女好きべレス先生の覇道   作:カバー

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女好きべレス先生の覇道 女神の眷属

 

 

 

なぜこんなことになったのだろう

 

 

「時のよすがに灯る炎」

 

 

私は地面に倒れ伏して、体を担がれようとしていた。

 

 

水面に揺蕩う記憶の欠片」

 

 

私は先ほどまで大司教の部屋で優雅に二人でお茶を楽しんでいたことを思い返しながら、痺れて動かない体でぼんやりと考えていた。

 

取り返しのつかない過ちをしてしまったのだろうか。

 

 

 

 

 

べレス視点

 

 

 

アロイスという先ほどの髭の騎士によると、何とジェラルトが元セイロス騎士団の団長だったということらしい。

 

そして、自分達はガルグ=マク大修道院まで同行することとなった。

当然、ジェラルトはかなり嫌がっていたし、私だけは別行動させようとしていたが…私はそれを押し切って同行することにした。

 

 

「驚きじゃのう…だがまあ納得ではあるのではないか?そこでジェラルトは何かを見たのじゃ…そしておぬしを教団から引き離そうとした。」

 

 

そう意味深に呟くソティスに頷き考える。

確かにそうだ。

セイロス教と程々に距離がある人なら、子供をセイロス教から離して育てようとなるとは考えづらかった。

 

 

つまり、教団に近いからこそ見えた何か…それが嫌でジェラルトは教団から離れたと考えた方が道理だ。

そしてそれにソティスが関係していることは私の現状を見ればまあ明らかだろう。

 

 

「貴方、本当に父親がセイロス騎士団の団長だと知らなかったの?今までセイロス騎士団と仕事をしたことは?」

 

 

そう隣で歩いているグレーの瞳が美しい少女…エーデルガルトが話しかけてくる。

 

 

何と彼女は帝国の皇女だったとのことだ。貴族だろうと思っていたが、まさかそれ以上だったとは。

 

気品の高い少女だが、どこかこちらを値踏みしている視線を感じる。

こういう手合いの前ではできる大人として振る舞うのが一番だろう。

 

 

「ああ。どうにも、ジェラルトがそれを避けている様子だったね。教団そのものを嫌がっている様子だった。」

 

 

「教団そのものを?…何か裏がありそうね。」

 

 

「それは俺も気になるな。元セイロス騎士団団長がそこまでして元職場を嫌がるってのは意味深だ。後で話を…」

 

 

「二人とも、個人の事情にそう首を突っ込むものじゃないぞ。失礼だろう。」

 

 

エーデルガルトとの話に加わっているのは、先ほどの少年二人…クロードとディミトリだ。

 

 

 

クロードは同盟領の次期領主で、ディミトリは王国の次期王…つまり王子だ。

私は今この3人と雑談しながら歩いており、後ろではジェラルトとセイロス騎士団のアロイスが昔話に花を咲かせているようだ。

 

 

…これはチャンスだ。先ほど三人から実力を認められて、是非うちで働かないかと勧誘された。

いきなりフォドラでトップの権力者と懇意になれた影響は大きい。

もういっそここで独立するのも悪くないかもしれない。

 

 

さらに教団との繋がりも出来そうなのは、ソティスのことを知る上でも、仕事上でもありがたい話だ。

 

そんなこんなで、私たちはガルグ=マク大修道院へと到着する。

…見事なものだ。修道院というか、もはや城だ。

 

 

エーデルガルト達とは別れて、ジェラルトと門を潜る。すると、城の上層部からこちらを見下ろす女性を見つけて、ジェラルトと私は立ち止まった。

 

「レア様…」

 

「綺麗だ…」

 

 

あの女性はレア様というらしい。ソティスは濃い緑髪であるが、こちらは薄い長髪の緑髪を長く伸ばしている。

服装とジェラルトが様付で読んだことからして、教団内でもそれなりの地位の実力者だろう。

 

エーデルガルトが少女としての美しさとするならば、こちらは完成された女性の美しさだ。

厚着の服装で隠れているが、魅力的な体をしているのが見てとれた。

 

 

「おぬし…見惚れるのも構わんが、わしのことを調べるのも忘れるでないぞ!緊張せい!」

 

「おいおい…確かにレア様は綺麗だが、変な気起こすんじゃねえぞ?ただ綺麗なだけの人じゃねえ。警戒しとけ。」

 

 

ジェラルトとソティスから一斉にダメ出しされた私は、渋々気を取り直して建物の中へと入っていく。

…少しでもソティスについての情報が欲しい。

私という存在を知るためにも。

 

 

私たちはすぐに大司教様と面談できるとこのことだった。…どうやらジェラルトはかなり信頼された地位に居たらしい。

でなければすぐに最高権力者に面会とはいかないだろう。

 

