シャーレの地下室の秘密   作:cheese hamburg

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この物語はフィクションです
実在の人物や団体などとは関係ありません


あくまでもそれっぽいだけで明言していませんということで…



事実は小説よりも奇なり

 

とんでもない爆弾ニュースにしばし呆然とする先生達

 

その時、モモトークに鳴り響いた通知音で彼らは現実に引き戻された

 

(アロナ、プラナっ!)

 

「一旦シャーレを封鎖、あちこちにダミー情報をばら撒いて!」

 

『あわわわ…わかりました!』

『了解、発信元がバレないように偽装します。』

 

「私も手伝います先生!トキはグループラインに事態の緊急連絡を!エイミは私と来てください!」

 

「イエスマム!」

「了解!」

 

「あわわっ、どうしたんですか!?」

 

「すごい慌てようだねぇ!?」

 

状況を理解した先生達はすぐさま行動に移った

このままでは、シャーレに人が殺到してしまうのは間違いない

 

先生は小声で2人の名前を呼び、シッテムの箱を操作する

 

ヒマリとエイミも応援に入り、事情を知る生徒達からひっきりなしに送られてくるモモトークの通知にはトキが対応した

もちろん普段のおふざけはなしである

 

そして少しでも時間の猶予を作るため、SNSへ誤った情報を大量に流すことで人の流れを分散しようと試みる

 

「まずいです先生、クロノスがヘリを飛ばしたと情報が入ってきました!間違いなく狙いはシャーレです!」

 

しかし、目敏いクロノスはもうすでにシャーレへと向かっており一刻の猶予もない

 

─先生はまずノノミとホシノを匿うことに決めた

 

「っ!ごめん2人とも、ちょっと着いてきてくれないかな!?トキも一緒にきて!」

 

「はっ、はい!わかりました!」

「もちろん着いてくけど、どこにいくのさ?」

 

「…連絡は完了しました。すぐ向かいます。」

 

クロノスの強制取材がもう避けられない以上、この2人が一緒にいては火に油を注ぐ形になってしまう

 

グループラインに連絡し終えたトキと2人を連れて、大急ぎで地下室へと向かった

 

 

 

 

 

「ごめん、一旦この中に入って待っててほしい!トキは事情説明をお願い!」

 

「本来なら私もお手伝いしたいのですが…わかりました、先生ご武運を。」

 

先生はトキへホシノ達に諸々の説明を指示した

 

トキも非常事態であることは理解しているため、わがままを言わず素直に頷く

 

「な、なんだか凄く光ってますよ!?」

 

「先生、これ本当に大丈夫なやつ!?」

 

初めてきた2人はというと、謎の光を発する襖に怯んでいた

理解の及ばない物に恐れを抱くのは人として自然なことである

 

今なお眩い光を発している怪しげなものへ近づくのは普通に勇気がいるものだ

 

「怪しいのはわかる!でも今は時間がなくて…どうか私のことを信じてほしい!」

 

しかし、今は説明している時間も惜しい

クロノスがヘリを飛ばした以上、彼女達がいつ突撃取材と称して飛び込んでくるかわからない

 

何も聞かずに信じて飛び込んで欲しいと2人に懇願する

 

「…わかりました。先生のことを信じます!」

 

「…そうだね。後でちゃんと説明してよね相棒?」

 

不安は隠せないが、先生にそこまで言われてしまっては信じる他はなかった

 

先生が誰よりも信用できる大人だと知っている2人は覚悟を決めて襖の前に立つ

 

「では、いきましょう。向こうのことは着いてから説明します。先生頑張ってください。」

 

「ありがとう2人とも!後はよろしくねトキ!」

 

『では、ホシノさん、ノノミさん、トキさんを転送します!』

 

トキに後のことを託すと、襖が開かれ3人は転送されていく

数秒後、アロナ達から転送は無事に完了したことを聞いて先生は大きく息を吐き出した

 

これでクロノスや他の生徒が来ても、知らぬ存ぜぬを通すことができる

 

注目の的であるホシノがいないのであれば、それ以上の情報は引き出せない

納得いかずとも一旦は帰らざるを得ないのだ

シャーレ内で直接会見や大乱闘が始まりかねない事態は避けられた

 

「先生ー!もうクロノスが到着したみたい!」

 

