兵器が好きだっただけ   作:桐舟斎

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キリが悪すぎて、約二話分ぐらいの文量があります。

また、通信音声に関しては、『』で表現されています。

追記:会話の一部を統合いたしました。


奪還

「先生!大丈夫ですか!?って、その人大人じゃないですか!」

「“そうみたいなんだよね”」

「とりあえず戦場から避難していただくのは…」

「“と言っても護衛していく人が必要な気もするし…”」

「護衛、いります?この人」

「“でもさっきみたいに交戦しちゃったら…”」

「「「「“うーん”」」」」

「どういう状況?」

 

 何やら抑え込んだ状況に安堵したのか、処遇について話し始めたようだ。とはいえ、これを好機に逃げ出すだけの余力がない。というか単純に抑える力が強い。会話からして殺意はないようだが、一応聞いておこう。

 

「殺すんじゃないのか?」

「“そんなことはしないよ”」

「キヴォトスでは殺人は重罪です。ご存じないですか?」

「なら拷問にでもかけるのか?」

「“それもないね”」

「ならどうするつもりだ?」

「ひとまず戦場から脱出していただくところなのですが…」

「そもそもここがどこか知らないのだが?」

「「「「え?」」」」

「“何となくそんな気はしてた”」

「そういうあんたらは何をしてるんだ?」

「“ここの先にある建物に用があってね”」

「戦場の只中を行くつもりか?」

「“そうだね”」

「ほかの四人はいいとして、あんた最悪死ぬぞ?」

「“うん、だから手伝ってくれないかな”」

「は?」

「“人では多い方がいいし、置いても行けないし、何より、多少の戦闘はできるでしょ?”」

「否定はしないが…」

 

 ここで別れて脱出を試みるか…いや、あとどのくらい危険地域が続いているかわからない。かといって先ほど問答無用で撃ってきた連中だ。迂闊に背中を預けていいものか…この男に賭けてみるか。

 

「…分かった」

「“よろしく。気軽に先生って呼んで”」

「ああ」

 

 伸ばされて手をつかみ、立ち上がる。拳銃をホルスターにしまい、立ち尽くしている他の四人に両手を挙げて降参のポーズをとりながら、小銃を手に取ったところ、

 

「あそこだ!ボコボコにしてやれ!」

「「「「「「「うぉぉぉぉ!」」」」」」」

「全員遮蔽物に滑り込め!」

 

 目の前の建物に滑り込みつつ、マガジン内に弾があることを確認し、敵に向き直る。数は十数人ほど。射撃姿勢に入ろうとした瞬間、

 

「“スズミ、閃光弾を投げて!起爆次第ユウカと前進!ハスミと兵隊さんは援護射撃!”」

「「「「了解!」」」」

「っ!了解、実行する」

 

 先生からの指示が飛んできた。的確な指示であり、非常に端的で好ましいものだった。閃光弾の起爆音と同時に、突撃の援護を行う。初動で半ば奇襲の形をとれていたはずの敵は、スズミとユウカの突撃によって陣形が崩壊していった。

 

「“ハスミと兵隊さんも前進!一気に片を付けるよ!”」

「はい!」

「了解」

 

 前方の遮蔽物に移動しつつ射撃を加え、スズミとユウカの両端から敵に発砲していく。胸、腹、もも、肩、頭。一人一人行動を制限し、制圧していく。戦闘開始から五分後には、敵勢力の制圧が完了していた。

 

「“みんなお疲れ様”」

 

 そう言って他の四人を労っている。気になっていたのだが、交戦した敵勢力は指揮官のいない民兵集団のように統率がなく、士気の持続も悪かった。まるで子供と交戦しているかのような錯覚を覚えた。だからと言って油断し負傷するなど、恥晒しも甚だしい。

 

「“兵隊さんもお疲れ様”」

「なんてことはない。さっさと進軍しよう」

「“そうだね”」

 

 それから幾度か戦闘をする内に、目的の建物の近くに到着したようだった。

 

「もうシャーレの部室は目の前よ!」

「あと少し、か」

 

