オメガでバースでブルーなアーカイブ   作:オルフェイス

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あまり気分の良くない話が前半にありますが、後半になればいつも通りです。

色々とわからないと思うので、最新の活動報告を見てください。見た上で見てください。私からは以上です。


ミレニアムIF『聞こえぬ歌姫は真理と共に』

 

 こんにちわ、シズクです。

 

 見事に転生してしまった私は、ミレニアムサイエンススクールに入学しました。

 

 ……色々とすっ飛ばしてるのでわからないですよね、すみません。

 

 赤子の時の記憶はないけど、そこから成長した小学生の時からなら語れると思います。

 

 前世にはなかった耳と尻尾が生えて、銃を使うのが普通になる。そんな毎日が来るなんて思いませんでしたが、今では慣れてしまいました。

 

 こんな風に言ってますが、前世の記憶はほぼ空です。なんだか知ってる世界……のはずだったのですが、覚えてない以上考えても意味のないこと。

 

 少々のいじめを受けつつも中学に上がり、そこでもいじめられながらも高校に上がり、私はミレニアムに入学したのでした。

 

 でも私、昔から音が聞こえません。

 

 視界は安定してるので問題ないのですが、やはり音が聞こえないとなると会話が成立せず。

 

 なのでいじめられてました。悲しいですね。

 

 いじめの一環でいろんな部位を噛まれて痕を残されてますが、まぁ服を着込めばいい話なので気にしません。

 

 それに文字は読めるので、勉強には困りませんでした。友達がいなかっただけで。

 

 あぁでも、友だちになってくれそうな方はいましたが……私のうなじの痕を見たら離れていって、場合によっては平手打ちされたりもしましたね。なんででしょう。いじめでしょうか。

 

 ……まあ、考えてもわからないことなのでこれ以上はやめておきましょうか。痛いだけです。

 

 さて、そうですね……何を話しましょうか。

 

 ……部活の話でも、しましょうか?

 

 私、勉強は得意です。一人で黙々するのも得意ですし、電子系統を弄るのも得意です。力仕事は苦手ですけど……

 

 あと、ゲームをするのも好きです。音は聞こえないので音が聞こえなくても問題ないものばかりですけど、でもゲームは趣味として好きです。

 

 だから、私はミレニアムではゲーム開発部に入ろうと思いました。あそこはなんだか楽しそうだったから。

 

 そうして私は入部手続きを終え、ゲーム開発部の部員になりました。

 

 ……でも、なんででしょう。ゲーム開発部と言いながらゲームをするだけで開発するところを見たことがありません。

 沢山ゲームをしますが、私はその輪に入れたことはありません。だからもしかしたら、何処か別の場所でゲームを作ってるのかも。

 

 でも私は喋れませんし、無視してしまうから。本当のところはどうなのかわかりません。

 

 なので部活に入っても私は一人なのでした。

 

 ……私も音が聞こえたらなぁ。

 

 仕方のないことだとは、わかっているのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は変わって、現在。

 

「■■■■■■■■!」

「■■■、■■■■■■■■■■■」

「■■■■……?」

 

 私は今、部室にいます。他には部員の三名がいる状態ですね。

 

 さて、今日は何をしましょう。

 

 この部活、やるべきことが少ないんです。というより各々が好きなようにしている、というのが正しいでしょうか?

 

 一人は何か描いていますし、一人はドローンを作ってるのを見ました。一人は……何してるんでしょうか。よくわかりません。ヘッドホンつけてるのは確かなんですが……

 

 最後にもう一人いるのですが、普段は部室にいないのであまり見かけません。サボりでしょうか。

 

 まぁでも、私は現実では一人かもしれませんが、ゲームではお友達がいるんです。すごいでしょう!