ほっとしたのも束の間、階段の上からエイミの声が聞こえてきた

 

最悪は避けられたとはいえ、まだ何も解決してはいないのだ

事情説明という名の本当の戦いがこれから待っている

 

「うーん、どうやって誤魔化したものかなぁ…」

 

先生も覚悟を決めて、クロノスの生徒達の前へと足を進めた

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって外の世界

 

「ーーーというわけなのです。」

 

「まさかこんな秘密があったなんて…驚きました…」

 

「そうだったんだね…流石にこれはおじさんも想像できなかったなぁ…」

 

トキはこれまで起きてきたことを2人へと説明していた

流石のホシノも現実離れした状況に困惑を隠せず、ノノミも同様だった

 

当然様々な疑問、質問が飛び交ったがその全てにトキは丁寧に対応し不安に思う点を解消していった

 

「では、私は疲労困憊で帰ってくるであろう先生達のための準備がありますので、席を外します。

お二人には先生達が戻るまで待機していただく形になるので、この世界のテレビを見たり、そちらのパソコンを使っていただいたりと自由にしていただいて構いません。」

 

「わかりました!ありがとうございます、飛鳥馬さん。」

 

「トキで構いません。」

 

「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。ありがとうトキちゃん。」

 

「いえ、完璧なメイドとして当然のことですので。」

 

説明を終えたトキは仕事モードのまま、部屋を後にする

 

─普段のオフモードがだらけすぎなのもあって誤解されることも多いが、一度仕事モードに入れば基本なんであろうともそつなくこなすことができる

自らパーフェクトメイドを名乗ることができるほどトキは優秀なのだ

 

残された2人はトキの言うことに従い、部屋の中で待っていることにした

 

「ホシノ先輩、一体何を見てみましょうか!」

 

「うきうきしてるねぇ、ノノミちゃん。まあ、おじさんもだけど。」

 

「それはそうですよ!先生の故郷にお邪魔してるんですから!」

 

ノノミは弾む気持ちを抑えられないようだった

初めて訪れる外の世界、どんなものがあるのかと好奇心が止まらないのだ

 

…そんなノノミを宥めつつも、ホシノの声も浮かれていた

 

だが、このまま2人で楽しむ前にやることがある

 

「とはいえ、楽しんでばかりもいられないよね…少しくらいは皆の役に立ちそうな情報も見つけようか。でないとシロコちゃんが拗ねちゃいそうだし。」

 

「そうですねぇ、セリカちゃんも可愛く拗ねちゃいそうです⭐︎」

 

後輩達に役立ちそうな良い話を持って帰ろうと考えたのだ

先生の秘密を教えてもらった上に存分に楽しんできた、というだけではまた可愛い後輩達を怒らせてしまいそうだった

 

というわけで、何か役立ちそうな情報を集めてみることにしたホシノとノノミ

早速使ってもいいと言われたパソコンに触れてみる

 

「お金の稼ぎ方、と…」

 

「あはは…外の世界に来て初めて調べる内容がそれでいいんですか?」

 

「うへ、そりゃあ借金返済してアビドスを復興させないといけないからねぇ。使える物は何でも使わないと。」

 

現金なホシノにノノミは苦笑した

キヴォトスと外の世界とであまり違いがなさそうだとは思ったが、一応調べてみる

何かこちらにはない画期的な方法が見つかるかもしれないという期待もあった

 

だが案の定、検索結果はキヴォトスとあまり変わり映えのないものだった

やっぱり楽して稼ぐ方法はないんだなぁとスクロールしていく

 

 

お金持ちになる方法、稼げる仕事、稼げる職業…

などと検索していくにつれて、とある職業が目に留まった

 

 

スポーツ選手

 

 

「ああー…スポーツ選手は高級取りって聞くよね〜。どれくらいなのかな?」

 

「先生の生まれた国の人から調べてみましょう⭐︎うーん、この中だと野球選手でしょうか?」

 

やっぱりスポーツ選手は儲かるんだなぁと呑気に構えていたホシノとノノミ

その中でも稼げると言われるプロ野球選手について2人は調べてみた

 

 

─そんなこんなで何気なく調べてみた結果、2人は大いに驚かされることとなる

 

 

 

