シャーレの地下室の秘密   作:cheese hamburg

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色々と詰め込みすぎた

でも、こういうのが書きたかった



GAME START!

 

「…というわけで、本日当番に向かうことはできません!ごめんなさい先生!」

 

「ううん、大丈夫だよ。気にしないで」

 

シャーレの執務室内、先生はユウカから通話を受けていた

それは当番だったはずのユウカから緊急の連絡が入り、今日はシャーレに行くことができないという内容だった

 

なんでもミレニアムの問題児達が示し合わせるように事件を起こし、てんやわんやな状態になってしまったらしい

解決のため、C&Cと共にミレニアムを駆け回るユウカは汗だくだった

 

そんな状態ではとてもシャーレに来ることはできないだろう

先生はユウカに気にすることはないよう優しく声をかけ続けた

 

「ありがとうございます、ではまた必ず次の機会にお願いしますね…こら、待ちなさいコユキー!」

 

「ウワァアアアーー‼︎」

 

ブツッ、ツーツー…

 

そうして先生も聞き慣れた悲鳴を最後に通話が切れた

どうやらどさくさに紛れてコユキも脱走していたらしい

 

ユウカのこれからの苦労を思って先生は静かに合掌した

 

「大変そうだね…」

 

「うん、今回の騒動にはヴェリタスも関わってるって、チヒロ先輩も嘆いてた。」

 

「どさくさに紛れてコユキまで脱走しているとは…ユウカの心労が伺えます。」

 

先生の呟きにトキとエイミも同意する

シャーレ用に人員を配置しておきたかったため、2人はミレニアムに戻らず当番を続けていた

 

大変そうではあるが、ミレニアムでも実験失敗や機械の暴走で騒動が起きてしまうことはよくあることなのでセミナーにC&Cがいれば大丈夫だろう

 

「こんにちは!私は十六夜ノノミって言います♧ヒフミちゃんのお友達で同じ補習授業部の子ですよね?」

 

「でっ……う、うん。そうだけど…」

 

その横ではアビドスのメンバーが新しい子と交流を深めていた

 

「私達もヒフミちゃんのお友達なんですよ。是非とも仲良くしましょう!」

 

「ん、私達はヒフミと深い関係にある。何せ我らがリーダー、ファウ…もごもご」

 

「シロコ先輩、それは言わなくていいから。」

 

「あはは…とにかく、仲の良いお友達なんです。」

 

「まぁ初対面ではないけど、あの時は色々忙しくて碌に会話もできなかったからさ。これを気に仲良くできたら嬉しいな。」

 

「えと、その…あ、あぅぅ…」

 

ぐいぐい来るアビドスメンバーに人見知りなコハルはタジタジだった

 

何より服装がまともなのもある

 

大きな胸を変に露出したりせず、ちゃんと着込んで隠している

強いて言うならスカートが短めなことくらいだが、それはどの学園も一緒なので変わらない

これでとんでもない格好をしていたのなら、吹っ切れて話しかけたりできるのだがそれも叶わない

 

「せ、先生〜!」

 

 

「ありゃ、逃げられちゃった。」

 

「ん。恥ずかしがり屋さん。」

 

「まぁまぁ、焦らないでゆっくり仲を深めていきましょ〜♣︎」

 

キャパオーバーしたコハルは先生の元へ駆けていってしまった

 

口ではなんやかんや言いつつも先生のことは信頼しており、いざという時は娘のように甘えてくるのがコハルの可愛い所である

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ?落ち着いたら話してみようね。」

 

「う、うん…」

 

先生はアビドスの生徒達は怖くないから、頑張って話しかけてみるよう優しく諭す先生

 

一部教育に悪いところもあるが、皆友達思いの優しい子達であるためこれを機に生徒同士の交流が広がってくれれば先生としても嬉しかった

 

コハルも悪い人達ではなさそうなことを感じているため小さく頷いた

 

「先生、それとその…もう一つ、助けてほしいことがあって…」

 

「うん、どうしたの?」

 

「ハナコに…その、最近いろんなこと聞かれてて…嫌ってわけじゃないんだけど…」

 

コハルは最近ハナコからそれとなく探られているような気がすることを相談した

 

普段は痴女そのものだが、とんでもなく頭の回る才女でもあるハナコなら何かに勘付いてもおかしくはなかった

 

「あーうん、そうだよね…ハナコなら気がついちゃうよね。」

 

頑張って隠しているが、どこか挙動不審なコハルの様子が気になったのだろう

 

なにせ面白く可愛らしい反応を見せてくれるコハルのことをハナコはとても好いているのだから

 

「わかった、今日の業務後に皆とも相談して一緒に考えよう。」

 

「わかった…ありがと…」

 

早いうちに対策を考えることを先生は約束し、面と向かって言うのは恥ずかしいためか、コハルは小さくお礼を言った

 

 

「先生、こちらの書類は終わりましたよ。」

 

「むむ、手際が良いですね。パーフェクトメイドとして負けていられません。」

 

「思ったんだけど、トキの言うメイドの範囲って広すぎない?」

 

その間、黙々と作業を進めるチナツにトキは対抗心を燃やし

 

「その、何か視線を感じるのですが…」

 

「いえ、気のせいですので。お気になさらないでください。」

 

人間観察が趣味のマシロはサクラコのことを警戒の意味も含めてチラチラと観察していた

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす!」

 

「お、お邪魔します…」

 

「先生、こんにちは。」

 

