シャーレの地下室の秘密   作:cheese hamburg

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今回はバカでかい狙撃銃がロマンの塊すぎるあの少女です
イチカとマシロの絡みは見れたので、早くコハルとの絡みも見たいですね

マシロの3着目実装待ってます



可愛いはやっぱり正義

 

─静山マシロの趣味は高い所に登ることと人間観察である

 

今日も先生の家の屋根上というなるべく高いところから周囲を観察していた

 

自然豊かでのどかな風景が目に入り、人の姿はあまり確認できなかった

それでも今まで見ることのなかった新しい風景にマシロは心躍らせていた

 

─これまで考えていた悩み事なんて、ちっぽけなものだと思えるくらいに

 

「……よし。」

 

決心がついたマシロは強く頷くと、前々から考えていたことを行動に移すため先生の元へと向かった

 

 

 

 

 

「先生、私可愛くなります。」

 

 

「唐突だね?急にどうしたの?」

 

 

 

屋根の上にいたはずのマシロが降りてきたと思ったら開口一番、可愛くなる宣言

マシロの突然の告白に驚きつつも先生は続きを促した

 

「正義を実現させるためには可愛さが必要だと改めて知ったからです。

外の世界のネット曰く…可愛いは正義、とそう書かれていました。」

 

「ネットの情報をあまり鵜呑みにするのは危険だよ?…まあ、私個人としてもそう思うことはあるけど…」

 

始まりはとある漫画のキャッチコピーであり、昨今いろんなアニメやゲームにも使われてきた言葉である

 

先生としても可愛いものは大好きなのだが…

近頃生徒がネットを通じて外の世界に触れた際、色々と騒ぎが起こるため素直に頷けなくなってしまった

 

「…あれ?そういえば水着を買いに行った時も可愛いは正義、って言われたことがあったよね。」

 

「はい、あの時店員さんから聞かされたようにキヴォトスにも同じような言葉があるみたいですね。」

 

それはツルギやヒフミ、アズサと海に行く際マシロが水着を買いに行った時のこと

 

どの水着が似合うか探していた所、店員さんに可愛いは正義とおすすめされたことがあったのだ

 

「確かにこれはあくまでもネットなどといった眉唾な情報が元ではありますが…

明確なつながりは存在しないはずの2つの世界…キヴォトスと外の世界がそれぞれ同じ結論に至っているのです。

そう考えると、信憑性は高いのではないでしょうか!」

 

不思議なことに「可愛いは正義」という言葉は外の世界にもキヴォトスにも存在している

ほとんど繋がりがないにも関わらずである

 

キヴォトスだけでは眉唾なことも、二つの世界で言われてるのなら信憑性は高いとマシロは思ったらしい

 

 

「ですが、この言葉の具体的な使われ方を調べた時、私は衝撃を受けました…

可愛ければなんでも許される。悪党に対しても、可愛いから許す。と書いてあったのです…!」

 

「あー……」

 

マシロは強く拳を握りしめて憤っていた

例えどれほど可愛い存在であろうとも、見た目を理由に悪を許すなんてあってはならない

正義を実現すべく日々努力する少女には耐え難い内容であった

 

そんなマシロに強く同意するわけでなく、苦笑いする先生にジト目を向ける

 

「…もしかして先生も可愛いから、犯罪者の生徒達にも味方しているんじゃないですか?」

 

「それは違うよ!!?」

 

あくまでも先生は生徒第一の考えであって、流石にやりすぎの生徒は注意するし逮捕に協力もしている

 

シャーレの先生は可愛かったらなんでも許してくれる、などという噂が流れてしまったら大変である

 

「私はあくまでも生徒達皆の味方であって、美醜の有無で助ける相手を決めているわけじゃないから!」

 

「なるほど…では、先生にとってにっくき大人達でも可愛い生徒に変身したのなら味方するのではないですか?」

 

「…ない!ないよ!!絶対にない!!!」

 

一瞬、にっくき大人達であるゲマトリアやカイザーが生徒と化した姿を思い浮かべてしまった

そんな自身を戒めるように先生は声を上げた

 

いくら見た目は子供でも中身は大人

いい年した大人が学生に混じり、あまつさえ生徒会長を名乗るなど許されない愚行である

歳を考えろ歳を

 

「それを聞けて安心しました。ですが未だ数多くの人々がそういった考えを持っているのではないかと思います。」

 