「こ、この方、アビドスの借金を軽く超えた額を稼いでます!?」

 

「うへっ!?」

 

 

「し、しかも、不正被害にもあってます!アビドスの借金の何十倍もありますよ!?」

 

「うへぇえっっ!?」

 

 

「それでも問題ないくらい今なお稼ぎ続けてるらしいです!!?」

 

「うへぇえええっっっ!!!??」

 

 

 

ホシノは語彙力を失い、驚きの声しか出てこない

お金持ち側であるノノミもこれには驚愕せざるを得なかった

 

1人でどれだけ稼ぎまくっているのだこの人は

 

いっそフェイクニュースであって欲しかったが、調べても出てくるのはその野球選手の輝かしい実績ばかりだった

 

 

「おじさん野球選手になろうかなー…」

 

「こんなに稼げるんですね〜…外の世界は凄いです…」

 

事実は小説よりも奇なり

あまりにも衝撃的すぎる事実に2人が現実逃避をし始めてしまうのも無理はなかった

 

 

 

 

何とも言えない気持ちになってしまった2人は他の内容に変えて調べてみることにした

 

 

「私たちのように廃校を回避しようと頑張っている子がいるかもしれません!」

 

 

ノノミは外の世界にも同じように廃校問題に立ち向かう仲間がいるのではないかと思い立った

 

だが少子化による生徒数減少で廃校の危機にある学校はいくつか見つかるものの、流石に砂漠で借金抱えた学校はなかった

 

「うーん…やっぱり、現実では難しいんでしょうか…」

 

「そうだねぇ…」

 

結局のところ生徒の数が増えないことにはどうしようもないため、廃校になった後の再利用方法など最初から諦めた内容がちらほら見受けられる

 

とはいえ全く無責任に突き放されているわけでもない

 

人が集まるためには魅力的な街づくりが必要だと、町おこしの重要性を訴え頑張っている人達もいた

 

(連邦生徒会に丸投げしろ〜とか生徒会長に責任を問う、みたいな生徒に解決させるよう促す内容は書かれていない。

なるほどね、いつも先生が大人の責任だって言ってた理由が少しわかった気がする。)

 

学生主体のキヴォトスとは違って、大人が主体となって動く外の世界では子供達が健やかに成長できるよう頑張っている姿が見られた

 

先生が生徒達に優しく接してくれる理由がわかり、ホシノは少し胸が暖かくなった

 

 

「あ、ノノミちゃん。現実じゃなくてアニメだけど、学生達が廃校から学園を救う、って感じの内容のものは結構あるみたいだよ。」

 

「本当ですか?じゃあ、それを見てみましょうか。」

 

 

ホシノ達が次に見つけたのは、廃校の危機に陥った学校を救うために頑張る学生達のアニメだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた……」

 

「お疲れ様、先生。私たちもすごく疲れたよ…」

 

「まったく…この皆が見惚れるほど清楚かつ可憐でありながら、その実儚くもか弱い美少女相手に不躾な質問ばかりして…クロノスには一度お灸を据えなくてはいけないようですね…!」

 

突撃取材を決行したクロノスや勢いで集まってきた生徒達への説明をようやく終えた先生達

突撃してきた生徒達を宥めるのは想像以上に大変だった

 

必死に宥めつつ、今回の件はシャーレにとっても寝耳に水であったことを丁寧に伝えればなんとか生徒達の矛先は逸れていった

 

しかしここで本当に知らなかったのかとクロノスに追及されてしまい、わざわざ連邦生徒会に連絡をとる羽目になってしまった

 

連邦生徒会からは、知りたいことは公式サイトに出しているのでそれをみればわかるとマスコミを相手にしなかった

 

騒ぎ出すクロノスを抑えつつ一緒に指定された公式サイトを見ると、"シャーレ専属になるためには"という項目が追加されていた

 

 

─ホシノはそこら辺用意周到だったのだ─

 

 

シャーレ専属になるには以下の条件を満たす必要がある

まず専属当番になるには大義名分が必要であり、学園の生徒ほぼ全員から承認を得なければならない

 

どれほど小規模だとしても全校生徒が5人だけ、という学校はなかなかないので大多数から承認を得るのはアビドス以外には難しい

 

