ペットボトルの紅茶で体調を崩しちゃうナギサ様って家具とかも良いもの揃えないとまずいのでは?
なんか自分で椅子持ってきてるし…
そんなお話
「──ではトリニティの協力者は桐藤ナギサさんと歌住サクラコさんに依頼しましょう。」
改めて決意を新たにした先生達は、三大学園最後の一つであるトリニティについて話を進めた
そして話し合いの結果ティーパーティーの桐藤ナギサ、シスターフッドの歌住サクラコに協力を依頼することとなった
トリニティを統括するティーパーティーに話を通さずに、記念品作戦を進めるのは難しいからだ
それに加えて防衛隊の戦力として、正義実現委員会からの協力も欲しい
正義実現委員会はティーパーティー傘下の組織であり、トリニティの中でもわかりやすく上下関係のはっきりとした構造となっている
つまり、ナギサに話を通しておけばそのまま自然と正義実現委員会からの協力を得ることができるのだ
また、ヒナにお願いしたように秘密裏に進めなければならないのだが、ティーパーティーには一つ問題があった
エデン条約をめぐる一連の事件の影響により、ティーパーティーの補助と監視のためシスターフッドと救護騎士団が政治の表舞台に立つことが増えているのだ
そんな前科のある状態で秘密裏に動いた結果、両派閥のトップに怪しまれてしまうのは非常にまずい状況となる
それを避けるために先生の真面目で良い生徒という評を信じて、シスターフッドの長たるサクラコにも協力を依頼することに決まったのだ
もう一つの陣営である救護騎士団に関しては、所属生徒であるセリナが対応することを申し出てくれたため、一任することとなった
セリナが誤魔化して抑えてくれている間に、動かなくてはならない
「いきなり先生がティーパーティに連絡を取れば注目を集めてしまいます。ですので…」
「まずはサクラコにコンタクトを取ってから、だね。」
「はい、その通りです。」
ヒマリの言う通り、接触する順番にも気をつけなくてはならない
前科があることもそうだが、そもそも政治の表舞台に立つティーパーティーと密談を行うのは至難の業である
先生がわざわざ2人きりでナギサと話したいとなれば注目を集めてしまうのは避けられない
だが、シスターフッドのサクラコと密談を行うというのであれば話は別だ
独自の情報網や隠れ場所を持つシスターフッドならば、他生徒にバレることなく接触することは容易い
実際に先生はサクラコから、変な人ではないと誤解を解いてもらい親しみやすくなるにはどうすればいいのかと、こっそり2人きりで相談を受けていた
もう既に何度か密談のようなことを行なっているのである
なので、サクラコからナギサへ連絡を取ってもらうことによって人目を避けながら接触することができるのだ
エデン条約事件以降、接触することの増えたシスターフッドとティーパーティーが話し合うことはそう珍しいことではないのだから
「無事決まったのはいいけど、まだ問題が残ってるよ。」
「トリニティ生徒用の備品の準備ね…」
前日にセリナから情報があった通り、トリニティ生徒は高級品しか受け付けないセレブが多い傾向にある
桐藤ナギサはその際たる例だ
お嬢様学校トリニティの頂点に立つティーパーティーのホストともなれば、衣食住全てにおいて高品質なものが揃っている
カップから茶葉、ちょっとした家具にいたるまで高級品を揃えている
その中でもナギサは特に椅子にこだわりがあり、シャーレに自身お気に入りの椅子をわざわざ持ってくることがあった
先生も新しい椅子を買うことを勧められたことがあるほどだ
進められた経緯としては、シャーレには連邦生徒会から日々大量の書類が送られてくる都合上、デスクワークが多い
そんな時に良質な椅子を使えば、疲労が軽減され、仕事の効率も上がって効果的だと熱心におすすめの椅子を紹介してくれたことがあった
「…今回は我慢していただいたらいいんじゃないですか?