「あれ、ゲーム開発部の皆!いらっしゃい。」

 

そんな一時を過ごす中、元気よくシャーレに入ってきたのはゲーム開発部の3人だった

 

元気いっぱいなモモイ、おとなしめな妹のミドリ、静かなユズが先生の前に集まる

 

「そういえばアリスは?姿が見えないようだけど。」

 

「そうですね、いつも一緒の可愛いアリスがいないようですね。」

 

本来もう1人、一緒にいるはずの少女天童アリスがいないことに先生達は疑問を持った

ゲーム開発部は仲良しでいつもいっしょに行動していることが多いため、アリスだけいないというのは不自然だった

 

「ああ、えっとアリスはね…そう!クエスト!今日はクエストで忙しいんだって!」

 

「そうそう、ほらいつもクエストと称してお使いを頼まれてるでしょ?」

 

「…コクコク」

 

「なるほどね、また勇者らしく人助けをしているのかな?」

 

確かにアリスはクエストと称してお使いをしたり、人助けをしていることが多い

納得した先生達もそれ以上質問することはなかった

 

─作戦の一つが成功したことで、ゲーム開発部はこっそりと黒い笑みを浮かべた

 

(ふふふ…バレていないようだね!)

 

(はい!ウタハ先輩の光学迷彩は完璧です!)

 

(怪しまれているようだけどね…)

 

そう、実はアリスはゲーム開発部と別れてなどいない

エンジニア部からもらった光学迷彩で透明になりながら、着いてきていたのだ

 

不在であることこそ怪しまれているが、ほとんどの人がアリスもここにいることに気がついていない

 

 

「ん…んん?」

 

(ん〜、気のせいかな。何かがいるような気がするんだけど…)

 

ただし…全くバレていないというわけでもなく、一部の生徒は違和感を覚えていた

 

 

「そ、そんなことより先生!ちょっとお時間もらうけどいい?一緒に新作のゲームしようよ!」

 

「あっ、お姉ちゃんずるい!私ともお願いします!」

 

(ふっふっふ!このまま私とミドリで先生達を釘付けにする!その間に透明になったアリスがシャーレを探索できるのだ!)

 

(はい!アリス、スニーキングミッションを開始します!)

 

モモイとミドリが周囲の気を引いている隙にこっそりアリスが離脱した

万が一透明になっていることがバレていたことを想定してついて来ていたが、気がついた様子がなさそうだと判断したためユウカ達の秘密を探るべく行動を開始する

 

「あ、えと…私はその、離れてますね…」

 

「あれ…あの人向こうに行っちゃいましたけど、いいんですか?」

 

「うん、大丈夫。ユズは人見知りなんだ。」

 

「今日はシャーレにいる人が多いから余計に驚いちゃったかもですね。」

 

(さらに自然な流れでユズもこの場を離脱する!人気のない場所を探すという名目でコタマ先輩の盗聴器も仕掛けてしまえば、もう完璧だね!)

 

ユズが人見知りだということを先生やトキ達は知っているため、この場を離れていっても違和感はない

 

ロッカーなど落ち着けそうな隠れ場所を探すという名目でヴェリタス特製の盗聴器も仕掛けることができる

モモイは作戦の成功を確信し、心の中で高笑いした

 

「じゃー、おじさんは一足早く休憩に入ろうかな〜」

 

「じゃあ私もホシノ先輩が休憩しすぎない着いていきますね」

 

「うへ〜…」

 

そうして皆がゲームで盛り上がっている間にホシノも執務室の外へと向かっていった

 

 

 

(うぅ…気が進まない…適当に一個目はここでいいかな…)

 

執務室を離れ、休憩室へとやって来たユズ

ヴェリタス製の盗聴器を仕掛けられそうな場所を探して歩く

 

(とりあえずこの裏に…)

 

盗聴器をつけてスイッチを起動した、その瞬間

 

ビーッ!ビーッ!!

 

「ふぇええっ!!?」

 

シャーレ内に大音量の警報が鳴り響いた

 

 

 

「警報!?一体何があったんですか!?」

 

「先生、こちらに来てください!」

 

「皆落ち着いて!まずは慌てずに情報を確認しよう!」

 

 

(あ、あわわ…お姉ちゃん!?)

 

(だ、大丈夫!まだ警報がなっただけでユズやアリスだとバレたわけじゃ…)

 

突然の警報に警戒する先生達

内心酷く焦りわたわたする姉妹

 

もしかしたら自分達とは関係のない人達によるものかもしれない

そんな僅かな可能性に賭けて、何を聞かれてもしらばっくれようと心を落ち着かせようとした

 

「どうやら休憩室に盗聴器の反応があってそれで警報が鳴ったみたい。監視カメラにはユズが入っていく所が写ってるね。」

 

が、そんなモモイの考えを嘲笑うように淡々とエイミが情報を報告していく

どこで何があったのかまで正確に特定されてしまった

 

「……モモイ?」

 

「いやシャーレのセキュリティガチすぎない!?