次にシャーレへ長期滞在するということはその間、学校業務が疎かになるということ

決められた学校業務を無視しても問題ない学校に絞られる

 

キヴォトスではBD学習が主になってるので一部無視できる学園はあるが、学園内に教師のいるトリニティやミレニアムなどはそうはいかない

それが許されるのは元から廃校寸前で授業を自分達で管理できるアビドスくらいなのだ

 

最後にその人が不在になってしまうことへの影響力

生徒会長など重要な役職についている生徒なら不在の間、業務が滞ってしまうようなことはあってはならない

 

ホシノは昼行燈に徹していたため、後輩達への引き継ぎはほぼ完了しているようなものだった

 

 

こういった項目を並べられてしまっては、いざとなれば泊まり込もうといきりたっていた生徒達も閉口せざるを得なかった

 

 

何かに勘づいたもの、参謀としての力を見せんとするもの、何らかの計画を練り始めるもの等皆様々な思惑を抱えつつ、思うところはあるものの一旦は退却してくれた

 

 

─それがつい先ほどまでのお話

長い時間をかけてようやく先生達は解放されたのだった

 

 

「先生、私は非常に疲れました。なので久しぶりにお邪魔させてもらいます、今回疲れさせられた分丁重にもてなしてください。エイミも構わないですよね?」

 

「そうだね…今からミレニアムに戻っても皆から質問責めにあいそうだし、面倒くさい。」

 

「うん、構わないよ。私も疲れたし…」

 

そうして説明を終えて、外の世界へ戻ってきたのだが…

 

 

「皆お待たせ。ようやく戻って─」

 

 

「う、うへぇ〜!!た、助けて先生〜!」

 

 

 

先生がようやく外の世界へ戻ってくると、ホシノが必死の形相で抱きついてきた

 

ふざけた様子は一切なく、本気で助けを求めている姿からただ事ではないことがわかる

 

「ど、どうしたのホシノ!?あっ、トキ!何があったの!?」

 

「……説明するより見てもらった方が早いかと。」

 

ホシノに遅れて駆けつけてきたトキに一体何があったのかと尋ねると、神妙な顔をしながら廊下の先へ指を指した

 

 

そこには──

 

 

「やはり、アイドル…!アイドルは全てを解決します…!

さあホシノ先輩!私達アビドス全員でスクールアイドルになりましょう!!」

 

 

そこにはかつてないほどにアビドスアイドル化プロジェクトへ熱意を燃やすノノミがいた

普段持ち歩いているノートへものすごい速度でアイディア、プランを書き続けながら先生の裏に隠れたホシノへ向かってくる

 

詳しく話を聞いた所、どうやら廃校寸前の学校を救うアイドルもののアニメにどハマりしてしまったらしい

 

「えっと、うん…なるほど、確かにアイドルで有名になった場所は聖地と呼ばれて人が集まってくるもんね…」

 

「感心してる場合じゃないでしょ先生!このままじゃ、おじさんにはとても似合わないふりふりの衣装着させられちゃうよ!」

 

ノノミが構想しているのはふりふりで何とも可愛らしいデザインばかり

可愛い後輩達ならまだしも自身にはとても似合わないだろうと考えるホシノ

 

先生ならなんとかしてくれるはずだという思いを込めて必死に懇願したが……

 

「…それはそれで見てみたいかも。」

 

「先生!?」

 

─信頼してた大人からのまさかの裏切りにホシノはショックを隠せなかった

 

「まさか先生、私のこと裏切るの!?」

 

「いやちょっと大袈裟すぎない!?そこまでのことなの!?」

 

私はまた悪い大人に騙されたんだ、と言わんばかりの反応を示すホシノ

ようやく信頼関係を築けたのに会う前に逆戻りしてしまいそうな姿には流石の先生も焦った

 

…もちろん冗談混じりではあったが、ふりふりのアイドルは勘弁してほしいというのは事実である

 

「とにかくアイドルなんておじさんには無理だよ〜!