 

 その一人が、MAKIちゃん。シンプルな名前ですね。良いと思います。

 

 常日頃からグラフィティ、というものが好きなのがMAKIちゃんです。グラフィティ、というのがなんなのかは知りませんが情熱を持っていることはわかります。

 

 私には応援することしかできませんが、MAKIちゃんの想いは尊いものだと私は思います。

 

「■■■■■■〜!」

「■■■■■■■■■■■■■■■」

「■■■■■■、■■■■■!」

「■■■■■■■■■、■■■■■■■■■!?」

 

 他にも二人の友達がいて、その方もゲームが得意なんです。三人でオンラインゲームをして、早期クリアやシステム検証をしてネットにアップロードしてるらしいです。

 

 なんだか、すごいですよね。私はゲームは好きですが、実のところそこまで上手くはなくて……だから見てるとすごいってことしかわからなくて……

 

 でも、そんな人たちが私と一緒にゲームをしてくれるのは、とても嬉しくて、楽しい。多分、今までの学校生活の中で一番充実してるかもしれません。

 

 ……そう、楽しいんです。

 

 うなじを噛まれて、無理矢理されるのも。首を絞められて呼吸が出来ないところでされるのも。自分を限界まで高められるのも。

 

 過去のことなんて全部、楽しくなんてないんです。今が、今の日々のほうが、ずっと─────

 

「■■■〜?」

 

 肩を叩かれる。

 

 ……? なんでしょうか。

 

 手を取られて。

 

 立ち上がらされて。

 

 そのまま手を引かれて……?

 

 なんだかよくわかりませんが、どこかに連れて行ってくれるみたいです。

 

 三人一緒ですね。理由はわかりませんが……

 

 私は三人に連れられるまま、何処かへと歩いていくのでした。

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

「約束のもの、出来た?」

「ああ、もちろんだとも」

「注文通り、白尾シズクさん専用補聴器『ボイスカウンター』、」

「完成しました! これにはいつでもどこでも使えるように防水防塵は勿論のこと、電源が切れることのないよう自動充電機能を搭載し、更に、ここをぐいっと回すと……」

 

ガチャン!

 

「このように、口元に展開して超高性能スピーカーとしても使えちゃいます!」

「耐久性もバッチリ、だよ」

「どうせなら戦闘能力も搭載したかったんだけど、流石にこの大きさでは限度があってね。代わりにオプションサポートロボットの『(キョウ)ちゃん』を……」

 

「へえー! デザインも良いし、このマスクもクールでカッコいい!」

「多少余計な機能はあるけど……許容範囲内」

「でもロボットはいりません」

 

「そんな! こんなにも高性能で手間暇掛けて作り上げたんだ! せめて貰ってくれないかい……?」

「そうですよ! この『響ちゃん』はいざという時に所有者を守れるようにパワードスーツとして変形し装着、さらにはボイスカウンターと接続・連携して機能を大幅に向上させることも─────」

 

「どうせなら貰っちゃおうよ! シズク先輩って確かオメガだし、戦闘力があるに越したことはないって!」

「……とりあえず、後で本人に聞いてみよう」

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 三人に連れられて来た場所は、なんだかゴテゴテとしたものが沢山置かれているところだった。

 

 銃に、ロボットに、戦車……? あとは、なんだろう、丸い円形のものが二つある。すぐ近くで大きな……私よりも大きなロボットも鎮座していました。

 

 ……なんだろう、これ。

 

「■■■■■■!」

 

 一人が、丸い円形のものを手渡してきました。

 

 …………どうすればいいんでしょう、これ。

 

 戸惑っていると、今度は別の人が私の持っていた二つを取り上げ、私の横にある両耳に近付けてきました。

 

 何をするつもりだろう─────身体を硬直させながら、その行動を見つめます。

 

「■■■■■■……」

 

 何やら少し弄りながら、私の耳に取り付けようとしているみたいでした。

 

 そうして少し待つと─────

 

『カチリ』

 

 という音が聞こえました。

 

 …………聞こえる?

 

 音?