可愛いから安易に味方するのではなく、独自の正義感を持って生徒と交流する先生

先生もまた正義の側に立つ存在であることにマシロは安堵したものの、以前状況は変わっていない

 

多くの人々が、見た目がいいからといって悪の手先に唆されることは決してあってはならないのだ

いついかなる時も正義の味方を支持してもらうための考えをマシロは先生に話した

 

「そこで考えたんです。

可愛ければ何をしても許されるのならば、悪党がぐうの根も出ないほどに私達正義の側に立つ者が可愛くなればいいのだと。

他の追随を許さないほど可愛い存在になれたのなら、皆正義の味方をしてくれるのではないでしょうか!」

 

「確かに…」

 

民衆が可愛い者を支持し、味方するというのなら正義に立つ者達が誰よりも可愛くなればいい

そうすれば悪に唆される者達も減り、正義の味方に協力してくれるのではないか

 

確かにマシロの言っていることは真理かもしれない

 

「ですので先生、私がもっと可愛くなるために協力してください!これは正義のためなのです。」

 

「なるほどね、わかった。私でよければいくらでも協力するよ!」

 

騙されているわけでも、踊らされているわけでもなく、自分自身で考えその結論に至ったのなら先生としても止める理由はない

生徒がやりたいと思うことを応援するのが先生だ

 

─こうしてマシロと先生、2人のもっと可愛くなるための作戦が始まった

 

 

 

 

 

「それで、私はどうすればいいのかな?」

 

「色々と考えてきたので、先生には客観的なアドバイスをお願いします。まずは可愛い角度やポーズを追求します!」

 

キヴォトスでは無条件に信頼できる大人は貴重な存在なので、マシロは先生にアドバイスを求めた

 

まず初めに行うのは最も可愛く見える姿の追求だ

 

人間には顔立ちによって最も美しく見える角度というものが存在するらしい

逆に角度が悪いと魅力が半減してしまうこともある

 

「可愛い角度やポーズでの自撮りは以前、ツルギ先輩と一緒に撮ってみたことがあります。

しかし、男性の方からの意見を聞いたことがなかったので率直な感想を聞かせてほしいんです。」*1

 

「ツルギと一緒にやってたんだ。ちょっと見てみたかったかも。」

 

「おそらくツルギ先輩は照れてしまうので難しいと思います…先生、今は私に注目してください。」

 

毛先をくるくると触ってみたり

頬に手を当てて、小首を傾げながら微笑むポーズを取るマシロ

 

自撮りする際にはカメラを顔の位置より高くし角度をつけることで小顔かつ目を大きく見せるように撮れるらしい

 

「ごめん、マシロ…私はあまり役に立てないかもしれない…」

 

「?…どうしてですか先生?」

 

神妙な顔をして謝る先生

そんなにも自身のポーズは拙いものだったかと不安を感じたマシロだったが、それは杞憂だった

 

「だってどの写真もどのポーズも可愛くて、どの角度が一番いいのか判断することができないよ…!」

 

「えっ、あ、そ、そうなんですね。ありがとうございます…」

 

だってしょうがないじゃないか

生徒達は皆可愛すぎる

 

マシロはどの角度から見ても可愛くて難しいと謝られてしまった

突然のカミングアウトには流石のマシロも照れてしまう

 

言ってしまった先生も言われたマシロも顔を赤くして言葉に詰まってしまった

 

 

「コホンッ…では次に、ハスミ先輩からもらったこちらの可愛い猫グッズをつけます!」*2

 

そんななんとも言えない空気の中、我に帰れたマシロが咳払いをして次の段階へと移った

 

取り出したのは以前ハスミから正義のために必要だと言われもらった猫のコスプレグッズ*3

今度は猫耳と肉球をつけてニャンニャンとポーズを取る

 

「おお…!凄く可愛い!可愛いよ、マシロ!」

 

「あ、ありがとうございます先生…」

 

再び褒められて照れるマシロだが、照れてばかりもいられない

目標は誰もが味方したくなるような可愛さだ

すかさず次の段階へと移る

 

「ですが、まだです。まだ終わりではありません。」

 

「そうなの?もう十分に可愛さが増したと思うけど…」

 

もう既に完成しているようにも思えるのだが…

ここからさらに何をするのだろうか

 

困惑する先生をよそにマシロは更にコスプレグッズを取り出しながら、自身の服装も着直して変えていく

 

これはゲヘナの生徒っぽくて顰蹙かもしれませんが…可愛さを高めるために…! 

