この空はあんたに続いてるか   作:アハハヒフミサンペロロスキー

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戦闘描写難しい…


災厄の狐(2)

 

 ワカモの弾丸を盾で懸命に防ぐソウスケ。

 ホローポイント弾ではなく通常の弾に切り替えたのか衝撃が増え一撃一撃が重い。

 

「他の蛆虫が持ってる貧弱な盾とは違い相当な業物の様ですねぇ」

 

 ライフルの弾が貫通しないところを見て相当硬い盾と見たワカモは軽口を叩くがその言葉を無視してソウスケはもう一度肉薄する。

 彼女の武器はライフル、対してソウスケはサブマシンガンと盾。

 相手がいかに銃剣をつけているからといって近接戦での優位はソウスケが上と言っていい。

 相手の弾を受け切って弾切れの時に距離を詰める。

 それが最善の選択だろう。

 

「ふふふ、弾切れを狙っているのがバレバレですよ?」

 

 だがソウスケの狙いを分からないワカモではない。

 弾を撃ち尽くした音を聞き逃さなかったソウスケが盾を振りかぶった時、ワカモが懐から何かを投げつけた。

 凄まじい爆音と衝撃が同時にソウスケを襲う。

 盾を振りかぶっていたため防ぐことが出来ず至近距離でまともに爆発を喰らったソウスケはドアを突き破り建物の廊下に吹き飛ばされる。

 激痛と爆音で目の前がぐらりと歪むが、ワカモは治るのを待ってくれる様な人間ではない。

 無理やり体を起こして襲い掛かる弾丸を盾を持ち上げなんとか防いだ。

 

「まだ立てるのですか、随分頑丈ですね。そろそろお亡くなりになってくださいませんこと?」

「そういうわけにはいかねえんだよ…先生達がまだ戦ってんだ」

 

 ソウスケは立ち上がり銃にマガジンを装填する。

 頭から血がポタポタと滴り床へ落ちた。

 左手に持っている盾を少し恨めしそうに見ると、腹が立つくらい白く、水色の水晶の様なものが隙間から見えた。

 なんて重い盾だろう。日頃から何度も家に置いてきてしまおうかと思うが、これがなければすでに自分は立っていないだろう。

 これだけは会長に感謝しなければならない。

 満身創痍のソウスケに対してワカモはまだまだ余力が残っているという状況、戦況は誰が見ても不利だ。

 ましてや向こうはキヴォトスでも有名な災厄の狐、そんな相手にただの高校生である彼が一対一で戦う時点で無謀だ。

 しかしそんなことはソウスケも知っている。

 

「あなたは見たところ連邦生徒会ではない様子、どうしてそこまでこの件に関わるのですか?学園の任務ですか?それとも報酬目当て?」

「どれでもねぇよ。俺は会長に言われて先生を迎えに来て巻き込まれただけだ」

「連邦生徒会長に…そうですか、あなたが連邦生徒会長お気に入りのワンちゃんですか。ふふふ、飼い主に裏切られても忠実なこと…」

「裏切り?」

 

 ワカモの言葉にソウスケは反応し、それを見た彼女は再び笑う。

 

「だってそうでしょう?あなたたちが血を流しその身を削っているのに連邦会長はどこへ?あなた達を裏切り全てを放り出し逃げたのでは?」

「違う!会長はそんなことしない!」

 

 ワカモの言葉を間髪入れずに否定する。

 それを聞いた彼女もまた引かずに答える。

 

「なら彼女はどこに行ったのですか?あなたがこんなに傷ついてるのに、どうして助けてくれないのですか?」

「それは分からねぇよ。けどな、俺の知ってる会長は全部投げ出す様な人じゃない!何も知らない奴が好き勝手言うんじゃねぇ!」

「それで全て大人に押し付けたと…ふふふ、ならその先生は?あなたをこうして犠牲にしているではありませんか。大人というものは醜悪で子どもを利用するものです。きっと、先生とやらも同じ…」

「これは俺が勝手にやってる事だ。あの人は関係ないし、きっとそんなことしない」

「何故言い切れるのです?あったばかりだというのに」

 

 ワカモの問いかけに少し目を閉じた後、彼女の顔をまっすぐ見て言い放つ。

 

「俺が信じたいと思ったからだ」

 

 なんの曇りもなく、言い放った。

 嘘偽りなく、真っ直ぐ。

 

「なら信じたまま死んで下さいまし!」

 

 踏み込んだと同時にソウスケの元へ矢の如く飛ぶワカモ。

 その速度に反応できなかった彼の腹部に銃剣が突き刺さり、ワカモはそのまま至近距離で弾丸を全て叩き込んだ。

 が、それはソウスケを沈黙させるには至らなかった。

 

「なっ!?」

「んらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ワカモの腕を掴みそのままサブマシンガンを彼女の腹部へ全ての弾丸を撃ち込み、撃ち尽くした銃を投げ捨て拳を叩き込む。

 今この瞬間勝負を決めに行くかの如くひたすらボディブローを打ち据える。

 

「ぐっ!あっ!!いい加減にっ!」

 

 ワカモが逃れようと身を引こうとした時、ソウスケは彼女の腕を突然放した。突然のことに態勢を崩したワカモに彼は盾を振りかぶった。

 

「そこだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ガチャン!という音を立て穿つような形態へ変化した盾はうねりを上げ彼女を殴り飛ばした。

 ワカモは2回ほど床でバウンドし、壁へと叩きつけられた。

 

「会長がどんな理由で先生をここに呼んだのか、どこに行ったのかなんて分からねぇよ。何か言えないことがあるのか、それとも帰れない理由があるのか。だけどな、だからって裏切られたなんて思う訳ねぇだろ。あの人が先生に全部託したってんなら、俺は会長と先生を信じる」