この間までもの凄いガバガバだったのにぃ!」

 

「言ってる場合じゃないよお姉ちゃん!ここは一時撤退しよう!」

 

「あっ!ちょっと、こら〜!待ちなさい!」

 

とんでもない速度で犯人を特定され、疑いの眼差しを向けられるモモイ

モモイの想像を遥かに超えたセキュリティにゲーム開発部は撤退を余儀なくされる

 

そんな風に逃げていくモモイ達をセリカ達が追いかけて行った

 

 

 

「先生、ヒナ委員長をお呼びしますか?」

 

「いや、大丈夫。」

 

万が一に備えてチナツが連絡しようとするのを静止する先生

 

よほどのことでない限り忙しいヒナをわざわざ召喚するのは憚られる

これが、美食研究会だったりコユキだった場合なら呼んだほうがいいかもしれないが…今回はゲーム開発部

 

「あの子達なら大丈夫、話せばわかってくれる良い子達だからね。」

 

確かに暴走することもあるが、話せばわかる良い子達なので先生は心配していなかった

 

「先生がそういうのなら安心ですね。はぁ…ゲヘナの人達もそうで合って欲しいものです…」

 

「あはは…」

 

チナツのささやかな願いに関しては、先生は苦笑いを浮かべることしかできなかった

 

 

 

 

 

「少し待ってください、みなさん!」

 

慌てて逃げ出したゲーム開発部を追う一行であったがここで年長者であり、シスターでもあるサクラコが待ったをかけた

 

「一度落ち着いてお話しをしてみませんか?何か並々ならぬ事情があるのかもしれません。それからでも遅くはないはずです。」

 

「あれ、もしかして…」

 

「もしかして助かるパターン…?」

 

ゲーム開発部も救済ルートに入ったかと期待して立ち止まる

落ち着いて話し合えば、ある程度許してもらえるのではと歩み寄ってくるサクラコの前へと向かった、が

 

 

「落ち着いてください、"逃げる意味なんてない"んです。ただちょっと"お話"がしたいだけなのですよ?」

 

 

─サクラコは本当に優しく微笑みながら語りかけた…つもりだった

 

「「ひ、ひぃいいいぃっっ…!!」」

 

しかし、駄目だった

モモイとミドリには死ぬほど怖がられてしまっている

 

「あ、あの人めちゃくちゃ怖いよ〜!」

 

「ぜ、絶対嘘だ…捕まったらやばいよ…!」

 

誰が見てもわかるほど震えている体に、今にも雫がこぼれ落ちそうなほどの涙目

 

そんな反応をされてはサクラコもがっくりと膝をついてしまった

 

「な、なぜ…?どうしてですか…!?」

 

(もしかして割と苦労人なんですか?この人…)

 

彼女としては本当に優しく微笑みながら話しかけたつもりだったのだ

モモイとミドリに本気でビビられ泣かれたサクラコもまた泣きたい気分だった

 

秘密主義のシスターフッドの長に並々ならぬ警戒をしていたマシロだったが、威厳も何もない悲しすぎる姿を見て真実に気づき始めるのだった

 

「こ、ここは固まるよりも別れて逃げよう!」

 

「ええっ!?」

 

「このまま全員捕まるよりはマシだよ!各自散会して逃げる用モモトークにも送ったから!後で必ず落ち合おうね!」

 

その隙に2人は散り散りに逃げてしまった

追跡班もそれぞれ別れての追いかけっこが始まった

 

 

 

 

先ほど格好よく啖呵を切ったはいいものの、ゲーム開発部の中で真っ先に追い詰められたのはモモイだった

 

「さーて、大人しくしてもらうわよ!」

 

「ぐ、ぐぬぬ…」

 

あっという間に壁際まで追い詰められてしまったモモイ

モモイも運動はできる方だが、日々体を酷使しながら働くバイト戦士セリカが相手では分が悪い

 

単純な追いかけっこで逃げ切ることは不可能に近かった

 

「ぼ、暴力はやめなよ!シャーレの中で好き勝手暴れるのは恥ずかしいことなんだよ!?

ここは正々堂々ゲームで勝負しようよ!」

 

にじり寄ってくるセリカに対してゲーム機を取り出すモモイ

時間を稼ぐためにも、ゲームによる勝負で決めようと取引を持ちかけた

 

その画面には彼女がやりこんでいるゲームのタイトルが映っている

 

「どこか正々堂々なのよ!どう考えてもアンタの方が有利じゃない!」

 

「くっ!ダメか…!ネル先輩なら間違いなく乗ってきたのに!」

 

煽り耐性の低いネルを基準にしてしまっていたため、あっさりと失敗してしまった

 

勝負に持ち込めないならと、今度は全力で情に訴えかけ始めた

 

「あの時船で一緒に戦ったよしみで見逃してよ〜!またラーメンも食べにいくからさ〜!」

 

ゲーム開発部とアビドスはいつかの戦いで共に宇宙戦艦へ乗船し、戦い抜いた仲だった

あの命懸けの戦いを超えた戦友なのだからと必死に頼み込む

 

「だからって、見逃せるわけないでしょ!観念しなさい!」

 

だが、それとこれとは話が別であるのも事実だった

とりつく島もないセリカがモモイを拘束する

 

「じゃあ、私の友達たくさんラーメン屋に連れていくから〜!」

 

「だからダメに決まってるじゃない!……

…ちなみにその…これはあくまで興味本位で聞くんだけど、もし仮に連れてくるとしたらどれくらいいるの?」

 

その時、苦し紛れに搾り出したモモイの一言に鉄壁のガードを誇っていたセリカの守りが緩んだ

 

「え?えーっと…ヴェリタス、エンジニア部にヒマリ先輩とかネル先輩も呼べばC&Cも……」

 

「お、思ったよりもいるわね…?」

 

 

「セリカちゃん!?売り上げは大事だけど買収されちゃダメですよ!?」

 

 

