セイとシの狭間で   作:最上 イズモ

3 / 6
03.裏切り

ジョンは目を閉じたまま、胸の奥で強く誓っていた。

この子だけは、何があっても守る。

 

数日間の船旅は穏やかに過ぎていた。

大型船の内部、個室のベッドでジョンは眠っていた。

 

アリス「ジョン!起きて!」

 

目を開けると、すぐ目の前にアリスの顔があった。

どうやら膝枕をされていたらしい。

心配そうに覗き込むその表情に、ジョンは一瞬状況を理解できず、慌てて体を起こした。

 

ジョン「ごめん!寝過ぎたみたいだね」

 

アリスは首を横に振った。

 

アリス「ううん、大丈夫」

 

ジョン「そうか、ありがとう」

 

ジョンは無意識に彼女の頭を撫でた。

アリスは嬉しそうに目を細め、そのまま立ち上がって手を差し出す。

 

アリス「行こう!」

 

ジョン「ああ、行こうか」

 

二人は手を繋ぎ、部屋を出た。

 

大型船内部の食堂では、すでに山本がコーヒーを飲んでいた。

二人に気づくと、柔らかな笑顔を向ける。

 

山本「おはよう!よく眠れたかい?」

 

ジョンとアリスは声を揃えた。

 

ジョン&アリス「はい!」

 

山本「それは良かった!朝食を食べようか」

 

席につくと、トーストと目玉焼き、サラダにスープが並んでいた。

アリスは一口食べて目を輝かせる。

 

アリス「美味しいね!」

 

ジョン「ああ、そうだね」

 

食事を終える頃、サラがやってきた。

コーヒーを片手に、明るく声をかける。

 

サラ「おはようございます!よく眠れましたか?」

 

ジョン「はい!ぐっすり眠れました」

 

サラは微笑み、窓の外に視線を向けた。

そこにはハワイの米軍基地が見え、船が停泊しているのが分かる。

 

ジョン「ようやく半分かぁ」

 

サラ「あともう少しですよ!」

 

ジョン「うん、頑張ります!」

 

サラ「頑張ってください!」

 

ジョンはアリスの手を引き、軽く会釈して食堂を後にした。

 

廊下に出ると、再び山本が待っていた。

 

山本「今日は何をするんだい?」

 

ジョン「とりあえず館内のレクリエーションに参加しようかな」

 

山本「そうか、楽しんでこいよ!」

 

ジョン「ああ、行ってくるよ」

 

二人は手を繋いだまま歩き出した。

 

娯楽室にはビリヤード台やダーツ、カードゲームが並んでいた。

最初は戸惑いながらも、次第に笑顔が増えていく。

 

そこへサラが顔を出した。

 

サラ「こんにちは!楽しんでいますか?」

 

ジョン&アリス「はい!」

 

サラ「それは良かったです!ところで、新しいイベントを考えているんですが参加してくれますか?」

 

ジョン「どんなゲームですか?」

 

サラは楽しそうに声を弾ませた。

 

サラ「『人狼ゲーム』です!」

 

ジョン&アリス「人狼ゲーム!?」

 

ジョンの胸に、わずかな高揚が走る。

アリスも同じように目を輝かせていた。

 

一時間後、五人で円になって座り、ゲームが始まった。

村人三人、人狼二人。

 

サラ「では始めましょうか!」

 

ジョン「よろしくお願いします」

 

アリス「お願いします!」

 

ルール説明が終わり、時間はいつの間にか夜になっていた。

疲れ切った二人は部屋に戻り、ベッドに横になる。

 

ジョン&アリス「おやすみなさい」

 

照明が落ち、意識が闇に沈んだ。

 

目を覚ますと、白い部屋に隔離されていた。

アリスも隣にいる。

 

ジョン「おはよう」

 

アリス「おはよう……」

 

ふと二人は同時に思い出す。

 

ジョン&アリス「人狼ゲーム!!」

 

目の前にモニターが浮かび、サラの姿が映し出された。

 

サラ「ここはあなたたちの実験室です」

 

続いて山本が現れる。

 

山本「すまんな。依頼は嘘だ。これから耐久試験をしてもらう」

 

ジョンは歯を食いしばり、アリスを庇うように一歩前に出た。

 

山本「ジョンくんは不死身。アリスちゃんは人外レベルの反射神経。さて、どうなるか」

 

レーザーグリットが展開され、目の前のマウスが一瞬で切断された。

 

サラ「こうなりたくなければ全力で避けてくださいね♡」

 

二人は走った。

逃げ場のない部屋で、迫りくる死を必死にかわし続ける。

 

時間が削られ、体力が尽きかけたその時。

 

ジョン「まさか、こんなレーザーで死ぬなんてな」

 

突如スモークが広がり、意識が途切れる。

 

次に目を覚ますと、病院のベッドだった。

 

ドクター「あの状況で生き延びたのは奇跡だよ」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。