RIDDLE JOKER 投影使いの学院生活 作:izuki
その日、運命に出会う____
時刻は夜。
任務の時間だ。
寮から抜け出して指定のポイントで合流する。
そこには先に来ていた七海と暁がいた……のだが、七海は泣きそうになってるわ暁は謝ってるわでおかしいことが起きてる。
「……一応聞いておくけど、何があったんだ?」
今日の夕方、暁の
このままだと回収できずに研究室に入ることはできない。
それどころか式部さんにばれてしまう可能性があった。
そこで七海に頼み式部先輩をさそって浴場でとってきてもらうという算段だったはずだが。
「それがぁ……うう……」
七海が言うには式部さんをお風呂に誘って一緒に入ると言うところまでは順調だったのだが。
シートが予想以上にきわどいところに貼られており、しかもなかなか取れず。
結果、そっち系の趣味を持ってるんじゃないかって疑われてしまったらしい。
「それはまあ、なんというか……」
「暁君のバカ、アホ―……転入初日からこんなことになるなんて……勘違いされた。絶対に勘違いされたよ……」
「……よくそんな場所にシートを貼れたな」
「あれは事故だ。不慮の事故だったんだ」
七海をなだめて暁に何か埋め合わせをする約束をさせて本題に入る。
事前に七海に調べてもらった校舎のセキュリティは想定通り厳しくないらしい。
私達なら侵入するのもたやすいとのこと。
加えて暁が監視カメラの位置を確認し、能力を使って記録してきてくれている。
「映像記録……話だけ聞いているとすごく便利そうだよね、それ」
「あんまり使いすぎると、頭痛が起きるけどな」
暁の本来の能力は「脳のコントロール」。
この能力により脳を活性化させて筋力を強化、認知力を高めるなど複数の応用が可能。
今回の映像記録もその一つ、目で見たものを映像や写真のように、そのまま記録できるというもの。
「結構羨ましいんだよなそれ」
「兄さんも忘れないじゃん」
「私は『物』限定だよ」
それに暁の感覚とは違うだろうしな。
そんなこんなでいい加減行動を開始する。
暁の記憶を頼りにカメラに見つからないようにしながら移動し、難なく校舎前まで来ることが出来た。
校舎の前には警備員がいたがステルス機能を使用しているため見つからない。
「七海」
「わかってる……よし、切り替えた。あんまり長いと怪しまれるから3分間だけ誤魔化すようにしてるけど」
「問題ない。行くぞ」
七海を抱えて、さながらパルクールのように暁と一緒に壁を登っていく。
目当ての階の窓から中に入り、目的の部屋の前までたどり着く。
後は中に入るだけ。
七海がセンサーに近づき、回収したシートをかざす。
しかし、反応がない。
「……だめか?」
「反応が弱いのかな?」
「可能性はあるな……一度引き返そう」
このままここにいたら誰かにばれる可能性もあるため一度引き返そうとした時。
ガチャ、と中から解錠の音がした。
「兄さん、今の」
「ああ、無駄にならずに済んだな」
扉があいたのを確認し、中に罠の類がないことを確かめた後に2人を引き入れてドアを閉めて鍵を掛ける。
外からの足音もない。
気づかれた様子はない。
「成功だな。七海頼む」
「うん、すぐに始めるよ」
AIMSにアクセスするために研究室の端末に七海がアクセスを開始する。
その間、私と暁はそれぞれドア付近と七海の傍に待機して終わるまで待つ。
「どうだ?」
「んー……完全隔離して安心してるのかな?侵入を想定してない感じがする。セキュリティもそこまで厳しくないから、もうすぐだと思う」
外部からの完全な隔離と厳重な警備体制を敷いているからここまで侵入できないと踏んでいるのか。
はたまた別の理由か。
どちらにせよ今は問題ないならなんでもいい。
「完了っと、それで……えーっと検索する方法は……ああ、あったコレだ。調べるアストラル能力は認識阻害だっけ?」
「そうだ。何人いる?」
「えーっとね……登録されてるのは……社会人が1人、学生が1人。両方とも男の人だよ」
「情報出せるか?できれば顔も」
「うん、写真も登録されてるから。はい、これ」
1人は
化学工業系の会社でアストラル研究に関わる研究者。
顔立ちは大きな体に見合った少しいかつい印象だからこの人がカツアゲされることはなさそうだ。
もう1人は
私たちとおなじ橘花学院の1年。
痩せすぎの体格にメガネをかけていかにも気弱ってやつだ。
「外見だけで見るならこっちなんだがな。暁、覚えたか」
「大丈夫。覚えた」
「それじゃあ撤収?」
「ああ。長居は無用だ」
「了解。最後にお掃除をしとかないとね」
と、七海が端末の操作を続けた時だった。
突然、校舎の外でアラームが鳴り響いた。
「えっ、ウソ!?なんで!?そんなはず──なにかミスった!?」
ドアに耳を押し当てて廊下から人が来ていないか確認するが、特にそれらしい足音は聞こえない。
「どどどどどうしよう、どうしよう……なにかの罠?トロイの木馬⁉︎攻勢防壁⁉︎画面にBABELの文字列が⁉︎」
「落ち着け七海。暁、外の様子は」
「人影が慌ただしく動いてるが、校舎とは反対方向に動いてるように見える」
「なるほど……外で何かあったのか……?とりあえず七海は慌てずに、落ち着いて痕跡を消せ。暁は外の様子を確認。状況を把握次第、私に報告」
「了解」
「わ、わかった」
インカムを渡して指示を出した後、部屋から廊下に出て外の状況を確認しに行った。
七海は痕跡を急いで消している。