それなら、こっちの戦車に乗って戦うやつの方がまだマシだよ〜!」

 

嫌がるホシノが代案として出したのはこれまた廃校寸前の学校を救うため、戦車に乗って戦うアニメだった

生身の体にも関わらず、たくさんの美少女達が戦車に乗って競い合うこれまたぶっ飛んだ内容のアニメである

 

確かに戦車で戦うことに忌避感を持たず、命の危険もないキヴォトスの者にはうってつけのものだった

 

「悪くはないですけど…キヴォトスにはそんな競技ないじゃないですか。まだアイドルの方が可能性があります!」

 

「それもだけど…そもそも戦車、用意できるの?用意できても人数的に2台が限界だよね?」

 

キヴォトスには戦車を使った競技は存在しないし、そもそもアビドス生は6人しかいない

普通の戦車を動かすには最低3人は必要であり、用意できても2台が限度である

 

キヴォトス産の高性能戦車ならさらに少ない人数でも可能かもしれないが…アビドスにそんな戦車がポンポンと買えるはずもない

そうするとやはり2台までが限界だろう

 

そんな先生の疑問にホシノはあっけからんと答えた

 

「え?味方の戦車には隠れてもらってさ。

その隙におじさんが歩兵で出撃して、他の戦車を蹴散らして全滅させてくればいいでしょ?」

 

「そういうルールではないよホシノ。」

 

あまりにも脳筋すぎる回答に先生は苦笑するしかなかった

 

もし仮にあったとしても対カイザー戦のように戦車の装甲をぶち抜いて爆散させたり、ハッチをこじ開けて中を全滅させる姿などとてもお見せできるものではない

 

本当にできるだけの戦闘力を持っている点も含めてタチが悪かった

 

 

 

 

 

その後、アビドスに戻って皆の意見を聞いてから改めて考えよう、と根気よく説得したことでノノミは諦めてくれた

 

そうしてホシノも落ち着いた頃合いを見て、先生達は本題に移る

 

「さてお二方、既にトキから事情は聞いていると思いますが…」

 

「うん、勿論協力させてもらうよ〜。」

 

「はい!戻ったら私達の仲間にも共有するので、皆で頑張りましょう!」

 

「話が早くて助かります。いえ、こうなった以上是が非でも協力してもらうつもりでしたが。」

 

ヒマリからの問いかけを皆まで言わせず、ホシノ達は快く応じる

 

元よりこうなった以上何がなんでも手伝わせるつもりだったので、断られなかったことにヒマリは安堵した

 

「所で、残りのアビドスの人達ってどんな人なの?」

 

「うへー…一言で伝えるのは難しいなぁ?会ってみるのが一番だからなんとも…とにかく、皆可愛くて頼りになる子ばかりだからきっと力になると思うよ。」

 

エイミが他のアビドス生はどんな人なのかを尋ねたが…アビドスの仲間達は皆個性的であるため、一言で説明するのは難しい

 

百聞は一見にしかず、ということで実際に会ってみてほしいとホシノは説明した

 

「失礼ながら、アビドスの方々の口は硬いですか?

これは万が一にも知られてしまっては困るので…」

 

「バッチリです、安心してください!私達、戦闘力もお口の硬さにも自信があるので大丈夫ですよ〜⭐︎」

 

その横でトキがアビドス生徒達の強さ口の硬さや戦闘力について気にしていたが、それは杞憂だった

 

アビドス生徒は少数精鋭の猛者達

キヴォトスを牛耳る大企業、カイザーに脅されても屈しない

そんじょそこらの生徒が束になろうとも、相手にならないだろう

 

…そもそもアビドス自身も後ろめたいことはあるのだから、話せないことがあるというのは同じであった

 

 

 

 

「せ〜ん〜せ〜い〜!!これはどういうことですか!」

 

「ふふ、私も詳しい説明が欲しいですね…?」

 

「ひえっ……」

 

ようやく説明も何もかもが終わり、安堵したのも束の間に新たなる生徒達が駆け込んでくる

 

現れたのはユウカとノアだった

 

みるからに怒っているユウカと黒い笑みを浮かべ続けているノアに先生は震え上がった

 

だがそんな怖い状態の2人にも怯まず、ユウカの姿を確認したノノミは目を輝かせながら駆け寄って行った

 

「ユウカさん!お久しぶりです!突然ですが、もう一度私とアイドル活動をやりませんか!?」

 

「えっ!?ノノミさん!?ど、どうしたの、あれはエイプリルフールだけのやつでしょ!?」

 

「あら、いいじゃないですか。私もユウカちゃんのアイドル姿、また見たいです。」

 

