オメガでバースでブルーなアーカイブ   作:オルフェイス

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半分はアツコの過去編ですが、情報が少ないので捏造です

ヤンデレの定義がわからなくなるけど、とりあえずヤンデレってことにしよう。
タグを追加しています。


アツコの想い/■■■の思い

 

 貴女は知らないだろう。

 

 貴女がいなくなって、私がどれだけ苦しんだのか。

 

 貴女は知らないだろう。

 

 貴女という存在が、どれだけ私にとって大きなものだったのか。

 

 貴女は知らないだろう。

 

 私が、どれだけ貴女を探したのかを。

 

 貴女は知るだろう。

 

 私がどれだけ本気なのかということを。

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 遠い過去の話。

 

 アツコは閉じ込められた部屋にいた。

 

 外に出ることはない。彼女を閉じ込めている者がそれを許さない。

 

 食べ物も出るか出ないか、その日によって違う。

 

 生きてさえいればいい。そういう環境だった。

 

 何も知らず、何も教えられず、ただ一人でいるだけのアツコだったが、『寂しい』という感情とは無縁だった。

 

「アツコー!」

 

 彼女には、いつだって彼女に会いに来てくれる人がいたから。

 

「ごはん食べた? 食べてないなら一緒に食べよう!」

 

 いつから彼女が来るようになったのかはわからない。

 

 ただ、彼女が来てくれると嬉しい、という思いがあった。

 

 お腹が空いた時も、彼女は自分の分を分けてくれた。

 

 自分も食べたいだろうに、ニコニコしながら一緒に食べるのだ。

 

 ……当時のアツコは口数が少なく、感謝の言葉を伝えることは稀だった。いや、そもそも伝えたい言葉というものすらわかっていなかっただろう。

 

 それを教えてくれたのも、彼女だった。

 

「それはね、嬉しいってことなんだよ!」

「伝えたい時は、ありがとう、って言うんだよ」

「それは悲しいってことなんだよ」

「怒ってる……うん? うん、それは怒ってるってことだよ?」

 

 アツコを育てたのは彼女だった。

 

 言葉を、思いを、そして自分というものを教えてくれたのも。

 

 色んなものを与えられた。

 

 幼いアツコの全てが、彼女を中心として存在していた。

 

 ずっとこの日々が続けばいいと……そう、幼心に思っていたのだ。

 

 彼女がいれば、他の何もいらない。

 

 ─────そんな幸せも、いつの間にか手の内から零れていった。

 

 彼女を待ち続けた。

 

 彼女を待ち続けた。

 

 彼女を待ち続けた。

 

 彼女を─────

 

 彼女を─────

 

 か─────

 

 

 

 

 彼女は来なかった。

 

 どうして、と。

 

 アツコの幼い心が、悲鳴をあげる。

 

 周りは騒がしくなってきたが、アツコはただ呆然としているだけだった。

 

 彼女が来ない。それは、アツコにとっての絶望だった。

 

 どうして、どうして、どうして─────?

 

 頭の中が、ぐちゃぐちゃになって、真っ白になって、何も考えられない。

 

 そんな状況がしばらく続いて。

 

 ある話が聞こえてきた。

 

「シズクは何処に消えた!?」

「総動員して探していますが、何処にも見当たらず……」

「くそっ、人質として引き渡す予定だったというのに……! 成りかけとはいえ、オメガを逃すわけにいくか! どの派閥の仕業だ!?」

「それが─────」

 

 ……人質? 消えた? オメガ?

 

 アツコの頭に入ってきたのは、この三つだけだった。

 

 それ以外の単語など、まるで入ってこない。

 

 彼女─────シズクを人質に。

 

 シズクが消えた。

 

 彼女はオメガだった?

 

 その、何一つとして繋がりのない言葉の羅列。それだけで、アツコのアルファ(支配者)としての本能が答えを導き出す。

 

「……逃げたの?」

 

 ─────私から?