わがままな人というわけでもないですよね?」
イロハの言う通り、ナギサはわがままな人というわけではなくむしろその逆
本音を隠して、何事にも動じないよう優雅に行動することを常に心がけている
たとえ粗雑な椅子であったとしても我慢して、何事もないように対応してくれるだろう
「そうだね…でもごめん、それは私が嫌なんだ。無理を強いるような真似はしたくない。」
だが、それはしたくないと先生がわがままを口にした
彼女はティーパーティーのホストとして、トリニティ生達の模範的な存在となれるよう常に気を配り続けている
ヒナに負けず劣らずの苦労人であり、毎日の仕事に忙殺されている
そんなナギサだが、一般生徒達の目の少ないシャーレでは安心できるのか眠たそうにリラックスしている姿を先生はよく見ていた
生来の生真面目さが災いして意地を張ってしまうナギサが安らぐことのできる大切な場所の一つとしてあり続けたい
「だから、何とか私の方で用意したいんだ。ナギサ達にも満足してもらえるようなものを。」
「先生の気持ちはわかりますけど…でも、実費で買いに行くなんて絶対ダメですからね!?ティーパーティーほどの人達が満足するようなものなんてどれほどの金額になるか…!!」
ユウカの言うとおり個人で用意するとなると相当な金額になってしまう
大切に貯めていた貯金は間違いなく吹っ飛び、最悪借金しなければいけないかもしれない
先生の気持ちもわかるし、尊重したいがそればっかりは看過することはできない
「ふむ…手間をかけさせてしまいますが、ご本人に準備してきてもらいますか?」
「そうね、それなら確実よね…」
ヒマリが代替え案を口にし、ヒナも賛同する
わざわざ本人に用意させるのは気が引けてしまうが、それが確実だ
そう思っていたが先生は首を横に振って否定した
「いや、方法はあるよ。ナギサ達に負担を強いることなく、私達が大金を出さなくても解決できる方法がある。」
先生は力強く断言する
覚悟を決めた真剣な顔つきから、その場凌ぎのものではないことがよくわかる
「そ、それは一体…?」
『まさか先生…!』
『遂にあれを使う時が来たのですね。』
生徒達からの視線、アロナとプラナの言葉に頷き言葉を返した
「これはあまり使いたくなかったんだけどね…使うしかない…
クラフトチェンバーを!」
──クラフトチェンバー
シャーレの地下室に存在する正体不明の物体
【大型の3Dプリンター】【連邦生徒会長のおもちゃ】と呼ばれ、シッテムの箱の所有者しか起動できないことから先生が来るまで放置されていた
家具、ゲーム機、植物に教科書がわりに使われるBD、はてはクレジットにオーパーツと呼ばれる希少な物までありとあらゆる物質を作ることができる
また、カイザーがシャーレを襲撃した際にクラフトチェンバーを利用してサンクトゥムタワーを掌握していたこともあり、とにかく謎の多いマシーンである
「地下室にあるあの機械が、それほど便利なものだったとは…なぜ使わなかったのですか?」
「確かに便利ではあったんだけどね…」
そんな夢のようなマシーンのクラフトチェンバーだが、欠点が存在する
それはアイテムを作成するには、キーストーンと呼ばれる特殊なアイテムが必要なこと
そして出来上がるものはランダム性が強く、狙ったものを必ず製造できるわけではないということだ
「一応、家具とかを何個も入れれば狙ったものを作れなくはないんだけど消費量が割に合わないしランダムな所からじゃないと作れないものもあるんだ。
…後は【なんでも】作ることができるから怖くなってしまってね…」
「??…なんでも作れるのは良いことじゃないんですか?」
「まぁ…実際に使ってみればわかると思う。」
言葉で説明するのは難しいため、実際に使用しながら説明することにした先生
キーストーンに関しては連邦生徒会から報酬として渡されていたものを取っておいたため、問題ない
しばらくの間使わずに封印していたため、ストックがたくさんあるのだ
「実はもったいなくてほとんど使ってなかったんだけど…高級そうな枕ができたことがあったんだ。持ってくるからちょっと待ってて。」
いざ向かう前に、本当に高品質な家具などを作ることができるのか
その疑問に答えるため、先生は2階の風通しのいい部屋にしまいこんで大切に保管していたあるものを取りに行った
持ってきたのはレースのついた高級そうな枕が2つ
素人にも見た目だけで上等品なものだとすぐにわかった
「枕、ですか…先生試させていただいても?」
「もちろん、イロハはこういうのに詳しそうだしぜひ試してみてほしい。」
「ええ、快適な睡眠には枕は必要不可欠なものですから。こういったものには少々うるさいですよ…」
クラフトチェンバーから作られた枕を試してみるイロハ
目を閉じて枕の感触に身を委ねた─────
……………………………………
「………先生。」
「どうしたのイロハ?」
目を閉じて微動だにしなかったイロハがようやく口を開いた
まさかそのまま眠ってしまったのかとも思っていたがちゃんと起きていたらしい
まっすぐと先生に視線を合わせて息を吸う
「私、今日からここに住みます。」
「ダメだよ!?自分の家とか学校は!?」
どうやら枕の出来は百点満点だったようだ
嫌です私もう動きません、とイロハは起き上がらない所を見るに相当気に入ったらしい
「こ、この枕は…!デザインはシンプルですが、触り心地やレースの質感から豪華な素材で作られていることがわかります!実用性も素晴らしいです!