「もしよろしければ、ノアさんもどうですか!⭐︎」

 

「えっ」

 

あの時はノリノリだったユウカだが、改めて思い返すと恥ずかしいことをしていたと赤面しながら慌て、思わぬ藪蛇を突いてしまったノアは笑顔のまま固まった

 

─その後ろから、また新たに生徒達がやってくる

 

「まったく、とんでもないことしてくれたわね小鳥遊ホシノ。」

 

「おぉ〜、ヒナちゃん!久しぶり、元気だった?」

 

「ええ、そういう貴方も元気そうね。」

 

 

「離してください、イオリ!チナツ!あの人にはヒナ委員長に少々馴れ馴れしすぎると苦言を…!」

 

「まあまあ、落ち着いてアコちゃん。」

 

「着いて早々トラブルを起こそうとしないでください行政官。」

 

思わぬ再会に喜ぶホシノとまんざらでもないヒナ

そんな姿を見て暴走する行政官、それを抑え込む2人

 

瞬く間に先生の家は賑やかさを増していった

 

 

 

「先生!考えてみれば私達Rabbit小隊も贈り物を渡せていませんでした。今からでも遅くないですよね!?私も私自身をプレゼントします!」

「ニュースを見てからずっとこれだ…頼むから正気に戻ってくれ…」

「え〜、私は割と賛成だけど〜?複数の女性が1人の男に身も心も捧げるのって破滅的予感がすごいよね〜。」

「モ、モエちゃんまで暴走しちゃった…」

 

「はぁ…とんでもないことをしてくれましたね。マコト先輩も凄く動揺してましたし、近いうちに騒動が起こりますよ…」

「ミレニアムではもう騒ぎになってるよ…主にうちの後輩達が暴走しそうだったし、頭が痛い…」

 

「先生!今回来られた方は、料理は得意なんですか!?もし不得意なら私が張り切ってご飯を作ります!外食ばかりはいけませんからね!」

「私も張り切ってお手伝いします!」

 

「先生!私あんなの聞いてないんだけどどうゆうこと!?それがありなら、私も立候補していいよね!?」

「ダメに決まっているでしょう、ミカさん!?」

「ナギサの言う通りだよミカ。今の君が賛成票を得るのは難しいだろう。それならばまだ私の方が可能性があるというものだ。」

「おそらく団長が飛んでくるのでやめてくださいセイア様…!」

 

「今回の件はまさに目から鱗でした。私もぜひ立候補させてほしいですね…。ふふふ…」

「他意はないんでしょうけど、最悪トリニティが割れるんでやめてほしいっす!」

 

「もっももががもご!もごご!」

「落ち着け、コハル。」

「気持ちはわかりますが、今はいろんな生徒もいるので抑えてください…」

 

 

 

その後もひっきりなしに襖が光り、生徒達が続々と尋ねてくる

モモトークの内容だけで満足できるはずもなく事情を知る生徒達が集まってきていた

 

─そんな光景を、ホシノはぼんやりと眺めていた

 

(いや〜正直いうとおじさんもこれはやりすぎたかなぁと思ったけど、全然そんなことなかったや。こんなにも出遅れてたみたいだし。)

 

現時点でこの状況なら、戻った時のシャーレはさぞ大変だろう

他の生徒達から針のむしろ状態になるのは間違いない

 

それでも後悔は一切なかった

 

(これからはすごく大変そうだけど…)

「…ま、結果オーライってやつかな」

 

 

想像していた以上に大事で、これからとんでもなく大変そうなのは間違いないがこれ以上出遅れることはない

 

未だに何も知らない生徒達に比べれば多少はリードしているし、と何気なく呟いた

 

 

「「「「「全然良くない!」わよ!」です!」ですよ!」んですけど!」

 

 

「うへ〜!!今のは独り言だよ〜、ごめんってば!!」

 

 

そんなふうにぼそりとつぶやいた独り言を耳聡く聞きつけられて、集まってきたほぼ全ての生徒から詰められてしまいホシノは悲鳴を上げたのだった

 





現実がフィクションを軽々超えてくるの本当面白いですよね…






プチネタバレ注意

ケイちゃん特異現象捜査部は予想外でした
てっきりゲーム開発部だとばかり…
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