追いついたアヤネは、なんだか買収されそうな親友を見て慌てて止めに入ったのだった

 

 

 

 

 

 

(う、うぅ…怖い…心臓がバクバクする…)

 

警報が鳴った瞬間、すぐにその場から逃げたユズはダンボール箱を被って息を潜めていた

 

スニーキングゲームも好きだが、それはあくまでもゲームの話であり現実に追われたいわけではない

 

このままこっそり逃げられないかとチャンスを伺っていたが…

 

「…ん?」

 

ゲーム開発部を追いかけていたシロコがダンボール箱の近くで立ち止まった

ユズは身動き一つ取らないで、必死に息を殺す

 

「………ん。」

 

(ほっ…)

 

しばらく立ち尽くしていたシロコだったが、何事もなかったようにその場を離れていく

 

ユズは気づかれなかったことに安堵しつつ、そのままゆっくりと移動しようとして…

 

「ん、やっぱりいた。」

 

「ひゃわぁああ!!?」

 

「ん、確保。」

 

立ち去ったと見せかけて覗き穴から見えない死角に入っていたシロコがダンボールを持ち上げ、中に入っていたユズを捕まえた

 

不意をつかれたユズはじたばたと暴れていたが…逃げられないことを悟ると、だらりと力を抜いて諦めた

 

「ど、どうしてわかったんですか…?」

 

最後にどうして見破れたのかと尋ねるユズにシロコは得意げな顔で答えた

 

「ん…気配と、匂い。」

 

─この時シロコは自身の持つ野生の感をもとに気がついたのだと伝えたかったのだが、ユズは別の意味で捉えてしまった

 

「わっ、私そんなに匂うんですか!?うわぁああんっ!!!」

 

「お、落ち着いて。別に臭いわけじゃないから。」

 

ダンボール越しからでもわかるくらい自らが臭いのだとユズは勘違いしてしまった

恥も外聞も捨てて大泣きするユズをシロコは困りながら慰めるのだった

 

 

 

 

 

 

「と、止まりなさい!」

 

「くっ…!」

 

今度はコハルに廊下の端で追い詰められてしまったミドリ

 

コハルは腐っても正義実現委員会の端くれ

日々の過酷な訓練を乗り越えてきたコハル相手にインドア派のゲーム開発部ではあまりにも部が悪かった

 

ピラッ

 

「んなっ!?あ、あなたそれ…」

 

「あっ、新しく作ろうとしてたゲームのラフ画が…」

 

その時、ミドリの懐からひらりと一枚の紙が落ちてしまう

そこに書かれているのは少々露出の多い姿をしたキャラクターの下書き

 

そんな紙を見てぴたりと動きが止まってしまったコハル

イラストから目を離せずに固まっている姿を見てミドリは閃いた

 

(もしかしてこの人、こういうのに興味があるのかな…)

 

同好の士である可能性に勝機を見出したミドリは落ちた紙を拾い、あえてコハルに近づいた

 

「えと、もし見逃してくれるのならこういった絵をもっとたくさん見せてあげますよ?」

 

「んなっ!?」

 

差し出された紙に書かれたキャラクターをまじまじと見るコハル

 

─昨今のソシャゲによくありそうな、煽情的な姿をしたスタイル抜群な美女

 

その瞬間、コハルの中で何かが切れる音がした

 

「え、エッチなのは駄目!死刑なんだからぁ!」

 

「うわぁ、逆効果だったぁ!」

 

ミドリは興奮したコハルに取り押さえられてしまったのだった

 

 

 

 

 

「はーい、ここまでだよ〜。」

 

「うわーん!捕まってしまいました!」

 

そして最後の1人、アリスは地下室に続く扉の前というあと一歩のところでホシノから羽交締めにされて捕まっていた

 

「うぅ…まさかアンチステルスの能力を持っていたなんて…!」

 

「いやぁ、おじさんはそんなの持ってないよ〜。ただ、透明でも息遣いとか気配にも気を配るべきだったね〜。」

 

最初に感じた違和感に従い、休むフリをして抜け出したホシノは遂にアリスを発見していた

 

気づかれたとわかった瞬間急いで逃げ出したはいいものの、光の剣がない分身軽で素早いにも関わらず本気で追いかけてきたホシノには敵わなかった

 

「でも…!ア、アリスは、諦めません!!」

 

「お、おおぉぉっ!?」

 

だが、これで大人しく諦めるアリスではない

なんとアリスはホシノを強引に引き摺りながら前進し始めたのだ

 

華奢で小柄な体からは想像もできないほどの怪力にホシノは驚愕した

 

「ち、力強いねぇ!?そんな小さい体のどこにそんなパワーが!?」

 

「うわーん!アリスよりも小さい人に言われたくありません!アリスよりも小さいのに!」

 

「ぐふっ…君、礼儀正しい子かと思ったら結構毒舌だね!?」

 

「事実です!」

 

「さらに追い討ち!?」

 

わちゃわちゃと言い争いをしながらも着実に前へと進むアリス

このままでは本当に襖の場所へと引きずったまま辿り着いてしまいそうだった

 

「ちょ、本気でパワーが凄いなこの子…ノノミちゃ〜ん!!」

 

やろうと思えば、首を絞めたりと方法はいくらでもあるが手荒な真似はしたくない

 

こうなっては仕方ないと、ホシノはアビドスの怪力担当に助けを頼んだ

 

「はいはーい⭐︎さあ一緒に来ましょうねぇ〜。」

 