 あと一息、そう気を引き締め直したところで、通信の呼び出し音が鳴った。

 

『今、この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました』

 

 どうやら、ここが戦場になった原因は、【ワカモ】という人物であるらしい。幾度かこのような事件を起こしたことがあるらしく、危険な人物であるらしい。極力戦闘は避けたいところだ。

 

「新手だ!攻撃ー!」

「“ハスミと兵隊さんは回り込んで攻撃!相手が引いたらスズミとユウカは距離を詰めて!”」

「「「「「了解!」」」」」

 

 コンクリートの構造物や廃車の影を利用して、着々と前進していく。包囲に気づいたのか、敵はじりじりと撤退していく。そこに先生の合図とともにスズミとユウカが突貫し、完全に壊走していく。と、そんな中で、ハスミが声を上げる。

 

「騒動の中心人物を発見!対処します!」

「フフ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと」

「“まずは掃討に集中して!一気に叩こう!”」

「「「「「了解!」」」」」

 

 辺りで未だに抵抗を続けている敵勢力をワカモの銃弾を避けながら制圧し、制圧し終えたところで、改めてワカモに相対する。そんな中、最も聞きたくなかった轟音が、耳を震わせた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

「私はここまで、後は任せます」

「逃げられてるじゃない!?追うわよ!」

「戦車への対応が先だ!先生!例の爆薬を使う!エスコートを頼む!」

「“わかった!”」

 

 戦車の視界から外れるように、大きく迂回して、崩れた壁の影に駆けずりこむ。ちょうど戦車の10時方向。周囲に歩兵の影はない。なぜ出てきたのか甚だ謎だが、そんなことはいい。小銃を置き、背中の結束手榴弾を手に取る。雑嚢からダクトテープを取り出し、円環状にして貼り付ける。テープをしまい、注意が向いていないことを確認し、一気に駆け寄る。こちらに勘づいたのか、砲塔が回り始めるが、その前に戦車後部にたどり着いた。引き離さんと後進を始めるが、車体に乗り付け、爆薬を無理やりラジエーターに張り付ける。

 

「あばよ」

 

 車体から飛び降り、全速力で眼前のコンクリートに飛び込む。飛び込むや否や、大きな爆発音とともに戦車は炎上、行動を停止した。

 

「中の奴は死んだか」

「いえ、あれは無人のはずですよ」

「何!?そうなのか!?」

「ええ」

 

 驚いたものだ。まさか無人戦車が実用化しているとは。なぜクルセイダーなのかはほとほと謎だが、興味深い。

 

「それよりもあのような倒し方があったとは思いませんでした」

「兵器なんて壊れてなんぼだ」

「そうでしょうか?」

「じゃなきゃ人が出張る必要がない。それよりもシャーレの制圧かかるぞ」

「そうですね」

 

 少し離れたところにいた四人と合流し、シャーレ内部の制圧にかかったが、荒らされた形跡もなく、特に問題はないだろうとして、結論付けられた。

 

「奪還は完了したようだな」

「“そうだね”」

「掃討も順調に進む様子ではあるし、ここらでお別れさせてもらうぞ」

「“そのことなんだけど”」

「ん?」

「“行く当てあるの?”」

「…無いな」

「“うちで働かない?”」

「…いいのか?」

「“まあ、数少ない大人だし、男同士、気が合うかなって”」

「先生がいいなら構わんが…」

「“じゃあ、これからよろしく”」

「…分かった。よろしく頼む、先生」

 

 そうして、私はシャーレの先生と行動を共にすることとなった。




次話辺りでようやくオリジナル兵器の設計案が持ち上がるかと思います。

また主人公のプロフィールに関しては以下のようになっています。

篠崎実

・28歳

・男

・階級は中尉(二階級特進)

・白兵戦闘では基本的に小銃を使う。

・ストーリーの進行に連れて、戦車に乗せる予定。

必要に応じて情報を追加していく予定です。

オリジナル兵器の手書きイメージ図っていりますか?そこまでクオリティが高いわけではないですが

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