女好きべレス先生の覇道   作:カバー

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女好きべレス先生の覇道 3つの学級

 

 

 

 

 

べレス視点

 

 

 

 

翌日の朝、私は一人で、昨日と同じ大司教の謁見室に呼び出された。

いや、ソティスが常に一緒なので正確には二人か。

何でも、枢機卿の会談は一節に一回あるらしく、大樹の節の会談はもう終わったらしい。

 

 

来節から本格的に枢機卿として活動してもらうとのことだ。

騎士と文官も数名部下にくれるらしい。

可愛い女の子が居たらいいな。

あと有能な文官も。

 

 

 

「ふあ〜あ…眠いのう…全く昨日は本当に一晩中やりおって…おかげで寝不足じゃぞ。」

 

 

そう言いながら私の横で目を擦っているのがこのフォドラの女神様だと思うと、昨日可愛らしく鳴いていたのが余計に興奮する。

 

 

 

「おぬし…どこまで底なしなんじゃ?流石に呆れるぞ…」

 

そうボヤきながらも満更でもなさそうにこちらを見つめるソティスに微笑んで、私は大修道院の階段を登り二階の謁見室へと向かう。

 

「あら、来たみたいよ。…随分、若く見えるけど。」

 

「君が新人の教師か。体調の方は大丈夫かね?」

 

謁見室への扉を開けると、そこでは見知らぬ二人の男女とレア、それにセテスが待っていた。

 

 

 

見知らぬ髭が立派な初老の、片眼鏡の紳士から話しかけられて若干戸惑う。

体調?何の話だろうか。

 

 

そこにレアが助け舟を出す。

 

「昨日お二人に紹介する予定だったのですが、少々体調を崩してしまったのですよね?大丈夫ですか、べレス。」

 

…どうやら昨日の色々ありすぎたことはそういう誤魔化し方をするらしい。

 

 

「ああ。昨日は心配させて済まない。大丈夫だよ、セ…レア大司教。この二人は?」

 

 

そう私が問うと、髭が立派な紳士と胸元を大胆にはだけた…魅力的な女性は自己紹介し始めた。

 

 

「吾輩はハンネマン。紋章学者であり、この士官学校の教師である。」

 

 

「あたくしはマヌエラ。教師兼、医者兼、歌姫よ。」

 

 

 

二人とも非常に個性的な人だ。なるほど。この二人が私の同僚になる教師か。

特に胸元をはだけた女性の方は大変気になる。

 

 

「歌姫というと?」

 

 

そう私が聞くと、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりにマヌエラは話し始める。

 

「ここにくる前は歌劇団に居たのよ。聞いたことないかしら?ミッテンフランクの麗しき…」

 

「不必要な長話はそこまでで良かろう、マヌエラ君。」

 

 

 

まだ聞きたかったのに…あわよくば食事に…

そんな私のがっかり顔を見て、ハンネマンはこほんと咳払いをして続けた。

 

 

「さて、君には一つの学級を受け持って貰うわけだが…」

 

「…私は授業科目一つだけ担当の教師ではなく学級の担任になるの?」

 

「ああ。レア様たっての推薦だからね。期待しているよ。」

 

 

私は心の中で軽く焦った。

私のセイロス聖教会に対しての知識は精々主要な教会の位置関係ぐらいだ。

教義の細かな話なんてまず知らない。

枢機卿になる以上、そこを学ぶのは覚悟していた。だが、学級を一つ担当するのはそれなりに負担だ。

 

 

ジェラルト仕込みの集団戦の動かし方や戦い方には自信があるが、精々その程度だ。

 

 

「…確かにそうじゃのう…だがまあおぬしなら大丈夫じゃろ。傭兵時代にもよく教えるのが上手いと褒められていたではないか。」

 

 

「大丈夫ですよ、べレス。ここ大修道院の書庫には無数の教本がありますし、魔導に関する教え方ならこの二人を頼れば良いのです。貴女ならできます。」

 

 

 

ソティスとレア様が笑顔で私を励ましてくれる。…この親子に慰められたら、もう頑張るしかないな!