 

「ここに来るのも何年ぶりかね。今更、あの人と顔を合わせたところで…」

 

「あの人?」

 

「ああ。お前もさっき中庭で見たろ。大司教…レア様だ。」

 

「へえ。あの人が。」

 

…正直驚いた。あの美女が大司教だったとは。

だとしたら本当に私は幸運だ。静かに顔を綻ばせる。

まずはあの美女に接近するのが第一目標になった。

ソティスのことを知るためにも。

私のハーレムを作るという野望を果たすためにも。

 

 

「お前、大司教様のこと自体は知ってたのか。」

 

 

そうジェラルトが問いかけてくる。

 

 

「ああ。セイロス正教会については、ジェラルトが教えたがらないから私なりに色々調べたよ。…それでも一般的な知識の域は出ないと思うけど。」

 

 

その私の答えに、ジェラルトはどこか悲しそうな顔をしながら語りかけてくる。

 

 

「なあ、何も俺はお前に…」

 

 

「お待たせしました、ジェラルトさん。大司教の補佐をしているセテスと申します。」

 

「ああ、どうも。」

 

すると間の悪いことに、先ほどの女性…大司教レア様と、これまた濃い緑色の髪をした壮年の厳格そうな男性…セテスさんが部屋に入ってきた。

 

ジェラルトが簡単な挨拶を済ませると、私にレア様は視線を向ける。

 

「お初にお目にかかりますレア様。ジェラルトの娘のべレスです。どうぞお見知り置きを。」

 

「べレス…そう。良い名ですね。」

 

「……………」

 

ジェラルトが私が名乗った途端にため息をこぼす。

…やはり彼女は私とソティスについて何か知っているのではないか?そんな疑念が私の中で大きくなっていく。

 

「ふむ。確かに妙に気に入られている節があるの。ほれ、ひとつ探ってみるのはどうじゃ?」

 

そのソティスの言葉に静かに心の中で頷き、私は更に言葉を続ける。

 

 

「僭越ながら宜しいでしょうか。」

 

「なんだね?大司教はお忙しいのだ。あまり時間を取らせるのは….」

 

そうセテスが茶々を入れてくるが、レア様は構わないと首を縦に振ってみせた。

 

「いいのですよセテス。べレス、何でしょうか。」

 

「おいべレス…!何を」

 

ジェラルトのそんな言葉を無視して、私は慎重に言葉を選んで話し始める。

 

「実は、私は私以外の声が心の中で聞こえることがありまして…それがどういった意味を持つのか、相談に乗って頂きたいのです。」

 

「ほう。悪くない探り方じゃ。単なる心身の疲れた悩み相談のように、何も知らないものであれば捉えるであろうが、もしわしとおぬしの今の現状を悟れる者が聞けば…」

 

よし。ソティスのいう通り、我ながら悪くない言い分だろう。

これで無反応ならレアは白。何かしら反応があれば何か知っている黒。

 

だがレアが反応する前にセテスが言葉をかけてくる。

 

 

「…そういった相談は、ガルグ=マクの司祭が適切な悩み相談として聞こう。先ほども言ったように、大司教はお忙しいのだ。一般の信者達のために日夜…「それは本当ですか!?」

 

「大司教?」

 

 

レアは想像以上の大声でその餌に食らいついた。

セテスもジェラルトもその大声に戸惑っている様子だ。

…セテスは白で、レアは黒か。

 

「…貴方の中でもう、彼女の意識は目覚めたとでも…ではなぜ…」

 

そう小声で呟くレアに、セテスは僅かに目を見開き、ジェラルトは慌てた様子で捲し立てた。

 

「いやいや!こいつの冗談ですよ!昔から女の気をひくにはこういうことする奴なんで…それでは俺たちはこれで」

 

「ジェラルト。」

 

そう言って私を無理やり掴んで部屋を出ようとするジェラルトをレアが一声で押し止める。

 

「貴方であれば、私の言いたいことは分かっているでしょう。」

 

「……セイロス騎士団に戻れ、でしょう?俺はそれで構いません。でもこいつは…」

 

「ジェラルト、アロイスから話は聞いているでしょう。」

 

「………」

 

ジェラルトは無言で何とか出来ないかと考えているかのようだった。

 

「べレス。貴方の話、大変興味深いです。このまま、是非私の部屋まで来なさい。茶でも飲んで話しましょう。」

 

…美女からのお茶の誘い。更にソティスのことも確実に知っている美女だ。

 

「断る選択肢はあるまい?」

 

そうソティスは不敵に笑った。

 

「ええ、是非。」

 

「…………」

 

ジェラルトはため息が尽きることはなく。

セテスはその二人のやり取りを、静かに探るような目つきで見つめていた。

 

 

 

 

 

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