 

 そう、これは、今では思い出せない前世で幾度となく聞いた─────音。

 

「聞こえるー?」

「大丈夫?」

「補聴器はしっかり機能しているでしょうか」

 

 声が、聞こえてくる。

 

 聞こえる……聞こえる。

 

 そっか、これが音……これが声。

 

 私の、忘れていた……

 

 それを認識できた途端、視界が歪む。

 

「「「え」」」

 

 私は、場所も考えずに─────あまりの状況に、感情を抑えきれず。

 

 号泣した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場には七人の生徒がいた。

 

 非公認部活・ヴェリタス所属、音瀬コタマ、小塗マキ、小鈎ハレ。

 

 エンジニア部所属、白石ウタハ、猫塚ヒビキ、豊見コトリ。

 

 そして書類上はゲーム開発部所属である白尾シズク。

 

 今回この七人が集まったのは、ヴェリタスに居るシズクの聴覚が死んでいるため、音を聞こえるようにするために補聴器をエンジニア部が作成、いざ取り付けようとしたためだった。

 

 エンジニア部に依頼したのはヴェリタスの副部長、各務チヒロ。しかし彼女は急用でこの場にいないため、残った三人が補聴器を受け取りシズクに取り付けることになった。

 

 そんな彼女たちは現在─────呆然としていた。

 

 シズクに補聴器をつける。これは成功した。

 

 しかし補聴器を取り付けられたシズクが号泣、彼女の神秘が真の力を発揮してしまった。

 

 彼女の発する音が、声が、残りの六人の心を縛り捉え離さない。動くことを忘れ、聴き入ってしまう。

 

 彼女たちに許されるのは泣き続けるシズクの声を聞き続けることだけであり─────そして彼女の声の影響は、人だけに留まらない。

 

 機械すら正常な判断を忘れ……暴走した。

 

 こうして発生してしまったロボットたちの暴走は、事態を聞きつけたシャーレの先生によって鎮圧されることになるのだが……号泣した後はぐっすりと寝込んでしまった今の彼女には、知る由もないことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とんでもないことを仕出かしてしまったかもしれません。

 

 あまりの喜びに涙が止まらず、声を上げてしまい……その結果、ロボットが暴走し他の皆さんも静止状態に。

 

 私は……泣き疲れて眠ってしまったそうなんですが……

 

 私に音を与えてくださったのは、エンジニア部の皆さんらしいです。そしてそれを依頼したのはヴェリタスの皆さんである、と。

 

「まさかシズク先輩の『声』にあんな効果があるなんてねー」

「流石にアレは予想できない」

「声を録音させてください」

 

 今まで聞こえていなかった声が聞こえるようになるのは、なんだか不思議な感じで。

 

 でも、人と話せるようになったのは、とても嬉しい。

 

 ……でも、自分の『声』を制御できるようにならないと、あまり喋れないかも。

 

 だからコタマ先輩、声の録音はもうしばらく待ってくださるとありがたいです。

 

「……では、一緒に練習しましょう。その時の声を録音させてもらえれば……」

「……え、と。は、い。わか、り、まし、た」

 

 コタマ先輩に押されて、私の練習声は録音されることになりました。

 

 その後も私は様々なことを知り、様々な決断を促されました。

 

 

 

 実は私のいた場所はゲーム開発部ではなく、非公認部活のヴェリタスであるということ。

 

 ゲーム開発部では幽霊部員として登録されていること。

 

 私が号泣したせいでロボットが暴走し大惨事に成りかけたこと。

 

 実はゲーム友達のMAKIちゃんはヴェリタスのマキちゃんであるということ。というか三人ともゲーム友達であること。

 

 ……色々と、考えなくちゃいけないことも多いのですが。

 

 結局私はゲーム開発部を辞めて、ヴェリタスに移ることにしました。

 非公認なので部活には所属していないことになりますが、大した問題ではありません。

 私には、彼女たちから受けた恩があります。それはきっと、一生涯を掛けても返せないものだと、私は思っています。

 

 だから私も、ヴェリタスの一員としてハッカーを目指すことになりました。

 

 少しでも役に立ちたいから。

 

 今もこうして、彼女たちから技術を学んでいる真っ最中です。

 

「ハッキングはこうして……」

「そう、そんな感じで……」

「ファイアーウォールの破り方は……」

 

 ハレさんは丁寧にやり方を教えてくださるし、コタマ先輩も録音しながらではありますがわかりやすく説明するよう心掛けてくれてます。

 

 ハッカーへの道は未だに遠いですが、これからも頑張ろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、ある時。

 

 私は、なぜだか押し倒されていました。

 

 目を覆うように布をされて、両手も結ばれてしまっています。

 

