「そこに入ったぞ!撃て撃てぇ!」
「クソっ!」
遮蔽物に滑り込めたはいいものの、完全に捕捉されてしまった。コンクリート製の分厚い壁が何とか凌いでくれているが、いつまでもここにいることもできない。
キン、と小気味の良い音を立てながらピンを抜く。距離は100mほどだっただろうか。足音が近づいていないところから察するに、接近してはいないはずだ。そうでないと困る。
「フンッ」
後ろ手に放り投げた発煙弾がカラン、という音とともに辺りには白煙が立ち込め、銃撃が一時的に停止する。
「くそっ、撃つな撃つな!弾が無駄になる!」
そんなやり取りを背に、眼前の小路へと走り込む。人影は目視できない。小走りで角まで向かい、片眼で行く先を確認する。
「三人か」
警戒しているようだが、注意が向ききっていない。少し下がり、陰から照準をつける。
タタンッタタンッタタンッ
「ぐえっ」
「あぶっ」
「ぐふっ」
「なっ」
しっかりと命中した。それも「胸元に」だ。三人は血を吹き出す様子もなく、卒倒したのみだった。近づいて確かめんとゆっくりと進むが、そこにはなお衝撃的な光景が広がっていた。
「これは一体…」
三人の頭上には、何かの紋章が輝いている。ヘルメットをかぶっていたから見間違いか、背景か、ぐらいに考えていたそれは、確かに三人の頭上に存在していたのだ。
パンッパンッパンッ
拳銃で撃ってみたが、特に反応がない。
「先を急ぐか」
あの紋章は一体何だったのか。そんな疑問を脳裏に浮かべつつ、街中を走り回る。少し走ってみてわかったことは、そこかしこで戦闘が行われていること、交戦している勢力は複数あること、装備は多くが銃火器であること、さらに、音からして無限軌道車が近くに存在し、おそらく7cm以上の口径を備えているであろうことだった。歩兵相手であれば、ある程度やりようはあるが、装甲車両との交戦だけは極力避けなければならない。
激しさを増す銃撃音を背に、市街地を駆け抜けていく。何度か戦闘はあったものの、さしたる被害もなく一方的に射撃し、手榴弾をかき集めては前進した。装甲車両の接近は今のところはないようだが、万が一に備えて、どこかの建物で手榴弾を結束しておきたい。
「ここでいいか」
ドアを開き、丁寧にクリアリングを行う。物音は一切ないが、だからと言って油断もできない。一つ一つの間取りを確認がてらに部屋に押し入って行く。
「…クリア」
先客は確認できなかった。二階の一室で座り込み、口に水を含みながら、黙々と作業を開始する。集めたのは全部で六つ。M24手榴弾の結束型の発想で一括りにし、ダクトテープで巻きつけていく。最後に、落ちていたビニル管を括りつけて、背中にぶら下げんとしたところで、銃声が耳をつんざく。慎重に窓の外を眺めると、ヘルメットをかぶった連中と見慣れない五人組が交戦していた。五人組の方は明らかに統率が取れており、その中心はYシャツ姿の男性のようだ。遮蔽物を生かして瞬く間に殲滅していく。五分と立たないうちに、相手はぼろぼろと撤退し始めた。と、悠長に観察しすぎたためだろうか、五人組の一人と目が合ってしまった。
「まずいっ」
ダダダダダダダダダダッ
急いで窓際から離れ、銃弾を回避する。窓ガラスが割れ、破片の奥から我先にと銃弾が駆けずりこむ。
「クソっ」
後手に回った。数の上でも不利である。さっさと撤退せねばならないが、音からしてどうやら二人は階段を駆け上がっている。あとの三人は外で待機しているのだろう。
おもむろに発煙弾のピンを抜き外へ放り投げる。煙が立ち込めたのを確認し、その中へと飛び込む。
「ぐっ」
着地とともに衝撃が足へと伝わるがそんなことは気にしていられない。一刻も早くここから離脱せねばと頭を上げると、
「せいっ!」
「くっ」
銃口が煙の向こうから突き出されてきた。何とか避けられたと思ったのもつかの間、追撃で小銃が弾き飛ばされる。
「フンッ」
「きゃっ」
「ハスミさん!?」
組みつき、投げ飛ばす。さらに、倒すと同時に銃に手をかけ、奪い取る。ボルトを引ききって押し戻し、銃口を倒した先に向ける。トリガーを引き、銃弾を発射する…はずだった。
カチャッ
「チッ」
弾が出ない。どうやら先ほど飛び出した弾が最後の一発だったようだ。銃を放り投げ、ホルスターの拳銃を取り出し、再度銃口を向けようとするが、
「“うおおぉぉ!”」
「ぐっ」
その前に男の方が突っ込んできた。ちょうど馬乗りされる形となり、腕も抑えられている。そして間の悪いことに、立ち込めていた白煙が薄れ始めている。
「先生!?」
「“大丈夫だから抑えるの手伝って!”」
「「はい!」」
「くっ」
身じろぎしようにも、先ほど組み倒した女ともう一人の女が抑えにかかっていて、動くに動けない。
「ここまで、か」
もうすぐ残りの二人も駆けつけるだろう。迂闊だったと言わざるを得ない。
作中のクルセイダーについてですが、Mk.Ⅰであるらしいのですが、どう見ても榴弾を発射し、口径も対戦車戦闘に使われていた無印のものよりも巨大化していたため、3インチ砲の近接支援型だと解釈しました。
また、主人公の装備品についてですが、現状は以下の通りとなっています。(括弧内は残弾数です)
主武装:FN SCAR-L(2マグ)
副武装:M1911(2マグ)
手榴弾:発煙弾(1発)破片手榴弾(2発)即席対戦車手榴弾(1発)
近接武器:シースナイフ スコップ
背嚢:各種雑用品
なお、背嚢の中身に関しては、ダクトテープや医療品などのものが入っているため、割愛させていただきました。
オリジナル兵器の手書きイメージ図っていりますか?そこまでクオリティが高いわけではないですが
-
いる
-
いらない