私達の現場にもこれほどのものがあれば…!」
大興奮しながら枕の良さについて語るセリナ*1
医療関係者視点から見ても、花の女子高生視点から見ても文句なしに最高の枕らしい
これなら、トリニティのお嬢様達でも満足するものが作れそうだ
「ちょっと待って。…本当に使って大丈夫なの?」
いざ向かおうとした時にチヒロから静止の声が上がる
チヒロだけではなくユウカやノア、ヒマリにヒナといった面々も立ち止まって考え込んでいた
彼女達が今感じている不安を、チヒロが代表して伝える
「クラフトチェンバーって連邦生徒会長が使ってたものなんだよね?もしかしてそれが原因で失踪したんじゃ…」
先生の自宅へとつながる襖型の転移装置
それを作ったのがクラフトチェンバーであり、使用者は連邦生徒会長だった
原理不明、何もかもが謎に包まれているオーパーツのクラフトチェンバー
現在失踪中の連邦生徒会長はそんなクラフトチェンバーを使用した際の事故に巻き込まれた結果失踪してしまったのではないかと、チヒロ達は考えたのだ
「…ちょっと待っててね。アロナ、プラナどう思う?」
『否定します。あれはあくまでも物質生成機です。クラフトチェンバー自体に時空を超える力はありません。』
『ですがクラフトチェンバーから作られた何かを使ってしまった結果、失踪してしまった可能性は大いに考えられます!』
アロナとプラナからの診断を伝える先生
クラフトチェンバーから出来上がったものが原因で失踪してしまった可能性はあるが、クラフトチェンバーそのものの事故が原因である可能性は限りなく低い
万が一怪しい物が出来上がった場合、使わずにすぐ処分することで話はまとまった
「はぁ…世界は思った以上に不思議なことが満ち溢れてるね部長。…部長?」
心配事が一つ解決したが、ヒマリはエイミに声をかけられても反応せずまだ思考を巡らせていた
(あの転送装置を作ったのは連邦生徒会長…あれはクラフトチェンバーによって作られていた。
多忙な連邦生徒会長がどうやって先生と会うことができていたのかはわかりました。
ですが…なぜ先生をキヴォトスに招いたのか。なぜ自分は一緒に立ち会うことなく失踪してしまったのか。
先生はシャーレの中から現れたのではなく、ヘリコプター…空路を使ってキヴォトスへ招かれた。つまり、あの襖以外にも外の世界へ行き来できる場所がある。それは一体どこなのか…
……駄目ですね、パズルのピースが欠けすぎています。)
今ある情報をまとめて考察したが、確信に迫るための情報が圧倒的に足りていない
現状ではまだ秘密を解き明かすことは不可能であると結論づけてヒマリは思考を打ち切った
──シャーレ地下室
「クラフトチェンバー…やはり不思議な形をしていますね…」
「私の記憶の限りでは、このような形をしたマシンはミレニアムの歴史上でも存在していませんね…」
先生の話を聞いて、改めてクラフトチェンバーを観察するトキとノア
リオのそばにいた時もこのようなマシーンを見たことは一度もなかった
「2人とも、これから製造を始めるんだけどちょっと危ない物ができるかもしれないから離れてほしい。」
危ない物とはなんなのか想像がつかないが、先生からの忠告を聞いて素直に離れる2人
十分に離れたことを確認してからシッテムの箱により、クラフトチェンバーを起動させる
台座の部分にキーストーンを入れて、シッテムの箱から操作を進める
ノードを選択して家具と表示されたアイコンを選択し、製造を行う
「出来上がるまでどれほどかかるんですか?」
「3時間以上はかかっちゃうんだけど…そんなに待てないから今回は裏技を使うよ。」
先生はキーストーンと一緒に持ってきた青いチケットを取り出した