 

 ガラガラと崩れる壁を背にワカモはフラフラと立ち上がる。

 腕はだらりと垂れており、仮面が少し欠けている。

 咄嗟に両手で防いだのか直撃はしなかったようだがあの質量をまともにぶつけられたらただでは済まないだろう。

 

「決めました…」

 

 画面から見える目がギロリとソウスケを捉え、ゆらりと銃を肩に担ぐ。

 空気がワカモを中心に渦を巻き急速に冷えていくような感覚にソウスケの額には汗が流れる。

 

「このワカモ…ここまでやられるのは久方ぶり…お名前を伺っても?」

「…上坂、ソウスケ」

「今回、あの建物の地下に連邦生徒会長が何かを運び込んだと聞き破壊するために参りましたが…後にします。今は、上坂ソウスケ…あなたを壊したくて仕方ありません!」

 

 放たれる弾丸を盾で受けた瞬間、爆発が連続で起こる。

 爆炎が上がり煙が充満した。

 瞬間ワカモがソウスケの元へ走り込んで来た。

 銃を構えるがワカモは壁を蹴り、俊敏な動きでソウスケの頭上から弾丸を彼に浴びせた。盾を避けての攻撃をまともに喰らってしまう。

 そのまま距離を取るワカモとそれを追いかけるソウスケの攻防。

 ヒットアンドウェイを心掛けるワカモに少しずつ傷をつけられ体力を消耗させられる。まさにジリ貧と言って良い。

 階段を駆け上がり、そしてついに追いついたと思った瞬間、ソウスケは絶句する。

 見渡す限り部屋に貼り付けられた爆薬。

 それが彼が入った瞬間起爆するように仕掛けられていた。

 彼女が即興で作った、単純で、瑣末な罠と言っていいのかも分からない罠。それにまんまと彼はハマってしまった。

 マズイと思った瞬間、けたたましい爆発が起きた。

 

◇◇◇

 

 爆発が起きた時、ワカモは真上の部屋に潜んでいた。

 元々古いビルだったからか部屋の天井に穴が空いていたのだ。

 こんな手を連邦生徒会長の駄犬如きに使わなければいけないなど彼女にとって屈辱以外の何者でもない。

 正面から潰してやりたかったが、あの強靭な盾と出鱈目な耐久力には室内戦が得意なワカモも厄介と言わざるおえない。

 そもそも完全に予定外、適当に連邦生徒会の駒をチンピラに相手をさせて自分は連邦生徒会長が運んできたものを破壊するためにやってきたのだから。

 

「くっ…忌々しい…」

 

 盾による打撃を両腕で防いだ時ヒビでも入ったのかズキズキと痛み始める。それにお気に入りの仮面も半壊してしまった。

 なんて厄日なのだろうか。

 それもこれもあの上坂ソウスケとかいう男の存在。

 完全に実力を見誤り、侮った結果だ。それは改めなければならない。

 しかし不思議な男だ。

 確かにあの重い盾を振り回し被弾覚悟でこちらに肉薄する勇気と耐久力は凄いが実力はSRTには遠く及ばない。

 それをなぜ会長はSRTを差し置いて彼を側に置いたのだろうか。

 ━━━━━━俺が信じたいと思ったからだ。

 もしかしてあの眼だろうか。

 疑うことを知らない、純粋で決意に満ちた眼。

 ただの犬と思えば忠実な従者。

 会ったばかりの人間のために体を張り命を掛ける愚かな男。

 よくもあそこまで騙せるものだ。恐れ入る。

 人は裏切る生き物だ。だからもう、人など信じない。

 恐怖で支配して必要な時に動かせば良いだけだ。

 あの男も、裏切られたと知れば気づくだろう。

 

「終わりですね…」

 

 部屋を見ると中は見るも無惨な姿になっていた。

 壁、床、天井に大きな穴が空いている。

 だが、上坂ソウスケの姿はそこになかった。

 とてつもない爆発だが死ぬような威力ではない、しかし動けるような威力でもない。ならどこに行った?下の階に落ちたのか?と銃を構えながら覗き込んだ瞬間、下から何かが投げ込まれた。

 それが何か分かる前に強烈な閃光と爆発音がワカモを襲う。

 

「ああっ!ぐっ!ちょございなぁ!」

 

 目の前が完全に光に覆われたまらず銃を乱射するが誰にも当たることはない。

 そしてワカモが視力を取り戻した時に見たものは

 

「終わりだぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

血まみれになりながら盾を振りかぶる男の姿だった。

 

◇◇◇

 

 この盾は会長にもらった。

 誰かを守れる人になってくださいって渡された。

 最初は重いし邪魔だし、もっと軽いのが欲しいと言った。

 でも会長は言った。

 何かを守ると言うのは重たいものだって。

 人を守ると言うのはその人の命、心、人生を守ることだと。

 それには責任っていう重みが必要なんだって。

 だから人を守る盾と人を傷つける武器は重いものなんだと。

 そのときは分からなかったし、今も完全に理解できてるかは分からない。

 こんな盾持ってたって別に射撃が上手くなるわけじゃないし、長く歩いたら疲れるし邪魔だし。たまに置いて行きたい時もある。

 でもこの盾は便利だ。

 

━━━目の前の馬鹿野郎をぶん殴ることができるんだから。

 

 

 




ワカモって過去が明かされてないから書くの難しい…
そもそも敵と問答したり評価したりするタイプかな?
ワカモ好きだけど先生がいない時の描写がむずい。
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