この店員さんから買った角と尻尾をつけて、ヘソだし小悪魔ファッションも追加します!」

 

「属性過多!!!」

 

可愛いを通り越して異様な姿になってしまった

何でもかんでも詰め込めばいいというものではない

元からあった黒い翼とミニスカートに猫耳肉球の手、小悪魔風の角と尻尾にヘソだしととんでもないことになっている

 

昨今のソシャゲでも見ないほどのごちゃ混ぜ具合に先生は止めに入った

 

「マシロ、それはいくらなんでもやりすぎだよ。

例えるならそう、武器をたくさん持って行ったって強くなるわけじゃないでしょ?それと同じで候補を絞ってから、可愛いを極めて行った方が効率的だよ!」

 

要するにラーメンとケーキが好きだからといって、一緒に食べても美味しくならないのと同じように組み合わせというものがあるのだ

 

「なるほど…勉強になります。確かに盾と迫撃砲と狙撃銃を一度に持っても動きづらいだけですね。」

 

いそいそと小悪魔装備を外すマシロ

これで先ほどの姿をからは改善されたが、まだ問題が残っている

 

(そのスカートにヘソだしはちょっとまずい…!)

 

元々ガードの緩かったマシロの服が更に緩くなっていた

短すぎるスカートにヘソだしと露出があまりにも多く、なんだかもうそういう店みたいな雰囲気になってしまっている

 

「マシロ、可愛いのを極めるのはいいことだよ。でもね、その上で忘れてはいけないとても大切なことがあるんだ。」

 

「忘れてはいけないこと…ですか?」

 

先生は一度深呼吸した

エイミほどではないがマシロも比較的羞恥心の薄い生徒であり、ここで諌めなくてはエスカレートする恐れがある

ここで食い止めなくてはいけないのだ

 

(コハル借りるよ、君の言葉を。)

 

「エッチなのはダメだってことだよ!」

 

「そ、そうなのですか?」

 

先生の勢いにマシロは戸惑っていた

大切なことなので記憶に印象に残るよう大きな声で伝えたかったのだ

 

…ここから理由を直球で伝えて仕舞えばセクハラである

なので正直に全て言うのは却下

マシロにわかりやすい例え方をしながら話す先生

 

「マシロ、思い出して。悪の女幹部とかそういった存在はどんな格好をしてた?」

 

先生の言葉にマシロは深く考え込み特撮やアニメ、漫画の登場人物達を思い出す

 

ハッと気がついたよう顔を上げると声を張り上げた

 

「とても露出の多い格好をしていました!」

 

「そう、そうなんだよ!!」

 

 

「ならばミレニアムの和泉エイミさんやゲヘナの天雨アコさんは悪い人達なんですか!?」

 

「あっ…ああ…あれはセーフ!ギリっギリの際どい所でセーフの存在なんだよ!」

 

 

先生、痛恨のミス

思わぬところに飛び火してしまった

ミレニアムとゲヘナに対する確執が生まれてしまっては大変なので先生は慌てて訂正する

 

「あれはセーフなんですか?

基準がわかりません。どのように判断すればいいのですか?」

 

納得せず、なおも食い下がるマシロ

 

どうしてエイミといい、アコといい、人の格好は気になるのに自分自身に関しては無頓着なのか

自身の格好も見返して欲しいと先生はツッコミたかったが、もっとややこしいことになりそうなので口を慎んだ

 

「あれは…いわゆる潜入捜査に適しているからだよ!あえて悪の女幹部のような格好をすることで相手に上手く取り入りやすくしたり、その…ね!

あの2人は特殊な任務を任されることも多いからね!」

 

「なるほど、そうだったんですね…!」

 

苦しい言い訳だったが、マシロは天然だったため信じてくれた

 

…仕方がなかったとはいえマシロが再びあの2人に会う前に話を合わせる必要が出てしまった、と先生は少し後悔した

 

 

 

「ここからどうすればいいのでしょう…皆を魅了する圧倒的な可愛さにはまだまだ遠い気がします…」

 

「…1日2日で可愛さを極めるのは、やっぱり難しいんじゃないかな?」

 

その後も喋り方を変えたり、新たにコスプレしたりと色々試してみたがどれもしっくりこなかった

無理に属性を付け足せば、元々あったマシロの良さを消してしまう

 

