RIDDLE JOKER 投影使いの学院生活 作:izuki
日が暮れて夜の闇に包まれたビルの屋上。
俺……いや、私たち2人は今回のターゲットの詳細を七海から聞いていた。
「ターゲットはこの人、違法薬物の運び屋。薬物をキロ単位で密輸してる」
「ずいぶんと大胆だな」
「税関でいくら調べても薬物は発見できず。間違いなくアストラル能力が使われてる」
「素直に考えると、隠蔽する能力だろうな」
「バックについている組織は無し。どこにも所属せず、依頼があればどことでも取り引きしてる。ただ相手は大口の卸しだけ。自分で捌くことはしてないみたい。暴力団との取り引き場所に、一度は警察が踏み込んだんだけど……相手の能力で逃げられてる」
「となると、隠せる物には自分も含まれるな。了解した」
今回のターゲットであるアストラル使いはモノや人の隠蔽が出来る能力のようだ。
探知系のアストラル能力ならそれらを見抜くのも不可能ではないが、国家機関はアストラル能力の公務使用を禁じている。
そのため警察を始めとする国家機関では、職務にアストラルを使用することができず今回の事件のように後手に回る。
だからこそ、私たちのようなものが必要になる。
「警察が踏み込んでくるのに合わせて目標を無力化。その後は警察に任せて即座に撤収。アストラル能力で証拠を隠蔽されないように。だって」
「任務了解。レヴィ4、任務を開始する……行くぞ」
「レヴィ6、了解」
「二人とも気を付けてね」
「「了解」」
私たちは夜の闇に紛れるように飛び出した。
倉庫の近くまで行くと情報通り運び屋らしき人物と暴力団だと思われる人物が数名いた。
「対象を確認。レヴィ9警察の動きは?」
『近くまで来てるけどまだ少し時間がかかると思う』
「レヴィ6積み荷は見えるか」
「ああ、確認出来る。まだ隠蔽されてないみたいだ」
「なら、私が暴力団のほうを担当する。レヴィ6お前は運び屋のほうだ」
レヴィ6に指示を出して刃を潰した白と黒の双剣を作り出し、お互いに光学迷彩を起動して身を隠す。
突入までのカウントを開始する。
「カウント開始、……5,4,3,2、1、GO」
合図と同時に突撃する。
暴力団と言ってもちゃんとした訓練を受けている私達とは差がある。
それに光学迷彩を使っているので相手からこちらを視認はできずまともな戦闘にはならなかった。
暁の方も無事に終わったようだ。
積み荷の隠蔽はされていない目標達成だ。
「レヴィ4、任務完了、帰還する」
「同じくレヴィ6、帰還する」
『了解。ちょうど警察もついたみたい、急いで』
私たちはその場から離脱した。
「レヴィ4、任務より帰還した」
「レヴィ6、任務より帰還しました」
「レヴィ9、同じく帰還しました」
「おう、ご苦労さん」
気やすい態度で手を上げるボサボサ頭の男。
この人は私たちの上司でありこの俺たちが所属するこの組織の責任者でもあり、俺たちの義父の
そして、俺たちが所属する組織。
『情報局特別班』 通称――
逮捕権も捜査権もない、必要とあらば超法規的な治安活動も行うアストラル能力を用いた犯罪に対応するためだけに国が設立した、非公開の諜報機関。
活動内容から、政治家や役人でも限られたごく一部の人間しか知られていない
そのため昼は学生として夜はエージェントとして活動をしている。
「怪我は?今回は取引相手の暴力団もいたんだろ?」
「問題ない、相手にもならなかった」
「そうかならいいんだが……四季、気を抜いてもいいんだぞ」
「そういうわけにはいかない。私だけじゃなくレヴィ6、レヴィ9もここに集めたということは何か任務があるんだろう……?」
普段ここに来ることはそんなにない。
普段の報告書も基本手渡しではなく専用の回線で送っている。
ここに来るときはそれなりに大きな任務の時だ。
「まぁ、そうなんだが今から任務があるわけじゃないだから大丈夫だ」
「……わかった」
少しため息をついて気を抜くことにする。
まあ、親父がそう言うのならそうなのだろう。
「室長ーこの時期、長袖はくっそ暑いので半袖を作ってください」
「よしわかった任せておけ。俺が定年退職するまでには何とかしてやる」
暁がこの制服の不満を言い。義父が答える。