「うわぁ〜ん…」

 

「ノノミちゃん、おじさんごと持ちあげなくていいんだよ!?」

 

まるで幼い子を抱っこするように2人纏めて抱え上げるノノミ

こうしてゲーム開発部最後の1人も無事確保されたのだった

 

 

 

 

「うわーん!全員捕まっちゃった!」

 

「うぅ…ゲームオーバーです…」

 

 

「これで全員かな」

 

「まさか、光学迷彩で透明になったもう1人がいるとは思いませんでした…」

 

「ん、やっぱりあの時感じた気配は間違いじゃなかった。」

 

「流石にお説教しないとね、後ミレニアムにも連絡を入れないと…」

 

ゲーム開発部を全員確保して、ようやく一息ついた先生達

捕まえたゲーム開発部の処遇について話しあっていた

 

今回のことは叱らなければならないが、他学園の生徒が強く叱責するのもトラブルの素となってしまう

例えばシスターフッドの長が他校の生徒へお説教をしたと誰かに伝わればややこしいことになりそうだ

 

ここは同じ学園のトキとエイミが叱るべきなのだが、あの2人はお説教が得意なようには見えない

やはり先生がお説教するべきかと思っていたその時

 

「いえ、その必要はありません。有能メイドは既にミレニアムへと報連相を済ませておきました。」

「うん、それにお説教するのに適任な人も今ちょうど着いたみたいだから。」

 

追跡に参加せずにまずミレニアムへと連絡をとっていたトキとエイミが戻ってきた

 

─どうやら彼女達を叱るのに適任の存在がシャーレに到着したらしい

 

「モ〜モ〜イ〜…!!」

 

「げぇーっ!ユウカ!?」

 

やってきたのは現在忙しいはずのユウカだった

思わぬ存在にゲーム開発部から悲鳴の声が上がる

 

「事情は、全て…把握したわ。ゲホッゲホッ…全くアンタ達は…ほ、本当に、騒ぎばかり起こすわね!」

 

"…うん、いつもお疲れ様、ユウカ。"

 

本当に急いで来たのだろう

咳き込みながら話すユウカに先生は心からの労いの言葉をかけた

 

「どうしてユウカが…連絡をもらったからといっても、いくらなんでも早すぎる…」

 

「はぁはぁ、ふぅー…それはね、トキとエイミから連絡をもらう前に共犯者の調べがついていたからよ。」

 

「そ、そんな、誰に!?どうして私達のことがわかったのさ!?」

 

「マキとコトリが口を滑らせたわ。」

 

「ええーっ!?」

 

「ちょっと何してるのさー!?」

 

味方の裏切り、というか凡ミスにゲーム開発部は頭を抱えた

 

マキはついうっかり口を滑らせて、コトリは得意げに語ろうとして話しすぎてしまった姿が目に浮かぶようだった

 

「で、でもミレニアムをほっぽり出していいの!?今頃てんやわんやなんじゃ…」

 

「その心配はないわ。下手人達はチヒロ先輩とネル先輩に全部任せたから。何しても良いって伝えてあるし。」

 

「Oh…」「ひぇっ…」

 

怒らせたら怖い3年生2人と一緒の状況なんて想像するだけで恐ろしい

ゲーム開発部は思わず合唱したり、胸の前で十時を切った

 

「スゥー…はぁー…!」

 

「あ、あわわ…待ってユウカ!まずは冷静に、私達の言い分を…!」

 

深呼吸しながら、歩み寄ってくる大魔王を前にゲーム開発部は必死に命乞いをする

しかし怒りが頂点に達した大魔王に、もはやそんな会話は成立しない

 

 

「問答無用!今日という今日は覚悟しなさい!」

 

 

「「「「ぬ、ぬわーーっ!!」」」」

 

 

─シャーレの建物内にゲーム開発部の断末魔が響き渡る

 

 

「ん…普段大人しくて優しい人ほど怒らせたら怖い。」

 

「そうですね…うぅ、謝肉祭の時のことを思い出してしまいました…」

 

ユウカの剣幕を見て、こういう状況に覚えのある生徒達も身を竦ませていた

 

 

 

 

 

 

「こんなものかしらね、まったくもう…!」

 

「きゅう〜…」

 

ユウカの濃く長い説教がようやく終わるとゲーム開発部はばたりばたりと倒れ込む

 

「ぐふっ…」

「モモイー!!」

 

その中でも特に集中攻撃を受けたモモイは完全に力尽きてしまった

 

「しっかりしてください、モモイ!傷は浅いですよ!?」

 

「ア、アリスよ…そなたに我がプロットの全てを託す…私に代わり、皆が喜ぶゲームをこれからも作っておくれ…たのんだ、ぞ…ぐふっ!!