これはブースターチケットといい、クラフトチェンバーを活性化させて一瞬で製造を終えることのできるアイテムだ
「シッテムの箱と連携させることで使うことができる代物でね、これがあれば一瞬で作成することができるよ。」
「うーん…連邦生徒会長は何者なんだろう、本当に…」
呆れたように呟くエイミを他所に、本当に一瞬で製造を完了したクラフトチェンバーから眩い光が溢れ出す
『あっ、これは…!先生!危険です!下がってください!出来上がるのは──』
久しぶりに製造をしてみたが、早速ハズレを引いてしまったらしい
アロナからの警告を聞き、先生は皆を下がらせるために声を張り上げた
「皆離れて!!私の後ろに─」
「先生の方こそ下がって!」
生徒達の盾になろうとする先生を護るため誰よりも早く前に出るヒナ
翼を大きく広げて、何が起きても対処できるよう臨戦体制に移った
「エイミ!トキ!」
「了解。」「イエス、マム。」
その隣に戦闘を得意とするエイミとトキが素早く並ぶ
他の生徒達も先生を護るように動いていた
警戒を強める中、やがてクラフトチェンバーから発せられる光が弱まっていき現れたのはーーー
『カラフルな大型プールです!!』
「なんでよ!!!??」
アロナの声は生徒達には聞こえないはずなのだが、まるで聞こえてるかのようにタイミングバッチリのツッコミが響き渡る
そう、今回クラフトチェンバーから製造されたのは長方形のカラフルな大型プールだった
「…危険だったでしょ?私も前に押しつぶされそうになったことがあったから…」
1人で製造した時にあった危機を思い出して遠い目をする先生
一瞬の浮遊の後、重力に従い落ちてくるプールを呆然と眺めていた
ふわりと地面に着地したプールの中にはたっぷりと水が張られていた
「なんでよ!?意味がわからないんですけど!?プールって家具なの!?」
「ユウカ落ち着いて、気持ちはわかるけど。」
予想外すぎる結果に混乱してしまったユウカをなだめるチヒロ
チヒロ自身も頭が痛かったが、それ以上に動揺しているユウカを見て落ち着くことができた
「シャーレのカフェには変わった物が多いと思いましたが、これが原因だったんですね〜…」
納得したように呟きながらメモを取るノア
─シャーレ建物内にはカフェが作られており、生徒達の憩いの場となっている
当番の生徒が休憩したり、遊びに来た生徒が集まったりしており見たことないものや珍しいものがあると評判だった
ノアも記憶にない変わったものがどこから作られていたのか不思議で仕方なかった
まさか同じ建物内で作られていたとは驚きである
「…製造は1人でやってたんだよね?今までどうやって運んでたの?」
「実はそこに荷物用エレベーターがあるから、それで運んでたんだ。」
先生の反応を見るに大きな家具?が出てくるのは初めてではないらしい
どうやって運んでいたか不思議なエイミの疑問に答える先生
先生の指差す方向に、確かに荷物用のエレベーターがあった
壁と同化するように作られており、言われなければ気づくのは難しいだろう
気を取り直して、その後もクラフトチェンバーで製造を繰り返す先生達
だが目当てにしている家具はなかなか製造されない
「今度はレトロなアーケードゲーム機だね。」
「犯罪じゃない!?」
「どこかのゲームセンターから丸ごと転送してないですよねこれ…」
ゲームセンターで絶賛稼働中のレトロなゲーム機が出てきてしまった
当然製造元に対して無許可である
すぐにクラフトチェンバーに素材として戻した
次にクラフトチェンバーから出てきたのは、小さな人形が4つほど並べられた棚だった
「これは人形…?可愛いアリスに騒がしいモモイ…ゲーム開発部勢揃いですね。」
