セイとシの狭間で   作:最上 イズモ

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今回から挿絵をのんちゃんhttps://x.com/latias0929?t=M8VVEfTR-Y17f-mAVgQhQA&s=09に制作してもらいました!!!


第一章 契約
01:契約


 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

屋敷の私室。

 

今まさに、ジョンは自分のメイドにナイフを突きつけられていた。

距離は一歩分。

刃先は喉元。

冗談では済まされない近さだ。

 

ジョン「ねえ、なんでメイドのあんたにナイフ突きつけられているの?」

 

アリス「だってぇ、暇なんだもん」

 

ジョン「だからってナイフで脅すのはおかしいだろ!」

 

アリス「じゃあお昼寝する?」

アリス「特別に抱き枕にしてあげるよぉ」

 

ジョン「誰もそんなこと言ってないだろ!」

ジョン「メイドならもっとこう、家事とかしろよ!」

 

アリス「家事ってなに?」

 

ジョン「掃除したり、洗濯したり、料理作ったりすることだよ!」

 

アリス「ふ~ん……でもわたし必要ないしぃ~」

アリス「したことないしぃ~」

 

ジョン「じゃあなんでメイド服着てるの?」

 

アリス「だってぇ~かわいいから」

 

ジョン「メイド長に言うよ」

 

アリス「お姉ちゃんはわたしに甘いから大丈夫だよ」

 

ジョン「そういう問題じゃないんだよなあ……」

 

アリス「そんなことより遊ぼうよ!」

 

ジョン「まったくもう……」

ジョン「じゃあ、なにして遊ぶ?」

 

アリス「えっとね!」

アリス「暗殺ごっこ!」

 

ジョン「却下」

 

アリス「なんでぇ?」

 

ジョン「なんでって……」

ジョン「そもそも暗殺ごっこってなんだよ……」

 

アリス「えっとね」

アリス「まずわたしがナイフでジョンを刺すでしょ?」

アリス「それでジョンがわたしを殺すの」

 

ジョン「それ遊びじゃなくて殺し合いだよね!?」

 

アリス「え?」

アリス「でもこれ、おままごとだよ?」

 

ジョン「いやいやいやいや!」

ジョン「どこがおままごと!?」

ジョン「完全に殺し合いじゃん!」

 

アリス「だってジョンは不死身でしょ?」

アリス「だから平気だよ!」

 

ジョン「そういう問題じゃないんだよなあ……」

 

アリス「んじゃ屋敷使った鬼ごっこ!」

アリス「もちろん、私が鬼ね!!」

 

そう言うと、アリスはどこからともなくナイフを取り出した。

 

ジョン「!?」

 

アリス「にひひ……」

アリス「さあ逃げて!」

 

ジョン「ちょっと待て!!」

ジョン「なんでナイフなんて持ってるんだ!?」

 

アリス「え?」

アリス「護身用?」

 

ジョン「いやお前メイドだろ!」

 

アリス「細かいことは気にしないの!」

 

ジョン「細かくないし!!」

 

アリス「ほらぁ!」

アリス「早く逃げないとナイフがグサッといっちゃうよぉ?」

 

ジョン「くっ……」

 

ジョンは咄嗟に背を向け、廊下へ飛び出した。

背後から軽い足音が迫る。

狭い廊下に、笑い声が反響する。

 

アリス「あはははっ!」

アリス「待ってぇ~!」

 

ジョン「くそっ!」

ジョン「捕まったら殺される!」

 

速い。

遊んでいるだけなのに、殺気の質が違う。

 

このままでは追いつかれる。

 

仕方ない。

あれを使うしかない。

 

ジョンは急停止し、振り返った。

そして両手を大きく広げる。

 

ジョン「さあ、捕まえてごらん?」

 

アリス「えっ?」

アリス「なんで?」

 

ジョン「いいから早く!」

 

アリス「う、うん……」

 

警戒しながら、アリスが一歩ずつ近づく。

次の瞬間、ジョンは一気に距離を詰めた。

 

ジョン「捕まえた!」

 

両腕でアリスを抱き止める。

 

アリス「きゃああっ!?」

 

そのままジョンは走り出し、近くの部屋へ飛び込んだ。

ドアを閉め、息をつく。

 

ジョン「ふぅ……」

ジョン「危ないところだったぜ……」

 

アリス「もお~!」

アリス「いきなり何するのぉ!」

 

ジョン「だって、こうしないと捕まるだろ?」

 

アリス「むぅ……」

アリス「じゃあ次は私が鬼ね!」

 

そう言った瞬間、再びナイフがきらりと光り、アリスが襲いかかる。

 

そんなやり取りを何度か繰り返していると、屋敷に来客があった。

 

客間。

 

訳ありそうな雰囲気をまとった男が、ソファに腰を下ろしている。

 

山本「実はな」

山本「数ヶ月ほど、日本で護衛をお願いしたい」

山本「金ならいくらでも出す」

 

ジョン「なるほど」

ジョン「では依頼人一号として」

ジョン「なぜ護衛が必要になったのか、教えていただけますか?」

 

山本「ある組織から命を狙われていてな……」

 

ジョン「それはどんな組織ですか?」

 

山本「詳しくは言えないが、犯罪組織だ」

 

ジョン「なるほど」

ジョン「ではなぜSPを雇わないんです?」

ジョン「その方が安全だと思いますが」

 

山本「それはできない」

山本「表立って護衛をつけると、不便な身分なんでね」

 

ジョン「理解しました」

ジョン「では具体的な依頼内容をお願いします」

 

山本「期間は四ヶ月」

山本「その間だけ護衛を頼みたい」

山本「報酬は弾む」

 

ジョン「なるほど……」

ジョン「ちなみに、おいくつですか?」

 

山本「27だ」

 

ジョン「……もっと若く見えますけどね」

 

山本「よく言われるよ」

山本「まあ、よろしく頼む」

 

山本「報酬は前金100万ドル」

山本「護衛期間は1ヶ月1000万ドルでどうだ?」

 

ジョン「うーん……」

ジョン「少し安すぎませんか?」

 

山本「では前金300万ドル」

山本「護衛期間は1ヶ月6000万ドルでどうだ?」

 

ジョン「う~ん……」

ジョン「もう少し上がりませんか?」

ジョン「こちらも生活がかかっているので」

 

山本「なら前金500万ドル」

山本「護衛期間は1ヶ月8000万ドルだ」

 

ジョン「……わかりました」

ジョン「それでお願いします」

 

山本「よし!」

山本「契約成立だな!」

 

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