 

「モモイーー!!」

 

 

「いやお姉ちゃん、アリスちゃんに全部丸投げしようとしないで。シナリオはちゃんと自分で作ってよ。」

 

自身のメモ帳とスマホをアリスに握らせると、手を落とすモモイ

 

さりげなく自分の仕事を押し付けて楽しようとしてる姉を妹は諌めた

 

「それで、どうしますか先生?」

 

「そうだね…」

 

お説教が終わるとユウカはゲーム開発部の処遇をどうするか先生に問いかけた

このままミレニアムに送り返すのが無難だが、彼女たちがこれっきりで諦めるはずもなく…次に起こす騒動はさらにエスカレートしたものになりそうだ

 

「でも、言って止まる問題児達じゃないですよ…ゲーム開発部に限らずヴェリタスとかエンジニア部とか…」

 

「そうだね…どっちに転んでもリスクはなくならないかな。」

 

結局悩んだ先生達は多数決で決めることにした

 

「まあ、大丈夫じゃない?」

 

「そうですね、ゲヘナの問題児に比べれば可愛い方かと。」

 

結果、賛成の票が反対の票よりも上回ったのでゲーム開発部も秘密維持に巻き込むこととなった

 

 

 

「生き返ってくださいモモイ!今復活させますから!」

 

「ごはっ!?ちょっ、待ってアリス…ごふっ!?」

 

「ま、待ってアリスちゃん!健常者に心肺蘇生マッサージはまずいよ!」

 

「アリスちゃんの本気パワーでやったらお姉ちゃん死んじゃうから!」

 

─その裏ではモモイが本当に天に召されそうになっていた

 

 

 

「みんな、ちょっといい?」

 

「はい、なんですか先生?」

 

「その、ごめんなさい…反省してます…」

 

 

「大丈夫、お姉ちゃん?」

 

「あ、危なかった…アリスの腕の中で息絶えるところだった…」

 

皆が落ち着いた所で優しくゲーム開発部に話しかける先生

ユウカにこってりしぼられたことで、すっかりしおらしくなっており反省しきっていた

 

「私達も意地悪したくて、秘密にしてたわけじゃないんだ。まだ皆に知られるには準備も何もかも整ってなくて、危険だから教えられない。だから、皆を出し抜いたり悪いことしようって訳じゃないんだよ。」

 

「それは、はい。先生達が悪いことしてるなんて思ってません。」

 

「…私達だけじゃなくて皆も同じだと思います。

秘密にしてることを知って、一緒に手伝えたらいいなって。」

 

先生の言葉に頷くゲーム開発部

 

悪い大人達のように、本気で悪いことをしているなんて考えたこともない

それはゲーム開発部だけでなく、ヴェリタスとエンジニア部も同じこと

その秘密を知ったからといって、大々的に公表するつもりなんてなかった

ただ皆が秘密でやっていることに混ざりたかっただけなのだ

 

「うん、だからこれからのことは絶対秘密にするって約束してくれるかな?それができるなら、皆のことも一緒に連れて行けるよ。」

 

「わかった!今回のこと、絶対に内緒にするし大人しくするって約束するよ!」

 

イタズラに話を大きくしないならという提案にゲーム開発部は全員、絶対に周囲へ広めないことを誓った

しっかりと指切りで約束を交わしてから、秘密の場所へと共に向かっていく

 

─そして、外の世界へ

 

 

 

 

 

「うわぁあああっっ!!すごい、このゲームもこのゲームもやったことない!他にも似てるけどなんか違うゲームだし、とにかく全然知らないゲームがたくさんある〜〜!!!」

 

 

「モラルハザード、ゼルナの伝説みたいにどこか似ている楽しそうなゲームがいっぱいありますよモモイ!」

 

「うわぁ…!レトロゲームがこんなに…!」

 

「ハイスコア更新…や、やってみたい…!!」

 

 

「アンタ達ね…!」

 

「まあまあユウカ、そりゃあゲーマーなら異世界のゲームを見て落ち着いていられないだろうからね。」

 

…最初の宣言は一体どこへやら

大人しくなんてしていられるはずもなく、何もかもを忘れて夢中でゲームに飛びつき騒いでいる姿にユウカは頭痛を抑えるようなポーズで唸った

 

先生もゲームが好きなため、気持ちはわかるとユウカを宥めた

 

「えーっと、その…先生?」

 

「ダメよ。」

 

「まだ何も言ってないのに!?」

 

「大体予測できるわよ、言いたいことくらい。」

 

先生にお願いしようとしたモモイをバッサリ切り捨てるユウカ

ここにくるまでに説明した通り、外に出ること目立つようなことは禁止である

 

「そ、そんなぁ…こんなの生殺しだよ!お願い!私絶対良い子にするから!!先生の生まれ育ってきた場所に行ってみたいよー!」

 

ゲーム開発部もダメなことだとはわかっている

けれど彼女たちはまだまだ未熟な女子高生、我慢しようと思っても出来るはずがなかった

 

すぐそこに新作ゲームがあるのに、プレイできないなんてもどかしくて仕方がない

ゲームをこよなく愛する彼女達にとって耐えがたい苦痛であった

 

「見つからなければ、いいんですよね?アリスアサシンのスキルをマスターしてきます!それならいけるはずです!」

 

「うわーん!それじゃ何年かかるかわからないよ、アリス!」

 

 

「な、ならこのダンボールを使えば…!スニーキングできるんじゃないですか!?」

 

「ごめん、ユズ。ダンボール被ってもヘイローが浮いてるから難しいかな…」

 

それぞれが代案を出すが、どれも採用することはできない

生徒達のヘイローは普通の光輪と違い、それぞれが物凄く個性豊かだ

外の世界でそんな馴染みのないヘイローを見られようものならすぐ話題になってしまうだろう

 

─ちなみになぜキヴォトスではダンボールが問題ないのかというと、どういう原理か不明だがキヴォトスでは無機物にもヘイローが浮いていることがある

そのため、キヴォトス内ではダンボールを被っていても意外とバレないのだが…外の世界ではそんなものないためすぐにバレてしまう

 

 

「じゃ、じゃあ今回みたいにエンジニア部の光学迷彩を使えば…!」

 