 

するとマヌエラ先生が笑顔で私の肩を叩き、言葉を続けた。

 

「いざって時は私も助けるから大丈夫よ!さ、それじゃ学級の話に戻りましょうか。」

 

 

 

「まずは、黒鷲の学級ね。アドラステア帝国出身の子たちが居て、今年の級長は、なんと次期皇帝と目される、皇女エーデルガルトよ。」

 

 

アドラステア帝国。フォドラの南半分を有する広大な帝国であり、その歴史はフォドラで一番古い。

…まあその建国者の聖セイロスが今目の前にいるわけなんだけど。

 

続けてハンネマン先生が説明を続ける。

 

 

 

「次に、青獅子の学級。ファーガス神聖王国から来た者が所属する。今年の級長は、王子ディミトリ。彼も、ファーガスの次の王となるだろう。」

 

ファーガス神聖王国か。フォドラ北部の寒冷地の国家。スレンの侵略者と極寒の地に農場に向かない地と色々と試される土地だ。

 

 

 

「最後に、金鹿の学級。ここはレスター諸侯同盟の子が属しているわ。級長は、諸侯同盟の盟主であるリーガン公の孫、クロード。」

 

同盟領はフォドラの東部に位置する国家で、近年は盟主のリーガン公の影響力が落ち、同盟内の諸侯の力関係が緊張しつつあると記憶している。

 

 

 

にしても本当にクロードの言う通りフォドラの縮図だなここは。

 

 

「一度出身地で学級が定まったら移動することはできないんですか?」

 

「いや?そんなことはない。担任の教師と合わなかったり、他の教師と相性が良ければ移動することも可能だ。まあ、級長は流石に無理だがね。」

 

そのハンネマン先生の説明に私は静かに喜んだ。

なら気に入った女の子がいたら勧誘して引き込むことも出来るわけだ…

 

 

 

 

 

 

 

その後、私は士官学校に待機している生徒たちと交流してから学級を決めることになった。

 

 

級長以外は私が教師になると知らないらしいが好都合だ。

自然体の彼らと触れ合える。

 

 

私は意気揚々と一階まで降りていき、大広間から士官学校の地区に向かおうとする。

 

 

すると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

エーデルガルトの澄んだ声だ。

 

「貴女…まさかあの時の傭兵なの!?」

 

 

どうやら私の姿を見て驚いているらしい。…ああそうか。確かに今の私の髪と目の色は変わった。

青緑の髪と碧眼だったのが、薄い緑色の髪と翠眼となった。

 

「その姿…まるで…何があったの?」

 

「ああ…それは…」

 

 

困ったな。馬鹿正直に本当のことを言うわけにはいかない。

恋人の女神様と体を共有して、その力を得ていますなんて信じられるわけがないし、レアを裏切ることになる。

 

「ふむ…仕事を変えるから印象を変えてみた程度の言い訳で良いのではないか?」

 

 

 

それだ!

ソティスに内心感謝し、怪訝そうにしているエーデルガルトに、努めて穏やかに答える。

 

 

「セイロス聖教会で働くことになったからね。折角だし印象を変えてみたんだ。どうかな?似合ってる?」

 

エーデルガルトは一応納得した様子ではあるが、不満そうに言った。

 

 

 

「成る程ね。道理で大司教殿に似てると思った。瞳の色まで変えるとは大した気合の入れようね。なら…」

 

 

そしてぐいっとエーデルガルトはこちらに詰め寄って至近距離でこちらを見上げてくる。

グレーの瞳の美しさに思わず見入ってしまう。

エーデルガルトは小声で囁いた。

 

 

 

「帝国に雇われたら私と同じ髪色に…この瞳と同じ色にしてくれるのかしら?」

 

「…そうなったら考えてみるよ。」

 

「期待してるわ。その色よりきっと似合うわよ。」

 

 

 

そうエーデルガルトは囁き終わると、ゆっくりと離れた。

 

「小童が言いよるわ。わしの力を与えた姿以上に美しいものなどないわ!」

 

 

 

そうソティスが不満そうにぼやく。

それを宥めながら私は士官学校の地区へと向かう。

 

「へえ…活気があるね。」

 