 

 違う。そんなことはない。シズクはそんなことしない。

 

 理性は、そう訴えかけている。

 

 だが本能は、そんな説得など聞く耳をもたない。

 

 信じたい。信じられない。嘘だ。事実だ。シズクは見捨てたりはしない。シズクならそうする。

 

 二律背反する考えが支配する中。

 

 日は落ち、日が登り、日が過ぎて。

 

 アツコは、シズクの代わりに人質として送り出された。

 

 シズクは、見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてアツコは、シズクもそうしたように逃げ出した。

 

 逃げるだけならいつでも出来たのだ。

 

 そのやり方も、シズクが教えてくれた。

 

 でも、今ここにシズクはいない。彼女は一人だった。

 

 行く宛もない。

 

 生きる理由も、アツコから尽きかけていた。

 

 シズクがいないのなら、全てに意味がない。

 

 けれど、歩いた。

 

 理由などなくても、もしかしたら、と期待してしまうから。

 

 歩いて……

 

「……大丈夫?」

 

 一人の少女が、彼女に声をかけた。

 

 シズクではない、別の声。

 

 これが、後のアリウススクワッドとの出会いだった。

 

 

 

 

 

 それから、アツコは三人と一緒に過ごした。

 

 アツコに声をかけたのはサオリ。そしてサオリを姉さんと呼ぶ二人の少女、ヒヨリとミサキ。

 

 そして、アツコよりも後に仲間になったアズサ。

 

 アリウスの支配者となった「彼女」が来てから、アリウスの兵として教育されるようになって、その過程でサオリがアズサを拾ったのだ。

 

 彼女たちは五人の仲間になった。

 

 その付き合いは、もうシズクと出会った時よりも長い。

 

 けれど。

 

 どうしても、考えてしまうことがある。

 

 もしここに、シズクがいたのなら、と。

 

 そんなことはあり得ないとわかっているのに。

 

 アツコだってシズクを探した。

 

 自分の足でアリウス中を探し。

 

 「彼女」に無謀を承知で望んだ。

 

 その望みこそ、シズクの出生のこともあって受け入れられはした。

 

 しかし「彼女」の教育から反することをしたアツコは、死なない程度に罰せられた。

 

 それでも、いい。

 

 シズクが見つかるのなら、どのような痛みでも耐えられる。

 

 ─────結局、シズクが見つかることはなかった。

 

 あれから何年が経過したのだろう。

 

 シズクが消えて、一体どれほどの月日が経たのだろう。

 

 いつしかアツコは、もうシズクは死んだのではないかと思うようになった。

 

 だから、シズクのことを忘れるように務めるようになった。

 

 だからサオリを、ヒヨリを、ミサキを、アズサを……彼女たちのことをより考えるようになった。

 

 けれど消えない。

 

 幼いシズクの笑顔が……アツコの心から離れず消えてくれない。

 

 シズクはいつだって、アツコの中心だった。

 

 だからこれは、呪いなのだ。

 

 シズクへの呪い()が、シズクからの(呪い)が、アツコを絡め取る。

 

 あぁ、これが─────

 

「愛、なんだ」

 

 愛してる、シズク。

 

 例え死体として見つけても、それでも貴女を愛してる。

 

 だから必ず。

 

 どんな形であっても、貴女を見つけ出す。

 

 

 ─────アツコが自分の想い()を自覚したのと、トリニティに潜入したアズサからの報告で『シズク』という生徒がいることを知ったのは、同じ日のことだった。

 

 アツコは語る。

 

 これは、運命だったのだ、と。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 どうしてこんなことに─────思わずそう叫びたくなる。

 

「……色々と痛い」

 

 ズキズキと痛む身体。気怠い身体。完全に絶不調だった。

 

 けれどこの不調は、戦闘によって起こされたものではない。

 

 これは……女としての不調だと、俺は知っている。

 

「ん……」

 

 ぎゅう、と。強く抱きしめられる。

 

 声と締め付けがする方に目線を向ければ、そこにいたのはアツコだった。

 

 アツコ。俺が見捨てて、もう忘れられているとばかり思っていた彼女。いや、恨まれているとすら思っていたかもしれない。

 

 そんな彼女は今……裸だった。

 

 かくいう俺も裸だ。しかしアツコと異なる点は、身体中に虫刺されのような赤い点がチラホラと見えるところだろう。

 

 特に酷いのは、うなじにあると思われる噛み跡だろうか。位置的に俺は見えないんだよなぁ。

 

 ……まさか、こんなことになるとは思ってもみなかった。

 

 殺されることは考えていた。忘れられていることも考えていた。

 

 けどまさか、こんな……

 

 深夜に起こった秘事を思い出し、思わず顔を赤くする。

 

 女としての諸々を教え込まされた気分……いや実際そうなんだけど……

 

 本当に、どうしてこんなことになったのか……

 

 ちょっと冷静になるためにも振り返ってみよう。うん、それがいい。

 

 エデン条約……そこで一体、何が起こったのか。

 

 そして、アリウスでの顛末を。

 

 

 

 

 始まりは、補習授業部に強制的に入れられた時だろうか。

 

 そこで原作キャラとの出会いを果たしたんだ。

 

 普通(自称)のヒフミ、オープンスケベのハナコ、エ駄死のコハル、バニタスのアズサ……

 

 うん、これだけ見たら変人の巣窟だな?

