「へんな、夢だったなぁ~」
少女の名前は まどか。鹿目家の長女だ。
「おはようー。パパ」
庭でミニトマトを収穫している父に、あいさつをする。
「おはよう、まどか。」
優しく微笑みを返してくれる父がまどかは、大好きだ。
「ママは?」
「タツヤが行ってる。手伝ってやって」
「はーい」
「あ、お兄ちゃんは?」
「ああ、トモヤかい? なんか最近疲れてる様子だから自分で起きてきたら学校休ませるか聞くから今は起こさないであげてくれるかい?」
「ん、大丈夫かなぁ」
ー・・・-・・・・
ひどくうるさい、たぶん朝の弱い母さんを妹と弟が起こしているのだろう。
「でええええええええええぇぇぇ!!?」
うるさい。
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水音が心地よい、そこには仲良く歯を磨く母と娘の姿があった。
「最近・・どんなよ・・」
訂正。 母のほうはまだ寝ぼけ気味だ。
「仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう2通め。」
「直に告るだけの根性のない男はだめだ」
っぺ、吐き捨てる。
「トモヤのやつは?」
「お兄ちゃんは、なんか調子悪いみたいだよ。 どうかしたのかな」
「・・・そっか。まどかには前話したかな・・」
「何を?」
「トモヤのことさ、あいつは生まれときほんとは死にそうだったんだ、いや死んでてもおかしくなかったんだよ。」
「そうなの?」
「ああ、そうさ、あいつは隠すのがうまいやつだ、まどかに体が弱いとこを絶対見せたくないんだよ。」
「今は大丈夫なの?」
「そうだね、楽観はできないけど、前のときも峠を越えたら大丈夫だよあの子は。」
「で、和子はどう?」
「先生は・・・・・
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「おー起きてきたか、おはよう。トモヤ」
「おはよう。母さん、父さん、まどか、タツヤ」
「うっし!行ってます!」
「「「いってらっしゃーい!」」」
家族の声に後押され玄関で靴を履く詢子の後ろに影ができる。
「どうしたートモヤ、・・トモヤ?」
「母さん・・「ママ?お兄ちゃん?どうしたの?」
「・・・いや、いってらっしゃい 母さん、まどか」
「うん!いってきまーす」
トモヤは身をひるがえし家の奥へ戻っていく。
その後ろ姿を母、鹿目詢子は見送ることしかできなかった、 時間が迫ってきている。
タツヤの頭をなで、トモヤは洗面所まで来ていた。
水は流れ続けている。
「はぁ・・はぁ・・もう、時間があまりない・・」
シンクには赤い赤い血がべっとりと付いていた。