「もし落としてしまった時のリスクがデカすぎるよ。

もし時間いっぱいまでに戻って来れなかったり、天候で壊れるかもだし。」

 

「ん、勘の良い人なら違和感に気がつく。」

 

「それにその状態ではゲームできません。透明人間がゲームしてると騒ぎになってしまいますよ。」

 

「気持ちは痛いほどわかりますけどね…」

 

光学迷彩も姿が見えなくなるだけで完全に透明になるわけではない

ぶつかって壊れたり、単純に違和感を感じてバレてしまう危険性は十分にあった

 

「行けるものなら行ってみたいけどね…」

 

「私だって、先生の生まれ故郷は見てみたいわよ…」

 

ゲーム開発部だけでなく、他の生徒達も皆、揺らいでいた

行けるのならば自身も行ってみたい

 

しかし良い案が思いつくまでは万が一にも外へ出ないよう、無理やり押さえつける他ないのが現状である

 

我慢の限界は思っていた以上に近かった

 

(できることなら、連れて行ってあげたいんだけど…うーん…!)

 

そして生徒達のやりたいことをやらせてあげたい先生も深く悩んでいた

先生として、生徒が心から望むことは叶えてあげたい

誰よりも先生が生徒のことを自由にしてあげたかった

 

どうにかして解決できないか、何か良い方法はないものかと腕を組んで深く考え込んでいたその時─

 

 

「うぅ…外の世界でも皆ヘイローつけてたらいいのに…」

 

 

─生徒の1人が悔しそうに呟く声を聞いた瞬間、先生に天啓が走る!

 

 

「そうか…そうだよ!閃いた!

隠すんじゃなくて、知ってもらえばいいんだ。

外の世界にも、ヘイローがある世界にしちゃえば良いんだ!」

 

「先生?何か思いついたんですか?」

 

先生は外に出ても問題がなくなる良い方法を閃いたようだ

 

今まではどうにかして見えないように、隠せるようにとばかり考えていたがここで発想を転換させる

もしもヘイローが世間一般にも認知されるようになれば、誰かに見られても問題ないのだ

 

「逆転の発想だよ、ヘイローを隠すんじゃなくてヘイローの存在を知って貰えば良いんだ

外の世界でも皆がヘイローをつけたりするようになればいいんだよ!」

 

「確かに、それができれば目立たないけど…」

「でも、どうやって?」

 

先生は困惑する生徒達へ高らかに宣言した

 

 

「ヘイローを作って、売ろう!」

 

 

「ヘイローを作って…」

 

「売る…!?」

 

先生の言葉に生徒達は自らの頭の上に浮かぶヘイローを見つめた

 

「わ、私達のこれは取って外せないよ!?」

 

「じ、人体錬成ならぬ、ヘイロー錬成ってこと!?」

 

「ああ、違う違う!!そういうことじゃなくて…」

 

あまりの突拍子のなさに動揺し、混乱する生徒達

 

そこにホシノが待ったをかけた

 

「うへー、そうだよ皆。先生がそんなゲマトリア…悪い大人みたいなことするわけないじゃん。

この場合はサブカル的な意味でってことじゃない?」

 

「そう!そうなんだよ!」

 

ホシノからの助け舟に先生は我が意を得たりと頷いた

 

「外の世界の人達にとってヘイローは見慣れない物だから注目を集めてしまう。けれど、それが何かのキャラクターをモチーフにしたものなら問題ないよね?」

 

人は未知のものを恐れ、暴こうとするものだ

 

だが、もし彼らの目に映るそれが何かのキャラクターを模したものならば?

さらにヘイローを投影するホログラムなどの装置が一緒に売られていたなら?

 

それなら、怪奇現象として騒がれることはない

途端にそれは既知のものとなり、興味は失われる

 

「ヘイローを持ったキャラクターをたくさん作り出して、それをこの世界に浸透させればいいんだ。

そうすれば皆の姿を見る目が変わる!コスプレでしかないんだよ!」

 

 

「ええっと、つまりコスプレイヤーになるってことですか…?」

 

「なるほど、つまり…」

 

先生の話を聞いて、全てを理解した猫のような顔をしたモモイがポンと手を叩いた

 

「例えるなら、私が才羽モモイ(二次元)のコスプレをした才羽モモイ(※本人)になっちゃえば問題ないってことだね!」

 

「お姉ちゃん、頭がこんがらがるように言わないでくれない?」

 

…なんにせよ、サブカル文化に詳しい生徒達は先生の言わんとしていることを理解した

 

だが、サブカルに詳しくない生徒はまだピンと来ていないようだ

 

「えっと、つまりどういうことなのよ?」

 

「そうですね〜…セリカちゃん、例えばアイドルが街中にぽつんと1人で立ってたら目立っちゃいますよね?」

 

「それは、そうね…」

 

「じゃあ、街の中にいる人が全員アイドルになっちゃえばどうですか?」

 

「!…それはそれで目立つけど、その人だけが目立つってことはないわ!」

 

「そうです!木を隠すなら森の中ってことですね⭐︎」

 

要するに自分達と同じ格好をしたこの世界の住人がいれば目立たないということである

コスプレイヤーがたくさんいる中の1人として紛れ込んでしまえば、本人が混じっていたとしても気づかれないように

 

「まずはヘイローについて認知してもらわないとね。別にヘイローをつけた二次元のキャラクターがいないわけじゃないけど、登場人物全員がヘイローをつけた作品とかはないから。」