 

 でも、補習授業部での日々は自警団として動いている時とはまた違った楽しみがあった。

 

 なんだろう、団結してるって感じがすごくする。あと、これぞ友達!っていう感じ。自警団だとレイサぐらいしか友達いないから、なんだか嬉しかったなぁ。

 

 ……原作崩壊起こらないかって? いや、うん。補習授業部に関しては完全に諦めたよ。アレって怪しまれた時点でナギサ様に入れられるらしいし……

 

 勉強は、苦手ではあったけど頑張ったよ。補習授業部に入る前も赤点だけは免れるようにはしてたし。

 

 ナギサ様の数々の妨害、判明したトリニティの裏切り者のミカ先輩……実は生存していたセイア様。

 

 色々と濃かったけど、なんとか乗り越えた。これもシャーレの先生のお陰だろう。流石は主人公、頼りになるというものだ。

 いやそこはいいか。問題なのはそこからだったな。

 

 エデン条約、っていうものがトリニティとゲヘナの間で結ばれる予定だったけど、そこをアリウスが襲撃して乗っ取ってしまった。

 

 そして生み出されるユスティナ聖徒会。混乱する状況、一人離れるアズサ─────

 

 アズサを一人にするわけにはいかない。そういう思いでアズサを追いかけ、そして後悔した。

 来るべきではなかった。少なくとも、今この場でアズサを追いかけるべきではなかったのだと。

 

 俺は、アツコと再会してしまった。

 

 ……といっても、俺がアツコだとわかるのはブルーアーカイブというズル知識があるからだ。アツコの方は、俺が俺だとわかるはずもない。というか覚えているかも怪しい。

 

 それに、アツコとの再会はアズサが捕らえられていたところを救出し、逃げ出した一瞬だけ。

 

 その時は気にしすぎているだけ、と思っていたんだ。

 

 

 そしたらまた、アズサが一人になった。

 

 しかもあんなに仲の良かったヒフミのことを拒絶してまで。

 

 それほどまでに、アリウススクワッドを自分が止めなくてはならないと、そう思っていたのだろうか。

 

 ……俺はアズサじゃないから、そこはわからないけど。

 

 わからないからってアズサを一人にしておくとか、もっとない。

 

 だから……アツコと会うだろうこともしっかり考えた上で、俺はアズサを探した。

 

 どれだけ否定しても、アズサが補習授業部のメンバーであることには変わりない。どれだけ何を言おうと、必ず連れて帰る。

 

 ヒフミもヒフミで既に立ち上がっており、なにやら画策していた。流石はヒフミ、好きなもののためならなんであれ諦めない、いつものヒフミだった。

 

 ……で、どうにかアズサを見つけた……のはいいのだが。

 

 手遅れだった、と言っていいのか。

 

 アズサは蹲っていた。

 

 聞けば、大切なモノを使って錠前サオリを殺そうとしたらしい。

 

 あぁ、そういうこともあったなと。けど確かこれは失敗したはずだ。現に、ユスティナ聖徒会は完全には消えていない。

 

 だから、手を伸ばした。

 

 俺に何ができるのかはわからないが、それでも諦めないことは選べるから。

 

 俺の手助けなんてアズサにはいらなかっただろうけど。

 

 友達が苦しんでるのに、何もしないのは嫌だ。

 

 

 その後は、あの有名なブルアカ宣言をヒフミが言い放ったり……つまり原作通りのことが起きた。

 

 語るべきことは少ない。本当にここからは原作通りだったから。

 

 けど……最後に、アツコは俺に目線を向けていた。

 

 そして言ったんだ。

 

「久しぶりシズク─────またね」と。

 

 彼女は、俺のことを覚えていた。

 