「可愛い…ミレニアム生モチーフのぬいぐるみなんてあったの?」
「いやいや、
(作り続ければユウカちゃんのも出てくるのでしょうか…)
まさかの実在する人物モチーフの人形に驚愕した
そのまま商品として売り出せそうな完成度に戦慄し、一部生徒は他にも作れないのかと邪な考えを抱いていた
「…………自動販売機とは予想外ですね。ちーちゃん、ちょっと調べてみましょうか…」
「うん………よく見るコンピュータ内蔵式のオリジナル自動販売機だね。…うわ、中身もちゃんと入ってるし…」
「だから家具なんですかこれ?????」
「どう考えてもこの飲み物は怪しすぎます!皆さん絶対に飲んだらだめですよ!」
今度は中身入りの自動販売機が出てきた事にどよめいた
得体の知れない飲料を飲まないようにセリナが注意喚起したが、言われずとも誰も飲む気がしなかった
次に出てきたのは観葉植物
「フェイクグリーンですよね…?」
『いいえ、観葉植物です!プラスチック製ではなく生きた植物さんです!』
「…生きた観葉植物だって。」
「…遂には生命を創造しましたか。」
「私も最初は楽しかったんだけど、使ってるうちに怖くなってきて…だから封印してたんだ…」
本当に【なんでも】作れるクラフトチェンバーにどこか薄寒いものを感じ始めた
しかし、未だ求めているものが製造されていないためここでやめるわけにはいかない
──目当ての家具が出るまでキーストーンを入れ続け、製造を繰り返した
「で、できた…!」
「他の家具と合わせて…ええ、これほど有れば大丈夫でしょう。」
『ようやくですね〜…』
『流石に疲れました…』
キーストーンとブースターチケットをひたすらに注ぎ込み続けること数時間
ついにティーパーティー用の家具を揃えることに成功した
テーブル、イスに食器とどれも申し分ないものが並んでいる
これならナギサ達が来ても問題ないだろう
「で、どうするんですか?この大量の家具は。」
「とんでもないことになっちゃってますね…」
だがそれと同時に、地下室のいたる所にこれまで製造した家具が溢れてしまっていた
枕、ソファ、テーブル等一般的なものもあれば黒板、グランドピアノ、学校のスピーカー、パーテーションにスポットライトと家具と呼んでいいのかわからないものまで多種多様だった
「念のためテストして…問題がなかったら寄付しようかな。」
「でしたら、救護騎士団にいただいてもよろしいですか?」
「ふむ…興味深いのでサンプルとして、ミレニアムにもいただけませんか?」
使い道のありそうなものはそれぞれ生徒達にプレゼントしたり、カフェ用の家具としてストックした
寄付するのは仮に売った場合、万が一気に入ったからもっと欲しいと言われたら答えられないためである
「よし、これで余ったものも全部かな。」
『では先生、どのタイプにしますか?』
「じゃあ…贈り物でお願い。」
最後に使い道のないものを丸ごとクラフトチェンバーに戻した
今度は家具ではなく、贈り物を選択して製造を開始する
眩い光が収まり、やがて出てきたのは──
ハイクラスビュッフェ券、と書かれた紙だった
ハイクラスビュッフェ券とは、キヴォトス随一のシェフたちが勤務するレストランの高級バイキングを楽しむことができる招待券である
一般の生徒には絶対に手を出せない代物だ
…当然だが先生の口座から支払われたり、ネットで注文された形跡もない
完全な書類偽造であった
出てきたこの券を見た瞬間、全員の心が一つになる
──やっぱりこれ封印しよう
原理不明の謎の機械から出されたものをカフェに置いたり、生徒にプレゼントするのって冷静に考えるとやばいですね?