~ん。勝てばよかろうなんだな~~」

 

「そのっ通り!勝ちに行こうぜ皆!」

 

そう言って鼓舞しながらベンチに行く途中、俺はふと相手のベンチを見た。

 

見てしまった。

 

「・・・・・・ゲ!!!!」

 

「? どうしたでやんすパワポケく、ん?ごめんでやんすオイラの靴ヒモが急に」

 

 亀田の野郎に返事をすることなく、いやそれ以前に俺は身体が動かせず、そこにある人形を見続けていた。

 

――イタチの姿をした、白い白い人形を。

 

「特級呪物だ!!!」

 

「・・・は? でやんす」

 

「またどないしたんや今度は」

 

「外藤さん!はやく俺を殴って下さい!」

 

「なんやと?」

 

「はやく!!」

 

 バチン。おっぶえ。気付けの一発で俺は正気に戻った。が、他のチームメイトが心配だ。

 

「あれ。・・・何だか腹の具合が」

 

「俺もだ。何だろう急に」

 

「ウワァァァァァァァァァァ!!」

 

「佐藤くん!!急に一体恐怖心どうしたんだい佐藤くん!佐藤くん!?」

 

 やべえぞ効果抜群じゃん。ていうかあの人形の出番はパワポケ2からの筈。どういうこった冬野の野郎絶対許さねえぞ!

 

――気合だ。こうなったら気合しかない!!

 

「プレイボール!!!」

 

「うおおおおおお!!!」

 

―――しかし、試合終了。

 

「調子が出ないでやんす・・・・負けちゃったでやんす・・・」

 

「くそう!練習あるのみだ!たとえ呪われても勝つんだあ!!偉大なる先人(パワポケ4主人公)のように!!」

 

「よく分かんないでやんすけど了解でやんす!」

 

2年生での俺達の夏はこうして終わったのだった。

 

「・・・昨日は悔しかったでやんす・・・・」

 

「俺もだよ亀田くん。だから早速練習開始だ!」

 

「おう、パワポケ。ちょっといいか。言わないといかんのやが、俺がこの部にいられるのも今日が最後や」

 

「――え?何言ってるんですか外藤さん!まだまだ我が部はこれからで、」

 

「あほう。3年は夏の大会が終わったら引退するようになってるやろがい」

 

「え。あ、そ、そうでした・・・」

 

忘れてた・・・・。 この俺が?

 

「・・・・淋しくなりますね」

 

「なんやえらく殊勝やないか。まあ時々、お前らがさぼってないか見に来るさかい。覚悟しとけや」

 

「・・・はい!」

 

 外藤さんが帽子のツバを少しいじる。その仕草は名残惜しいのだろうか、俺よりも年季が入ったそれを、外藤さんは丁寧に触っていた。

 

「そやパワポケ。今もまだ、お前の夢は変わってへんのか」

 

「!勿論です」

 

「そうか。応援だけはしたるわ。これからもな」

 

「外藤さんはこれからどうするんですか?」

 

「そうやなあ。・・・・いつでも腹いっぱいになれる仕事でも目指してみよかなあ。ま、よく分からん」

 

「・・・そうですか」

 

「とにかくそういうわけやから。達者でな」

 

「今までありがとうございます!」

 

外藤さんが去っていく。それは秋の大会への準備の始まりでもあった。

 

 

 

 

そんなある日。部室にて。

 

「? 明日香じゃないか。何してるんだい?」

 

「智美さんに頼まれてね。ちょっとロッカーを動かしているの」

 

「そんな。俺達男共がやるよ。佐藤くん、手を貸してくれ」

 

「うん」

 

「……。助かるわ、パワポケくん。佐藤くん」

 

「いいってことだよ」

 

 パワーを発揮して良い汗をかいた俺達は野球の練習を開始。順調に時間は過ぎていき、あとは帰宅するのみとなった。

 

「今日はもう上がろうかな」

 

「あ、パワポケくん。今日は一緒に帰らない?」

 

「ああ、構わないよ。帰ろう帰ろう」

 

 とかなんとか冷静さを装っているが俺のテンションは爆上がりである。

だってあの明日香と一緒に帰る。え?最高かこれ。なんとかしておしゃべりしまくろう!

 

「明日香はタコが好きなんだよね。食べ物だとタコ焼きが一番なの?」

 

「タコ焼きも良いわね。でもタココロッケも美味しいよ?」

 

「そ、そうなんだね・・・」

 

「ええ」

 

「・・・・」

 

 参ったな。会話が続かない。今こうして一緒に帰っているという事実だけでお腹一杯だっつーの。どうしよう、マジかわいい。本音しかでない。

 

「……。あ、そうだ。パワポケくん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

「え?別に構わないけど」

 

明日香の長い髪が風に靡く。綺麗すぎる。俺を狂わせる。

 

「ありがとう。

――パワポケくんはさ、野球のどんなところに魅力を感じているの?」

 

「へ?」

 

「私、野球部のマネージャーなわけだけど、これ聞いたことなかったなって。だから最近色々な人に聞いているの。知りたくて」

 

「野球の魅力かあ。・・・・・勝負なところかな」

 

「勝負?」

 

「野球って、団体競技なんだけど個人競技でもあるんだ。そこが面白いんだなって最近思えてきた」

 

「………最近?」

 

「! まあ、ね。俺も色々最近思う事があって」

 

「ふーん、そうなんだ。………野球は勝負、か。じゃあ男同士の闘いなのね、野球って。ところで、たとえばの話だけど、自分にとって大切な人と大事な試合があったらどっちが大事?」

 

「両方だ。それ以外に取る選択肢はないよ」

 

常に。毎回。

 

「パワポケくんらしいわね」

 

「? あ、そういえば明日なんだけど、放課後ちょっと時間ある?」

 

「それはあるけど、何か用事?」

 

「よっしゃ。明日、誕生日だろう?9月14日」

 

「…。私、言ったことあったっけ?」

 

「え?忘れちゃった?やだなあ、昔教えてくれたじゃないか」

 

やだなあ。俺が貴女の誕生日を忘れるわけないじゃないか。

 

「そうだったっけ?」

 

「勿論さぁ」

 

 明日香が笑顔になる。笑顔で明日香を見る。この一瞬が尊いんだよ。だから俺はパワポケが好きなんだよ。明日香はもっと好きだけど。

 

 

 

 

 

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