オメガでバースでブルーなアーカイブ   作:オルフェイス

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言い忘れていましたが、作者はブルアカにわかです。
ですので原作と大きく異なる点が出てくる・出てきてるかもしれませんが、ご了承ください。


魔女と三人目

 

 夢を見ている。

 

 そう自覚できたのは、これが実際に経験したことのあることだったからなのだろう。

 

『こんにちわ、貴女はだぁれ?』

『あ、こんにちわ』

 

 木陰で一人座るその子。

 

 今年入学してきた一年生だろうか。

 

 なんだか気になって、声をかけてしまったのだ。

 

『私は聖園ミカ、貴女は?』

 

 座り込んで、こちらを見上げてくる彼女を見つめる。

 

 髪は空色。頭からは獣耳が生えてる。ピコピコ動いてて可愛い。セイアちゃんは、あんまり動かさないから新鮮。

 

 尻尾がゆらゆら。なんだか目で追ってしまう。

 

 身長は、私よりも小さい……かも? 座ってるからわかんない。

 

 お胸……とても豊か。触ったらどんな感じなのかな。ちょっと気になる。

 

 瞳は蒼色。ずっと見つめていたくなる。

 

 それに、なんだろうこれ。とっても、甘くて良い匂い─────

 

『シズクです』

『シズちゃん?』

 

 ……少し、ぼんやりとしていたかも。

 

 でもそっか。シズク……シズちゃん。なんだかこれが似合うような気がした。

 

『はい。白尾(はくび)シズクです。よろしくお願いします、ミカ先輩』

 

 ─────これが、私と彼女の出会い。

 

 この時は。

 

 まだ、あんなことになるなんて。

 

 苦しめて、傷つけてしまうなんて。

 

 思わなくって。

 

 私は、あの日ことを後悔してる。

 

 夢なら醒めないでほしいと、そう願っても。

 

 意識は、夢から醒めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日はミカ先輩に呼び出された。

 

 最近全くと言っていいほどミカ先輩を見かけないからモモトークで久しぶりに会いたいと連絡したら返事がなくて。

 

 それで何度も連絡を送っていたら、昨日の夜にミカ先輩から返信が来た。

 

「たまにはシズちゃんの方から来てほしいじゃんね☆」と、そう言って。

 

 ……流石に二人で行くのもアレだから、普段離れないイチカを説得して一人で来た。最後まで渋ってたけど、まさかミカ先輩が不埒な真似をするわけがない。

 

 流石に警戒し過ぎだと思う。

 

 ……本当にないよね?

 

 今までが今までだったからちょっと不安になったりしたけど、無事にミカ先輩のいる部屋に辿り着けた。

 ちなみに今日は休日。パトロールはレイサが「しばらく休んでください! 巻き込まれて疲れてるはずですから!」と気を遣ってくれた。優しい。

 

「シズちゃんやっほー☆」

「わっ、と、ミカ先輩?」

 

 部屋に行こうとしたらミカ先輩に後ろから抱きつかれた。

 

 どうやら先程まで外にいたみたい。

 

 でも音とかしなかったような……忍び足で近寄ってきたのかな。

 

「元気にしてた?」

「元気……はい、元気です。色々ありましたけど」

「話は先生から聞いてるよ。噛まれたんだよね?

「……はい」

 

 最後は耳元に近付き、小さく話してくれた。

 

 噛まれた、というのは、内容を知ってる者からすれば大声で口にしていいことではない。

 

 つまりそれは、相手のアルファと自分というオメガが婚姻関係を結んだ、ということに等しいからだ。いや、もしかしたらそれよりも深い関係になったと知らしめることになるかも。

 

 ……私は、それを受け入れたけど。

 

 殆ど強引に事が進み、一度目はアツコに、二度目はイチカに噛まれた。

 

 私は現状、二人のアルファを番にしている状態、らしい。イチカ本人の口から出てきたことなので、多分間違ってない……と思う。

 

 嘘でもなければ、だけど。

 

「ここで話すのもあれだし、そろそろ入ろ?」

「それじゃあ、お邪魔します」

「うんうん、いらっしゃーい☆」

 

 そうして、ミカ先輩の部屋の中へとお邪魔させてもらうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

かちゃり

 

 

 

 

 

 

 

「こうして二人っきりで話すのも、久しぶりだねー」

「……? そうですか? アリウス自治区で─────」

「あ、あれはノーカン! というか私避けてたのに……自分から話しちゃうんだね?」

「え? あ、はい。気にしてないので」

「気にしてない、かぁ。私、シズちゃんにひどいことしたんだよ?」

「でも、痕は残ってないですよ? ほら」

「ああ首元見せなくていいから! もう、やっぱりシズちゃんは変わらないなぁ」

 

 

 

『……なんで、シズちゃんがいるのかな?』

『……ミカ先輩』

『ねぇ、なんでなの? シズちゃん、なんで……』

『どいてください。今は時間がないんです』

 

 

 

「……やっぱり、もう一度見せてもらっていい?」

「はい、どうぞ」

「……嘘じゃん。痕、しっかりついてるよ」

「あ、ははは……でも、もう痛くないのは確かで……」

「こうしても?」

「っ!」

 

 

 

『ぐっ、が』

『苦しい? 苦しいよね。でもシズちゃんがいけないんだよ? 私の邪魔をして……サオリも逃して……サオリは、あんな酷いことしたのに』

『っ……』

『あぁ、良い匂い。甘くて、ずっと嗅いでいたくなる……このまま食べちゃいたいくらい』

『ミ、カ……先っ輩!』

『……わーぉ、まだ動くんだ。でも私もサオリを追いかけなくちゃいけないから……しばらく、寝てて?』

『っ!』

 