 姿勢はうつ伏せ。これでは何をされようとしているのか、わからない状況でした。

 

 そして、そんなことをしているのは─────

 

「……ごめんなさい、こんな乱暴にして」

 

 チヒロ先輩でした。

 

 

 

 

 

 

「私、アナタのことは前から知ってたの」

「小学生の時からね。アナタはある意味有名だったから」

「『クチナシハクビ』、そんな風に呼ばれていたなんて知らないわよね」

「喋らず、反応もろくにせず、ただ動くだけ。不気味だったでしょうね、周りから見てみれば」

「……だからアナタはいじめられて、中学の時には大事なものを奪われた」

「アナタはオメガだったから。そして相手はアルファだった。それも、複数人の」

「沢山噛まれて、痕を刻まれ、決して消えない過去が残った」

「最後にはアナタを放って何処かに消えてしまうんだから、薄情よね。仮にも番になったというのに」

「……私はアナタを番にしたかった」

「アナタの声を、偶然にも聞いてしまった時からずっと」

「その時には、邪魔なアルファがいたから……消えてもらって助かったわ」

「だからこうして、アナタは私のところにいる」

「シズク、覚えてる? ゲーム開発部のつもりだったって話。あれ、私が書き換えてたの」

「アナタがここに居るように、居られるようにした」

「シズクは私に……私達に恩があるって、言ってたわよね? コタマが録音してたのは聞いているわ」

「だから、その分を返してもらいたいの。ええ、今すぐにして貰う必要はないわ」

「少しずつ、ゆっくりと、返してもらえればいいから」

「……それじゃあまずは、」

「ここ、噛んだらどうなるか、知ってるわよね」

「オメガはアルファの番を増やせる」

「……そういう性質を持っていて、本当に助かったわ」

「だから今こうして、シズク、アナタを番にできる」

「大丈夫、怖がらないで。痛くはしないし、アナタが初めてじゃないことも知ってるから」

「ちゃんと─────してあげる」

 

 ガリッ

 

 

 

 

 

 

 

 ゃ、ぁ……!

 

 そっ……!?

 

 ぁ”

 

 む、りぃ……

 

 んっ、ふっ……

 

 はっ、はっ……

 

 ─────!!

 

 

 

 

「……………………………えっ、えっ、えっ……?」

 

 




『シズク』
 音が聞こえず、声を発さない。しかしいざ声を出力すると誰もが聞き惚れ魅了される。オメガのフェロモンが声として出力される特異体質を持つ世界線。
 彼女のヘイロー、神秘の特性も相まって常人が聞けば一発でKOされる。
 昔はいじめに合い、反抗もしなかったためにエスカレートして食われた。そこで一度、精神が崩壊し作り直されたことに本人は気づいていない。
 そのいじめが原因で、他者に期待すること、頼ることを恐れている。
 後にミレニアムの歌姫という謎の存在として噂されることになる。

 勘違いでヴェリタスをゲーム開発部と思い込み入り浸る。しかし入部手続きは済ませているのでゲーム開発部では幽霊部員と思われていた。
 …………ヴェリタスがゲーム開発部であると誤認していたのは、チヒロによって工作されていたためであることは、本人から言われるまで気づかなかった。


『チヒロ』
 シズクに執着していた。シズクの声を聴きさえしなければ、原作通りになっていたのだが……残念ながら、アルファとしての支配欲求と執着しているシズクが既に奪われているという事実が彼女を病ませた。
 彼女の本性を知るのは、現状ヒマリのみ。シズクは理解しきれていないため除外。

 いらない相手は排除した。
 大丈夫、死んではいないから。


『ヴェリタスの面々』
ハレ・可愛い同輩にハッキングを教えている。アルファだが、溺れてはいない。今はまだ。
マキ・一緒にゲームを楽しんでる。声を聞いてるので理性が少しずつ溶かされている。
コタマ・声に溺れかけている。昔ながらの盗聴をしていたらばったり『聞いて』しまった。


『エンジニア部』
 幸い後遺症はない様子。しかしシズクの声の経験から置いていかれてしまった『響ちゃん』をバージョンアップさせようとしている。
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