それにしても、外か…………警備に引っ掛かるってことは手練れというわけでは無いはず。
ということは別の……
「うん、よし、終わったよ」
「わかった。後は暁からの報告を待つ」
「うん……大丈夫かな、暁お兄ちゃん……」
「あいつなら問題ない」
もし何かあってもあいつだけなら逃げ切れるはずだ。
それにステルス機能もある。
まず、見つかることはないだろう。
一番の問題はここに誰か来た時だが…………
『こちらレヴィ6』
「こちらレヴィ4状況は」
『柿本先生と警備員に抑えられてる人がいた。どうやらこいつがセキュリティに引っかかったみたいだ』
「なるほど……他に人影は?」
『他には……ッ!』
「どうしたレヴィ6?」
『誰かが襲われてる!』
「レヴィ6?レヴィ6?」
インカムの通信は切れていないが応答がない。
それにさっきから風を切る音がする。
襲われてるって言ったな……いやな予感がする。
「……どうしたの?暁お兄ちゃんなにかあったの?」
「わからん……とりあえず、移動する。ここから抜けるぞ」
インカムから聞こえてくる音声に耳を傾けながら、部屋から抜け出して七海を抱えて壁を登り屋上へ移動する。
視力を強化してさっき受けた報告と同じ状況を視認した後に暁を探す。
…………ステルスで分かりづらいが、あれだろう。
他にも数人視認した。
インカムからは男の声以外に女の子の声も聞こえる。
どうやら襲われているのは本当らしい。
「跳ぶぞ、しっかり掴まってろ」
「うん」
限界まで上げた身体能力を使い屋上から跳躍する。
インカムから聞こえてくる音的に戦闘を開始したようだ。
一番近い外灯の上に着地して次に飛び移る。
その間インカムから聞こえてくるのは先ほどのような戦闘音ではなく、暁の声と女の子の声のみになっていた。
『落ち着け!俺は敵じゃない!』
『え?その声、もしかして、あり……はら、君……?やっぱり……なに?なんなの?なにがどうなってるの?』
まさか、ステルスを解いたのか……?
状況が状況とはいえ、何をしているんだあいつ。
暁の位置から一番近い外灯のに着地し、上から私は状況を確認する。
ここからなら視力強化があって見える範囲だ。
「倒れている数人と、暁……三司さん……?」
「三司さん?三司さんがいるの?なんでこんな時間に……?」
「……そういえば、昼に取材があるって言ってたな……それで、この時間まで残ってたのか?」
…………もしかして、あそこで掴まっていた不審者はフェイクで本命はこっち?
ッチ、情報が少なすぎるな。
『止血って……えっ!?あっ、胸!?ちょっと待って待って!ストップ!大丈夫!怪我なんてしてないから!』
『そんなわけないだろ!』
『落ち着こ!いったん落ち着こっ!ね?ね?』
インカムから聞こえる声と胸元を押さえる三司さんをひん剥こうとしている暁。
今の状況だけ見ると暁が三司さんを襲っているようにしか見えないのだが……
『お願い、お願いだからぁぁ!あっ、ダメ!ちょ、待って止めてダメェェェェ!』
聞こえてくる静止の声を無視して暁は、胸元を抑える腕を無理矢理引きがした。
ペラッ、と切り裂かれたシャツの胸元が捲れた。
そしてポトリとなんか落ちた。
「――――」
声を失うとはまさにこのことだろう。
そして、俺が最初に感じていた違和感はこれだったかぁ……なんて思ってしまった。
『ぁぅっ、ぁぅっ、ぁっぁっぁっ──』
『ちょっ。待って!落ち着いて!なっ!』
『落ち着けって、アナタ、この状況で、そんな』
『わっ、悪かった!三司さんが怪我をしたと思って慌てたが……か、勘違いだったんだな……』
『最初からそう言ったじゃない!なのにっ、なのにそれを無理矢理ひん剥いてっ!なんで……なんでこんな辱めを……ぅぁぁぁ……』
『いやだって、パッドのおかげで助かったなんて、想像だにしてなくて』
そのとき、ビキッ!っと何かが鳴った気がした。
『まさか……いやまあ、それで怪我をせずにすんだんだから感謝すべきなのかもしれないが』
──ブチンッ、と何かが千切れたような音が聞こえた気がした。
『言うに事欠いて……パッドのおかげで助かった……?胸が偽物で良かった……?バカにして……バカにして……ぐぬぅ〜〜〜……ッッ』
『ちょ待て!その受け取りからには悪意を感じるぞ!?』
『だれが乳部・タイラーだ!ぶっ殺してやるぅっ!!』
『そんなあだ名は付けてねぇ!』
会話を聞いていて思わず天を仰いだ。
抱えている七海からはどうしたんだろう?という視線を感じたがとりあえず無視した。
そして、さっきの叫び声で警備の人たちがこっちの様子に気づいたようだ。
暁たちの方に向かっている。
とりあえずその場から離脱するように指示を出そうとした時。
『俺は、君を護るためにここに来たっ!』
あいつは、とんでもないことを口にした。
ちなみになんですけど、ヒロイン誰が好きです?
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三司あやせ
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在原七海
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式部茉優
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二条院羽月
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壬生千咲