まぁそういう答えにはなるだろうな。
俺たち特班の制服には効果で特殊な生地が使われてる。
光学迷彩の様に透明化することが出来るのもその生地、メモリー繊維の性質のおかげである。
メモリー繊維はアストラルを吸収することで能力を記憶することができるというもの。
これはまだ未公開の技術であり、しかも高価。グラム単位で財布が死ぬ。
「というか四季に改造してもらえばいいだろう」
「えぇ……やだよするにしても結構疲れるんだぞこれ」
俺の制服は他のメンバーのモノとは違い独自に改造を施したものである。
まあ、アニメや漫画のキャラ達みたいに動きやすさと見た目を重視したロングコートのような外套に魔改造した。
ただこれが思ったよりも大変で、もう二度はしたくない。
「四季君の能力少し羨ましいかも……いちいち買ったりしないで自分で作ればいいもんね」
「そうは言うけどね。結構疲れるんだぞ……」
七海が羨ましそうにこちらを見ている。
かくいう七海も大幅な改造をしていて、とても可愛らしい服になっている。
「まあけど、俺もこの能力は気に入っている」
アストラル使いという理由で酷い目にも遭ったが――今ではこの力を気に入っている。
俺の能力は端的に言えば『投影』
直接見た物、あるいは映像越しに観測した物を解析し、自己のイメージを媒介として世界に再出力する能力だ。
ただし、コレは完全な複製ではない。
俺が理解している構造を、アストラルを使って構築しているに過ぎない。
だからこそ、俺の理解及ばないものは物は決して作れない。
例えば、内部構造を把握できない機構、理屈の通らない神秘、光の剣や伝説の星の聖剣、ビーム兵器の類など。
これらは外見だけの
俺自身がそれを説明することが出来ないからだ。
まぁ、要はどこぞの作品の赤い弓兵と同じような能力ってこと。
俺も自分の能力をよく知った後そのアニメ見て驚いたもん。同じじゃん!って。
けどあっちと違って空中に作り出して投射したり投影した武器から使い手の技量を読み取ったりはできない。
俺が作った武器は、俺自身が扱える範囲でしか機能しない。
だからこそ、練習は必要になる。
あと副産物として『強化』がある。
これは自分の身体能力の強化と自分が触れているものの強度を上げることができる。
強度に関してはナイフに使用すれば切れ味がよくなったり。
ガラスや壁に使えば強度が増す。
と、まあ俺の能力の説明はこれくらいにして。
「今度俺の服にも付けてる冷却機能つけてやるよ」
「お願いします。動くと結構暑くてさ」
「あっ、私のもお願い」
「わかった」
改造するにあたって、暑さ対策用にメモリー繊維に光学迷彩と別に凍結の能力者のアストラルを吸収させて、それを利用した冷却機を制服に内蔵している。
これのおかげで俺は夏でもこの制服で快適なのである。
「さてと、そろそろ本題に入るか……さっき少し言ったが次の任務について伝えておく。次の任務についてなんだが、夏休みが明けてからの任務になる」
「珍しいな」
「その分ちょっと厄介でな。長期に亘るハードな任務になる可能性もある」
「一体なんの任務なんだ?」
「……偽札だ」
「偽札!?かなり大きな事件じゃないか」
「でも……そんなニュースは見てないよ?偽札が見つかったら、報道されないはずないと思うけど」
「それなんだが……ちょっと面倒なことになっていてな」
親父が言うにはこうだ。
別件で捕まえたバイクの窃盗犯の財布から偽札が見つかった。
でも偽札が偽造されたものではなく普通の紙に一万円と書かれているものだった。
でも窃盗犯はそれが本物だと言い張っている。
つまりアストラル能力で本物だと思い込ませているんじゃないかということだ。
「犯人は必ず見つけださなくてはならない。上からも強く言われている」
「それを俺たちに?」
「詳しい説明をする前に、まず見て欲しい映像がある。話はそれからだ」
映像?偽札についてのか?
そう思っていると映像が流れ始めた。
『皆さんは鷲逗わしず研究都市をご存知でしょうか?鷲逗市東部に位置する、アストラルの最先端の研究を行うために開発された、とっても若い街です』
暁と同い歳ぐらい可愛らしい女の子が出てきた。けどなんで街の説明の映像?