 憎んでいる様子も、なかった。

 

 彼女は、覚えていたんだ。俺が、のうのうと生きる中でも、忘れずに─────

 

 ……ここからしばらく、何の騒動も起こらない平穏な日々が続いて……

 

 ……ある日、シャーレの先生を尾行してたら、先生はサオリと密談していた。

 

 なんで尾行してたのか、については聞かないでくれ。アズサも一緒に尾行してたから。不埒な考えとかないから。

 ……ただ、アツコを助けるのなら手を貸したいと、そう思ったから。

 

 罪滅ぼし、なのかもしれない。

 

 サオリとアズサで一騒動起こりかけたが、そこは先生の仲介でおさまり、こうしてアツコ救出チームが結成された。

 

 迫る敵を倒し、悪堕ちしかけたミカ先輩との戦闘を繰り広げ、途中で別れて最悪の敵である複製・バルバラを相手に、悪堕ち回避したミカ先輩と足止めをして、最後に先生が間に合ってくれて……

 

 そこで、騒動は終わったはずだ。

 

 ……えー、っと。

 

 それから数日経って。

 

 なぜだか追加されていたモモトークにアツコがいて?

 

 呼び出されて?

 

 ホテルに行ったら気絶させられて……

 

 そして、喰われた。

 

 

「いやどゆこと……?」

「んん……シズク……?」

「え、あ、お、はようアツコ」

「……うん、おはようシズク」

 

 起こしてしまったのか、抱きついたままアツコはこちらを見てくる。

 

 ……その瞳は、赤くドロドロとしたものが内にあるように見えた。

 

 気の所為、だと思うのだが、どうしても脳内から離れない。

 

 考えているとアツコはより強くこちらを抱きしめてくる。

 

「アツ、」

「逃さないから」

「あっはい」

 

 ……逃がしてくれないらしい。

 

 けどそういうことではない。というかずっとここにいるわけにもいかないんだしそろそろ……と。

 

 思っていたら。

 

 がちゃり

 

「……手錠?」

「うん。昨日はシズクが()()()()()から……その間につけたの」

「えっ、と……一応聞くけど、なんで……?」

 

 なんとなく、嫌な予感がする。

 

 これは、入ってはいけない場所に入ってしまったような……

 

 踏み越えてはいけないラインを、超えてしまったかのような……

 

 そんな、取り返しのつかないことをしてしまった時の、予感。

 

 その予感は、残念なことにあたってしまった。

 

「シズクは、もう私の(つがい)

「……らしい、ですねはい」

「なら、片時も私から離れちゃいけない」

「うん……うん?」

「これなら、離れられないでしょ?」

 

 そんな、まるで当然のことを言うかのように、アツコは言い放った。

 

 ……これ、俺がおかしいの?

 

「これからは、ずーっと、一緒だよ……?」

もう逃さないから

 

 

 …………………………

 

 あ、ヤンデレですかそうですか。

 

 ……どこで選択間違えたんだろう俺。

 

 嬉しそうに抱きついてくるアツコを撫でながら、諦めの苦笑を浮かべるのだった。




『シズク』
 実は満更でもない。初恋はアツコだったが、自覚はない。
 幼少期は幼い時の自分を思い出しながらアツコに接していた。
 脳焼き名人。

『アツコ』
病んじゃった姫。
アツコさん大勝利。
なおここから分岐する。

『???』
ここまでは共通ルート。ここからが彼女たちのハイライト。

『スクワッドの皆』
 サオリは自分探しの旅。ヒヨリとミサキはアツコがどうやってか手に入れたお金でアツコと同じホテルに泊まっている。
 ヒヨリは興味津々に、ミサキは興味なさげにしながらも頬を赤らめて隣の部屋の嬌声を聞いていたとかなんとか。




ちょっと補足

ブルアカにおける『第2の性』
『アルファ』優秀。根っからの支配者気質でプライドが高いが、例外も多い。
『ベータ』普通。しかし一分野でアルファを上回る才能を発揮することもある。基本的に性は変えられないが、ベータだけは後天的に変わることがある。
『オメガ』ベータにも多少の影響を与える。各学園に一人はいる程度の割合。発覚すれば学園間での争いに繋がりかねないので隠される。

 ちなみに強さの強弱はさほど関係ない。アルファが強い傾向にある、というだけ。しかしながら差別はある模様。
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