先生は今はこれくらいにして少しずつ進んでいこうと諭した

 

「はい…わかってはいるんです。ですが、不安になってしまって…」

 

マシロの強い正義感が彼女を良くも悪くも突き動かしているのだ

悪を滅して正義を立て直すことを目標とする少女にとって、可愛い者につられて悪事に手を染めてしまう人がいるなんて悪夢でしかない

 

正義を実現させるならばどんなことでもやれることはやっておきたい

 

「大丈夫だよ、焦らずに行こう。私は正義を実現させようと頑張るマシロの味方として、応援してるから。どんなことがあっても力になるし、どんなに可愛い悪党が現れても私は可愛いマシロの味方だよ。」

 

そんな不安を払拭できるように、先生は生徒達皆の味方として力になることを伝えてマシロを励ました

 

その言葉にマシロは嬉しく思いながらも、そう言ってくれていても私も数多くいる生徒の1人なんだろうな、小さな不満を覚えた

 

「ありがとうございます、先生…

先生に【可愛いからいくらでも手伝ってあげるし、なんでも許しちゃうよ!】と言われるくらいに可愛くなれるまで頑張ります!」

 

「その言い方は人聞きが悪いからやめてほしいな…」

 

先生がこれからも正義の味方でいてくれるように

いつか特別な存在として、意識されるように頑張ろうとマシロは意気込んだ

 

そんなマシロの言葉の裏側に鈍感な先生は当然気づくはずもなく

そもそも生徒達皆が可愛い存在なので、元から何でも手伝うし協力するつもりなのだが…

言い方って大事だなぁ、と先生は思っていた

 

 

 

 

 

─後日、先生の家

そこには大きな紙袋を持った正義実現委員会のメンバーが訪れていた

 

不思議に思いつつ迎え入れると、着替えたいので部屋を一つ貸してほしいという

 

やがて着替え終えたらしく、襖が元気よく開かれる

すると現れたのは─

 

「どうでしょうか、先生!」

 

「こ、これは…!?」

 

現れたのは可愛いふりふりの猫耳メイド服を着た正義実現委員会の姿だった

元気いっぱいのマシロとは対照的に、皆恥ずかしそうにしている

 

「ツ、ツルギ!ハスミ!これは一体…!?

いや、皆すごく可愛いんだけども!」

 

「こ、これはそのっ…きひ、ひっ、ひぃい…」

 

「そ、その先生には色々とお世話になったのでこれで喜んでいただけるなら、と…」

 

恥ずかしそうにしつつも先生に日頃のお礼ができるためかどこかまんざらでもなさそうにしているトップの2人

普段のクールで大人びた雰囲気からは想像もできない可愛い格好は非常に眼福だった

 

「イ、イチカ!イチカは大丈夫なの!?」

 

「は、ははは…正直に言って、すごく恥ずかしいっすよ。

けど、これで先生が私を意識してくれるなら…」

 

とても照れくさそうにしながらも、薄く目を開けて微笑むイチカ

男装姿も格好良かったが、こういった女性らしさ全開の姿にも思わずグッとくる先生

 

すると今までプルプルと震えて俯いていたコハルが顔を上げる

その顔はりんごのように真っ赤に染まっていた

 

 

「せ、先生の変態っっ!!!エッチなのは駄目!死刑!!」

 

「ちょ、ちょっと待ってコハル!弁明させてほしい!」

 

 

今にも手榴弾代わりに近くの物を投げつけてきそうなコハルに慌てて弁明する先生

 

そんなある意味夢中な姿を見ながらマシロは笑顔を浮かべた

 

 

 

「これからも私達、可愛い正義実現委員会を応援してください先生!一緒に正義を成していきましょう!」

 

まずは正義実現委員会の皆をもっともっと好きになってもらえるように

そして、いつか先生にとって特別に可愛い存在だと思ってもらえるように、とそう思いながら笑顔で宣言したのだった

 

 

*1
中国版pvより、可愛いので是非見てみてほしい

*2
公式4コマより、こちらも(以下略

*3
※ハスミの嘘にマシロは気がついていない





最後の正義実現委員会メンバーの格好は、To Schoolのモブちゃんのメイド服をイメージしていただければわかりやすいと思います
プレイできるのは今月29日までですよ!


そして素直に応援しますと思った先生方はお気をつけください

先生に好意を持つ色んな生徒があなたを恐ろしい目で見ていますよ…
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