 

「でも、先生。コスプレして街に出ていいの?私達の普段の姿がコスプレってことになるんでしょ?」

 

専用のイベント会場でもないのにコスプレしたまま外に出るのは一般的には難しい

 

しかし世の中には唯一コスプレをした状態で外を歩いてもいい時期がある

 

「ううん、普通の日は正直厳しいね。でもね、仮装して歩いてもそこまで顰蹙を買わない時期があるでしょ?」

 

「あっ、そっか!ハロウィン!」

 

「キヴォトスでも仮装して歩いてる人いっぱいいるもんね!」

 

街やテーマパークなどいろんな所で仮装するイベントが起こる日、ハロウィン

単純なお化けの仮装にとどまらず、最近は人気のアニメや漫画のキャラクターに仮装する人も多い

 

ハロウィンは外へ繰り出すにはうってつけの時期だ

 

「そういうことなら、私達ゲーム開発部の出番じゃん!!」

 

「ヘイローをつけたキャラクターが登場する面白いゲームを作れば、話題性抜群です!」

 

ゲーム開発部が我先にと名乗りを上げた

方針の決まった生徒達は次々に案を考えて声をあげる

 

 

「では、早速会議を始めましょう!」

 

「じゃあ具体的にどう売り出していくべきかしら?」

 

「まずは地道にフリマアプリとかでヘイローを売りだす所からかしら…」

 

「キャッチコピーはなりきりセット、これであなたも天使に!!とかでしょうか⭐︎」

 

「そうですね、この世界ではヘイローは天使の象徴とされているそうですから。」

 

「順調に行けば、フリーマーケットの出店なんかもできるといいねぇ。」

 

 

 

「ヘイローだけでは売ることは難しいかと。

やはりコスプレ衣装も作って一緒に売った方がいいと思います。」

 

「コスプレ衣装といえばヒビキです!ミレニアムに戻ったらお願いしてみます!」

 

「ん、コスプレはあまりやったことないけど変装とかならやったことはあるよ。それっぽいのがないか探してみる。」

 

「コ、コスプレ……!」

 

「コスプレは必ずしもえっちなものではないですよ、コハル。」

 

「あ!一部の人のケモ耳とか尻尾とかはどうしよう?」

 

「それは元々コスプレグッズとしてメジャーみたいだから大丈夫じゃないかな、お姉ちゃん。

ほら、ちょっと調べたらたくさん出てくるよ。」

 

 

「で、でも私達の姿そのままで出すのはちょっと…」

 

「そこはマスコットキャラクターのようにすれば問題ないかと。スーパーデフォルメした姿に変えてゲームを作ってみては?」

 

「確かに、それなら安心かも。」

 

(…特にエイミはリアルボディでは絶対にアウトですね。SDでならギリといった所でしょうか。)

 

方針は決まったが、とにかく色んなものが足りない

 

注目されるには火付け役となる何かを作らなければならないし、サブカルに詳しい生徒の助けも欲しかった

 

「広告もなるべく多くないとね…そうなると、優秀なイラストレーターがもっと欲しいね!」

 

「ちょっとお姉ちゃん!?私じゃ力不足ってこと!?」

 

「私達だってゲーム売る時は広告をたくさんいろんな種類作ってるでしょ!?」

 

「それに、イラストレーターの当てはあるの?そんなすぐには見つからないんじゃ…」

 

 

「いや、知ってるよ。

こういうことにとても詳しい漫画家さんをね。」

 

 

口論する姉妹へ先生は、当てはあると胸を叩いた

こういったことを進めるには、何度も本を出した経験のある彼女を連れてくるのが一番だろう

 

 

─これから外の世界へ歩み出すための第一歩

そのために必要なのは…

 

 

「レッドウィンター連邦学園に潜入して、メルリー先生を連れてこよう!!」

 

 

サブカル文化へ殴り込みをかけるのならば決して外せない要素の一つ

 

自主制作して発行される雑誌や漫画

すなわち同人誌作りである

 

 

 

『うぅ…私達の姿が皆さんにも見えるなら、アロプラチャンネルで是非ともお手伝いしたいのですが…』

 

『それは仕方ありませんよアロナ先輩。私達は私達の出来ることをしてサポートしましょう。

…それにアロプラチャンネルは一部怪しい回もあるのでちょっと…』

 





ヘイローがない世界なら、他のカードゲームやおもちゃなどのホビー世界みたいにヘイローが流行った世界にすればいいじゃない
好きに書けばいいじゃない、二次創作なんだもの(言い訳)

これまでもヘイローをつけた他作品のキャラクターはいますが、ブルアカほどヘイローの見た目が豊富な作品はなかったと思います
後、筆者も普通に天使の輪っかとか光の輪と呼んでいたので、ブルアカやるまでヘイローという言葉に馴染みがありませんでした
なのでヘイローという言葉自体の知名度にもかってるんじゃないかなと思います

ようやく現実来訪タグが仕事してくれます…!


次章、交流開始


ふむ、久方ぶりじゃのう先生。今宵はどのような目的で来たのかの?

主人殿のご用命とあらば!

ふっふっふ、ビジネスの匂いがしますねぇ
その話、出版部も噛ませてもらいますよ?

万が一を考えて、印刷機には自爆機能をつけさせてもらったよ

これは、相当強度の高い救護が必要でしょうか!?


なるほど…つまり、我々のロックが必要ということだね?
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