セカイの礎という人柱   作:蜜亜罪

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#2 兄の行く末

シンクをきれいに掃除する。

そろそろごまかしも限界に近い、母は、やり手のキャリアウーマンで勘が鋭い。

 

経験も豊富だ。16年しか生きていない自分ではかなうはずもないが

 

自分はかなりのポーカーフェイスだと自負している。

鏡には自分の姿が映っている。

目の下には隈ができ、唇がカサカサしている。頬さえ痩せこけている。

 

しかし、そんなことさえ気にならないほどある特徴がある。

 

太陽の光に反射して煌めくその長い白髪である。

背中の中間あたりまで伸びている。

ついでに眉毛さえ白く、その肌は陶器のように白く透き通って血色の悪さが際立っている。

 

「トモヤ、いい加減その長い髪、切ったらどうだい?」

「父さん、言ってるだろ髪を切るのは嫌いだって」

 

「お前はいつも言ってるな、なんだっけか、髪を切ると自分の容量が減るって」

 

「まあね、変な言い訳だけど、そんな気がしてならないんだよ」

 

「しかたないな。体調はどうだい?」

 

「・・・問題ないよ、今日は少し出かけてくるよ」

そう言いつつシンクをそっと隠す。

 

 

「学校はどうするんだい?高校あるだろ?」

 

「母さんには内緒にしてくれよ」

「案外、トモヤも男の子だな」

「どうゆうこと?」

優しく微笑む父に、罪悪感が募っていく。

「僕もよく、若いころはさぼったりしたよ」

 

 

 

****************************************

 

 

 

何処へ行くのかは言わなかった、行くところが行くところだからだ。

 

 

もうあまり言うことの利かなくなった鉛のように重い体を引きずって、しかし顔や態度にはいっさいそのそぶりは見せない。

 

たどり着いたのは見滝原にある大きな総合病院だ。

ここに一年以上前から通っているのは家族は他誰にも言ってはいない。

 

 

ここには、上条恭介という妹のまどかの親友である美樹さやかの幼馴染が入院している。

一応面識はあるはずだがいきなり面会するほど仲は良くない。

 

ここに来た理由はその上条に会うためではない。

 

 

「先生、薬を」

「トモヤくん、もう無理だ、本当に限界だよ。痛みをごまかしているだけで治療を受けないなんて、いったい何を思っているんだい君は」

「いいんです先生、限界なのはわかっているんです。今更治療なんて意味ないことも」

 

「っく、そこまで知っているなら、なぜ家族には一言も・・」

 

「いままで散々迷惑かけたんです。先生、僕は最後のその時まで普通に家族していたいんです、だから・・・これを、預かっていてください」

 

一つの封筒を渡す。

「もし、僕に何かがあったら僕の家族に渡してください」

椅子から立ちドアへと手をかける。

 

「まっ待ちたまえトモヤ君!」

 

 

 

 

無情にもその扉は閉じられた。

 

 

 

 

そろそろ限界が近い、いうなればもう精神力で何とか生きつないでいる状態だ。

張りつめた命の糸が、切れてしまうのも時間の問題。

 

 

本当にどうしようもない人生だ、どうせだったらこの命がこのまま終わるなら

何かに役立てたかった。

 

 

 

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ここ見滝原は、成長途中の町だ、様々な新しい建物が乱立し成長を続けている。

 

時間はもう夕方だ、夕日があたり一面を包み何とも言えない寂寥感が胸に残る。

サァア、風にその長い白髪がなびかれる。

あまりにもう美しすぎて現実離れした光景だ。

 

「・・・たぶん、この町が完成する姿は見れないだろうな。」

 

そこまで生きてはいられないだろう。

すごく悔しい、心残りがないといえばウソだ、心配なのは特に妹だ。

 

かわいい かわいい妹、自分に自信がなく何もないという、そんなことはない、

まどかは、本当は

 

 

「やぁ、君は見滝原中の生徒かな?」

「え・・あ、あの」

黒髪のきれいな女の子が困ったように返事をする。

「ああ、ごめん、なんかとても不思議な雰囲気のする子だから声をかけたんだ」

「そうですか」

 

ただの直観だ、この子は普通ではないと感じる。

 

「僕の名前は 鹿目トモヤ」

彼女が驚いたような表情なのでああ、察する、僕と初めて出会う人間の反応は大体わかる。

 

 

「驚いただろう?この髪、生まれつき白いんだ」

 

「い、いえ、その・・鹿目さん・・は妹とかいらっしゃいますか?」

 

「?、いるよ、まどかっていうんだ、もしかしてクラスメイトっだったのかい?」

 

「ええ、・・・そんな、どうして・・こんな世界は初めてだわ・・・」

 

何か考え込んでしまった少女その声は聞き取ることはできない。

 

「名前を教ええてもらってもいいかい?」

 

「あ、はい。暁美ほむらです。」

 

「そうか、ほむらちゃん 一つお願いをしてもいいかな?」

 

「なんでしょうか。」

 

「僕の妹を、まどかのことをたのんでもいいかな」

「・・・なぜ、私にそんなことを?」

「なぜかな、君になら頼めると思ったんだ。ダメかな?」

 

「いいえ、わかりました、それと、そろそろ帰ったほうがいいですよ。最近物騒ですから。」

 

 

「そうかい、じゃあ、今君に会えてよかったよ。さよなら」

 

 

たぶんこの言葉が今生の別れ言葉にしか僕には聞こえなかった。

 

 

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