『そんな研究都市の中にあるのが、ここ
学院の紹介へ移った。寮、研究施設、校内、屋内プールなどの施設の紹介もしていく。
………………なるほどそういうことか。
そうして紹介が終わり女の子が歌っている映像に切り替わる。
「あ、私この歌、歌える」
「その辺はどうでもいいんだが、歌うか?」
「マイク無いしいいかな」
「じゃ飛ばすか」
映像が終了した後に察しの悪い暁が聞きに入る。
「この映像と任務の関係は?」
「お前、鈍すぎだろ。四季は分かってるだろ?」
「ああ、この学園、橘花学院への潜入だろ」
「さすがだ。任務に当たるのは四季と暁、七海の3人。なお、例によって君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」
「そういうのいいから、早く説明を」
「そう言うなよ。一度は言ってみたかったんだ、このセリフ。ほら、俺の立場ならなおさら!」
「わかる。わたしも、そういう台詞があるよ。『ココは俺に任せて先に行け』とか『倒してしまっても構わんのだろう?』とか」
「あと、「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ」とかな」
「流石四季と七海ちゃんだ。ロマンをわかってる」
「それより何でいきなりそんな話に?」
スルーされた。
兄ちゃん悲しいぞ。
「件の偽札を入手したのが鷲逗研究都市らしい。あの2人、研究都市の方でも窃盗を重ねていたんだ。で、その犯行のついでに、カツアゲまでしていたんだと」
「そのカツアゲで偽札を手に入れたってことか」
「それが市場で使用されて見つかったのなら本格的に動くんだが……カツアゲだからなぁ」
紙に一万円と書いてあれば子どもでも気付く。
そんなんじゃ通貨偽造とは言えない。
だが表沙汰になればアストラル使いが偽札作ったなんて過剰反応されるだろう特にアストラル使いを非常に嫌ってる人たちとかはな……面倒な奴ら。
「それで潜入の理由は3つ。1つめはお前たちが元々学生の身分を持ってるから」
「教師として潜入するのじゃダメなの?」
「橘花学院の教員採用のハードルは高くてな。ほとんどの教員がアストラルに関する研究にも携わるらしい。それに夏に教員が移動するのも不自然だろ?それなら学生の方が、まだ自然だ」
「じゃあ、2つめは?」
「それなんだが……暁……」
「はい?」
「お前、留年するかもしれないんだってな?」
「……………………」
暁は黙り込み、目をそらして俺の方を見る。
ちなみに俺は親父に報告はしていない。
冤罪である。
「目をそらすな、こっちを見ろ。ちゃんと知ってるぞ!調べたんだ、丁寧に調べ上げたんだ!出席日数ギリギリ、定期試験の点数だって教科によっては赤点!今日だって補習を受けていただろう!いつも口を酸っぱくして言ってるだろ。何者かに調査されても怪しまれない程度の経歴は作っておく必要があると。卒業くらいはちゃんとしておけ」
「わかっているが、仕事もある。どうしても勉強が後回しになるのも仕方ないだろ」
「二人は優秀な成績を収めてるじゃないか。しかも報告書などに関しては基本四季がしているし、七海に関しては毎日家事をしてくれてるんだぞ?」
「それに料理に関しては当番制だな」
「で?なんだって?二人の前で、もう一度言ってみてくれないか?」
「いつもありがとうございます」
「「いえいえ」」
「本来なら学業に専念して欲しい。が、コンビニの学生バイトみたいに簡単にほいほい辞められる仕事でなはい。そこで今回の仕事についてもらう。全寮制の橘花学院に潜入して、怪しまれないように学生として馴染め。言ってること、わかるな?」
「学生らしく振る舞い、ちゃんと勉学に励め……と?」
「健闘を祈る。しっかり学べよ、青年」
「転入か……はぁぁ……」
「すまないな。友達と離れることになるだろうし、悪いとは思っている。だが……これも仕事だ」
「え?あ、うん。それは平気。友達と離れるのは寂しいけど……仕方ないよ。こういう仕事に就いたんだもん。そういうこともあるかもしれないって、覚悟してたから」
「でも知らない人だらけの空間に行くのが怖い……ッ。みんなの前に立って自己紹介とかしたくない……ッ」
「七海は結構人見知りだからなー」
恐怖で少し顔を引きつらせている七海の頭を撫でてやる。
七海は昔のこともあってコミュニケーションが少し苦手である。
今の学校に入学してからも友達が出来るのに少し苦労していた。
「大丈夫だってどうにでもなるよ。」
「だといいんだけど…………」
今の七海は昔に比べて成長した。
友達くらいすぐにできるだろう。
「落ち着け。まだ先の話だ。それに一番の目的は偽札の調査だ」
「それなんだが、カツアゲをした対象の特定は?」
「覚えていないらしい。そこら辺も思い出せないようにさせられた可能性がある」
「能力は……催眠かな?」
「まだわからん。もう少し調査してみるつもりだ」
この手の能力はよくあるからな特定には少し時間がかかるだろう。
「そこで、最後の3つめだ、橘花学院には”
サブタイが全然思いつかない。
ちなみになんですけど、ヒロイン誰が好きです?
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三司あやせ
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在原七海
-
式部茉優
-
二条院羽月
-
壬生千咲