士官学校の地区には、3つの教室があった。それぞれが対応した学級の色の旗を掲げている。

教室の目の前には草原があり、清らかな風が吹いている。

 

さて、まずは見学しようかな。

 

 

 

そう思ってブラブラとしていると、どうやら私はそれなりに噂になっているらしい。

次々と生徒たちに話しかけられる。

 

 

クロードとディミトリも私の変わり様に驚いていた。

ディミトリは理由に納得したようだったが、クロードは最後まで探るような目つきでこちらをみているのが気に掛かった。

 

 

以前グェンダル卿の娘を取り合って仲良く殴られた女好きのシルヴァンも居たのは想定外だったが…

腐れ縁というやつか。

 

 

「よし。これで主要な学級の可愛い女の子は見終わったかな。」

 

「見るところがおぬしらしいのう…」

 

「まあどの学級担当しても真面目に担任する気ではあるよ。ただ野望にはどうしてもね。」

 

そう答える私にソティスは肩をすくめると、いたずらっぽく笑いこちらを見て問いかけた。

 

「して、気になる童はおったか?」

 

私もニヤリと笑って答えた。

 

「うん。何人か居たよ。」

 

 

 

 

まずは何と言っても…ドロテアだ。

長い綺麗な茶髪に緑の瞳、そして何より…魅力的な体。

胸元を大胆に開けており色っぽさは学生とは思えない。

 

軽く話した結果、ミッテンフランク歌劇団の歌姫だと言うことが分かった。つまりマヌエラの後輩か。

 

なぜガルグ=マク大修道院に来たのかと問いかけると、理想的な相手…つまり恋愛して婚約する相手を探して来たとのことだった。

 

私の予想通りだ。

大修道院には当然ながら貴族子女がフォドラ各地から集まる。

その目的には家のための婚約相手を探すことも多分にある。

 

それを狙っての平民出身の女の子も来るとは思っていた。

 

さらに素晴らしいことに彼女は…

 

 

 

「女同士ってのも気楽で良さそうよね。じゃあ、貴女も私との将来、考えておいてね?」

 

 

 

最高だ。

彼女は女性も恋愛対象としている。

探る様な目で見られている感じはしたが、なら全力で彼女に相応しい相手と証明するまでだ。

 

「まさにおぬしが求めていた逸材というわけじゃな?」

 

「その通りだよ。絶対に堕として幸せにする。」

 

 

 

「他にはおるのか?」

 

「あとは…4人かな。」

 

「ほう?もっとおるかと思うたが、意外と少ないんじゃな。」

 

「堕とせそうで、かつ魅力的な女の子となるとね。」

 

まあ当然ではあるが、やはり女の子でもいける女の子の数は少ない。

長期的な恋愛となると特に。

 

世間には風当たりもそれなりにある。

だが私は諦めない。

私は選んだ女の子は絶対に幸せにすると誓っているのだ。

 

今でも恋愛関係にある娘で、遠距離の子には7日に一回は必ず手紙と仕送りをしているし、ジェラルト傭兵団内の女の子とは、7日に一回は愛し合っている。

 

「他のめぼしい娘の説明もしようか?」

 

「いらぬいらぬ!おぬしが他人に惚気ているのを聞くのも正直飽きて来たわ!あと話が長いわおぬし!」

 

「なら名前だけで済まそうか。」

 

 

「メルセデス、エーデルガルト、ペトラ、マリアンヌ…かな。まだ増えるか減るかするかもしれないけど。」

 

 

「次期皇帝を堕とそうとは、大きくでたのう。」

 

そうソティスはそれでこそだと不敵に笑う。

何だかんだでこの女神様も楽しんでおられる様子だ。

 

 

「ならば、担当する学級は…」

 

「うん…そうだね。黒鷲の学級かな。」

 

 

 

こうして、女神の化身は己が道を選ぶ。

己の野望を、果たすために。

 

その選択がフォドラの未来を大きく変えるとは、この時の私は思いもよらなかった。

 

 

「あ、あとレアも絶対恋人にするから。」

 

「人の娘を親の前で堕とす宣言するかの…ふつう…」

 

ソティスはもはや感心するわと言って呆れた様に、だが愛おしそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

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