 

 

「痛い、よね。ごめんね、私、あんなことして……」

「もう、平気ですよ。本当に気にしていないんです。この痕だって、もう何日かすれば消えてなくなりますから」

「……」

「……」

「ねえ」

「はい?」

「裏切り者って、どういうこと?」

 

 

 

『……どうしてそこまで頑張るの? アズサちゃんがいるから? それとも先生のため?』

『……』

『ねえ、離してよ。時間稼ぎにはいいかもしれないけど、もう限界で────』

『……私、は』

『うん?』

『アツコを、救わないと……例え、死んでも……やらなくちゃ……裏切り者の私は、そうしなきゃ……』

『……え、裏切り者? 待って、どういうこと?』

『……アツコ、ごめんなさい。私のせいで、貴女が……私が、死ねば良かった……私、私……私のせいで、アツコが……』

『………』

『……死ぬなら、アツコの……だから……だか、ら!』

『なっ』

『絶対に、行かせない』

 

ドゴォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

「……私、そんなこと言ってましたか?」

「うん。ばっちり聞いてたよ」

「……私は、元はアリウス自治区で生まれたんです」

「え?」

「アツコとは従姉妹で……昔は、仲が良かったと思います。でも、私は……アツコを置いて、アリウスの外に出た」

「……」

「アリウスは内戦中で、私は人質として送り出される予定でした。でも、送り出された先で身の安全を保証できるものはありません。だから逃げたんです。死にたく、なかったから」

「そう、なんだ」

「……アツコを置いていったのは、そうすれば追手はそれほど来ないと思ったから。私が逃げ延びる確率を上げるために、私は……アツコを、裏切った」

 

 

 

『ミカ、先輩……っ!』

『え、シズちゃん!? どうして……』

『手伝います! 足止め、するんですよね?』

『でも、シズちゃん、その身体じゃ……』

『大丈夫です。私は、まだ、動けます……!』

『……もう、言っても聞かないんだから……わかった、私から離れないでね』

『はい!』

 

 

 

 

「だから、裏切り者?」

「はい。私は、自分の勝手でアツコを裏切った。アツコのことを一時だって忘れたことはなくても、アツコからすれば恨んで当然だとも思ってました。だから……アツコが生贄にされそうになってると聞いた時。私、チャンスが来たって思ったんです」

「……」

「……最低ですよね。自分が見捨てておいて、自分の都合で助けようとするんですから」

「そんな、」

「だから、アツコを救うために死ぬことで……私は、罪の清算をしようとしたんです」

「……え?」

「まぁ結局、こうして生き残ってアツコには噛まれちゃったんですけど」

「……そっか」

「今は、アツコに生きることを望まれちゃいましたから……もう自分から死ににいくようなことは、しないつもりです」

「つもり、なんだ」

「絶対に、とは言えませんから……」

 

 

 

「あっ、もうこんな時間。私、そろそろ帰りますね」

「うん、楽しい時間……っていうわけじゃなかったけど、聞けて良かった」

「あはは……それじゃあ、また今、度っ!?」

 

「……」

「あの、ミカ先輩……? これじゃあ帰れ……」

「ずるいよシズちゃん」

「え?」

「あんなこと言うなんて……私、アツコが羨ましい」

「あの、何を」

「あんなに想って貰えて、あんなに必死になってもらって……私だってナギちゃんも、セイアちゃんも、コハルちゃんも、好き。好きだけど……こんな、ドロドロとした好きじゃなくて……」

 

「私、欲深くなっちゃった。先生が、皆が、私を魔女から引き上げてくれたのに……」

 

「私は……やっぱり魔女だった。優しく送ってあげるべきなのに……惜しんで、手に入れたくて、私だけを見てほしくて、たまらない。無理だとわかってても、止まらないよ」

 

「ミカ先輩っ!」

「ねぇ、シズちゃん。今の私は、とっても悪い魔女だから……」

「貴女を、貰うね?」

「っあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

モモトークにて

 

『先生』

『起きてる?』

『流石に、この時間は寝てるかな』

『先生には先に言っておこうと思って』

『私ね、やっぱり魔女だったよ』

『せっかく皆が私を掬い上げてくれたのに、戻っちゃった』

『でもね』

『私、善い魔女と悪い魔女、兼任する!』

『シズちゃんとも話し合って決めたんだ☆』

『魔女だからって、悪い人ばかりじゃないって……シズちゃんも言ってくれたから。私は善い魔女になる』

『私は問題児だから、悪い魔女になることもあるけど……』

『先生』

『改めて、これからよろくぐびゃらなたやはまぎ』

 

数時間後

 

『今見たけど……ミカ、大丈夫?』

『大丈夫!』

『ちょっと話し合いが長引いちゃったけど』

『ちゃんと解決したから!』

『こんな時間にありがとね☆』

『おやすみ先生!』

 

 

 

これからよろしくね、シズちゃん?

 

 

 




『白尾シズク』
 アツコの救いを願い、誰よりも自分が死ぬことを望んだ者。
 アツコに願われ、イチカに求められ、ミカに祈られた。
 あと、三人に増えた。
 総受け主人公というのは無意識でも刺激してしまうらしい。

『ミカ』
 幸福を願い、そのために魔女となった者。
 欲しいものを手に入れるには、魔女になるしかなかった。
 最終的に魔女となることを受け入れる。これからは善いと悪いを兼任するらしい。
 ようは考え方、捉え方じゃんね?

『イチカ』
 キレた。攻め込んだ。
 皆で愛せばいいと結論付けた。

『アツコ』
 怒った。共に攻め込んだ。
 最終的な順位も決めた。
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