この空はあんたに続いてるか 作:アハハヒフミサンペロロスキー
ついてない男
俺こと、上坂ソウスケはついてない人間である。
学校内のティーパーティーとシスターフッドからは厄介者扱いされるわ、連邦生徒会長に呼び出されたと思ったら大騒動に巻き込まれてボロボロにされるわ、何故か他校の生徒に支出を管理されるわ。
ろくなことがない。少なくとも連邦生徒会長の雑用を始めてからこんなことが多くなった気がする。
それまでにあったかどうかわかんないけどさ。
「ここどこだよぉぉぉ!」
そして今の俺の状況は結構切迫しているところだ。
なんせ全然知らない砂漠のど真ん中で迷子なのだから。
ことの発端は数日前、友達の浦和と話してたのだが水道の故障で水を被ってしまったところ何を考えたのか水着になって登場し正義実現委員会に二人で追い回されることに。
浦和は捕まって俺ももう直ぐ捕まると言ったところでヒフミに助けられてことなきを得た。
で、そのお返しということでヒフミと一緒にペロロ様グッズを追い求めてフラフラと歩き回ったのだがどこも空振り、そしてブラックマーケットにまで足を伸ばしてしまったのが運の尽き。
トリニティの生徒がそんなところをうろうろしてたらもちろん目をつけられるわけで、ヒフミをゴミ箱に隠して俺が囮になりこんなところまで逃げる羽目になったのだった。
今覚えばバカなことをしたもんだ。
トリニティの自治区逃げれば良いのに変なところまで来てしまった。
「一面砂ばっかじゃねぇかよぉ…スマホも繋がらねぇし…とほほ…ついて無さすぎる」
俺はひょっとして友達付き合いを見直した方がいいのではないだろうかと葛藤する。
考えてみれば俺基本的に悪いことしてないだろ今回。
どこの建物も人が居ないし、そもそも人すらいない。
どこなんだろうと思い古いポスター等を見てみるとアビドスという文字が見えた。
アビドス?聞いたことある様な…
「せめて誰か人だけでも…お?」
なんか騒がしいな…この奥からか?
ひょっとして人が居たり?ラッキー!何とかなるかも!
「すいませーん!ちょっと聞きたいことが!」
って声をかけた浅はかさを俺は呪う。
だって目の前のヘルメットを被った軍団が黒い猫耳が生えた女の子を誘拐しようとしてるとこだったんだから。
「あえ?」
「何だお前!こいつの仲間か!?撃て!撃て!」
ヘルメット団?の号令で俺にとんでもない数の弾丸が襲いかかってくる。
咄嗟に盾で防いだから怪我はしなかったけど何この状況!?
「何でこうなるんだよぉぉぉぉぉぉ!」
◇◇◇
アビドス対策委員会の少女、黒見セリカは見知らぬ場所で目を覚ました。
ガタンガタンと揺れるところを感じるとおそらくトラックの荷台が何かだろう。
バイトの帰りから記憶がないところを考えるとおそらく拉致されたのか。
(私埋められるのかな…連絡もできないまま…裏切ったと思われるかな…やだよ…)
気がつくと目からポロポロと涙がこぼれてきた。
いつもは強気な彼女も今では恐怖と不安で胸がいっぱいになってしまった。
みんなに会いたい。死にたくない。
(誰か助けて…助けてよ…ホシノ先輩…みんな…先生…死にたくないよ…)
心からそう願った時、突然トラックが横転する。
体が宙を舞って打ち付けられた。
何が起きたのだろうか。カタカタヘルメット団が事故を起こした?
それなら何とかして逃げないと。
そう痛みに悶えながら体を起こした時だ。
「やっべ大丈夫かな…あっ!起きてる!大丈夫か!?」
そこには煤や砂で汚れた黒い髪の少年がいた。
水色の太陽の様なヘイローと白く大きいメカニカルな盾を持った少年は自分に駆け寄って拘束を解いてくれた。
カタカタヘルメット団の仲間かとも思ったがそうであれば自分を解放する意味がない。
「怖かったよな、もう大丈夫だ」
そうやって笑いかけてくる少年に、何者なのかという疑問よりも先に安心がやってきた。
「怪我ないか?」
「ないわ、それよりあんたトリニティの生徒よね?なんでこんな所にいるのよ」
「あー、それはー話すと長くなるんだけど…」
セリカは助けてくれた少年に怪しそうな視線を向ける。
そもそもどうしてトリニティの生徒がこんな所にいるのだろうか。
「えっと、俺は上坂ソウスケ。トリニティの2年。お前は?」
「…黒見セリカ、アビドス高等学校1年」
「黒見だな。アビドス高等学校ってことはここ地元だよな?」
「そうだけど…」
ソウスケと名乗ったその生徒はそう確認したあと綺麗な土下座をした。
「お願いします!俺を街まで連れていってください!」
「…はぁ?」
「もう昨日から歩きっぱなしなんだ!頼む!出口まででいいから案内してくれ!」
…なんだか疑ってた自分がバカみたいだ。
さっきまでの姿とは打って変わって綺麗な土下座を見たセリカは呆れてしまう。
と思ってたら突然トラックが爆発した。
カタカタヘルメット団の襲撃かと武器を構えたが、そこにやって来たのは自分の大切な人間たちだった。
「セリカー!迎えに来たわよー!」
「先生…みんなっ!」
シャーレの先生、ヒメノとアビドス対策委員会の仲間たちだった。
「あれー?カタカタヘルメット団の姿が見えませんね⭐︎」
「そこにいる男が知ってるかも」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!待て待て待て!誤解だって!」
「待ってシロコちゃん。その人は違うと思うよ」
「シロコ先輩待って!ホシノ先輩の言う通りその人は違うの!その人が助けてくれたの!」
セリカがそう伝えるとアビドスの面々はソウスケを一瞥し、ヒメノが大丈夫だと伝えると銃を下ろした。
「あぶね…って先生!何でこんなところに!?」
「あなたこそ…またなんかに巻き込まれたのね?」
そう言ってヒメノの手を取ってソウスケは立ち上がる。
その後、ソウスケはアビドスへ向かうことになった。
道中先生の紹介もあったが、彼の人柄もありアビドスの面々はすんなり仲良くなることができた。
セリカ自身、先生にもキツイ態度をとっていたが時折バカな言動をする彼に毒気を抜かれてしまった。
「なんでまた来ちゃうかな…」
その言葉はアビドスの面々、そして先生とソウスケも気づかなかった。
ノノミとシロコ大好き侍。
こいついっつも巻き込まれてんな…